2001-07-11

投信の業種別組み入れ比率の推移の研究

ルークさまのコラムを読んで・・

『指数連動型運用へ回帰』、興味深く拝見いたしました。
とても参考になりました (^^) ありがとうございました。

ご指摘の、投信の業種別組み入れ比率の推移・・・あらためて検討してみますと…


投信の業種別組み入れ比率の推移

      2000/08末    2001/05末
………………………………………………………………
電機    30.8%  →  24.8%
輸送用機器  4.0%  →   5.5%
電気ガス   0.6%  →   1.9%

同時期の、東証一部時価総額に占める各セクターの比率は、次のようになっています。

       2000/08末    2001/05末
………………………………………………………………
電機    21.6%  →  17.4%
輸送用機器  7.9%  →   9.1%
電気ガス   2.7%  →   3.8%

・・・非常に面白いですね。


対比してみて気がつくことは…

1.下落しつつあるセクター(電機)をオーバーウェイトし、上昇しつつあるセクター(輸送用機器、電気ガス)をアンダーウェイトしている

 つまり、去年8月の時点で、すでに一山越えて衰亡しつつあった電機セクターを大量に買い持ちしていた。逆に、反転上昇のきざしが見えつつあった輸送用機器、ディフェンシブセクターの代表格の電気ガスなどは、極端なアンダーウェイト状態に放置していた・・・ということでしょうか。

これが1999年8月のポートフォリオであったなら、非常に良好なパフォーマンスが得られたのでしょうが・・・2000年8月の時点で、こういう攻撃的なポートフォリオを組んでいたら、さすがにその後の成績は推して知るべしでしょう。


2.今年5月末の時点で、いまだにその傾向は変わっていない。

 電機で見ますと、2000年8月の市場ウェイト21.6%に対して、ポートフォリオのウェイト30.8%、オーバーウェイト比率は30.8÷21.6=142.6です。同様に2001年5月の比率は24.8÷17.4=142.5です。ほとんど同じです。


 つまり、信じられないことですが、去年の8月から今年の5月まで、投信はポートフォリオに占める電機セクターの比率をほとんど変えなかった、ということではないでしょうか。
 積極的に動かさず、ホールドしているうちに、株価のほうがどんどん下がって、市場ウェイトの低下に伴ってポートフォリオ内のウェイトも自動的に低下しただけ、とも言えます。(もちろん個々のファンドはいろいろ動かしているでしょうし、銘柄は入れ替えているでしょうけど、トータルとして見れば、ということです)

輸送用機器や電気ガスに関しては、積極的な組み入れの意思がそれなりに伺えるのですが・・・

 もちろん、ここで言う投信には、指数連動型(いわゆるインデックス型)のものも含まれていますので、比率の変化はゆるやかになるのが当然なのですが、それにしても、という感じです。
『長い目で見れば、ハイテクの成長率は市場平均を大きく上回るはずだ』という信念に基づく運用であるなら、それはそれで筋は通っていますけど。


さて、ここで興味深いのは…

 ルークさまの、レポートにある
>某大手投資顧問の知人は「ハイテク株の比率を下げつつ、都市再生や雇用拡大など
>政策テーマに沿った銘柄を新規に組み入れている」と言っていました。
というご指摘です。

 もしこれが投信全体の最近のトレンドなのであれば、なぜハイテクがここまで売られるのか、またなぜ内需関連銘柄が底固く堅調に推移しているのか、そのあたりの重要なヒントになりそうです。

 つまり、最近になってようやく投信が、ハイテクに見切りをつけて積極的に比率を下げ、内需関連に軸足を移してきたのかもしれません。

 前に私も『市場内の資金流動』というテーマで書きましたけど、なぜある時期に特定のセクターが明らかに割高な領域まで買われ続けるのか、またそれが終わると、なぜ逆に割安な領域まで売られ続け、その後もしばらく冴えない動きとなるのか、その原因の一端はこういうところにあるのでしょう。


では我々はどうすれば良いのか?

 答えはある意味簡単で、彼らの動きに無理に逆らわなければよいのではないでしょうか。
 つまり、ここ数年の高値に慣れて、ハイテクを値頃感で買わないこと・・・もちろんリバウンドはあるでしょうけど、全体として見ればまだ少なくとも数ヶ月(長ければ数年)は、低迷が続きそうです。

 逆に、内需関連銘柄は、ここ数年の安値を見慣れていると、買いにくい値位置まできているものも多いですけど・・・あえて逆らわず、流れに乗って行くのもいいかもしれません。

みなさまはどうお考えでしょうか? (^^)

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