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2008-11-26

ブルベアファンド

投資信託の怪⑦(ブノレベアファンドの謎)

もう最後だから黙っておとなしくしてようかと思ったのだけれども、たまたま変なものをネット上で見てしまったので、毒舌モード半開でここに書く(笑)。 今回の題材は「ブルベアファソド」だ。 これは、あるインデックス(日経平均やダウなど)に一定倍率で常に連動するように設計されたファンドで、通常は先物などを利用して所定のエクスポージャーを取るようにこしらえられている。

この手のファンドは個人投資家の間でも普段は忘れ去られているのだが、昨今は投資信託しか買わない人は何を買ってもダメだったと言うので、これを薦める「専門家」とやらが最近たくさんいるのだとか...

私は、一般の投信の委託手数料が高いことを除けば、個人投資家の方が自分できちんと調べて状況を理解し、リスクを許容できると判断したのであれば、ロシア株ファンドを買おうが、南アフリカ債券ファンドを買おうが反対したりしない。 それによって儲かることも場合によっては十分ありうるし、どうせ投信を買うのなら、そういった、個人では個別の銘柄にアクセスしにくいアセットクラスのものでなければ意味がないからだ。

だが、日経平均だのS&Pだののブルベアファソドだけはいかなる理由があっても係りあいになってはいけない(ただし、お金が余ってしかたがなくて捨てたい人は別だが)。 ところで、なんでも件の「専門家」連中に言わせれば、ブルベアファソドはハイリスクハイリターンだが、方向性の読みが当たれば大きな利益があがる...らしい(^^;)。 正気か???

どこをどうしたら、こんな見当違いの妄言が吐けるのかわからないが、悪気なく言っているとしたら、原始人なみの無知なので絶対にそういった輩の話は信じないように。 そうでなければ悪質な確信犯なので絶対に係わり合いになってはいけない。 ...っていうか金融庁に通報すべきか(笑)。 

私がこれだけ止めておけという理由は、それが「ハイリスク」だからでも「読みが当たらない」からでもない。 そんなものは最初からわかっているし、同種の問題がある商品は他にいくらでもある。 私がブルベアファソドがダメだという理由はそのマネーマネージメントにある。

目論見書や約款を読めば書いてあるが、このブルベアファソドという商品は常にインデックスに対する一定倍率の連動性を維持するために、毎日リバランス(ポジションサイズの変更)をするのだ。 この点が、各種インデックスの先物を売ったり買ったりしたポジションをそのままに維持しておく場合と決定的に異なる。 

以前のエントリーでヒストグラムで示したリターンの確率密度分布のグラフを思い出してもらいたいが、株式市場において、この「毎日リバランス」は現在考えられる限りのマネーマネージメントのなかで最悪のもののひとつだ(>_<)。

わかりやすく言うと、このファンドは常に「高いところを買い、安いところを売る」という売買をご丁寧に毎日きめ細かく行なっていることになるのだ(大笑)。 これで儲かるチャンスがあると主張するのなら私の理解を超えている。 バカも休み休み言えってんだ! 常識がある人間ならこんなものは他人に薦めない。 今は下げ相場だから、設定来で利益が出ているベアファンドもあるにはある(ブルファンドは基準価額が10分の1くらいになっている(笑))。 しかし、それはこういった強烈に不利なハンディの後に残ったカスであるから、先物をショートしたほうがはるかによいし、途中で乗った投資家は下げ相場なのに損している人もいるはずだ。 

結局のところ、専門家とやらがいう「方向性を当てる」とは、「ほとんどもち合わないで一直線に上げるか下げるかという局面を事前に予測せよ」ということなのだ。 やれるものならやってみろ! >専門家

つまり、このブルベアファソドの本質は、「方向性を当てれば儲かるハイリスクハイリターン型の商品」なのではなくて、「世界最悪のマネーマネージメントによって、じわじわと真綿でクビを締められるように、資金をむしり取られていく商品」なのである。

リチャード・デニスと共にタートルズの師匠であったビル・エックハートが90年代の初めに次のように言っている↓。 
“It is one of the key asymmetric in trading that whereas good money management cannot convert negative expectation into positive, bad money management can turn a winning strategy into a losing one.”

これは本当にそのとおりであって、だから優れたエッジのあるトレード手法の開発と共に、所与の資金を如何に効率よく(あるいは大事にして)運用するのかということが、運用者にとって非常に重要な項目にいつも挙がられるのである。

世の中に出回っている投資信託の大多数は規定されたアセットを高位に組み込んでロングで保有するから、実質的にマネーマネージメントを意識することも、それの巧拙がパフォーマンスに影響することもほとんどない。 だから、投資信託をめぐる話の中でマネーマネージメントがキーになることは普通はない。 従ってこういったブルベアファソドのような特殊なファンドに関して、普通の投信しか買ったことのない個人投資家が、マネーマネージメントの欠陥を見抜くことは難しいかもしれない。

だが、ブルベアファソドはインデックスの(日々の)方向性というエッジのないものにベットし、そこから信託報酬が引かれるという、はじめから期待値がマイナスのトレードなのだ。 だから、そこに最悪のマネーマネージメントを加えれば、結果がどうなるのかぐらいのことは、ホンモノの「専門家」であれば一瞬でわかるはずだ。 そいつらがそれを知っててあえて他人に薦めているのか、それともほんとにその程度のことが理解できない単なる自称専門家なのかはわからないが、いずれにせよまともな人物ではあるまい(>_<)。

2008-11-08

悲しきすれ違い

悲しきすれ違い

先日古くからの友人達と飲む機会があって昔の話になった。 もうずいぶん前のことになるが、私があるトレードセミナーで話をしたときのこと、その時の参加者の方は300人以上はいたのだが、「ほとんどの方にとっては土屋さんの話はチンプンカンプンで、唯一手を叩いて喜んでいたのはトレーダー仲間のヤギさんだけだった」ということを、その中の一人の方が話してくれた。 

たしかにそのセミナーのことは私もよく覚えていて、受講者の方の反応がまったくなくてとても困ったのである。 私としてはせっかく大勢の方においでいただいたのだからトレードに普遍的に役に立つ話をしたつもりなのだが、みなさんがきょとんとしているのを見て、「ああ、もう自分の話を聞いて喜んでくれるのはもうヤギ氏だけになってしまったのか。」とさびしく思ったものだ。 

セミナー後の打ち上げの席では、ヤギ氏から「今日はとてもいいことを聞いた」と感謝され、「こんなことは黙っていて自分だけで使えばいいのに」と言われた。 優れたトレーダーである彼に自分の話を理解し評価してもらえることは非常にうれしいことである。 だが同時にそれは、私の話はほとんどの人にとって関心がない内容であることをも意味している。

ちょうどそのころ、別の方が講師をされたトレードセミナーを傍聴したことがあった。 その時に少しトラブルが発生したのだ。 その講師はRSIとかADXとかを使った逆張りのトレードを解説していたのだが、売買の閾値(例えばRSIで20とか80とか)がテキストに明記されていなかったことに対し、少なからぬ受講者の方たちが怒って騒ぎ始めたのだ。

彼らのクレームによると、なんでも「この20だの80だのの数字が「魔法の数字」であるのに、講師はそれを秘密にしたいがためにテキストに書かなかった、これは大変ケシカランことだ」とのことで、皆大変な剣幕で怒り、血相を変えて主催者に詰め寄っていた。

私はそれを横で見ていて大変不思議な気分になった。 理由は二つあって、ひとつ目はその講師の解説している手法が実際には全く役に立たないことを私が知っていたこと。 そして二つ目はその20だの80だのの数値には何の意味もないことを私が知っていたからである。 だから、私にとってはそんな数字などどうでもよいものだったのだ。

そして、受講者の方が怒りだすまでは、そんなことは誰でも知っていることだと私は思っていたので、なぜ大勢の人が「魔法の数字を秘匿しようとするのは許せない」と息巻くのかが不思議でしかたがなかった。 だが、少なからぬお金を払ってセミナーを聞きに来ている彼らにとってはそれが何より重要なことだったのだ。

これらのことが立て続けにおこったことで、私は当時やっと個人投資家の方の本当のニーズを少し理解した。 彼らにとってトレードは儲けるためにやるのではなくて、レジャーであり、それにまつわること例えばセミナーに行ったり投資雑誌を読んだりするのはエンターテイメントなのだと。 例によって念のために書いておくが、これは決して個人投資家の方を馬鹿にしているのではない。 儲けるためにトレードをおこなう個人投資家の方もいることは十分知っている。 だが、残念ながらそういった方は現実的には少数派なのだ。

それから数年後に、ある個人投資家の間で売れっ子の評論家(この方はこういった個人投資家相手の相場評論家としては、正直でとてもまっとうな人である)と話したときに、彼が私の理解と似たようなことを言っていた。 彼曰く「ほとんどの個人投資家は儲けることになど本当は全然関心がないんですよ。 彼らにとって相場は楽しみのためにやるマージャンやパチンコ、競馬と同じものなのです。 だから彼らに面白おかしい材料を次々と提供するのが私の仕事です。」 少し悲しいものの見方だが、彼の言っていることが真実に近いのであろう。

さて、私は件のセミナー以来、しばらく人前で話をするのを止めた。 私にはエンターテイメントを提供することはできないし、このブログの読者の方にはお分かりの通り、自分の考えを素のまま見せれば、結局のところほとんど誰も理解しない、喜ばない結果になってしまう。 だから私のセミナーが面白くないのはある程度当然なのだ(>_<)。 「つまらない」と評価されるのはむしろあたりまえかもしれない(笑)。
 
 
 
 
なぜ、長々とこんなことを書いたかというと、もうしばらく前になるが、このブログを読んでいただいているある出版社の方から「トレード本を出しませんか?」というお誘いを受けたことがあるのだ。 そういった声を掛けていただいて大変うれしく思ったし、ありがたいことだなと今でも感じます。 しかし長いことその話は私がお返事を差し上げないままでいた。 失礼をしてしまってすみません。 

ですが、残念ながらやはり私には一般投資家むけのトレード本の執筆は無理なようです。 私が提供できるもの、つまり私がトレードにおいて役に立つと思うものと、一般投資家の方が求めるもの、つまり読んで面白いと喜んでもらえるものとの間には、あまりにも違いがありすぎます。 それは悲しいことですが大きく乗り越えがたい乖離です。 もし出版していただいても、私が身内に20部ほど配っておしまいでちっとも売れない書籍(不良在庫)になること間違いないでしょう。 

従って、私の書くトレード本はそれを承知であえて出しても良いと考える奇特な出版社からしかでないことになりそうです(^^;)。

2008-11-07

投資信託の制約

投資信託の怪5(プロの船員が乗っているのにタンカー座礁のナゾ)

多くの個人投資家の方が考えているのと違って、ほとんどの機関投資家の運用というのはなかなか不自由なものだ。 例えて言うと大型タンカーとか大型貨物船を運航しているようなものなのだ。 この場合、ある地点から別の地点に荷物を安全に運ぶことを目的としているのだが、海には気象や海流の変化があるし、ところによっては海賊は出るし、場合によっては敵国の軍艦に大砲をぶっ放されることもありうるしで、危険がいっぱいなのである(>_<)。 

そして大型船のゆえに、こうした急激な外乱に対応するのは実に苦手なのである。 しかも船の性能や船員の錬度にはばらつきがあり、自動航行をセットした後はロクにワッチに出ない船もある。 だから船が座礁し始めて初めて危険に気づき、大慌てで舵をきるケースが続出するわけだ(笑)。 

もちろん、きちんとしたワッチと迅速な判断により、即座に回避行動に移ることができる船もあるが、船体が巨大であれば回頭するまでに長い時間がかかってしまうのである。 その意味ではモーターボートを操縦しているような感がある個人投資家の投資行動は、変化に対応するという意味では極めて有利なのだ。 
 
ところで、ここでは機関投資家の運用を輸送船に例えたが、投資信託の運用の場合はもっと自由度がないのである。 なぜなら、運用の細部の99%は約款やオファリング・メモランダムで縛られているからである。 例えていえば、出航前にインストールされた決め打ちのプログラムで、大型のタンカーが自動操縦されているようなものなのである。 そしてそのプログラム(約款など)を選んだのは受益者である一般投資家なのである。

もちろん航海士であるファンドマネージャーは、ワッチにも出るし船体の整備もする。 状況に変化があれば刻々と報告をするし、献身的に安全な航行のために働く。 しかし、彼にできることは非常に限られているのである。 いや逆に余計なことをしてはいけないのである。 船の航行は目論見書に開示された運用計画に既に記述されているからである。 それを逸脱することは絶対に許されない。 

だからこのままでは船が座礁するとわかっていても、そのまま浅瀬に突っ込んでいかなくてはいけないし、前方にハリケーンが待ち構えているとわかっていても、彼にできることはせいぜい積荷を縛るロープをきつく縛りなおすことぐらいなのである。 船の行方は既に受益者である投資家によって選択・プログラムされているのだから手出ししてはいけないのだ。

この点は一般投資家の間で大きく誤解されている。 投資信託のファンドマネージャーは運用のプロフェッショナルだからありとあらゆる手を使って危険を回避してくれるだろうと考えるのは大きな間違いなのである。 彼に許されているのは「船にこんな危険が迫ってますよ!」と投資家に報告したり、積荷の点検をしたりすることぐらいである。 

浅瀬を前にタンカーの航行プログラムを止めて船を停止させたり、ハリケーンを回避するために180度回頭させたり、乗り込んできた海賊と武器を持って闘ったりなどはしないのである。 いや、してはならないのである。 そういうルールなのだ。 それが投資家との間に結ばれた契約なのである。

だから、下げ相場の時は投資信託の基準価額がどんどん下がって当たり前なのである。 むしろ、マーケットが下がっているのに、損をしない投資信託があったら、何らかの規定違反が行われている可能性があるとして、一般投資家は金融庁にでも通報すべきなのだ。 あなたがそのファンドの受益者ならば「皆が損しているのに、自分が買っている投資信託は利益を上げている。絶対に許せない!」といって訴え出るべきなのだ。 

いや、冗談じゃなくてほんとにそういう仕組みになっているのだ。 運用する側はあくまで受益者との約束に基づいて粛々と運用するだけなのだ。 好き勝手な裁量は絶対に許されないのである。 あなたが買った投資信託という金融商品はそういうモノなのである。

なんとも奇妙な話だが、もし下げ相場でそんな奇妙なことに巻き込まれるのがいやならば、船の航行プログラムを止められるのは受益者であるあなたしかいないのだから、自分で判断を下し行動すべきなのだ。 つまりさっさと解約するのである。 ゆめゆめ損をファンドマネージャーや販売会社のせいにしてはいけない。 まあ、フツーの投資家ならば投資信託を買ったりしないだろうから問題ないとは思うが...(^^;)

ダイバーシファイド・卜レンドフォ口ー概説

ダイバーシファイド・卜レンドフォ口ー概説①
ダイバーシファイド・卜レンドフォ口ー概説②
ダイバーシファイド・卜レンドフォ口ー概説③

以前の「ダイバーシファイド・卜レンドフォ口ーのナゾ」は少々わかりにくいとのご指摘をいただいたので、ここに再度概説を試みることにします。

ダイバーシファイド・卜レンドフォ口ー・システムは、大雑把に言って次の3つの要素からなります。
①リターンの確率密度分布の非効率性を捉える統計的モデル
②リスク・リワードを最適化するポートフォリオ理論
③リスクを管理するルール

では順番に見ていきましょう。
①リターンの確率密度分布を捉える統計的モデル
これは前回のエントリーでも見たように、商品のリターンの分布はテイルが太いということを理解するということに尽きます。

図1を見てください。 これはある商品の銘柄の5日間のリターンのヒストグラムです。 プラスの側でもマイナスの側でもテイルが太くなっていることがわかると思います。 そして、この場合非常に重要なことは、人間というのは一般的に、確率的に発生する頻度が低い現象は、それを「起こらない」つまり確率ゼロもしくは限りなくゼロに近いと認識しがちだということです。
例えば実際には0.数%~数%の確率で発生する事象でも、自分の認知においてはその可能性を消し去り、発生しないかのような投資行動をとるのです。 これがダイバーシファイド・卜レンドフォ口ー・システムの収益源泉の非効率性の由来です。 

実は数年前まではこのような非効率性のフロンティアは長期時間枠のトレンド、つまり確率密度分布のテイルにおけるトレードの他に、非常に短い時間枠のトレードにも存在したのです。 なぜならそれまではそのような短い時間枠のトレードについて詳細を知っている人はほとんどいなかったからです。 当時は多くのトレーダーがそれに着目して驚異的なリターンをやすやすとあげました。 しかし、その事実が大勢の人に知られるようになると、その非効率性は徐々に失われてしまったのです。

さて、対照のために図2を見てください。 これは20年分のUS$の対日本円のレートの5日間のリターンのヒストグラムです。 これは尖度が高くテイルが小さいことが見て取れると思います。 従ってFXにおいては商品とは逆にリバーサル狙いでいくのが基本的にはやりやすいのです。 しかしここで気をつけなくてはいけないことに、「FXがリバースする」という現象は非常に高い頻度で発生するために、人々の認知と実際の確率密度分布との間にズレが発生しにくいのです。 つまりそこにはなかなか非効率性が生まれないのです。
それどころか逆に、「小さいけれどもゼロではないテイルの部分」を「まったくのゼロ」であるとみなしてしまうところに大きな危険が潜んでいるのです。 今回の▲10%近い下落(10/20―10/27)はヒストリカルには▲6σ近いレアな現象です。 しかしゼロではありません。 ここに実はFXにおける非効率性があったのです。 しかもFXはほとんどの期間はコンソリデーションだが、走り始めるとトレンドが自己強化されるという特性を持ちます。 これに多くのFX投資家が捉まったのでしょう。

話を戻しますと、商品のリターンの分布においてはテイルが太く、人々がそれをなかなか認知しないために収益機会があるのです。 そして、このために値動きがテイルの部分、つまり「人々が潜在的に思っているよりも実は発生確率が高い領域」に値動きが入ったことを認識するためのモデル(シグナルといってもいいかもしれません)が必要になるのです。

それは昔であれば単なる長短の移動平均のクロスであったり、一定期間のチャネルブレイクアウトでよかったのです。 ただ、現在はそれらの概念は広く人口に膾炙しており、そういった単純なモデルでテイルを捉えることは難しくなっています。 そのためにトレンドフォロアーであるCTAは独自のトレンド認識モデルを持っているのです。

②リスク・リワードを最適化するためのポートフォリオ理論
さて、個別の銘柄でトレンドを認識できたとして、次に必要なのは多くの銘柄からなるポートフォリオを効率よく管理することです。 なぜなら、ダイバーシファイド・卜レンドフォ口ー・システムは、元々の定義により値動きの予測を行なわないこと、そしてポジションを分散させることによって何処かで発生するトレンドを捉えることが不可欠になるからです。 そのために適切なポートフォリオ管理をしなくてはなりません。

ところで、ここでいう「ポートフォリオ理論」とはマコーヴィッツの言うところのポートフォリオ理論とは趣を異にします。 なぜなら、フルインベストメントでロングオンリーの伝統的な運用と異なり、ダイバーシファイド・卜レンドフォ口ーにおいては、ロングもショートも、そしてマルもあるからです。 さらに、株式のマルチファクター・リスクモデルと異なり、銘柄の特性が多種多様な商品においては、代表的な複数のリスク・インデックスにリスク成分を分解して認識するという作業も困難なのです。 

従って、一般的にはより単純化されたアプローチを取ることになります。 まず各銘柄に等しいエクスポージャーを取るために、ボラティリティに応じてポジションサイズを調整します。 これはヒストリカルな一定期間のボラティリティをそのまま使っても良いでしょうし、タートルズが使っているNの概念を用いてもよいでしょう。 

次に各銘柄間のリターンの相関性を考慮します。 しかし、これについてはメジャーなCTAの間でも異論があります。 つまり、相関性の高い銘柄において同方向にポジションを建てる場合、リスクを考慮してポジションサイズを落とすべきだという考え方と、そうする必要はないとする考え方です。 

ここで単純化のために2銘柄からなるポートフォリオを考えてみましょう。(2銘柄のエクスポージャーは等しいとします) 
銘柄Aの分散をVa、銘柄Bの分散をVbとすると、ポートフォリオ全体の分散は、Va + 共分散*2 + Vb で表されます。 ここで、相関係数は共分散を両銘柄の標準偏差で除して得られるので、銘柄Aの標準偏差をσa、銘柄Bの標準偏差をσbとするとポートフォリオ全体の分散は、σa^2 +相関係数*σa*σb*2 + σb^2 のように書くこともできます。 従ってもし2銘柄間の相関が非常に高い場合には、ポートフォリオ全体のポジションサイズは小さめにしなければならないとわかります。

しかし、ここで問題が2つあるのです。 まず最初は、もし上記の理屈を認めるなら2銘柄間の相関が高く建玉の方向が逆であれば、それぞれ独自に算出したポジションサイズよりも大きなポジションをとっても良い(取るべきだ)と考えるのが合理的とせざるをえなくなるのです。 そして2つ目の問題は、商品の相関性は短期間のうちに大きく変動するということです。 例えば、通常ガソリンと灯油、原油は原料とそこから精製される製品として通常は高い相関性を持ちます。 しかし冬季の灯油需要が高い時期にはガソリンは灯油と比べだぶつき気味になることがあります。 あるいは、地震等の理由により原子力発電所の稼働率が落ち、火力発電所の重油需要が高まれば、原油とガソリン、灯油との相関性が一時的に崩れることもありうるのです。 そして、こういったファンダメンタルな背景によって発生するトレンドはダイバーシファイド・卜レンドフォ口ー・システムが捉えたいと意図するもののひとつなのです。 

従って、銘柄間のヒストリカルな相関性を無視するという方針も十分成り立ちうるのです。 そしてこの場合も、リスク管理については別のルールの導入が必要になります。

③リスクを管理するルール
最後のステップとして、銘柄間の相関性を考慮してポジションサイズを調整する場合でも、そうでない場合でも、ポートフォリオ全体としてのリスクを管理しなければいけません。 プリミティブな方法としては、それぞれのポジションのボラティリティを建玉の方向性に関係なく絶対値を和することによって全体のリスクとし、それを一定以下に抑えるというやり方があります。 たしかにこれならポートフォリオ全体の真のリスクは、この値を常に超えないのですから、保守的な管理方法としてはそれでよいのかもしれません。

しかし、例えば、「ガソリン10枚買い+灯油10枚買い」というポジションと「ガソリン10枚買い+灯油10枚売り」というポジションが同じリスクを持っていると考えるのは少し難があります。 もっと言えば、「小豆10月限5枚買い+小豆12月限5枚買い」というポジションと「小豆10月限5枚買い+小豆12月限5枚売り」というポジションが同じリスクであるというのはあまりにも変です。

従って、ここではポートフォリオのリスクの管理方法として、一般的なVaRを用いることにします。 ところでVaRには、一般的に3種類の計算方法があります。 ヒストリカル・アプローチ、分散・共分散アプローチ、モンテカルロ・アプローチです。 個人投資家にとっては実務的に一番わかりやすいヒストリカル・アプローチを使うと良いでしょう。 つまり現在のポートフォリオのNAVをP(t)とすると、P(t)の日次リターンはP(n)/P(n-1)-1もしくはLog(P(n)/P(n-1))で表され、このリターンの時系列をさかのぼって一定期間観察することにより分布を把握します。 次に得られたリターンを順位付けしそのデータが示す階級値を持って、99%、もしくは95%の信頼水準におけるVaRを出し、これを一定以下にすることでリスクを管理するのです。

...こんな面倒なことはしたくないという場合には、単にポートフォリオの日次リターンのボラティリティを一定以下に抑えるという方法でも良いと思います。 ただし、リターンの確率密度分布に正規分布を仮定する場合にはリターンの分布の形状をヒストグラムなどで見ることや基本統計量を出すことによって、テイルが極端に太くないことを確認する必要があります。

以上が、ダイバーシファイド・卜レンドフォ口ー・システムの概説です。 今回はわかりやすかったかな?(^^;)

2008-10-28

オーラ

あなたは”Baby Mama”を観ましたか?(情報求ム)
今日は(今日も(笑))相場とあまり関係ないお話。
このエントリーはしばらくしたら消すかもしれません(^^;)。
 
 
柳川昌弘氏は稀代の空手家である。 私は流派が違うので教えを受けたことはないが、氏の著書「空手の理」「続空手の理」は若い頃に何度も繰り返し読んだ。 よく知られているように、柳川氏は幼少の頃の不幸な事故で目がほとんど見えない。 だが、空手家として柳川氏が成功したのはなにより氏の若い頃の超人的な鍛錬があったからである。 そして柳川氏が空手界でも特異であるとされる理由は、その「オーラ」を見る能力にあると一般に認識されている。

さて、私は自然科学を信奉する学徒であるから、いわゆるオカルト的なものは全く信じない。 狂信的な新興宗教の連中の言っているたわごとも一切聞かない。 だからいわゆる世間でいうところの「オーラ」なるものもデタラメだと思っている。 彼らのいうオーラとは漫画やアニメなんかにでてくる炎の形をしたアレである(笑)。 なんでも選ばれた人のみが身につけられるもので、しばしば霊能力と関係があり、特殊な力を持つらしい(^^;)。

どうやら柳川氏の言うオーラも世間で言うオーラと同じだと思われているらしく、Wikipediaの柳川氏の解説にも「オーラが見えるなどの霊能力があるという。」と記述されている。 しかし、私は確信を持って言うが、柳川氏のオーラと世間で言うところのオーラとは全く別種のものであり、霊能力とも全く関係がない。 世間で言うオーラはオカルト的なインチキなのに対し、柳川氏のオーラは純然たる物理現象なのである。

なぜそんなことが断言できるのかというと、私にも同じものが見えるからである。 私は20年近く前に柳川氏の著述によってその方法を知り、すぐにそれが見えるようになった。 それ以来私にとっては当然のこととしてオーラが見えるので、それは単なる物理現象に過ぎないと判ったのである。 そしてそれは世間で言うところのオーラとは全く別のものであることにも私は絶対の確信を持っている。

詳しくは柳川氏の著述を参照していただきたいが、オーラの見方は簡単である。 最初に背景ができる限り白色のところに見たい対象者を持ってくる。 そしてまず「居つかない目」で対象を見る。 これは武道の経験がある人なら簡単にできるだろう。 特定の部位に意識を集中することなく、相手を全体的にボォっと捉える視線の送り方である。 さらにそこから、焦点を無限遠にずらすのだ。 すると対象者の周囲に光の帯が見えてくる。 これが柳川氏が記述し私が見えるところのオーラである。 この光の帯は薄い色が付いている場合もあるし、そうでない場合もあるが生命体には必ずある。 そして柳川氏は書いていないが、無機物は単体ではオーラを放たないものの、人間が手に取るとオーラを放つ。 例えば剣道の稽古のときに、相手が竹刀を持てば、その瞬間に文字通り竹刀の先までオーラが走るのが見えるであろう。 

繰り返すが、これは摩訶不思議な現象でもなんでもなくて、単なる物理現象である。 柳川氏は「見るのに特殊な能力など必要としない」という趣旨のことを書いているし、私が見たところ人間ならそれぞれ色や幅、強さは違えど誰でもオーラを放つので、格段ありがたいものでもない。 極々フツーの現象だ。 もちろん炎の形もしていないし、オーラの力(?)でモビルスーツなんかが動いちゃったりするわけでもない(笑)。 霊能力なんて全然要らない。 あくまで単なる純粋的に光学的な現象だ。

ところが、この方法を数人の友人に話して試してもらったが、過半は私と同じオーラが見えなかったのだ。 一方、私はまったく練習もしないですぐに見えた。 どうしてそういった個人差があるのかずっと謎であった。 私は実は子供の頃の怪我が原因で右目がほとんど見えない。 物の形や色は判別できるが余程近寄らないと、人の顔の区別もできない。 左目は近視だが普通に見えるので日常生活では困らないし、コンタクトレンズやメガネを使えば運転もできる。 だが、右目は全くダメだ。 なので、ひょっとしてこのオーラを見るためには、何かそういった障害のある人だけが持つ脳内のニューロンの特殊な働きか何かが関係しているのかと思ってみたりもしていた。 

自分にとっては当たり前の物理現象だと思っているから怪奇現象でもなんでもないが、原因やその仕組みがわからないし、すぐに見える人はともかく、見えない人に「見える」と言っても奇妙がられるだけなので、これまで親しい人にしかこれを話したことはなかった。 もちろんこの柳川氏の言うオーラに関しても、武道家で似たようなことを書いている人はいるし、画家の中にも見える人はいる。 現にいろいろな人物画を観ていると、日本画でも洋画でもこのオーラを書き込んだ絵に出くわすことがあり、「ああ、この画家には見えるんだな」と思ったりするのである。 だから私だけが特殊なのでは全くないことはわかっていた。 しかしハッキリと見える人に出くわすことは稀であるし、オカルト的なそれと間違われても困るので、あまり詳しく探求できずにいた。 だが、いつかそれの真実を知りたいとずっと思っていたのである。
 
 
 
 


さて先日、新作映画”Baby Mama”を観た。 http://movies.yahoo.com/movie/1809873023/info
映画自体はどうということのないコメディだ(失礼)。 だが、この映画のなかに私にとってとても重要なシーンがあったのである。 代理母役のAmy Poehler が主役のTina Feyに最初に会う場面である。 Amy PoehlerはTina Feyにこう言うのだ。 「オーラの色は人それぞれ違うのよ。」「ちょっと観てあげる。」「夕日に似たいい色ね!」 そして、そのオーラの見方が、柳川氏が記述し私が行なうところのものと全く同じだったのだ。 Amy Poehler は白い壁の前にTina Feyを立たせ、無限遠に焦点をあわせたのである。 私にとっては、これに驚かずして何に驚くのかという出来事だ!(@_@)

はたして、この映画の脚本家か監督は柳川昌弘氏にこれを教わったのだろうか? それともこのオーラの見方は普遍的なもので、アメリカでは当たり前なんだろうか? 詳しいことは判らないけれど、少なくとも一般向けの映画のシーンに自然に取り入れられるほど、海の向こうでは普通のことなのだろう。 そして多くの人が当たり前のように友人や家族のオーラを観て、それについて話をするのだろう。 ならば私はもうマイノリティではない(笑)。 長年の胸のつかえが取れたような感じだ。 

”Baby Mama”を観たことは、こうして私に驚きと同時に少しリサーチに対する意欲をもたらした。 アメリカではそれは普通のことならば、調べれば色々なことがわかるに違いない。 
 
 
 
最後についでに書いておくと、私の限られた観察結果からいうと、トレーダーに向いている人は緑か青のオーラの人である。 暖色系のオーラのトレーダーにたまに会うことがあっても、しばらくするとその人は例外なくトレードを止めている。 なにか因果関係があるに違いないと思っていたが、これまではいかんせん自分で見ているだけだからサンプル数が少なすぎた。 こんなこともアメリカでは研究済なんだろうか? もし何らかの情報を知っている人がいれば教えてください。 <(_ _)>

皆様、たくさんのコメントの書き込みありがとうございます。
こんなにも自然に(笑)、抵抗なく反応をいただけるとは思っていませんでした。 本当にありがとうございます。 m(_ _)m

ちょっと念のために再度書いておきますと、柳川昌弘氏の言うところの「オーラ(オーラAとします)」と、世間でいうところのオカルト的な「オーラ(オーラBとします)」とが全然別のものであると、私はずっと思っていました。 つまり、一般的に私達が認識する光学的な現象はもちろんオーラBとは関係がなく、そしてオーラAは単なる物理現象としての光だと私は思っていたのです。

ただ、オーラAが視覚障害者の脳内でのみ認知される仮想現実ではないかというご指摘は、その可能性を排除することはできないですね。 しかし、視覚障害を持たない人でもオーラAを見ることができた体験があるのと、それが単なる仮想現実だとすると私の個人的な観察とつじつまの合わないことがあるのです。

例えば、もし仮想現実だとすると、以下のようなことが説明できないのです。
・ 生命体はオーラAを放つが、単なるモノは全くそれを放たない。
・ もちろん例えば体温に近い温度(36度C)くらいに何かを暖めても放たないことは同じ。
・ 単なるモノでも人間が持つとオーラAを放つ。
・ 女性と男性でオーラAの形や濃度に特徴がある。(日本人の場合、女性は幅が広くて薄いケースが多く、男性は幅が狭くて濃いケースが多い)
・ 色が人それぞれで異なる。(柳川氏の著書にも区分けが書いてありますが、私の観察ではそれほどきれいにはっきりと色別に特徴があるわけではないのですが、そもそもなぜ人によって違って見えるのでしょう?)
・ これがすごく顕著なのですが、私が出会った大陸出身の中国人の人は、ほぼ例外なく黄色いオーラAを放つ。

ここで、柳川氏の言うオーラAが本当に視覚障害者の脳内でのみ認知される仮想現実だとすると、もっとプレーンな見え方になるのではないかと思うのです。 従って、オーラAは現実に存在する物理現象だと個人的に確信しているのですが、それでも既存の光学的な観点からは説明の付かない部分が多すぎるのです。 これまで長い間自分ひとりで考えてきたのですが、ちっとも解析できなかったところへ、件の映画を見て人に意見を聞いてみる気になったわけです(笑)。
 
 
みなさんの情報を読んでみますと、物理現象というよりも生理学的な現象で、オーラAを観るときの方法は速読の時に使われる技術と同じらしいというのが一番妥当な線のように感じます。 やはり聞いてみるものですね。 今回皆さんに教えてもらって知らなかったことがたくさんわかって感謝しています。 引き続きこれからもよろしくお願いいたします。 


前回と今回のエントリーは適当な時期が来たら消そうと思ってます。 それまでに何か思い当たることとか、ご存知のことがあれば教えてください。 <(_ _)>。

2008-10-21

嵐は突然やってはこない

私は遅い学習者でした。

少しだけ最近の世界的なマーケットの下落に際して思い出したことがあるので書いておく。 研修中にN氏から教わったことのひとつに「嵐は突然やってはこない」というのがある。 私はこれの意味するところを理解するのに長い年月を要した。 

もちろん字面というか理屈では理解していた。 だが、それはあくまで頭でわかっているつもりになっているだけで、本当に自分の体験に照らし、腹でわかっていたわけではない。 N氏がいう嵐とは何なのか、そしてどうしたら事前にそれをぼんやりとでも感じ取ることができるのかについて、当時の私はサッパリわからなかったのだ。

いま多くの人がこのところの出来事を「100年に1度の異常事態」であるという。 だが、今回の嵐も突然やってきたわけではない。 以前のエントリーのコメント欄に龍金氏が書いているように、適切に対処する時間はたっぷりとあったのだ。 (ちなみに龍金氏は私の先輩トレーダーにして、非線形モデル構築の師匠でもある。)

商品先物のススメ
本当にそう思います。

確かに今の株式市場は久々のクラッシュですけど、商先やってれば、毎年(どれかの銘柄で)やってくる台風みたいな感覚かな?

今回の株式市場は100年に1度のクラッシュとか書いてるマスコミやブロガーさんもいるけど、ちょっと違和感あるなぁ。ぶっちゃけ、過去に比べたらトレードする上で恐怖感なし。

ソロスが全力売りに回ったバブル崩壊序章の東証や、ソ連クーデターが流れた瞬間の為替市場、LTCMが破綻した時のオプション市場など、もっと怖かったっす。ロイターしか頼る手段の無い時代だし・・

そんな状況で板状況を証券マンに電話で聞いて売買してたネットの無い時代、そりゃ個人は逃げ遅れます。。

あと2000年だっけ、1月早々にグリースパンの緊急利下げ発表で米株が↑に吹っ飛ぶ(チャート壊れたと思った)、その瞬間、ナスダックの受注サーバーが1時間くらい停止したときも、、、損切りオーダー出せずに延々と上昇されていくショートポジ見ながら、吐きますた(--)
ネット化されても、相場は常に恐怖を用意する・・

これらの事故?は、どれも意表をついた直撃爆弾で逃場が無かったよぉ(;;)

その点、今回はサプライム問題浮上から、リーマン破綻と、下地がありましたからね。逃げたい人は逃げれたし、ショートに傾けれる時間もありました。
買いで勝負した人も、自分の意思での勝負の結果だし、それに買いポジ派でも、今は夕場でのヘッジもできるし、そもそもデイのチャートも板も個人で見れる恵まれた環境だしね。ヘッジ環境は10年前より数段向上してるから・・

安い証拠金とボラを求めて2000年以前から商先を始めた人は、今、株をやってても(出来高激変で株とFXに流れた)、今回、危機にあってる人は少ないと思う。

商先で相場覚えたら、1銘柄に全力買いのオーバーナイトなんて、まず、体が拒否して、そんなこと出きる体質になってない(^^;

ただ、ITバブル以降に株から始めたトレーダーは、僕らと違って、度胸はあるな(^^;勝負するときのメリハリは正直、凄いと思う。

商先を最初に経験しちゃうと、1回のトレードに賭けるリスクをシステム化する習慣がつくから(そうしないと1ヶ月で退場する)、負けすぎず、儲け過ぎずのマネーマネジメントになっちゃって、2年で100万を2億には、無理っす(^^;

まぁ商先経験者と株オンリーのトレーダーと、どっちが有利かは、そのときの環境だし、優劣なんてつけれないけど、ボラが高い時の生存率は、商先を長年やってきた人の方が、ボラに慣れてる分、有利だとは思います。

2008-10-15

A Few Observations

ビクター・ニーダホッファかく語りき

この中で私が個人的に面白いなと思ったのは、第2段落の第1センテンスである。 まさにここに書いてあるとおりである。 こんなことを書くとまた「余計なことを書くな」と怒られそうだが、この傾向は1年ほど前から続いていて、これこそが直近数ヶ月においてそれまで一見ロバストに効いていた様々なモデルやシステムがサッパリ使えなくなったと多くの人が思っている原因だと私は思っている。 個人的な体験から言って、ここ数週間の激変期においてもこれを考慮したモデルは驚くべき安定性を維持した。

Victorが指摘した事実にどれだけ早く気付いたか否かによって、「こんなモデルは役に立たない、状況が変わった」として既存の手法を捨ててしまうか、あるいはわずかの手直しでそのまま継続して利用し利益を淡々とあげられたかが分かれたのではないか?

なおこの件はなにもVictorのこのコラムが初出ではなくて、これまでにもネット上でも複数の人(私の知る限り全て機関投資家の人である)が指摘してきたが、個人投資家の間ではなぜかほとんど話題になることはなかった。 ざっと目を通したがVictorのこのコラムに書き込まれているコメントにもそれに関心を置いた記述はないので、日米を問わず一般的にはそれがとても重要な要素であるという認識はないのかも知れぬ。 

A Few Observations, from Victor Niederhoffer : Daily Speculations

1. Of the 100 biggest markets around the world, almost all are down 40- 60% in dollar terms with the exceptions' being Tunisia and Botswana. The impact of the decline this week, unless rapidly reversed, is going to be very severe on purchases. The previous 20% caused great angst; imagine what this decline will do to those who rely on retirements. The positive feedback of the decline in a negative direction also impacts the election results with every market decline making it more likely the Republicans will be blamed for the situation.

2. The worst aspect of the decline this week from a health point of view was that fixed income around the world cratered, thereby reducing world wealth by a good 15% as opposed to the normal situation where the equities go down 10% and the fixed incomes go up 8% leaving total wealth down only a little. And the people that talked about how bearish it was for stocks because commodities were up would never say that it's bullish now because commodities are down 40% over the past four months.

3. A new word should enter the market vocabulary, a waterboarding decline, being a decline that seems to have a breath of life at the open before going into a death spiral.

4. Because of the decline in all sectors, the wealth/price ratio has stayed relatively constant with corn, copper, soybeans, wheat and oil down 40- 50% since June 30, thereby keeping the number of bushels and barrels we can buy with one DJIA relatively constant, making the number of ounces of gold you can buy with the Dow less than 10 for the first time in a googol, and looking like a bargain for the Dow.

2008-10-09

相手のことを良く調べれば攻略は容易になる

<異なったゲームをするということ>
異なったゲームをするということ(1) 受験戦争_編
異なったゲームをするということ(2) 竹内教授の示唆_編
異なったゲームをするということ(3) 「ドラゴン桜」の真実_編
異なったゲームをするということ(4) 一般には受け入れがたい事実_編
異なったゲームをするということ(5) 小よく大を制す。奇襲を成功させるには_編

「否定の否定」
王様は裸だ!...否定の否定の原則

機関投資家の運用の概略について知っておくとよい 私は以前に「機関投資家の運用の概略について知っておくとよい」と書きました。 それは個人投資家の方が単に運用に関する初歩的な知識がないと、しなくても良い誤解をしてしまうことがあるからです。

ここに個人投資家のあいだで人気の(あるいは人気があった)ある売買手法があります。 そして、それに関してしばらく前からこんなことが言われています。 「○○さんが書籍に書いたから(△△さんが、ブログなどで書いたから)、多くの人が使うようになって、この手法は通用しなくなった。」 「相場つきが××になったから、機能しない。」 「それに関する商材がたくさん出回ったから、儲からなくなった」

これらは全部誤解です。 なぜなら、その手法の本質的な有効性は以前から全く変わってはいないからです。 私のモデルによるバックテストの損益曲線を描くと、まるでモノサシで線を引いたように、その手法は以前も今も同じように機能しています。 ではなぜ個人投資家の間で上記のような誤解が生じたのでしょう? それは、巷に流布しているデフォルトのルールにはある処理が欠けているからなのです。 そしてその処理は特殊なものではありません。 機関投資家であれば当たり前のように自然に誰でもそうするような簡単な処理です。 だから私は上記のような誤解を聞いてビックリしてしまうのです。(ちなみに、これは決して個人投資家をバカにしているわけではありませんので、念のため)

しかし考えてみれば、そういったことは個人投資家であれば、証券アナリストの資格試験の勉強をした人や、データマイニングの技術をもった人でもなければ、自然に任せていればなかなか気付かないことなのです。 これは「経験を積めばわかる」とか「見て覚える」とかいった類のものではありません。 

だから、個人投資家である我々は自分自身で能動的にそれらに関して勉強しなくてはいけないのです。 このように、マーケットを動かしている主体、例えば機関投資家の運用について簡単にでも把握しておくことは、そこでトレードする人間であれば個人投資家であっても不可欠な事項です。 「そんな必要はない、真実は単純だからだ」とか「機関投資家の運用は下手だから考慮する必要はない」などというのは傲慢な考えた方です。

ですが、そういったことが一般向けに解説される機会は普段はほとんどありません。 それはネット上でも非常に限られています。 なぜなら、まず①機関投資家の人間はほとんどネット上に出てこない、それに出てくる場合でも、②本人にとってはそれは当たり前のことで、それに価値があることだとは全く認識していないのです。 さらに、③そんなことを書いても一般投資家には非常につまらないがゆえに全く反応がなく、そのうちあえて誰も書こうとしなくなってしまうからです。 

また、たまに熱心に書いてあるサイトやブログがあったかと思うと、おそらく一般の人には書いてある内容が理解できないせいでしょうか、とんでもない言いがかりや中傷にさらされていることが多々見受けられます。  これまでにも多くのブログが閉鎖されたり、掲示板が非公開になったりしてきました。きっと「理解できない → だからそれは間違っている」という理屈なのでしょう。 これでは志ある人も次第にゲンナリしてネット社会を去ってしまうのもしかたがありません。

そして「機関投資家の運用能力は個人投資家よりも実は低い」という物言いは、一部の個人投資家、とくに何も知らない初心者にとってはある種心地よく聞こえるのかもしれません。 しかし、それは完全に間違っています。 もともとも目的も与えられている条件も違うもの同士を比較すること自体変なのですが、仮に「絶対リターンを稼ぎ出す能力」だけに特化して、まったく拘束条件ナシに両者を戦わせたならば、個人投資家は機関投資家に絶対にかないません。 絶対に絶対にです。

ただ、「技術の高い個人投資家の運用能力は、平均的な機関投資家を凌駕している」ことは真実ですし、現実問題として、機関投資家において絶対リターンを目的とした運用が少数派である以上、みかけの運用能力が低いように見えるということがあるだけなのです。

そしてどういても知っておく必要があることに絞れば知っておくべきことは実はそれほど多くはないのです。 もちろん拘ればきりがありませんが、手始めに先日挙げた書籍や、以前にも推奨した「金融マーケット予測ハンドブック」などの定番の教科書を何冊か読んでおけばとりあえずはよいでしょう。

その意味では、相場にかける時間の一部を割いて、アカデミックな勉強をすることはとても意味のあることなのです。 最初はとてもつまらなく思えるでしょうが、必ずその労力は報われると思います。 その努力を払った人だけが、他の人が絶対に超えることのできなかった壁をやすやすと超えることができるのです。 学校の勉強も手を抜かず頑張ってください。


この書籍は「予測」という文字がタイトルに入っているけれども、内容のほとんどはグローバルな為替や金利の市場に関わる経済統計の理解や整理の方法について割かれている。 各市場の簡単な歴史的経緯なども掲載されていて、門外漢にはそれなりに勉強になる。 熟読して面白い本ではないが、ニュース等を見てわからないことがあったときに、辞書代わりに参照するには便利な書籍である。
蛇足だが、この書籍の後ろの方に、「テク二力ル分析」に関する章があって、結構なページ数がそれに割かれている。 そして「テク二力ル分析はどんな市場にも適用可能である」なんて記載まであるが、中身は結構笑える。 この銀行が市場予測にテク二力ル分析を使っているなんて話はまったく聞いたことがないのだが...(笑)。

もちろん私もセルサイドの情報全てが間違っていると言っているわけではない。 現に野村の金融工学研究センターから出てくるレポートは毎回楽しみにしているし、それ以外にもモルガンの神山氏がゴールドマンにいた頃のレポートは欠かさず読んでいた。 だから私の知らないレポートの中にも読むべきものが数%くらいの比率ではあるのだろうと思う。

「ヘッジファンドの売買技術」という書籍がある。 これはいわゆるシステムトレーダーの方であれば非常に興味をもち、かつ高く評価するであろう書籍である。

もちろん、私もこの「ヘッジファンドの売買技術」を高く評価するのにやぶさかではない。 だが、評価のポイントはおそらく全然異なるであろう。 私はこの本に書かれている内容の99.9%にはほとんど価値がないと思っている。 価値があると考えるのは2,3行の記述だけである。

だが、その2,3行の記述は非常に高い価値がある。 それくらい重要なことが書いてあるのである。 私の知る限り洋の東西を問わず、「それ」について記述してあるのはおそらく「ヘッジファンドの売買技術」だけである。 他ではまったく見たことがない。 だから、99.9%にはほとんど価値がないものの、その2,3行だけで十分に価値がある相場書だと思うわけだ。

しかし、少なからぬ数の方にとっては、その2,3行を価値があると認識することはあまりないかもしれない。 その場合は当然99.9%の部分のみに目が行って、評価は低くなることもありうる。 当然のことだ。 役に立たないほとんどの部分を読んで評価を下すのならば、駄本と認識されてもしかたがあるまい。 私も件の2,3行がなければそう断じたかもしれない。 このように、相場書の評価は読み手の立場によって極端に変わることもありえるのである。 

従って、私は「ヘッジファンドの売買技術」を多くの方には勧めない。 ほとんどの人にとっては読んでも全然意味がないからだ。 これまでにもごくわずかの人に対して勧めたことがあるだけだ。 これらの人たちは、自分でどこが役に立つか理解できると思ったから勧めたまでである。

なお、蛇足ながら「ヘッジファンドの売買技術」の価値ある2,3行は、著者の考えを述べた箇所ではない。 興味のあるかたは探してみてください。

なお、バリュエーション関連の指標をも含んだ指標全体の優劣に関しては、下記に参考書籍を挙げておく。 これら2冊は株式の個別銘柄のトレード・投資を行う人は必ず読んでおくべき書籍だと思っている。


統計学を「使える」レベルにまでするということがどういうものか。
これは看護婦の方が書いた統計学の書籍だ。 ここに出てくるのは、ほんとうに初歩的なものばかりだ。 しかし、著者らはこれを文字通り自分のものとして使いこなしていて、素晴らしい! 


だが、個人的にはこの書籍の価値は、個人投資家が相場を張る対象としてのアセットクラスを選ぶ際の優れた参考書になるのではないかと思っている。
本書には、今後ににぎわうであろう漁場(マーケット)はどこかをうらなうにあたって役にたつ知見が述べられていると思う。


これは日本流の「誠意」が米国企業を相手のビジネスにおいてはまったく通用せず、むしろ時によっては怠慢や偽善と捉えられかねないことの危険性を指摘している。 私はこれを学生の頃に読んで、その文化的なギャップの大きさに驚き、そして、かの地のビジネス習慣があまりにドライであることに反発すら覚えたが、いま振り返って考えてみると、この書籍の主張は完全に正しく、むしろ控えめなくらいであろう。 それがグローバルに支配的なルールなら従わねばならない。 私はそこに書いてある行き違いを身をもって体験し、自らの不明を知ることになったわけだ(ToT)。
だが、そういった機会でもなければ、なぜ文化の違う相手に日本流の常識が通じないのかを理解することは難しいかも知れない。 私はその後、ドメスティックな仕事に従事したために、この手のギャップを目の当たりにすることはほとんどなかったが、1年前ほどから以前と同じような国際間取引の仕事に戻ってみて、日本人のビジネス上のメンタリティが20年前と全く変わっていないことを知った。 私の周囲を見てみると、トラブルのかなりの部分は、文化的な習慣の違いに起因している。 
例えば、欧米の取引先は最初から具体的で明快な話をするのに対し、日本側はいつまでたっても肝心なことを言わないのだ! そのくせ「雰囲気で察してもらいたい」とか「何も言わなくても、こっちが客なんだから察して動いて欲しい」などとワケワカランことを言っている。ううっ(>_<)。
こうしてお互いにその「常識」が違うものだから、行き違いがあちこちで発生し、両者とも不満や不信感を募らせることになる。 日本側は相手を「誠意がない」とみなし、海外の契約先は日本側を「自分の意思を示さないで不満ばかり言って、わけがわからん」とみなしているのが、横で見ていると手に取るようにわかるのだが、いかんともしがたい。

AHPはAnalytic Hierarchy Processの略で、階層構造に基づく分析法の1種である。 一般に物事の意思決定は一つの変数に基づいて行なわれるわけではなく、さまざまな判断基準にもとづき、かつそれぞれは相反する要素をもっていたり、コバリアンスがあったりするのが普通だ。 こういった複雑な環境下で合理的な意思決定を下そうとするアプローチの一つがAHPである。

AHPそのものは、20年前はまだほとんどの分野で応用がなされておらず目新しかったものの、いまでは枯れた技術になっており、解説書もたくさん出ている。 だが、当時はほとんど日本語での書籍はなかったので、上記の本を読んで基礎的な知識を得た。(なのでこの書籍が現在でも最も良いAHP解説書であるというわけではないので、念のため)

トレードシステムを構築するプロセスにおいて、どんな変数をどのように組み合わせていくのかについては、いわゆる「システムトレード本」には全く載っていないので、他の理論書で学ぶしかない。 AHPもその意味では研究に値する分野だと思う。

大変多くの示唆に富む内容だし、株式評論家の書くものとは明らかに異なっている。
当時の一般常識(?)に照らせば、非常識な本だった。 だからとても気に入ったのだと思う。
だが、トレードに役に立ったという意味では、相場書ではないけれど、日科技連から出ている大村平氏の一連の著作が良かったと思う。 当時は新しい著作が出るたびにすぐに買い求めて読んだ。 書店に並んでその日のうちに読破して、記載されている内容の誤りを見つけるとすぐに出版社に連絡して指摘してしまうほど熱心に読んだ(笑)。

ファクターモデルの入門書

ひさびさに激しく笑いました。↓ (びびりおんさんのエントリー)
日経過去3番目の下落率

2008-09-24

クオンツ運用の弱点

クオンツ運用の弱点(山崎氏のコラム)にて紹介されているクオンツ運用の弱点と原因

(2)「基準化」で失われる情報

さて、前記の(1)、(2)に関連して、クオンツ運用のよくあるアプローチに系統的な弱点が一つあるように思うので、以下に書いておく。
 端的に言って、データを加工する際の手順で重要な情報が失われているのではないかということだ。

例としてバリュー運用を考えてみよう。最もシンプルに低PERのポートフォリオについて検証しようとすると、クオンツ運用の運用者は、典型的には以下のような手順を取る。

  1. 過去のそれぞれの時点に関して銘柄毎のPERのデータを集める。
  2. PERのデータを偏差値に基準化する(大まかに言うと、生データと母集団の平均の差を取ってこれをデータの標準偏差で割った数字に変換する)。
  3. 偏差値に比例したアクティブ・リターンを個々の銘柄に与える。
  4. アクティブ・リターンとアクティブ・リスクを最適化させるように(通常はオプティマイザーと呼ばれるプログラムを使って)ポートフォリオの最適化計算を各時点に対して行う。
  5. 各時点の情報を使って最適化されたポートフォリオをつなげた場合の運用パフォーマンスを測定して、結果が よければ、「よし!」とつぶやく。
  6. 実は、ここから後のいわば「チューニング」が現実的には重要なのだが、説明に関係ないので以下のプロセスは省略する。

基準化とは、大まかにどんなイメージかというと、たとえばPER20倍が平均で、銘柄ごとのPERのバラツキの標準偏差が5 (倍 )であった場合、PER15倍の銘柄については「 +1.0(標準偏差)」のスコアを与えるのが基準化の作業だ。相対的に高くも安くもない銘柄のスコアは0.0になる。このように、データを標準偏差単位に基準化しておいて、1標準偏差= 2%といった調子でこれに比例したアクティブ・リターン(市場平均を上回るリターン)の期待値を与えてポートフォリオを作り、そのポートフォリオのパフォーマンスをテストするのだ。基準化の際に、データは「絶対値」と「バラツキの大きさ」を情報として失うのだ。

これはちょうど、模擬試験の点数を偏差値に変換することによって、その年の受験生の絶対的レベルの情報が失われたり、点数のバラツキの大きさが調整されてやはり情報としては捨象されたりすることと似ている。模擬試験の場合は、その集団が本番の試験に臨んで、相対的な点数で勝負するので、偏差値をベースとした情報処理で受験戦略を考えても大きな問題がなさそうだが、ポートフォリオの運用ではどうなのか。

(3)ファンド選択の系統的間違い

ここで、運用会社が自社の運用の考え方を説明するときによく使う言い回しを思い出すと、彼らは、「価格の歪みが修整されるプロセスを利用して超過リターンを獲得する」というような言い方をする。これを、PERを基にしたバリュー運用に当てはめると、相対的にPERが低い銘柄のミス・プライシング(価格形成の誤り)が修整されるプロセスを利用してアクティブ・リターンを獲得することを目指す運用だ、ということになる。

ただ、ここで、過去のデータのテストと今後の運用パフォーマンスの関係について考えると、過去にこの戦略の成績が よかったということは、たとえばPERの絶対的なバラツキが観測期間にあって縮小した結果だと考えることができる。

データを基準化してしまうと、たとえばPERの平均が同じ20倍だった場合でも、一標準偏差が8(倍)だったのか4(倍)だったのかといったデータの性質が消えてしまう。仮に、一 標準偏差が8倍から4倍に縮小するような変化が起こった場合、利益に大きな変動がなければ、運用者の考えの通りに「価格の歪みが縮小した」ことになるが、問題はこの価格修整が今後も継続しうるかどうかということだ。このケースの場合、PERの相対的格差が縮小しすぎたか、縮小しすぎになっていないまでも今後の修整のポテンシャルをあらかた使い尽くしてしまった状況である可能性が大きい。

また、平均値についても、たとえば市場の平均PERが40倍の時の低PER効果と、17倍の時の低PER効果では、効果が異なる可能性が大いに考え得る。

こうした問題が繰り返し頻繁に起こっていると思われるのは、ヘッジファンドの選択だ。ヘッジファンドを選択する場合、「トラックレコード」と称する、直近過去の運用成績を見て、これが優れているものを採用する傾向が強いが、こうしたファンド選択を行うことで、「ポテンシャルを使い尽くした残り滓」のようなファンドを選んでいる可能性が大きい。

運用の舞台裏を考えると、トラックレコードが「運用の腕」を表しているのだと素朴に信じてはいけない場合が多い筈だ。そもそも成功報酬の条件(特にヘッジファンドの場合、運用者側が有利だ)で資金をヘッジファンドに預けること自体がファイナンス的意思決定としてはあまり利口でない場合が多いのだが、ファンドの選択でも自分勝手な解釈で間違いを犯すことが多いようだ。こうした間違いは、大なり小なりレバレッジが掛かっていない通常の投資信託の評価にも当てはまることがあるので、個人投資家も注意が要る。

クオンツ運用の話に戻ると、基準化したデータで過去を調べることと共に、生データの平均と標準偏差自体の変化を調べることが重要だろうということだ。典型的なクオンツ運用のプロセスや株式ポートフォリオをコントロールするマルチ・ファクター・モデルと呼ばれるソフトウェアなどのデータ処理から見て、この点が盲点になっている可能性は小さくないと思う。

もちろん、この現象はコンピューターによる数量分析に頼らない場合にも重要だから、個人投資家も、たとえば割安・割高ということを考える場合に、注目した尺度の絶対値やそのバラツキにも注目するといいだろう。

2008-08-16

見習わねば

データの値段

土屋賢三氏のブログ(2008年08月15日)

 

==================== 引用開始 ====================

こんばんは、土屋賢三です。

林輝太郎先生がどこか(脱アマ相場師列伝?)で書いておられたが、中源線のバックテストを大勢で手分けして手作業でおこなう話がある。

当時はまだPCもなかったし、中源線のような簡単な検証ですらこうして手作業による膨大な作業が必要だったのである。

私自身も検証こそPCを使ったが、昔は磁気媒体でデータが入手できることはほとんどなかったために、データは手入力するのが当たり前であった。

株式の4本値や出来高のデータすら全部手入力だったのである。

具体的には過去のデータが必要なときは、東京の茅場町の証券会館に行って、まず「株価便覧」のバックナンバーを大量にコピーしてくるのだ。

次にそれを自宅でスプレッドシートに手入力していくのである。何週間もかかる作業だ。

右手だけで作業していて強烈な肩こりになったために、左手でもデータを入力できるように練習したものだ。

これは他のデータでも同じであった。競馬や競艇の過去データの場合、まず競馬場や競艇場に行って月報のバックナンバーを大量にもらってくる。

これはタダでくれる。あとは同じように何週間もかけて手入力である。

それができて初めてPCによる検証作業に入れたのだ。当時のPCの性能はおもちゃみたいなものだったが、それでも手作業でやることに比べたら天国であった。

林先生が中源線の検証を手作業でやった苦労に比べるとなんでもないことだ。

さて、ブログのコメント欄にいただいた質問で、ヒストリカルな「予想PER」をどこで手にいれたらよいかという問い合わせがあった。

これはブルームバーグやアムサスがあれば簡単に落とせるが、証券会社や投資顧問会社にいる知り合いにでも頼まなければいけないから、誰にでもできると言うわけではないだろう。

しかし、四季報や日経会社情報にはこの手の情報が掲載されている。

だから話は簡単なのだ。

四季報や日経会社情報のバックナンバーを買ってきて、全部手入力すればよいのだ。

いや、冗談ではなくてホントにそうなのだ。実際、私は10年以上前にそれをやった。

東洋経済に行って、四季報のバックナンバーを10年分買ってきて、それをスプレッドシートに手入力したのだ。私は自分ができもしないことを他人にやってみたらと勧めたりなどしない

生まれたときからPCが自宅にある、欲しい磁気データが簡単に手に入るという世代の方からみたら、なんと非効率なことだろうと思われるかもしれないが、私ぐらいの世代は皆こういった努力をしてきたのである。

その程度の時間や労力を厭わず割くことぐらい、あたりまえだったのである。

簡単には手に入らないが、頑張れば手にはいるならば、話は簡単ではないか?

努力してやり遂げればいいだけのことである。自分の思いどうりになどならないトレードと違って、やれば必ず成果が出るのだからこんな楽な話はない。

まず、やってみることだ。

(土屋)

==================== 引用終了 ====================

 

私、やりました。

それも10年以上前じゃなくて去年。

「騰落レシオ」を使った検証したいと思ったので、いろいろ探したのですが、無料データどころか有料のものでさえ見つかりませんでした。

ちゃんとした大手のデータベンダーに問い合わせても、しがない個人では、まともに取り合ってもらえないのは経験からよく知っています。

それで、図書館にある日本経済新聞の縮刷版から手入力することにしました。

それも、1988年08月31日(水)から約 19 年分です。

項目数も少ないので、コピーより早いだろうと、紙に手書きで書き写して家で入力することにしました。

週末の土曜日か日曜日に通い始めて 2 回、計 6時間30分もつぎ込んだ後のことです。

東証1部・東証2部のみの「売買高(千株)、売買代金(百万円)、上場・公開銘柄、値上り、値下り、商い成立」の12項目のみを書き写していた時に、悪魔がささやきました。

「他の項目も後で必要になるかも・・・」

 

 

それで結局、青色の 12 項目だけじゃなくて、黄色も含めた 74 項目のデータを集めることにしました。

以前、コピー機を長時間占有して、列で待っていたおじさんに殴られそうになったことがあります。

そのことを図書館に説明し、デジカメで撮影する許可をもらいました。

大枚 6万2500円をはたいて 1220万素画素デジカメを買い、グループ閲覧室の予約を取り、撮影を開始しました。

最初は試しに 2 時間です。

家で事前に実験した時は大丈夫だったのに、家に帰って見てみると、何枚かに 1 枚は手ぶれで一部の数字が読めない・・・

やり直し。

真下をとる 3 脚は見つからなかったので、昔、ある業界誌のランキングで私が所属していた部門が 1 位になった時にもらった中に紙が入った透明なプラスチックの記念の盾(よくインベストメント・バンカーのオフィスに置いてあるトゥーム・ストーンを入れてあるやつ)を 3 脚代わりの台にしてデジカメを固定することにしました。

慣れてくると、ページを 1 ページずつめくらなくても、勘で 1 発で次の日のページまでめくれたりします。

3 時間で約 18ヶ月分。

ただ、3-4冊ずつグループ閲覧室まで運ぶんですが、それがまた重い。

結局、図書館に合計 15 回通い、かかった時間は 44 時間 17 分。

撮った画像は 4,870 枚(単調なのでどこまで撮ったかわからなくなって念のため撮って消去した多数の重複画像を除く)で約 27GB。

これで終わりではありません。

家に帰ってからの、入力作業はもっと大変です。

> 右手だけで作業していて強烈な肩こりになったために、左手でもデータを入力できるように練習したものだ。

これはやった人にしかわからない。

1 時間もやると、コチコチです。

手首、肘にもものすごい負担がかかります。

実際、肘を痛めて 1 週間ほど箸を口に運ぶのが困難だったほどです。

それに、超単純作業なのでモチベーションを維持してエラーなしに入力するのは想像以上に大変です。

この難行苦行も仕事ではないので、いつまでにやらなければいけない、という締め切りがないことだけが唯一の救いです。

1 日分入力するのに、平均すると 2 分以上かかります。

それが、4,749 日分。

合計 120 時間 30 分。

図書館までの往復もいれて、なんやかんやで、かかった時間はなんと計 191 時間 26 分。

フルタイムで働いた約 24 日分です。

この努力の結果は、騰落レシオ だけ・・・

その他のデータはまだ使う機会がありません。

もともと、騰落レシオの情報価値はたぶんないだろうと思っていたので、「そんな苦労の価値があったのか?」「おまえはそんなに暇なのか?」と聞かれても、「ただ興味があったから・・・」としか答えられません。

 

でも、データの価値って何なんでしょうね?

昔、顧客だった大手証券会社のクオンツ部門に、業務ではないものの業務上の立場を利用して個人的に収集していた「ある非常に特殊な時系列データ」をあげたことがあります。

そのお返しの取引は、私が勤務していた金融機関に通常のマージンに加えて 1 億円以上もの利益をもたらしました。

その取引だけで私のボーナスがいくらか増えたはずなので、個人的にも価値があったことは確かです。

 

よく、「データを売ってください」というメールをいただきます。

以前、約 11 年分の気配値を含んだ株価指数先物とオプションのパッケージ価格が、トヨタのヴィッツや日産のマーチのクラスの小型車なら 3 台ぐらい買える値段だった話をしたのですが、この苦労して集めたデータの価格はいくらでしょう?

フルタイムで働いた約 24 日分だから、1 か月分の給料?

東京都の最低賃金で計算しても、約 14 万円。

そんな価値はないですよね・・・

あなたの 1 か月分の給料でよろしければ、喜んでお売りします。

 

2008-08-13

利食いと損切り

利食いと損切り II

ある経済系の新聞の夕刊のコラム

プロに聞く ○から○○○の投資塾

(以下、著者が特定されないように一部省略)

・・・

 利益確定や損切りの具体的な基準は、「何を期待して株を買うか」という投資の動機によって異なりますが、
いずれの場合でも、値上がりしたときに確定する利益よりも、値下がりしたときに確定する損失が小さくなるように設定することがポイントになります。
 たとえば、買値よりも 10% 値上がりしたら売るという利益確定の基準を決めたとします。これに対して、損切りの基準が「20% 以上値下がりしたら売る」というものだとしたら、
期待する利益よりも損失が大きくなってしまいます。仮に利益確定と損切りの回数が同じになるとすれば、資産は減る一方です。
 利益確定と損切りの最適な基準を特定することは困難ですが、例えば損切りの基準を利益確定の基準の半分にすれば、「五勝十敗で損益はトントン」というイメージになります。
 「この株は必ず値上がりするはずなどとかたくなにならず、値下がりしたときの損を小さく抑えて値上がりした時の利益を大きくする工夫することが大事です。
 相場状況によっては、利益確定の基準まで値上がりせず、かといって損切りの基準までも値下がりしない、という動きが続くこともあります。 
その場合は値上がり・値下がり」の水準のほかに、タイムリミットを設けることも考えてください。一カ月以内にどちらの基準にも当たらなければ、その時点で売却する、といった具合です。

土屋賢三 氏のブログ

(引用開始)

だが、世の中は広いもので、どう考えても珍妙にしか見えない理論(?)を自信たっぷりに開陳する人もいるものだ。 私が時々目にするもので笑えるのは例えば次のようなものだ。

<良く見かける解説>
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○○とセットアップが満たされ、××というトリガーが引かれた。
従って△△を、\14,500の逆指値で買う。
ストップロスは、直近の安値の\14,400に置く。
目先の利益目標は前回の高値の\14,800である。
このトレードではリスクが\100、リワードが\300であるので、リスク・リワード・レシオは1:3である。
このように確率統計的な観点から、エッジのあるトレードを行なうことが重要なのである...
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...(^^;) なわきゃねーだろ!
これなどはあまりにバカバカしい話で、一見科学的な(?)衣を被っているのだが、誰でもすぐにインチキとわかるからエセ科学とすら呼べない。というか、リスク・リワード比が1:3などという大きな比率になるトレードがそう簡単にあるわけないだろ。

だが、こんなまるでカルト教団の教義のようなワケがワカラン支離滅裂なことを書く御仁は、ネタを提供するためにわざと冗談を書いているのでなけれ ば、悪質な確信犯か、もしくは単なるアホのどちらかだと思うが、驚くことに、この類のことをシステムトレード本や投資雑誌、ネット上に書いているのが、一 人ではなく複数いるのである。

一般的に言って、\100上昇する確率と、\100下落する確率ですら等しくはない(対数正規分布の非対称性ゆえ)。 いわんや、\300上昇する 確率と、\100下落する確率が同じであるはずがない。 なのに、上記の解説では、それらの確率が等しいという前提で話を進めている。 悪貨は良貨に駆逐 されるとすれば、こんな子供じみた話が流布するはずがないと思うのだが、この手のシステムトレード本が売れているところを見ると、こういうものを有り難 がって読む人が結構いるらしい。

もういいかげんに、この手の迷信は消え去ってもいいのではないか? 個人のHPや商材屋の宣伝サイトはともかく、少なくとも編集者の目を通る投資雑誌や書籍は、こういったインチキを載せない責任があると思うし、これだけ金融に関するリテラシーが高まっているのだから、個人投資家は「バカにするな!」と声を上げるべきではないか? このままでは、投資の世界は、原野商法とか海老の養殖やロコ・ロンドンの詐欺話(笑)とたいして変わらなくなってしまう (ToT)。

(引用終了)

 

誤解が無いように言っておきますが、土屋氏が指摘している<良く見かける解説>がこの夕刊のコラムのようなものだ、ということではありません。

念のため・・・

当「相場の考古学」では、「他人を批判してはいけない」「他人の売買戦略を悪く言ってはいけない」ときびしく言われているので、数字やチャートだけで読者ご自身に自ら判断していただくことにしています。

さて、この新聞の夕刊のコラム著者氏の売買戦略をみてみると、

 

売買戦略

買い
条件   : 25日の終値ベースの単純移動平均線 < 終値
取引価格 : 翌日の始値

売り(買い手仕舞い)
条件   : 安値 <= 買値 x ( 1 - 損切り幅(%))、または、高値 > 買値 x (
1 + 利益確定幅(%))、または、買い日から 23日(約1ヶ月)後
取引価格 : 
翌日の始値

検証期間

1983年01月04日(火)~ 2008年08月12日(火)

検証対象

2008年08月12日(火)現在の日経平均採用225銘柄

投資単位

¥1,000,000-/取引

 

 

 

「損切りは早く」のウソ・利食いと損切り・丁半博打に損切りをつける・利食い千人力 でもそうだったように、利益確定も損切りもないほうが・・・

2008-01-08

フィルターの効果

フィルターの効果(百発百中ノ一砲ヨク百発一中ノ敵砲百門ニ対抗シ得ルヲ覚ラバ)②

ここに、あるトレードシステムがあって、「素の売買ルール」では単位期間におけるトレード回数が100回で勝率が56%としよう。 そしてこれにあるフィルターを掛けて、「フィルターを入れた後の売買ルール」ではトレード回数が40回になり、勝率は5分向上し、58.8%になったとしよう。 曜日フィルターなどを掛けて、特定の曜日にしかトレードしないケースなどに見られる数値だ。 ここでは話を簡単にするために単位期間ごとの結果のみを見ることにし、勝った時と負けたときの損益幅は同一とする。

さて、もし、バックテストどおりに現実のトレードが再現するならば、結果はグラフ1のとおりになる。 「フィルター後」の勝率は高いが売買回数が少ないので、トータルの損益では「素のルール」に劣後してしまう。 しかし、それでも手堅い(?)結果が出ているので、思い切って(^^;)売買回数の比に応じたレバレッジ(100/40 = 2.5倍)をかけることにすると、これらの優劣は逆転し、結果はグラフ2のようになる。

これだけを見ると、やはりバックテストで優れたフィルターを探し出して勝率等の高いルールにレバレッジを掛けてトレードするほうが良いように見える。 だが、話はここで終わらない。 なぜなら、バックテストにおける勝率等の数値(平均値)はあくまで有限個のサンプルから得られたもので、その真の値の不偏推定値は、サンプル数の2分の1乗の逆数に比例した分布を持つこと、そして、フィルターを用いることは、すなわち変数が増えることを意味し、自由度の高いシステムはカーブフィッティングの陥穽に陥りやすいものとなる...からである。

従って、バックテストと比べて実際の勝率が、「素のルール」の場合1割だけ悪化するものとして再考察しよう。 つまりバックテスト時の56%の勝率が50.4%に減少するわけだ。 さて、同様に「フィルター後」の現実の勝率の悪化度合いは、サンプル数の比を考慮すると、0.1 x SQRT(100/40) = 15.8% になる。 つまりバックテスト時の58.8%の勝率が49.5%に減少してしまうわけだ。

結果はグラフ3のとおりになる。 ここにおいて「素のルール」と「フィルター後」の優劣は逆転する。 「素のルール」はかろうじて試行回数に応じて微増しているが、「フィルター後」はやればやるだけジリ貧だ。 これはレバレッジをかけた場合(グラフ4)だと、もっと顕著になる(ToT)。

どうだろうか、一見、検証段階におけるナイーブな考察では素晴らしいように見えたフィルターも、母集団の平均値の不偏推定値を考慮すると、条件によっては、現実のトレードではまったく逆効果になる場合もあるということだ。

旧日本海軍の戦艦大和の46センチ砲9門が斉射された際の射距離30kmでの散布界は、設計段階の想定では300mであったが、実際には800m以上あったという。 これは戦艦数で劣る日本海軍が、その射撃精度においてもアメリカ海軍を凌駕できないことを意味した。 つまり戦艦、巡洋艦による艦隊決戦においても、日本海軍ははじめから勝てる見込みがなかったのだ。 当時これを知って宇垣海軍少将は、「この状況は寒心に堪えない」と語ったという。 まさに「百発百中ノ一砲ヨク百発一中ノ敵砲百門ニ対抗シ得ル」ことは、理想ではあるが現実にはなかなかに難しいものなのだ(^^;)。