2006-12-26

週刊 SPA!

  • 年間トータルでは 50 億円くらいの儲けですね。
    でも、3 月末の時点で既に 30 億円の利益があったので、残りで 20 億円しか儲けられなかった。
    5 月以降は様子見の日も多くなったし……。
  • 今年はライブドアショックにつきますね。
    あれで個人投資家が大打撃を受けて、市場に資金が入らなくなり、日本株全体が盛り下がっていった。
    相場が上げているときは業績なんて無視できるんですけど、下げ相場になるとどうしても業績に目が行っちゃう。
    そうなると新興は割高の株が多かったし、日本株全体もほかの国に比べて割安とは言えないですし。
    外国人投資家もよそに移り、日本株の上値が重くなった。
    今年、日本以外はどの国も相場は強かったんですよ。
    新興市場の暴落で個人投資家の資金回転が鈍ったのが、日本株がダメだった一番の理由でしょうね。
  • 厳しいとは言っても IT バブル崩壊後の相場に比べたら全然マシ。
    あれを経験してる人は今年の相場でも十分儲けられたと思う。
    動き自体も似てたし、単純に経験の差ですよ。
    だから、今年の経験をうまく生かせれば、次は乗り切ることができる。
    下げ相場じゃないと損切りの大切さは身につかないから。
  • 僕の感覚では来年はさらに厳しくなりそう。
    でも数百万円ぐらいの資金ならチャンスはいくらでもありますよ。

2006-12-01

Diamond ZAi

  • 今年の相場は難しいです。
    自分の思ったのと違うというか、完全に逆の展開になっちゃってるんで。
    特に米国市場は反発の後、下がると思ってたのに(そうならないで)上へ行っちゃった。
    米国だけじゃなく、世界中が強いですよね。
    もぅ、わかんないですよ。
  • 僕が使ってる情報ですか?
    んー、こうやってマケスピに監視銘柄を並べて、ずっと値動きを見てるだけですけど……。
    ニュースもマケスピで見られますしね。
    でも、大抵は(ニュースより)株価が先に動いてますよ。
    ただ、機械受注とか GDP とかの重要指標、それによって株価も動くので、発表されたらなるべく早く知りたいです。
  • 無料で見られる情報サイトとしては、2 ちゃんねるがたぶん一番速いです。
    有料サイトで見た人がすぐに書き込んでくれてるのかも。
    見たいのは(機械受注や GDP の)数字がどうかっていう事実だけなんで、その後の議論は見てません。
    ザラ場はトレードに忙しくて、それどころじゃないんで。
  • トレードが終わると疲れちゃうんで、場が閉まったらなるべく株のことは考えないでいたいんです。
    新聞は取ってますけど、過去のことしか書いてないし、特に熱心には読まないですね。
    ニュースもあんまり見ません。
    フツーのテレビを見たり、ネットでゲームして遊んでます。
  • (2 ちゃんねるは)暇つぶしですね。
    たまに自分について書かれているのを見つけるけど、それについては特に……。
    最近、動画の面白いリンクが貼ってあるので、そういうのはよく見ます。
  • 僕の予想と逆で、いま世界中の株が強いです。
    世界とバランスを取ると、日経平均は 1 万 7000 円くらいあってもおかしくない。
    まぁ日本は去年が強すぎたのもあるけど、足を引っ張っているのは新興市場でしょう。
    キツイですよね、新興市場がここまで下げると……。
  • 正直、大型優良株は米国株に連動しやすいので予想しづらい。
    新興市場は今は全然ダメですけど、ちょっとしたことでガラリと空気が変わるので。
    もうだいぶ下げたから、下値リスクが減ってるのは確かですね
  • うーん、下げ相場の辛さや損切りの大切さは経験しないとわからないんですよね。
    僕も 01 ~ 02 年の相場を経験したから今がある。
    授業料はどこかで払わないといけない。
    長い目で見たら、損するのは悪いことばかりでもないんですよ。
    だから……みんな頑張ってください。

2006-11-09

日本経済新聞

  • 八日の東証一部の売買高は十八億株余り。 ちょうど一年前のこの日は住友金属工業だけで五億株超の商いをこなし、売買高が四十五億株超と過去最高を記録。 ネット個人などの高速回転売買が話題となったが、今年一月のライブドア事件などを機に過熱ムードは収束。 四割を超えていた個人の売買シェアも今では三割前後だ。
  • 「短期売買に不向きな相場。今は株式以外の商品に興味がある」とは千葉県に住むネット投資家。 一方、バブル崩壊後の閑散期を知るベテラン証券マンは「これだけ商いがあれば十分。多少の寂しさはあるけどね」。 受け止め方は様々だ。

2006-10-22

日本経済新聞

  • 株式投資が苦しくてたまらないんです。
  • 世界のマーケットが 1 ヵ月閉鎖すれば足を洗えるのに……。

2006-10-14

週刊ダイヤモンド

  • 現金を見てしまうと、イメージが残り、投資に臆病になる。
    おカネがあるという実感を持たないため、現金は見ないようにしている。
  • (着ていたシャツは)ダイエーで買った 2000 円のもの。
    5000 円もするような高い服は買わない。
  • (昼食は)おなかいっぱい食べると、眠くなって、判断力が鈍る。
  • おカネがあっても使うところもないし、特に買いたいものもない。
    一日中座ってパソコンをしていると腰も痛くなるし、損をすればストレスもたまる。
    本当にキツイ。
    2 割くらい大損すれば、やめられるんだろうけど。
    中毒かな。

2006-10-02

AERA

  • サラリーマンの方にとっては夜間取引の開始はうれしいことでしょうが、専業トレーダーの自分としては、やって欲しくなかった。
    これまでにも夜間取引はあったが、終値での取引で株価は動かなかった。
    今回のはオークション方式。
    夜も株価が動くと、持っている株のことが気になってしまうので、きつい。
    休む時間がなくなってしまう。
    米国では夜間取引は当たり前なので、国内でもいずれ始まるとは思っていたが、正直なところ、夜は株価が動かない方が安心できる。
  • 資産は 150 億円あたりを行ったり来たりというところ。
    ライブドアショック以降、新興市場は冷え込んだまま。
    東証 1 部は頑張っていて平均株価はそんなに落ちていないが、出来高が増えない。
    株をやめる人が増えて、残っている人同士で取引しているようなものです。
    出来高が膨らむ兆しが全く見えないのは、資金が多いときつい状況です。
    150 億円持っていても、150 億円分は買えないので。
  • 前から思っているのですが、株取引の資金を 80 億円くらいに減らさないといけないかも知れない。
    あるいは、日本株をやめてしまって、米国株に移るという選択もありますね。
    米国市場は銘柄数も出来高もずっと多いし、半年前よりも回復している。
    資金の多い人にとっては、日本よりもいい市場でしょう。
    ただ、自分の場合は、英語が苦手なのでやらないだけです。

2006-10-01

月刊 CIRCUS

  • 資産は今 150 億円くらいです。
    今回の下げ相場自体は 2 ~ 3 銘柄に投資を絞ったり、逆張り投資をして乗り切りました。
    総合すると 15 億円くらいプラスですね。
  • 今回損してしまった投資家の人たちはきっと、下げ相場を知らなかっただけだと思う。
    今の下げはそんなに大したものではないから、いい授業料だったと思えばいい。
    損しないと分からないこともあるし、初めに授業料を払うようになるのが当たり前なんで。
    あの上げ相場自体が異常だったんです。
    しばらくもう来ないと思う。
    税金も上がりますしね。
  • それにこれくらいで済んでよかったですよ。
    僕が株を始めた 2001 ~ 2002 年なんてこんなもんじゃなかった。
    下がるのが当たり前で、ただつらい相場でした。
  • 今、初心者がすべき投資スタイルですか?
    逆張りは結構難しい手法なので、やはり損切りの徹底に尽きると思う。
    特別な手法なんて、別にないんですよ。
  • そもそも株を始めたのは、NHK スペシャル「マネー革命」を見たのがキッカケです。
    あとネット証券が登場して手数料自由化で安くなったし、学生でヒマだったし、銀行も利子低いし。
    でもこれで食っていこうとか全然思ってなくて、ホント軽い気持ちでした。
  • この軽い気持ちというのが良かったのかもしれない。
    ファンドマネージャーの人とか、月にいくら必ず儲けなければいけないというノルマがあると思うんですが、その心理的負担はかなり大きいと思う。
    やはり株は余裕資金でやるべきなんですよ。
    「絶対負けられない」と気負って無理な売買を重ねるとどんどん損していく。
    市場はシビアですから。
    ちょっとでも変な取引をしてスキを見せると、すぐ食い物にされてしまう。
    プレッシャーが大きいとそうなりやすい。
  • 150 億円稼げたのは自分が特別優れているからじゃ全然ないんです。
    本当に時期が良かっただけ。
    普通なら慎重にすべき局面でもリスクをガンガンとっていたんで、むしろ下手なんですよ。
    儲けをそのままガンガン投資していったのと、相場の良さで複利的に資産を増やせただけだと思う。
  • 僕にとって株とは「仕事」です。
    もうやめたいと思うことは何回もありましたよ。
    100 回以上はある。
    だけど結局やめられない。
    だって 2 万円の損だったらバイトで取り返せるけど、2 億円損したら株でしか取り返せないですよ。
    ほかのことでは取り返せない。
    だからやめられないですね。

2006-09-01

検証『国策逮捕』 経済検察はなぜ、いかに堀江・村上を葬ったのか」東京新聞特別取材班

個人投資家の間で、エッジ(現・ライブドア)は利回りが良いと評判だった。
誰が名付けたのかは分からないが、写真なんかはネット上に出ていたから、体格からドラえもんとひっかけて、(堀江 貴文被告は)ホリエモンと呼ばれていたのだと思う。

2006-08-29

週刊 SPA!

  • (三菱 UFJFG への投資額は)23 億 4000 万円ですね。
    三菱 UFJ なら一枚の売り板に 100 億円くらいあるから、そんなに驚く金額じゃない。
    勝負ってわけじゃなく、普通の売買です。
    ただ、銀行のような大型株じゃないと(10 億円超は)買えないですね。
    それでも 1 銘柄 50 億円が限度。
    100 億円は絶対にいかないです。
    基準は板 1 枚から 1 枚半。
    金額は板に合わせてという感じ。
    だから新興株だったら数百万円という売買もしますよ。
  • セクター別にしているのは同じ業種は連動するから。
    去年だと鉄鋼や銀行、証券がほぼ同時に上がって、その次にハイテク、造船という順番で上がっていった。
    ただ今は、上がるときは全部上がって下がるときは全部下がるという感じ。
    セクターごとというよりも全体が連動するんですよ。
    それも日本だけでなく世界の市場が。
    例えば今日は、昼休み中にシンガポールや韓国の市場がどんどん上がっていった。
    そしたら後場で日経平均も急上昇しました。
  • まだ上がりそうだなと思ったら持ってるし、ヤバいなと思ったら売る。
    相場の流れに合わせてるだけです。
    さっき、今は世界全体が連動してるって言ったけど、それだっていつまで続くかはわからない。
    トレンドは日々ちょっとずつ変化していくのでそれを感じるのが大事なんですね。
    薄まっていくトレンドと濃くなっていくトレンドが必ずあって、それにうまく乗らないと儲けられない。
    それを感じるためには、いろんな要素を常に意識しながら毎日相場を見ていくしかないんですよ。
  • 2 億円くらい儲かる相場なのに何もしないと 2 億損した気分になる。
    儲けるチャンスを逃したくないって、それだけなんですけど……これじゃあキリがないですよね……。

2006-08-01

週刊 SPA!

  • 億単位の金額が上下するのはしんどくて、エネルギーを吸い取られてしまうんです。
    損したときはこたえますしねえ。
    PC のマウスを叩きつけたりして、壊した数はいくつになるやら。
    それに、今日は利益が出ても、明日は大損するかもしれない。
    だから儲けは使いづらいし、気が休まることがないです。
  • 平日は必ずトレードをしていて、何年も休んでないですね。
    毎日、ずーっと、同じサイクルで、朝、起きたらパソコンの前に座り、トレード開始。
    15 時に取引が終わったら、その日の動きを見直す一人反省会。
    あとはネットやテレビを見たり、ご飯を食べたりして過ごします。
    気晴らしといえば、家の近くを散歩するくらいかなあ。
    トレード後はグッタリして、何もする気が起きないんですよ。
    あとはネットや 2 ちゃんねるを見るとか。
    平日に力を使い果たしているので、土日はたいてい寝ていますね。
  • 仮に休んだとして、その日に 1 億円の利益を出せるような値動きがあったら、1 億円分を損した気分になってしまうはずです。
    それが耐えられません。
  • 欲しいものもないですし、服もダイエーので十分。
    お金を使うことに興味はないし、贅沢といえば家で食べるしゃぶしゃぶくらい。
    例えば、今の生活レベルを 50 と仮定したら、100 でも 500 にでもアップできますよ。
    でも 100 や 500 の生活も、慣れてしまえば、結局は”普通”になってしまうでしょう。
    だったら 50 のままでも同じじゃないですか。

Diamond ZAi

  • 最初は長期だったんです。
    長期でやってて常にやられてて、たまに買い値に戻るって感じ。
    7000 円で買った富士ソフトエービーシ株が 4000 円になり、それが 7000 円に戻ってというのを、3 回くらい繰り返したんで、4000 円で買って 7000 円で売ったら儲かるのになって、長期保有するのがアホらしくなって……。
  • 1 億円になった時より 700 万円になった時のほうが嬉しかった。
    20 代の前半だったから、”500 万円”ていうのが自分の中では大金だったんです。
    それを 200 万円超えて、すごいなーと。
  • (大学は 2 年留年して中退したことについて)法学部って記憶力が必要じゃないですか。
    でも頭の中が株の数字で埋まってしまって、入る隙間がなくなったんです。
  • 結局”値動き”がいちばんの材料。
    ニュースって後追いのことが多いから。
    たから雑誌も企業の決算書もあまり読みません。
  • ずっと椅子に座ってるから運動不足なんですよね。
    とくに何をするってわけでもないけど、本屋で立ち読みしたり……。
    メイドカフェはまだ行ったことないです。
  • 今日は 1 時頃までにポジションを閉じて、後場はほとんど眺めていただけ。
    アメリカのデルの決算がよくなかったし、日経先物が弱かったから、自分の中では損が 2500 万円で済んでよかった。
  • 資金が大きいと精神的にすごく疲れるんです。
    たまに売れない夢を見て、なんで売れないんだ!って起きちゃうことも(笑)。
  • (2005 年後半の上げ相場について)ああなったら難しいもクソもなくなっちゃう。
    本当は難しいんだけど相場がいいから儲かっちゃってるだけで、ボーナス相場でした。
  • (2006 年後半は)損をしなければいい。
    IT バブルの頃ってアメリカがずっと利上げをしていたんです。
    利上げって普通は過熱感を抑えるためにやるのに、利上げをしている間って株はずっと上がる。
    動きとしては、あの時とすごい似ているんですよね。
    そろそろアメリカの利上げが終わるから、8 月頃から気をつけようかなと。
  • 株で勝つための極意は、損切りと売りのタイミング。
  • 1 日 1 日の相場をやっていると 1 週間ってものすごく先だから、それ以上先のことは全くわからない。

2006-07-28

FRIDAY

  • 大学生の時に約 160 万円の資金を元に、ネット株式投資を始めました。
    はじめは長期投資でしたが、儲からないので、半年くらいしてから短期投資にしました。
    そこで調子が出始めましたが、株価のことで頭が一杯になってしまって、結局、2 年留年しました。
    僕の性格もあると思いますが、株式投資を始めると、生活すべてが株中心になってしまいます。
    朝 8 時 15 分頃に起床して、8 時 20 分にはパソコンで市場の気配値を確認します。
    9 時から売買を始めて、午後 3 時 10 分にようやく休憩が取れます。
    その後は、その日一日の反省会です。
    とにかく、株のことが頭から離れない。
    中毒です。
  • 昨年初は 10 億円の資金でしたが、8 月に大型株が値上がりして手持ち資金は一気に 80 億円になりました。
    昨年 12 月にはジェイコム株の誤発注事件でも儲けて 100 億円になりました。
    今年 6 月時点で約 140 億円です。
  • 一日で 1 億~2 億円の損や儲けはよくあることですが、損したときは何もやる気がなくなってしまいます。
    外に行って気晴らしをする気にもなりません。
    1 億円とか損すると本当に辛い。
    といって、儲かったからといっても散歩くらいしかしません。
    買いたいものも別にないので買い物もしません。
    株以外興味がなくなっちゃっていて、お金を使いたいとは思いません。
    それと、株って儲かっても次に損するかもしれないので、儲かったからといって使えないんです。

2006-07-21

日本経済新聞

  • 十九日の相場では東証マザーズが十日続落したが、千葉県に住む男性は「新興市場の不動産株の一部が上昇していたので短期的な反発局面に入る可能性が高いと思っていた」と話し、二十日の取引では新興市場株を中心に五十億円を買い越したという。
    ただ「損を出さないように心がけて取引している」といい、短期間の利益確定を想定している様子だ。

2006-07-01

マネーの王道

  • 始めた頃にラッキーなことが続いて。
    長期投資時代、CSK と富士ソフト ABC のどちらかを買うか迷って、理由もなく後者を選んだ。
    すると直後に CSK が悪材料発表で暴落したんです。
    短期投資に切り替えた直後も、日本ドレーク・ビーム・モリンとアデルで迷って、なんとなく後者を選んだら、場後にドレーク・ビーム・モリンが下方修正で大暴落。
    ここで資金が半減してたら、やる気をなくしてたと思います。
    いま 1 億円損するより、ダメージが大きいんですから。
  • 空売りどころか、信用取引という発想自体なかったんです。
    いまもほとんど現物取引ですが、資産を作る段階で信用だけは絶対やっちゃいけない。
    信用に手を出すと、資産がゼロ以下になることだってあるんで、危ないなと思って。
    それに、当時はリバ(ウンド)狙いだけですごく取れたんです。
    ある会社が下方修正して、100 万円の株価が 50 万円まで落ちたところで買えば、かなりのリバウンドがあった。
    いまはデイトレーダーが増えたので、そこまで下げない。
    70 万ぐらいで中途半端な買いが入るから、ほとんどリバウンドもないまま、再びダラダラ下げ始めたりする。
    参加者が少ない時代は動きが素直だったんですね。
  • (2002 年後半は)一番つらかった時期です。
    アメリカ市場の乱高下に日本も巻き込まれていて、自分が売ったら暴騰、自分が買ったら暴落。
    少しのタイミングの差なんですけど、恐ろしいぐらい裏目に出て。
    何度も株をやめようと思いました。
  • 資産が大きくなると、リバ狙いは難しい。
    逆張りは下げてくるなかで拾う方法なので、買ったあと反騰しないような場合は逃げなきゃいけない。
    でも、例えば 50 億円ぶんも買ってたとしたら、自分の売りの影響で株価を下げてしまう。
    買って逃げてまたすぐ買い直すなんて手法は、資金が少ないときしかできないんです。
    だから手法は順張りに変わったし、銘柄も何十億円入れてもビクともしない大型株に変わった。
    出来高の少ない銘柄はもう監視してません。
    逆張り時代は 2 ~ 3 銘柄しか保有してなかったけど、いまは 20 ~ 50 銘柄に分散しています。
    大型株って、普通はそんなに動かないものなんです。
    ところが、05 年夏以降、あり得ないほど急騰した。
    住友金属工業なんて 1 ヵ月半で 200 円から 400 円へと倍になっちゃった。
    流れに乗っかってれば儲かったんですね。
    05 年春の 30 億円が冬には 80 億円と、いつの間にか増えていた。
    そこへジェイコムがあって、100 億円になった。
    100 億なんて意識したこともなかったけど、気がついたら……という感じです。
  • 株は独学です。
    始めた頃は長期投資が常識で、短期投資の本なんて出てなかったし。
    誰かと情報交換とかもない。
    2 ちゃんねるに書き込んだこともありますが、いまはやらない。
    どの銘柄を売買するかは、相場の中で考えるしかない。
    終わったあとに話し合っても仕方ないし、場中は話してる暇なんてない。
  • マケスピは登場したときから使ってるんで、視覚的に慣れてるんですよ。
    どれが買いか、なんとなく見えてくる。
    主要銘柄のチャートは頭に入ってるので、すべてのチャートを見はしないけど、多い日だと(監視銘柄)リストを何往復もする。
  • いまより上がると思ったら買い、いまより下がると思ったら売りますね。
    どうなればそう思うのかについては、ちょっと……。
    その銘柄の動きだけで決めてるわけではないです。
    日経平均や日経先物の動き、同じセクターの他銘柄の動き、全体の出来高、アメリカ市場の水準や出来高など、いろんな要素を見て、総合的に判断してるとしか言いようがない。
    全体を見るほうが、その銘柄がちゃんと見えてくるんですね。
  • (ジェイコム株は)とんでもなく安い値段で買えるという事実しか見てなかった。
    他の要素は関係ない。
    もちろん翌日さらに安くなる可能性はゼロではないけど、そうしたら損するだけなんですよね。
    実際、それで損もしてます。
    そういうリスクをとらないと、なかなかリターンはないので。
  • みんなが売りに走っているときに、あの人(ビクター・ニーダーホッファー)だけが上がるほうに賭けた。
    しかも、全財産を投入したんです。
    いくら自信があっても、普通は資産の半分とかじゃないですか。
    彼はすでに成功者なんだから、そこまでしなくたっていいのに、全力で大勝負に出た。
    結果的には負けてしまったけど、そういう度胸ってすごい。
    真似できない。
  • (「天才とは、10 億の資金を 1000 万と同じ感覚で動かせる人だと思う」と 2 ちゃんねるに)書いた頃は 10 億なんて夢の数字だったんです。
    数億円を運用するなんて、想像もつかなかった。
    ところが、3 億円を超えたあたりで怖くなくなったんですよ。
    麻痺したのもあるけど、地合が好転したので、無邪気に買ってもどんどん儲かったことが大きい。
    もし、いま天才を定義するとしたら?
    うーん。
    500 億を 1000 万と同じ感覚で、かな。
  • もうダメなんです。
    1 日で 1 億円儲けたり 1 億円損したりというのを経験しちゃうと、資金を 10 億円に減らすなんて考えられない。
    刺激がなくて。
    1 億円儲けるチャンスを見逃すのは、1 億円の損だと思っちゃって。
    もちろん、必ず勝つわけじゃなくて、参加したために 1 億円損することもある。
    だから、トレードをやらないのもつらいし、やってもつらい。
    もう中毒なんですね。
    大損でもしないかぎり、やめられない。
  • 過去の例を見ると、アメリカの利上げが終わった頃が天井という傾向がある。
    今年の後半は気をつけないと。
    日本はアメリカに連動してるから、そうなれば資金を減らすかもしれません。

NET M@NEY

  • これをやったら儲かるなんて、ないんです。
    まず全体を見てください、全体を。
  • あくまで市況全体を読み、投資先のセクターを決めることが先です。
    売買代金・出来高・値上がり・値下がりのランキングなどを見て、その市場を牽引しているような代表銘柄をチェック。
    さらに米国市場、日経 225 先物、為替……全部見ることが大切です。
  • 下落中の銘柄の底打ちを狙って買いにいく逆張りの場合は、25 日移動平均線と日足チャートの乖離率も参考にします。
    たとえば先日、不動産流動化関連が急下落していたとき、アセット・マネジャーズやクリードなどの牽引銘柄に長い陰線が出ていて、底打ち感がありました。
    この手の銘柄は連動した動きをするので、少しでも出遅れているものがあればチャンスかもしれませんね。
  • 移動平均乖離率も時期や銘柄によって目安が違うので注意してください。
  • 上がっている途中の銘柄が少し下げたところを狙う場合は、それが本当に押し目なのかを判断しなきゃいけない。
    そんなときはチャートだけでなく、米国の相場もチェックしてほしいですね。
    僕は”グロベ (Globex)”を見ます。

2006-06-26

AERA

  • 下げが急速すぎる。
    株を始めた頃も IT バブル崩壊後で下げ相場だったが、こんなに急激ではなかった。
    最近はもうけるのが本当に大変です。
  • 今日(2001 年の米同時多発テロ直後以来、日経平均株価が最大の下げ幅を記録した 2006 年 6 月 13 日)は本当にきつかった。
    約 2 億円損したのは痛い。
    欲をかいたのが良くなかった。
    昨日のうちに手じまいしておけばよかった。
  • (前週にだいぶ下がっていたトヨタやシャープのような大型株を買っていて)ここ 2 日間反発していたので、昨夜の段階では売ろうと思っていた。
    でも相場が開くと、まだまだ行けると思ってしまう。
    避けられたはずのミスです。
    最近はこういう紙一重が多い。
    昨年は行き過ぎくらいでよかった。
    買えばとにかくもうかっていた。
  • (2006 年 4 月半ばから)相場が弱くなってきた。
    上値が重くなり、出来高が減ったので様子見の日が多くなりました。
    100 億円分買って、2 ~ 3 % 減ると大損になる。
    資金が減るのはイヤなので、慎重になりました。
  • (ノーポジで様子見でも)いずれ買うのだから、個別の株の値動きを見ておかないと。
    世界的に連動しているので、米国市場、インド市場などの平均株価も気になります。
    昨年はインドなんて見てなかったんですが。
  • 100 億円買って、100 億円売るってことは難しい。
    タイミングを見ないとできなくなった。
    いまはまだ株価が乱高下していて、それなりに出来高があるので、大型株なら億単位で注文が入れられる、
    これが落ち着いてきてジリ上げとかジリ下げの局面になると、こうはいかなくなる。
  • パチンコ中毒と同じで中毒なんです。
    百数十億あると、あれも買いたいと、つい目いっぱい買いたくなってしまう。
    資金を減らさないと、だめなんです。
  • きついのでやめたい。
    でも明日にはまたやっている。

2006-06-14

日本テレビ「今日の出来事」

▼番組内容紹介

取材時期は2006年5月25日と6月13日です。時代背景を述べます。まず2006年1月16日にライブドア事件が起こり新興市場の株価下落が開始。さらに、2006年5月から6月にかけて日経平均株価が17000円台から14000円台に急落しました。

新興市場も東証も暴落していた時期の番組なので、番組全体の雰囲気が重苦しいものになっています。

急落相場に対して、プロトレーダーB・N・F氏はどうだったのか。興味がある方は動画を見てみて下さい。

▼5月25日(日経平均株価-213円。終値15693円)のインタビュー (BNFさん発言録)

B・N・F氏:最近はほんと難しいですね、相場が。日によって違って・・・。1億円以上損したり儲かったりって日がしょっちゅうだし・・・。

記者:難しい相場でしたか、今日の前場は?

B・N・F氏:そうですね、難しいっていうかまあ相場悪いんで難しいですけど、最近こういうこと多いんで。

記者:利益はざっとどれくらい?

B・N・F氏:どれくらいだろうなあ・・・19,765,503円。

B・N・F氏:(カロリーメイトを食べながら)カレー食べたり、カップラーメン食べたり(普段も)まあ簡単な食事ですよね。

~~~場面転換、川原へ~~~

B・N・F氏:株中毒みたいになっちゃって、背中がなんかピキピキするっていうか、ストレスで。特に損した日はそういう感じですよね。うーん、落ち込んでますね、損した日は家で。

▼6月13日(日経平均株価-614円。終値14,218円)のインタビュー (BNFさん発言録)

B・N・F氏:そうですね。今日は2億円くらい損しました。まあ長い目で見ていい面もあるんですけどね、勉強になるので。だから授業料を払わないといけないんですよね、ある程度。勝つためには。

2006-06-01

藤崎 聖人「WILD LIFE」第 19 巻

  • やっぱり一番大きいのは 25 日線からの乖離率をよく見て投資していたからではないでしょうか。
  • 要するに僕が下げ相場でも勝っていた理由は、この 25 日線から大きく株価が乖離し、下がりすぎた株を安く買っていたからなんです。
    大量の売り物が出て株価が下がる兆候が出ると多くの人が狼狽し、投げ売りが始まります。
    しかし倒産したわけでなければ株価はゼロにはならない。
    どこかで反発し、リバウンドが取れるというわけですね!
  • ただし、乖離率ばかり見ていると、倒産寸前の大赤字とか不正が発覚して上場廃止とか…そう簡単にリバウンドしようがない会社に手を出してしまうこともありますから注意が必要です!
    僕がこれらの会社(クラリオン・東京テアトル・石井鐵工所)の株を買ったのは、この時、株価が暴落した理由が「無関係な他社の倒産」だったからです。
    この 3 社は当時業績があまりよくなく他の無関係な会社が倒産しただけで、みんながここもやばいんじゃないか、という発想になり暴落しましたが、僕にはこの 3 社は倒産するような状況には見えなかった……だから買ったんです。
    株式投資で最も重要なのはそういう理由の分析も含め全体の流れを見る力……すなわち”洞察力”なんです。
  • とにかく毎日株価の動きを見てみることですよ。
    会社員の方や学生の方でザラ場が見れなかったとしても、家に帰ってから株価を見て、どうして今日は上がったのか下がったのか、自分なりの理由を見つけていくといいと思います。
    今の時代、別に株を持っていない人でも、会社名をヤフーなどの検索エンジンに入力すればチャートは一瞬で見られますから……。
    これから株を始めてみようという人は、とりあえずどこかの会社を買ったつもりになってしばらく見ていくのがいいかもしれません。
  • それと初心者の方にアドバイスしたいのは、業種(セクター)ごとの盛り上がり方(トレンド)を見ることですね。
    〇〇百貨店という会社なら小売業だし、〇〇建設なら建設業……要はその会社がどういうジャンルに区分けされているかということですよ。
    例外は低位株や新規上場した会社の株。
    そういう会社はその会社本来の業種ではなく”低位”というセクター、”新規上場”というセクターとしてジャンルを作ります。
    株というのは業種全体で値上がりしたり値下がりしたりすることが多いですから、自分が選んだ一つの会社を見るだけでなく同業他社がどうなっているかを見るのがとても大事なんです。
    僕がジェイコム株を買ったのも別に誤発注に気づいたからではなく、この時期に新規上場した会社はしばらく強いと睨んで注目していたからですしね。
  • 日経全体の上値が重くなって買える株が少なくなったりすると、低位や新興にお金が流れ急上昇したりします。
    あとは売買代金や出来高の推移もよく見て、下がっていてもたくさんの人が買っているなとか、上がっていても少人数しか買ってないな、と見極めることが重要です。
    そうすれば、次に強いのはどの業種か、それからその業種の中でどの会社をいつ買うべきかどんどんわかっていくものなんですよ。

NET M@NEY

  • ぼく自身、PC のことはそんなに詳しくないんです。
    特にこだわりもないですし……。
  • 今はモニターが 6 台ありますけど、昨年 9 月に引っ越しをするまで、SOTEC のノート PC 3 台を使って学習机でトレードしてました(笑)。
    株式投資を始めた 5 年前はノート PC 1 台のみでしたし。
  • 昔、たまたま朝の 4 時に目が覚めて NY の株価をチェックしたらすごい下げ。
    腹が立って、マウスをディスプレイにぶつけたら、映らなくなっちゃって。
    相当焦りましたね(苦笑)。
  • トレードは長時間座ったままなので椅子は革張り。
    奮発しました(笑)。
  • (「機種を教えて?」と聞かれて)ハードは eMachines の J3022(Celeron D 350) × 3 台、SHARP 製の 14 インチモニタを計 6 台です。
  • (「なぜその機種にしたの?」と聞かれて)株式投資だけに専念したいので、余計な機能やソフトを入れないシンプルな仕様が組める機種にしました。
    取引以外には全く使いません。
  • (「いくらかかったの?」と聞かれて)PC 関連はトータルで 50 ~ 60 万円。
    トレード専用の大きめデスクや椅子を含めると、もうちょっとかかったかなあ。
  • (「どう使ってるの?」と聞かれて)ハード 3 台にそれぞれモニタを 2 台ずつ接続。
    モニタは計 6 台。
    下の 3 台はすべて取引画面。
    上の 3 台は海外の株価チェックなどに使用。
  • (「オリジナルの技ってある?」と聞かれて)PC にあまりこだわりはないけど、テンキーのあるキーボードを使っていること。
    証券コード、売買注文の入力には必須です。
  • (「回線は?」と聞かれて)光ケーブルです。
    引っ越しする前から光に替えました。
    少しでも処理速度は速いほうがいい。
    ささいなことでも積み重なると大きいですから。
  • (「セキュリティは?」と聞かれて)セキュリティソフトも含めてかなり気を使っていますね。
    金額が金額なので暗証番号も定期的に変えたりしています。

月刊 CIRCUS

  • 相場の状況は一日ごとに変わるんで、それを見極めます。
    『昨日は IT 系だけど、今日は銀行、証券の金融系だな』というような感じで投資先はその都度変えています。
  • 相場状況にもよりますが、セクターで分けて監視しておくのは重要です。
    昨年、上げ相場の例でいうと鉄鋼、銀行、証券、商社などは同時進行で連れ高したのですが、造船はいつも一歩遅れて上がりました。
    高値に追いつこうとする。
    それはセクターごとに比較するからわかるんです。
  • (「もし今 200 万円くらいの資金ならどういう投資をしますか?」と聞かれて)投資スタンスにもよりますが、売買代金急増ランキングや値上げ率ランキングで上位にくる新興・東証二部の中小型株に順張りですね。
    場合によっては逆張りもします。
    あと、損切りをきっちりできるかどうか。
  • なんで株価が下がったのか。
    すぐに戻す下げなのか。
    買った後、すぐに上がる株こそかえって少ない。
    そこの見極めですね。
    それには何より、株を毎日見ていくことです。
    相場は上がるし下がるし、まさに生き物。
    本を読むよりも相場に出て、その感覚を体得するのが重要です。

2006-05-14

My Trading Life (32)

当初はルール通り損切りを行っていた。建玉の段階で設定したロスカットのポイントに達した瞬間、ザラ場を見ている時は売却のオーダーを入れ、そうでない時は翌日の寄りで投げた。しかし、自己処罰のような損切りが続くうちに、次第にロスカットが甘くなっていった。その年の前半、清春氏の推奨銘柄に提灯を付けて簡単に利益を上げていたため、相場を舐めていたのかもしれないと今になって思う。

暴落の時、下落は銘柄を選ばない。一斉にどの銘柄も下がっていく。2,3日、様子を見てから損切りしたりしているうちに、ロスカットのタイミングを逸した銘柄が、どんどん増えていった。

僕は、ロスカットの時に、完全に全てのカットするのではなく、数枚残すことも多い。株価ウォッチのためで、株価の動きを体感するためにはそれなりに有効な方法だとは思っているが、そうした数枚がいくつもの銘柄になると、塵も積もればで、無視出来ない含み損になっていく。少しずつ退却戦を強いられていくうちに、ポートフォリオはどんどん悪化していった。

信用取引を初めて6年になるが、僕は実は一度も追証にかかったことはない。理由は2つあって、ひとつは、レバレッジをいっぱいにかけた全力のトレードをしないためであり、もう一つは、ポートフォリオが悪化し始めた時、早めにカットして信用の余力を常に余裕の状態にしてあるからである。

このときは、そうしたトレード手法の全てが裏目に出た。含み損の銘柄は、もはや損切りも躊躇われるほどの大きな含み損になってしまっていた。信用の余力を増やすためにやむを得ずカットすることが出来るとしたら、利益が膨らみつつあった空売りの銘柄しかなかった。せっかく絶妙のタイミングでエントリー出来ていた空売りのポジションで、益出しの買い戻しを行いつつ、追証の危機を凌いだ。その年の夏の終わりには、ポートフォリオの中は含み損の銘柄ばかりになっていた。もはや敗北は明らかだった。

00年の夏、丸善の空売りで壮絶に担がれた。
01年の夏、含み損は丸善の時より大きくなっていた。
そして、不思議なくらいに痛みを感じないまま、損失は膨らんでいった。

どうせスタートは200万円だったのだ。今、マーケットから退場したとしても1年で数倍の利益を上げたことにはなる。それで十分ではないか。そして、金銭面での利益だけではなく、人間の心理について非常に多くのことを学ばせてもらったと思った。十分に元は取ったのだ。そろそろパーティー会場から静かに立ち去る時なのかもしれない。そんな諦めの気持ちもあった。

奇術師さんたちの発言を掲示板で読みながら、株式投資を勉強していた時のワクワクするような充実感は、もはやなかった。「マーケットは投資家の欲するものを与えてくれる」というエド・スィコータの言葉は、ずっと頭に残っていた。もしかしたら、僕は、心の底では、マーケットから退場することを望んでいるのかもしれない。そんなふうにも思えた。しかし、本当に損をするために、破滅するために、トレードを行っているのだろうか。だとしたら、人間の欲望って何だろう。

夏の初めだったと思う。その前年の春に読んだ林輝太郎の著作を久しぶりに読み返してみたことがある。「うねり取り」という言葉や、空売りの重要性を、僕は彼の本ではじめて学んだのだった。1年半ぶりに読み返してみたその本は、あまりに印象が違っていた。表紙も埃をかぶり色あせていたが、それ以上に、内容は色あせたものに思えた。そして、その1年半ほどの間に、いかに多くのことを経験し、そして、学んだのだとあらためて知らされた。1年半にわたって、掲示板を読み、そして自分の頭で考えながら身につけたスキルは、本から学んだ知識をはるかに凌いでいると思った。

林輝太郎の本の駄目な部分を一言で語れば、彼は教祖として、「師」として語ろうとしているからダメなのだということに尽きると思う。そうではないのだ。人間は変わらない。何十年チャートを見続けようが、月足を何百銘柄と大きな方眼紙につけようが、本質的なところでは人間は変わらない。何年生きても、どれだけ株式トレードの経験を積んでも、人間は初心者の時と同じような間違いを繰り返すだろう。心をカラにして売買譜を書き、チャートを見つめ続ければ、いつか悟りが開けるなんて嘘だよ。

変わるのはただ自分の愚かさの記憶が蓄積していくということだけだろう。自分の愚かさを自覚することによって、以前ほど無謀なリスクは賭けなくなるし、大きな損失の時に目を閉ざし見ないふりをすることもしなくなる。含み損が大きく膨らんだ時の投資家の心理も、自分の過去の経験から容易に想像出来るし、そうした投資家心理の裏を狙った売買もできるようになってくる。

それは本当にわずかな進歩でしかない。しかし、そんなわずかな進歩が決定的な一歩なのかもしれない。

せっかくここまで身につけてきたものを捨ててしまうのは惜しいことに思えてきた。もう一度、頑張ってみよう。しかし、そのためには膨らんでしまった含み損をなんとかしなければならない。そして、肉を切るような損切りが始まった。

2006-05-13

不機嫌な株価の上昇と下落は、大きな変化の始まり

不機嫌な株価の上昇と下落は、大きな変化の始まりの丸ごとコピーです。将来、万一doblogがなくなった場合のためのバックアップです。

相場の柱となるような投資のテーマに乗れば、株価は長期間上昇します。
しかし、どこかで"あれっ????"という株価の下落に遭遇する日が来ます。それは往々にして株価の転換点なのです。

万人が納得するから、会社の評価も高まり、PERも上昇します。出来高も増加して株価の上昇も加速します。投資家全員がハッピーな気持ちです。

しかし、『不機嫌な株価の下落』とは、納得がいかない状況で訪れるのです。きっかけは様々ですが、不機嫌な株価の下落とは『行き過ぎの調整』です。上がりすぎたPERが多少戻す局面です。

そんな調整はここまでの上昇過程でも何回も経験しており、それを結局乗り越えて、ここまで上昇して来たのです。だから、この不機嫌な株価の下落も最初は"またか! 買いのチャンスを提供してくれた!"と解釈されるのです。何故なら、企業のファンダメンタルはまだ悪化していないのですから。

しかし、ここで言う不機嫌な株価の下落は、これまでとは違うのです。
①企業のファンダメンタルにも行き過ぎの良さが生じており、
②この良さが縮小修正されるレベルまで拡大したので、
③すぐ先に通常の良さのレベルまで低下するフェイズが近づいており、
④かつその後はファンダメンタルさえも悪化する可能性が高まっている、
という状況で生じるという点です。


下落相場の元凶となるような理由がはびこれば、株価は長期間下落します。
しかし、どこかで"あれっ????"という株価の上昇に遭遇する日が来ます。それは往々にして株価の転換点なのです。

万人が忌諱するから、会社の評価も地に落ち、PERも低迷します。出来高も低迷して株価の下落も加速します。投資家全員が見向きもし無い状況です。

しかし、『不機嫌な株価の上昇』とは、理解が出来ない状況で訪れるのです。きっかけは様々ですが、不機嫌な株価の上昇とは『下げ過ぎの調整』です。下落しすぎたPERが多少戻す局面です。

長期下落の途中でも一時的に株価が吹くことは何回も経験しており、それは結局だましであって、ここまで下落して来たのです。だから、この不機嫌な株価の上昇も最初は"またか! 馬鹿なやつが買ってる!"と解釈されるのです。何故なら、企業のファンダメンタルはまだ悪いままですから。

しかし、ここで言う不機嫌な株価の上昇は、これまでとは違うのです。
①企業のファンダメンタルにも行き過ぎの悪さが生じており、
②この悪さが縮小修正されるレベルまで拡大したので、
③すぐ先に通常の悪さのレベルまで改善するフェイズが近づいており、
④かつその後はファンダメンタルさえも改善する可能性が高まっている、
という状況で生じるという点です。

2006-05-08

テレビ東京「給与明細」

▼番組内容紹介

取材時期は2006年4月末日か5月上旬です。2006年1月16日にライブドア事件が起こり新興市場の株価下落は始まっていました。しかし、この時点では日経平均株価は未だに堅調であり、2005年から巻き起こった株ブームはまだ終わっていませんでした。

はたして、B・N・F氏は2006年4月の一ケ月間でいくら稼いだのか? 給与明細の代わりにB・N・F氏の月間収支が公開されています。

またこの番組は、B・N・F氏のインタビュー番組としては過去最長のものとなっています。B・N・F氏の人柄について興味がある方は必見の番組です。グラビアアイドルの浦えりかさんが、B・N・F氏にインタビューを行っています。

▼BNFさんの長時間インタビュー (BNFさん発言録)

浦えりか:部屋とかのインテリアで考えてることってあるんですか?

B・N・F氏:いや、特に考えてないですけど、適当に置いてるだけですから。

浦えりか:まず、ジェイコムさんの騒動で20億円を得た経緯の話を教えてもらいたいんですけれども。

B・N・F氏:まあ、新規上場の株価をこうやって見てるんですけど、初値がだいたい100万くらいいくと思ってた株が57万2000円でいっぱい売りがあったんで、安いと思って買ったんですよね。7100株買ったんですよ。

浦えりか:7100株。で、お金の方はいくらぐらい?

B・N・F氏:40億くらいです。

浦えりか:40億!? え、40億はその時点で持ってたってことですよね?

B・N・F氏:あのときもう80億あったんで。まあ、そうですね、自分的には普通の取引だったんで。

浦えりか:親御さんにはすぐ報せたんですか、両親には20億儲かったってことは?

B・N・F氏:別に特に言わなかったですけど。

浦えりか:え、それは普通に取引で、あー儲かったっていうぐらい?

B・N・F氏:そうですねえ。

浦えりか:いつもは言ったりはしないんですか? そういう株の話とかを両親に。

B・N・F氏:いや、まあ普通にしますけど、ジェイコムに関しては別に言わなくても(マスコミが来て)わかる状態だったんで。

浦えりか:で、今は何億くらいになってるんですか? 資本は。

B・N・F氏:130億円くらいです。

浦えりか:え、なんか自分の中で自分が130億持ってるっていうのは、やっぱ実感としては普通にあるんですよね?

B・N・F氏:けっこう、なんて言うのかなあ、実感が出ないように結構、大きい現金は見ないようにしてるんです。

浦えりか:まずなんで始めようと思ったんですか? その株っていうのを。

B・N・F氏:まあ、結構テレビ番組を見て興味持ったのと、あとあれですね、ネット証券が始まるのとか手数料自由化が始まるのとか、そういうのが重なったし。

浦えりか:最初、その資本金はいくらぐらいだったんですか?

B・N・F氏:まあ160万とか、その辺ですよね。

浦えりか:え、そのお金はなにで?

B・N・F氏:そうだから昔からまあ貯めてたお金とか、バイトで貯めたお金とか、そういうのを足したお金ですね。ほんと日経平均が急騰したんですよね。1万2000円くらいから1万6000円台まで急騰して大型株が結構上がったんで(資産が増えた)

記者:株取引を続けて何を目指しているのか?

B・N・F氏:ただの株オタクなんで、そういう風になっちゃったんですよね。うーん、だから他に趣味とかある人は1億いって充分っつって、他の仕事したりとかやる人もいると思うんですけど、自分は別に他に趣味もないしやることもないんでって感じでしたけど。

記者:特別な錬金術は?

B・N・F氏:日経平均全体的な上げと連動してそのおかげで儲かっただけで、まあだから自分がうまいから儲かったとかじゃなくて、時代のおかげで儲かったんですよね。

~~~場面転換、トレーディング部屋にて、午前8時50分、取引開始10分前~~~

B・N・F氏:この時間は集中してるんで、うーんそうですね、色々見ないといけないところが多いんで。うーん、そういうところ(気配値などを)重点的に見てますけど。

男性記者:どうですか、状況としては?

B・N・F氏:うーんまあ、日経平均が弱いですね。うーん、TOPIXも弱いんで今日は。

~~~画面転換、飲み屋で~~~

浦えりか:今、彼女とかはいるんですか?

B・N・F氏:いないです。

浦えりか:え、今までいたこととかは?

B・N・F氏:それはノーコメントで。

浦えりか:え、じゃあ彼女とかいなかったら、今お金とかいっぱいあるわけじゃないですか、そういうのがあるからキャバクラに行こうとか、そういうのは? 行ったこととかありますか?

B・N・F氏:いや、行ったこともないし、行こうとも思わないですね。自分はほんと株で儲かったお金は精神的にかなりリスクと毎回背中合わせで、すごい精神的に大変な思いしてやっと稼いでるって感じなんで、あんまりそういう大きいお金がかかるものは興味ないんですよね。

浦えりか:異性に対して興味っていうのは?

B・N・F氏:そうですね、普通ですけど。

浦えりか:え、じゃあ、もちろん女の子とかがいて好きな子とかがいたら付き合いたいと思うっていうのは普通にありますよね?

B・N・F氏:はい。

浦えりか:私ありですか?

B・N・F氏:はい、充分。

~~~画面転換、トレードルームにて~~~

記者:今日の取引額というと、どのぐらいになるんですか、トータルで?

B・N・F氏:少ないですね。70億から80億くらいです。

男性記者:結果的に今日いくら(の利益がでましたか?)

B・N・F氏:1億2000万くらい(のマイナス)ですかね。

男性記者:それはB・N・Fさんにとってかなり痛い額ですか、それともここで止まってよかったとか?

B・N・F氏:まあ納得いかないところですけど、その辺は自分の下手なとこなんで。甘いところなんで。

浦えりか:(B・N・Fさんの月間収支表を見て)、えっとこれ合計で、え!? 一、十、百、千、万、十万、百万、千万・・・11億9900?? (2006年4月の収益は11億9956万7503円)・・・一ケ月ですよね?

B・N・F氏:はい。

浦えりか:すごいですね!!

記者:株取引は他の人にすすめられますか?

B・N・F氏:株っていうのは絶対に儲かるわけじゃないんで、リスクは絶対にあるんで、儲かってるときは仕事とか言えるんですけど、まあ人生的には狂う部分もあるんで、うーん、自分はすすめないですけど、やりたい人は別にとめるあれもないし。うーん。

インタビューの中で触れられている、B・N・F氏が株に興味を持ったテレビ番組というのは、NHKスペシャルのマネー革命のことでしょうね。B・N・Fさんが感銘を受けたという投機家ビクターニーダーホッファーが出演した。

2006-05-01

月刊宝島

  • 毎日チェックしているのは 700 銘柄くらいですね。
  • 1 月初旬は 12 月に IPO したファンコミュニケーションやナノメディアなどを中心に取引しました。
    ライブドアショック以降はイートレード、インデックスなど新興市場の大型株を軸に。
    2 月からは東証の大型株が中心でしたね。
  • 相場の状況は一日ごとに変化しますから、それに対応していっただけ。
    とにかく、ボクは相場の流れに逆らわないだけなんですよ。

2006-04-23

My Trading Life (31)

>>右肩上がりの一本調子の相場の時代とはまた別の、取り組み方や哲学がある

下げ相場での空売りの重要性を示唆する発言を最後に残して、マーケットの奇術師さんは掲示板から姿を消した。しばらく休んだ後、奇術師さんは復活されるのではないかと誰もが期待していたし、ずるずると下降を続けている株価も、やがては戻るだろうと誰もが思っていた。

奇術師さんが掲示板に最後の書き込みをした2001年の7月5日、そのときの日経平均株価は12,607円である。日経平均がその2年後には8,000円を割ることになろうとは、この時点では誰も予想していなかったはずだ。

そして、奇術師さんも、二度と掲示板に戻って来なかった。

ずるずると下落を続ける下降トレンドの相場を、どうやって耐えしのいでいくか。それが個人投資家にとっての一番大切な課題である。

上昇トレンドの相場ならば誰だって儲かるのだ。

昨年2005年の1年間で、資産を倍にしたトレーダーは星の数ほどいると思う。しかし、日経平均ですら40%の上昇をしたのだから、標準的なスキルを持つトレーダーが、2.5倍程度のレバレッジを効かせてトレードを行えば、その程度のリターンは当然のことく期待出来る数値である。四季報のページを適当に開いて、アトランダムに数銘柄買い、期日いっぱいまでホールドすることを繰り返すだけで、その程度のリターンは期待出来たはずなのだ。

それよりも大きなレバレッジを効かせながら2倍にも達することが出来なかったトレーダーは、実はハイリスクローリターンの危険すぎるトレードを行っていたことになる。もっともそうしたトレーダーが、自分のトレードの危険性に気がついている可能性は低いと思う。信用の枠一杯で常に大勝負をかけながら、資産を2倍にもすることが出来なかったトレーダーは、実は「下手」なのだ。

昨年の後半、月ごとや週ごとの利益がどんどん雪だるま式に膨らんでいったトレーダーは多いと思うが、それは本当にトレードの技術が上がったのか、それとも、利益の増加と共にリスク管理が甘くなり、より大きなリスクを取るようになった結果、たまたま運良く勝っただけなのか、しっかり自覚できているだろうか。

標準的なレベルのトレーダーが、仮に2001年や2002年のようなじりじりと下落を続けるマーケットにぶつかり、そして信用取引を行っているならば、間違いなく破滅するだろう。株式市場は永遠に上昇を続けるはずはないのだから、何年かトレードを続ければ、必ずそうした大きな調整期に出くわすことになる。だから、リスク管理の出来ていない信用トレーダーは、一時的に勝つことはあっても、長期的に見れば、いつかマーケットから退場させられると思う。

機関投資家ならば、指数よりもうまく運用できているかどうかで、その人のトレード技術を判断することができる。しかし、個人投資家にとってはそうではない。指数との勝ち負けなど、個人投資家にはまったく関係はない。個人投資家は指数と戦っているのではない。個人投資家にとって大切なことは自分の資産を守り抜くこと、それだけである。仮に日経平均が20%下がった年に、信用買いで2倍程度のレバレッジを効かせながら、資産のドローダウンを30%程度にとどめることが出来たとしても、ちっとも偉いことはない。

「指数が20%上昇した時は60%のリターンが期待でき、指数が20%下がった時は40%の損失が予想されるトレーディングスタイル」と、「指数が30%上昇した時は20%のリターンが期待でき、指数が20%下がった時は10%の利益が予想出来るトレーディングスタイル」という2つのやり方があるとしたら、個人投資家は後者を選ぶべきだと思う。

来る日も来る日も暴風雨のような売りを浴びせかけられ続ける軟弱な相場でも、個人投資家は勝ち続けなければならない。少なくとも負けるわけにはいかない。相場が大暴落したので破滅してしまいましたでは言い訳にもならない。だからこそ個人投資家にとって、損切りを徹底すること、分散投資をすること、そして「空売り」と「逆張り」のスキルを身につけることが大事なのだ。


奇術師さんが掲示板から姿を消して以来、僕はまた元のロンリートレーダーに戻った。掲示板で書き込みをすることはもちろん、読むこともほとんどしなくなった。僕のPCのHDDの中には1年分の奇術師さんの発言が残っていた。迷った時、方向が見えなくなった時、僕は一人で奇術師さんの発言を読みなおし、奇術師さんとの対話を続けた。

日経平均は4月の14,550円からほぼ一直線に下降を続けていた。前年のITバブルの崩壊の時の痛みを伴った急激な下げではなく、だらだらと力のない下落だった。急激な下げの場合、投資家は恐怖の中で、何らかの対応を迫られる。しかし、ダラダラとした下げの場合、投資家は損切りの苦痛を一日一日と延ばそうとする。損切りするのは明日。そして、明日はけっして訪れない。ふと気がついた時には茹であがったカエルだ。徐々に意識が薄れ、穏やかに安楽死を迎えるような、多くのトレーダーたちにとっての「なしくずしの死」の瞬間が、徐々に近づきつつあった。

2006-04-13

ライブドア株"退場"緊迫!「最後の60分間」

▼番組内容紹介

取材日は2006年4月13日になっています。この日はライブドア株の最終売買日でした。番組ではライブドア株の最後の日を見つめるB・N・F氏を取材しています。

▼B・N・F氏語録

B・N・F氏:明日以降、(ライブドア株は)市場で売れなくなっちゃうので、もう売買しないです。今日は。

記者:ライブドア株でトータルで損益はいかがだったんですか?

B・N・F氏:ライブドアに関しては5000万くらい損したり、5000万くらい儲かったりで、トータルだと多分1億くらいだと思うんですけどね、儲かってるといっても。さほどうまくは立ち回れなかったですけどね。

なお、B・N・F氏は、取材当日、いつもどおり楽天証券のマーケットスピードを使っていました。

6年で退場 上場廃止の日 ライブドア株

B・N・F氏:ライブドアに関しては結構、5000万くらい損したり2000万くらい儲かったり、結構大きく儲けたり大きく損したり、ライブドアは結構頻繁に売買した株なので明日から売買できなくなるのは寂しいですけど。

2006-04-05

週刊文春 BUSINESS

  • いやあ、今日は大変だったんですよ。
    ライブドアが下がって、新興市場も全部ダメで。
    朝から二億円ぐらい損しました。
  • ライブドアは持ってなかったんだけど(笑)、大引けでは九千万円ぐらいの損失。
    (何で取り返したの?)いやあ、フジテレビのデイトレとか……。
    あと、楽天で結構戻したんです。
    量(出来高)が多いから。
    寄り付きは安かったけど、一回戻った。
    まあ、四十億円ぐらいしか持ち越してなかった。
  • 朝起きて、取引のあとも午後四時ぐらいまでいろいろやって、自由時間はそんなにない。
  • (子供の頃は)自宅に八十本ぐらいゲームソフトがあったから、みんなで集まって遊んでた。
    小学生の頃よく読んでた漫画は「少年ジャンプ」とか。
    普通の子供ですよ。
  • 大学は中退してるんです。
    四年までは大学に行ってたけど留年して、株をやってたら勉強が頭に入らなくなってきちゃった。
    あと八単位取れば卒業できたんだけど、その辺から「億」になってきたし、株から目を離せなくなってだんだん学校に行かなくなり、「まあ、いいや」って。
  • 最初の頃は、「株なんかやめて早く就職しなさい」って言われていた。
    特に母。
    相場が悪いときは大きな損失を出して、家族で食事をする時に頭を抱えて溜息をついたりしてたから。
    儲かったら儲かったで、「そんなに(金が)あったら一生食べていけるんだから、……また損するかもしれないし」って。
    自分でも百回以上やめようかと思った。
  • (マスコミ誌上などで「ニート」と呼ばれることは)別にいいんじゃないですか。
    株で儲かっているからって良く言われないほうがいいと思う。
    製造業で伸びてきたのが日本のいいところだと思うんです。
    資源のない国なのに、技術力でここまで成長した。
    株で儲けて尊敬されるような世の中にはなってほしくない。
    だから、株で儲けても「ニートだ」ってバカにされるような言い方でいいのかなあ。
  • (投資顧問や出版の誘いは)全部断っています。
    まだ本は書きたくないし、自分で株がそんなにうまいと思っていないので、人を混乱させたくない。
  • (株をやめたらどうするか)考えないわけじゃないけど、それを人に言ったら意味がないじゃないですか(笑)。

2006-04-01

月刊 CIRCUS

  • 実は僕の元手、子供の頃から貯めてたお年玉と、大学時代にバイトで稼いだものなんです。
  • 2000 年に、当時まだ盛んじゃなかったネットトレードに興味を持ったんです。
    次第にバイトより簡単に儲かることに気付き、就職も考えなくなった。
  • これ(8 時 20 分に出始める気配値)を見ながら日経平均の動きをイメージすることが大事なんです。
    寝坊しないために目覚ましを 3 つ、5 分おきにセットしてます。
    でも、夜中に米国市場が気になって、朝方に寝ても、この時間には勝手に目覚めてしまいますが……。
    米国市場が下げていると、それだけで数億は損します。
    そんな日は朝から気が滅入っちゃうので、最近はあまり見ないようにしてます(笑)。
  • (場が立っている時間は、トイレに行くヒマすらないのは)1 分の値動きで数千万円損することが実際にありますからね。
    後場が終わると精神的に疲れ、しばらくはグッタリしてます。
  • (2002 年後半は)親に就職を勧められ、資産も伸びず精神的に厳しかった。
  • (2004 年は)大型株の動きがあまり良くなくなってきたので、仕手っぽい株や、フィデック、タカラバイオなどの IPO 銘柄など個別に盛り上がっている株を中心に売買しました。
  • たまに、その銘柄を買っている人がパニックに陥るような暴落が起きることがある。
    01 年末の宇部興産、02 年半ばの大手銀行株などです。
    ところが、この暴落時が絶好の買い場なんですよ……。
  • 株価がジリジリと下がる状況を受け、ある人が損失に耐えられなくなり、株を売りますよね。
    すると株価はさらに下がり、これを受けて別の人も損失に耐えられなくなって株を売る、すると別の人も恐怖に駆られ……。
  • 最後には、売ろうと思っていた人がほぼ売り尽くしてしまい、これ以上は売る人がいなくなる。
    そして”この安値なら買いだ”と判断した人が殺到し、一時的に暴騰するんです。
    これを”リバウンド”と言います。
  • これ(乖離率)が 28 ~ 68 %(市場やセクター、地合いにより異なる)を超えると異常な高値、安値を付けているといるとある程度判断できます。
    僕は有料のチャートソフトを使っていました。
    でも逆張りは非常に難しいので、あまりおすすめできません。
  • 株価は不思議なもので、会社の価値は何も変わってないのに、その日のニューヨーク市場や先物の動向など、相場全体の雰囲気で上下するんですよね。
  • 仮に鉄鋼株を例にとると……たとえば相場の雰囲気がいい日などは、住友金属、新日本製鐵、神戸製鋼所、JFE ホールディングスなど、その分野の主力株が軒並み騰げるんです。
  • 連れ高にはパターンがあるんです。
    たとえば鉄鋼なら、前兆として上の 4 社のどれかが、日経平均とともに騰げ始める。
    しかしこの前兆段階だと、他の 3 社のどれかが、まだ騰がってなかったりするんです。
    そんなときすぐ買いを入れるんですよ。
  • それ(連れ高が予測される瞬間を具体的にどう見極めるのか)ばかりは様々な企業の値動きを 1 日中見て”体得する”ほかないですね。
  • 毎日これ(登録銘柄リスト)を見続けると”一気に下がっていたハイテクが値を戻し始め、すると日経平均が上がり、相場が強くなってきたのを受け、鉄鋼も騰げ始める”というイメージが湧くんです。
  • 儲かったのは僕の実力じゃなくて、単に時代のおかげ。
    すべては相場環境しだいなんですよ。
  • (IPO 銘柄は)インターネットの情報サイトで、どんな会社か、予想価格はどれくらいかを調べているだけですよ。
    複数のサイトの予想株価と相場の雰囲気を総合すれば、今後の展開はだいたい読める。
  • (先物相場は)非常に利用価値が高い。
    どちらかといえば、先物が動いた瞬間、どれだけ早く反応できるかの勝負ですよね。
    (注文を出す場面になると)考えるより先に手が動く。
    それほど反射的なんです。

テレビ朝日「スーパーJチャンネル」

▼B・N・F氏語録

記者:6台も使ってらっしゃいますよね。どういう風に使い分けてるんですか?

B・N・F氏:ほんどメインは(下の)3つなんですけど。

記者:はい。(上の3台では)アメリカの動きを見てるってことですか?

B・N・F氏:うーん、まあそうですけど。

~~~場面転換~~~

B・N・F氏:今、1億円くらいの買いです。

記者:1億円分買われたんですかね?

B・N・F氏:1億円くらいはけっこうしょっちゅうなので。

~~~場面転換~~~

B・N・F氏:6億くらいですね。

記者:6億!? 買ったんですか?

B・N・F氏:はい。

~~~場面転換~~~

記者:今日は、うどんですか?

B・N・F氏:はい。そろそろ3分ですね。

~~~場面転換~~~

B・N・F氏:約50銘柄・・・今日だけでこれだけ買ったんですよ、100億近く売買したので。今日は8000万くらい儲かりました。

記者:(日銀による量的緩和の解除・ゼロ金利解除が行われると、)投資の戦略というかやり方は変わってきますかね?

B・N・F氏:うーん、それは多分変わらないですね。

記者:変わらないですか。

B・N・F氏:はい。(ゼロ金利解除自体に)それほどサプライズがあるわけじゃないんで。うーん、べつにそれほどインパクトはないんですよね。ゼロ金利が解除されたとしても、その前にたぶん市場は織り込んじゃうんで。

~~~場面転換~~~

記者:土日とかは何をされてるんですか?

B・N・F氏:うーん、特にやることないんで、寝てるか散歩するかぐらいですけど。

記者:趣味と呼べるようなことって何かあります?

B・N・F氏:趣味はほんと何にもないので・・・ほんと無趣味なんですよね。

記者:(スーパーとかに)自分でこういうもの(カップ麺とか)を買いに来るのは好きなんですか?

B・N・F氏:好きというか、別にそれぐらいしか買い物するものもないので。

記者:(株式トレード生活について)ご両親とかどういう風に思ってらっしゃるんですか?

B・N・F氏:「もうやめれば」っていういのはよく言われます。まあ、だから「損する前にやめた方がいい」っていうか。

月刊宝島

  • 今日は 1 億 3000 万円負けちゃいました。
    ホント下手くそというか……。
  • 子どもみたいなものしか食べない。
    カレーとかハンバーグとか。
    生魚?
    ありえない。
  • 地合がいいから儲かっただけ。
  • 1 日 1 億損するか得するか、そんなところ。
    一日 20 億円も稼げばアドレナリンが出るけど最近はないし、もうつらいだけ。
  • 目の前にエサがあるのにみすみすやめられない。
  • やめられても、相場が上がっているのを見れば損した気分になって余計つらくなる。

2006-03-15

ライヴドア株、月曜に64円で160万株買い、水曜に85円で売却

▼番組内容紹介

取材日は2006年3月15日になっています。3月13日にライブドア株を150万株(1億円分)買っていたBNF氏、さてその結果は?

この番組で、B・N・F氏は3月13日から15日にかけライブドア株で4000万円儲けたと証言しています。

▼B・N・F氏語録

記者:今回のライブドアの株でおいくらぐらい儲けになりましたか?

B・N・F氏:4000万円くらいです。

2006-03-14

あの20億円男性ライブドア株買った! なぜ値上がり?

▼番組内容紹介

取材日は2006年3月14日になっています。前日の3月13日にライブドア株を150万株(1億円分)買ったBNF氏、さてその結果は?

この動画では、B・N・F氏がライブドア株の急騰で儲けた様子が収録されています。

▼B・N・F氏語録

B・N・F氏:他の株はもうそれほど・・ちょっと上がったり下がったりという株が多かったんで、ライブドアだけがけっこう10%以上あがってくれたんで、はい。

(上場廃止が)あれだけ報道されている割には底堅かったんで、んーまあ、すごいいっぱいは買えないですけど、打診買い程度に150万株くらいなら買ってもいいのかなーぐらいですけど。そんなにリスクないかなっていうくらいですかね。

(今日一部売却して)1500~2000万くらい(儲かりました。)

記者:2000万?!

B・N・F氏:近くは儲けました。まあ、上場廃止前になる前には売ると思うんですけど。

相場はもうどんどん動いてるんで、他の株はもうどんどん動いていっちゃうんで、それに自分は合わせていかないといけないんで。

↓2006年3月14日のライブドア株の一日チャートです。

ライブドア株、上場廃止で大もうけ!?

す。

▼番組内容紹介

取材日は2006年3月14日になっています。2006年1月にライブドア事件が起こったわけですが、堀江氏逮捕以後、ライブドア株は上場廃止になるであろうと株式市場において噂になっていました。

そして、2006年3月13日には実際に東証がライブドア株の上場廃止決定を宣言しました。翌3月14日、ライブドア株は上場廃止決定で悪材料出つくしとなり、株価が急騰しました。

↓2006年3月14日のライブドア株の一日チャートです。

この動画では、B・N・F氏がライブドア株の急騰で儲けた様子が収録されています。

▼B・N・F氏語録

記者:いくらぐらい(ライブドア株に)投資されたんですか?

B・N・F氏:1億くらいですけど。きょう(の利益)は1500万から2000万くらい。

記者:2000万?!

B・N・F氏:近くは儲かりました。上場廃止になる前には売ると思うんですけど。いつ売るかはほんと相場次第なんで、相場に合わせて決めていく感じですかね。相場の動きで判断していく感じです。売るタイミングは。

普通の投資家には、上場廃止が規定路線になっている銘柄に買い注文をいれるのは相当な精神力がいります。

しかし、B・N・F氏はこのときのライブドア株に関してはあまりリスクを感じていなかったようです。

2006-03-01

Diamond ZAi

  • (個人情報が)出てしまったのはしょうがないけど、慣れていないので急に取材が殺到して、正直精神的につらい時期もありましたね。
  • (ジェイコム株は)予想初値が 100 万円と言われてましたから、気配値の 67 万円程度じゃ寄り付くわけないと思って見てたんです。
    そしたらいきなり寄って、しかもどんどん安くなっていく。
    これはチャンスだと思って 50 株ずつ買っていったんです。
  • 市場全体を見渡して、その時々で資金がきている銘柄を買ってるんです。
    鉄鋼、商社、自動車、銀行……こういう銘柄は循環で物色されてますから、その時々の波に乗るっていうか。
    あとは全体の動き。
    日経平均先物を見ながらイケそうだったら多めに買うし、ヤバそうだったらすぐ降りる。
    上げてもいないのに長期で持つことはまずないです。
    手法といえるのはそれだけで、まぁ始めた時期が良かったんでしょうね。
  • 精神的にかなり辛いです。
    NY 市場が下げていると、それだけで数億円損するわけで、朝から滅入りますよ。
    そんな心配を毎日毎日。
    もう株なんてやめたい、でも市場が開いているのにやらないのも(儲けるチャンスを逃すことになるので)辛い。
    やってもやらなくても辛いから、しょうがなくやってるんです。

2006-02-28

テレビ東京「ガイアの夜明け」

▼番組内容紹介

取材日は2006年1月25日、1月26日、2月6日になっています。2006年1月16日にライブドア事件が起こり新興市場の株価下落は始まっていました。しかし、日経平均株価は未だに堅調であり、2005年から巻き起こった株ブームはまだ終わっていませんでした。この番組では大学生トレーダー、プロトレーダー、主婦トレーダーなどのトレード風景を同時取材した映像が放送されています。

その中でも桁違いのトレードをしていたのがB・N・F氏です。YouTubeには「激動!株式市場」の映像の前半しかありませんが、後半のB・N・F氏の発言も書いておきます↓

▼B・N・F氏語録

▼2月6日

B・N・F氏:今日盛り上がってんのが、どっちかというとライブドア関連の株が盛り上がってるっていうか。

(ライブドア株を50万株)102円で売った。300万くらい(儲けた)。

記者:個人の家から何十億円もの取引ってそんなに簡単にできるものなんですか?

B・N・F氏:今はそうですね。

朝起きて1時間くらいで、まあ、8時20分くらいに起きて9時20分くらいにはもう1億円くらい損してることもあるんですよ。そうすると辛いじゃないですか。朝から。

記者:こういう取引をマネーゲームだという指摘もありますが、ご自身どう思われますか?

B・N・F氏:うーん、そういう部分もあるとは思いますけど。

記者:マネーゲームをやっていると?

B・N・F氏:はい。

▼1月25日

記者:今日はライブドア株をどれくらい買ったんですか?

B・N・F氏:500万株くらいですね。

記者:500万買ったということは7億円ですか?

B・N・F氏:そうですね。7億円ですね。

▼1月26日

B・N・F氏:だいぶ売っちゃったんですけど。400万株くらい売っちゃったんで。

記者:もう売ったんですか? 400万株?

B・N・F氏:はい。

記者:いくらぐらいの損が?

B・N・F氏:5000万くらいじゃないですかね。

記者:5000万円、非常に痛手とかそういう感じはしない?

B・N・F氏:うーん、でもまあ他で儲かったんで、まあ。うーんほんと5000万くらいで済んですごいよかったなあと思ってるくらいなんで。

ナレーション:B・N・Fさんの昼食はこれ(日清カレーヌードル)一つ。お腹がいっぱいになると取引の勘が鈍るといいます。

記者:株式市場とはなんですか?

B・N・F氏:今はほんとだから・・・、うーん、今はほんと中毒みたいな感じだと思うんで・・・。

記者:趣味はどういうものですか?

B・N・F氏:趣味は・・・うーん、なんだろう。特にないですね今は。

記者:彼女は?

B・N・F氏:いないです。

ただのニートだと思うんです。

記者:ただのニート?

B・N・F氏:株の売買してるだけだと思うんですけど。それ以外のものは別にないんで。うーん、ほんと大損するまでは、なかなかやめられないのかなあっていうか。うーん。

~~~場面転換、河原で散歩風景へ~~~

B・N・F氏:儲かった日は、そうですね、散歩とかして。

記者:若くして巨万の富を手に入れたわけですから、何らかの感慨とかあるんじゃないですか?

B・N・F氏:まあ、あんまり実感を持たないようにしてる。実際1億円とか見ちゃうと、1億円損したときとか実感が湧いちゃうと、取引自体も少し臆病になっちゃうんで、まあだからそういう実感は持たないようにはしてますけどね。

記者:夢は?

B・N・F氏:夢・・・うーん、損しないことですね、はい。

▼以下、「ガイアの夜明け」で放映されたBNF氏に関する内容のまとめです

楽天証券を使って株取引を行っている。

・楽天証券のマーケットスピードを使っている。

・マーケットスピードの操作は恐ろしく早い。

・マウスとキーボードは、それぞれ3個ずつ。

・取材当時の資産は120億円

・取材当日8時20分起き

・取材当日の昼飯は日清カップラーメン1個。満腹になると株取引の勘が鈍るとのこと。

ガイアの夜明けの放送によって、ジェイコム男がB・N・F氏だということが判明しました。そして、B・N・Fというハンドルネームから、「2ちゃんねるに書き込みをしていたB・N・Fさん」と「ジェイコム男」が同一人物だったということが判明しました。そういった意味でガイアの夜明けは画期的な番組だったといえます。

2006-02-27

My Trading Life (30)

『売り専』は、清春氏が姿を消すと、今度は、書き手が誰もいなくなった焼け跡の瓦礫のような掲示板になってしまった。時々、清春氏の信奉者たちによる嫌がらせの書き込みがある他は、ほとんど書き込みがなくなった。

奇術師さんは、荒廃した『売り専』でしばらくは書き込みを続けていた。しかし、奇術師さんもやがては姿を消すのだろうなという予感はあった。奇術師さんはトレンドフォローの投資家である。大きな仕手相場が終わった後のダラダラとした下げトレンドにも似た『売り専』の掲示板で、奇術師さんがいつまでも書き込みを続けるとは思えなかった。彼はトレンドに逆らって頑張る人ではない。



奇術師さんの掲示板での最後の書き込みを再録しよう。

華麗な流れるような文体、初心者の人への心遣い、さらりと書きながら、読むたびに新しい発見のある深い内容。奇術師さんは最後の時まで、彼らしさを失わなかった。

決して長い発言ではないし、「黒魔術?」や「株価神聖論」や「Gold」のようにその後何度もネットで語られてきた書き込みでもない。完全に忘れられてしまった発言であり、奇術師さんが掲示板でこの発言を書き込んでから5年近くの間、ネットで再掲されたり、話題になったことは一度もないと思う。

しかし、僕はこの書き込みから多くのヒントを得た。奇術師さんの最後のメッセージとして、言葉は適切ではないがいわば遺言として受けとめた。

下降トレンドにおける空売りでの利益は、上昇トレンドで買いでの利益よりもはるかに価値がある。このことは、その後2年間続く下降トレンドの中で、骨身に沁みるほど知らされることになる。

株式ビギナーが、100万円という資金を持っているとしよう。例えば株価1,000円のAという銘柄と、株価1,500円のBという銘柄があるとする。どちらも1単位1,000株とすると、100万円の資金しかなければ、A銘柄しか購入できない。A銘柄を購入したところ、運良く1ヶ月後には1,500円まで株価が上昇したとしよう。ほくほく顔で利益を確定し、今度はB銘柄を買おうとする。しかし、B銘柄はおそらくすでに2,500円、3,000円と上昇しているはずで買うことは出来ない。

A銘柄で500円幅を儲けたこの株式ビギナーが、買うことの出来る銘柄は、1ヶ月前とほとんど変わることはない。

ただ、当人のうぬぼれだけは間違いなく大きくなっているはずである。おそらくいっぱしの投資家気分で、自分の銘柄選定の技術や売買タイミングの判断に対して、根拠のない自信を持っているはずだ。

おそらく彼は、さらに大きなリスクを取ろうとするだろう。信用取引に手を出すのか、あるいはサラ金で借金をして資金を作るのかは分からないが、よりリスクの高い資金運用を躊躇わないだろう。そして、資金を目一杯張ったところで、大きな下落に見舞われる可能性が大である。

マーケット全体の大波のような動きに、個別銘柄はほぼ従って動くので、実は銘柄の選定は、それほど決定的に重要なことではない。相場全体の大きな上昇であっても、心理的にクールな状態を保ち続けることの方がはるかに大切である。

それでは逆に、一時的な下落の場面で、Aという銘柄を1,000円で空売りしたとしよう。予想通り、相場は下がり続け、そろそろ反転するのかというタイミングで850円で利食ったとしよう。利益はわずか150円幅。しかし、そのときには、B銘柄も大きく下がっているはずで、空売りの利益でB銘柄を安い買値で買うことが出来るはずだ。

株式を資産として考えるならば、上昇トレンドで、50%、100%の利益を上げるよりも、下落の局面で10%、20%の利益を上げることの方がはるかに価値がある。最終的により多くの株式資産を持つことが出来るからだ。



奇術師さんが『売り専』で最後の書き込みをした01年07月05日。そのときの日経平均は12,607.3円。日経平均は2年後の03年04月には、7603円までたたき落とされる。

明らかに風向きは変わり始めていた。嵐はすぐそこまで来ていた。どれほど大きな嵐になるのかは誰にも予想できていなかった。

そして、株価が地を這い続ける地獄のような数年間を、ネットの掲示板に集っていた個人投資家たちは、マーケットの奇術師さんのガイダンスなしで、戦い続けることになった。


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【 タイトル 】こんばんは
【 発言者 】マーケットの奇術師
【 日付 】01/07/05 23:31

日経平均 12607.3 (-21.72、-0.17%、現物)

一時プラスサイドに浮上したのですが、続きませんでした。なかなか上へ行かせて
もらえませんね・・・ただ、昨日地合に引きずられて下げた銘柄は、今日は反発
しているものも多かったです。
12500の攻防という感じですが、このあたりでショートが溜まると、今度はSQに
向けて、上を試しに行く可能性もあるかもしれません。

ボストンさま:
おひさしぶりでございます (^^)
あいかわらずボストンさまらしい、飄々としたご投稿、懐かしく拝見しました。
またよろしくお願いします。

ROM屋さん:
いや〜、ほんとに暑いです。まだ身体のほうが順応していないせいか、こたえます。
今年も早めに夏休みにするかな・・・
相場の方は、おっしゃるように何かいいキッカケが欲しいですね。日銀は短観出して
あとはしらんぷりで、頼りにならないし、困ったものです (^^;
ところで、ROM屋さん、もうすっかりROM卒業ですね。

補足:
> 個人的には、TDKが4000円を割れたら、久しぶりに現物を買い増し
> してもいいかな、と思っています。さすがに無理かな・・・

うーん、ちょっと誤解を招く書き方でしたね。
まあ、山高ければ谷深しで、無いとは言えませんが (^^;
これは単に、私が昔から持っているTDKの平均購入単価が3000円台後半なので、
万一そのあたりまでくれば、絶好の買い増しのチャンスかな、と思っただけでした。
そこまで下がるだろうとか、そういう意味ではありませんです。失礼しました。

以下は余談ですけれども・・・
以前、かの山崎種ニ氏が、どこかで
『買いで儲けた金は使いでがない。本当に値打ちがあるのは売りで儲けた金である』
という意味のことをおっしゃったそうです。売りで有名な相場師らしい言葉です。

たとえば100円の株を1万株買い、200円に上がったらどうするか?
利食ったら100万円の儲けですが、同じ株を株数増やして買い増すことは
できません。また、そういう時はたいてい他の株も上がっているので、利食って
他の株に乗り換えても失敗する可能性が高いです。

200円で売り繋いでおき、100円に下がったところで売り玉を買い戻せば、
同じ100万円の儲けでも、そのお金でさらに買い増し、合計2万株の株主になれます。
あるいは別の株を買うにしても、相場が下がっているところで買うわけですから、
非常に有利だと言えます。

私はこれを聞いたとき、なるほどこういう考え方をするんだなあ、と感心したのを
覚えています。
売買差益を抜くための中間物としてだけではなく、資産としての株式を考えたとき、
上がったり下がったりするからこそ株が資産になる、という面もあるのだということ。
右肩上がりの一本調子の相場の時代とはまた別の、取り組み方や哲学がある、ということ。
いろいろと、考えさせられるお言葉でした。

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My Trading Life (29)

『売り専』の掲示板は、毎日数百の書き込みを消費していった。丸善や東洋エンジの相場の時と比べても桁外れの数である。ザラ場を見ることが出来なくて、夜、掲示板を読もうとしても、ザラ場中の書き込みはすでに流されてしまい、読めなくなっていた。もっとも読むに値する内容のある書き込みは、まったくなくなっていたが。

『売り専』の掲示板を会話の出来ない買い煽りのための道具に変えてしまった草笛こと清春氏に対して、『売り専』の管理人は、何度か警告を発していた。清春氏はそれらの警告を全て無視していたが、ある時、「(『売り専』の管理人は)石井鐵工所の空売りしている」という根拠のない誹謗発言を書いた。

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草笛さん、
以下の私に対する誹謗に対し、余りにも情けなく、掲示板提供者としてもう気持ちは限界です。
抗議の意味でしばらく本掲示板をリードオンリーモードに変更します。
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『売り専』の掲示板の管理人である小型好みさんは、06月09日の8:06のタイムスタンプが付いたこの発言から、20:57の「再開します」までの約半日の間、掲示板をリードオンリーにした。つまり、12時間のあいだ、『売り専』の掲示板は、読むことは出来るが、新たに書き込みをすることが出来なくなったのである。

のちに、草笛こと清春氏は、『売り専』の掲示板を、自分は追放されたのだと吹聴するようになるが、これは彼お得意の情報操作であり、嘘である。彼は別に追放されたわけではない。買い煽りのさなかで、いきなりリードオンリーにされてしまう掲示板では、思うように填め込みを実行出来ないと判断して、清春氏の方が見切りをつけ、そして自由に買い煽りの出来る自ら主宰する掲示板を作ったのである。

そうした情報操作に大きく貢献した不可解な出来事があった。

丸善相場の時に、清春氏の取り巻きを中心に「丸善掲示板」という掲示板が作られていた。『売り専』が半日書き込みが出来なくなった時、清春氏の取り巻きたちはそちらの掲示板で書き込みを始めた。

その掲示板で「小型好み」のハンドルで、清春氏に売り専での書き込みを控えて欲しいという内容の投稿がなされた。

「すいか」という投稿者がいた。

掲示板の投稿者の性別というのは実はよく分からないものだが、常識をわきまえたそれなりの年齢に達した気っぷのいい九州の女という掲示板から受けた印象は、おそらくは外れてはいないと思う。すいかは、清春信者の中では例外的に、冷静な書き込みをする投稿者の一人だったが、時々、掲示板が反清春で埋め尽くされた時とか、清春氏の立場が危うくなった時に、非常に効果的に清春擁護の発言を行っていた。

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【タイトル】小型好み(売り専)さんへ
【 日時 】01/06/09 22:39
【 発言者 】すいか

(前略)

先ほどあなたが丸善掲示板にされた

>売り専掲示板再開しましたが草笛様、御控えください。
>今回の閉鎖は、けじめとして行ったのです。
>草笛様は何のけじめも行っておりません。
>再開はしましたが、投稿は御控えください。

この投稿。怒りを感じます。
掲示板を預かる物として、別の掲示板に投稿するさい、挨拶もなく、
今の状況でこのような投稿をすれば丸善掲示板が荒れる可能性がある事を十分承知の上での投稿。
すでに去っている者を、追いかけてきてまでのこの投稿は、
他の掲示板を思いやる気持ちもない、
自分の掲示板さえ守れればそれで良い者の、私怨の投稿にしか見えません。

丸善掲示板の管理人さんは、度量の広い方で、丸善掲示板投稿者の全ての方に愛されています。
迷惑をかけるような投稿はなさらないで下さい。
即刻自ら削除を求め、投稿なさりたいのなら、ご自分の掲示板に書きなさい。
一管理人として、あまりにも分別のない投稿は、
あなた自身を小さな人間に感じさせてしまいますよ。よくお考え下さい。

(後略)
>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>

この発言は決定的だったと思う。せっかく『売り専』であれだけ多くの書き込みをして貢献してきたのに追放されるなんて、清春氏はさぞかし無念だろう。多くのネットトレーダーはそうした印象を受けただろう。

「すいか」がこの石井鉄工所の相場で果たした役割は何だったのだろう。そして、小型好みさんのハンドルを使って、草笛こと清春氏に発言を自粛するよう書き込んだのは誰だったのだろう。


石井鉄工所の相場は、個人投資家たちの大きな敗北で終わる。相場に参加したほとんどの者は、財産を失いマーケットから追放されるが、清春氏はしっかり生き残った。しかし、被害者達の怨嗟の声は、その後、何年もくすぶり続け、清春氏が主宰する掲示板には、時々、清春氏の元信者による告発の発言が書き込まれ続けた。

>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>
【タイトル】・・・・・
【 名前 】掲示板犯罪者撲滅誘導隊
【 日付 】2003/11/03 23:40:13

いまだに自分は一連の草笛はめ込み事件に関係ないと出てくる信者の神経がわからない。
自分に罪の意識がかけらも無い、すいかよ、お前のことだ。
何度も他の人が指摘しているが草笛事件は草笛一人の責任では決してない。
共同正犯として過去、そして現在もその信者の存在の責任は重い。
すいかはその代表と言える。
素人は草笛の言葉よりも、一般の人を装ったすいかに騙されたのだ。
ミチはいかにも信者とわかる言動で危険を感じたROMも、いかにも普通の草笛ファンを装った
すいかには皆嵌め込まれた。 草笛はその指名をすいかに託したのだ。
草笛を批判する者が現れれば、すいかが現れ一般の人間になりすまし、反論する。
それを草笛は絶賛する。 この構造が一般の人を惑わせ、ついに嵌め込まれたのだ。

草笛は心ある人に批判されても、すいかはいつも第三者的感覚でアンチ草笛を非難している。

こんな馬鹿な話がどこで通用するのか、すいか自体が共犯なのは被害者全員が知っていること。
ただ被害者の人々は、それを書き込みも出来ないでいる。
ここで草笛に文句を言えるのは相当勇気のある人たちだけ、多くの人は何も言えず泣き寝入りしていることをすいかは知っているのか。

すいかよ、草笛が会員と称して会費を集め、投資指南をしていたのを知らなかったとは言わせない。
>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>

そして、この告発の後、「すいか」はネットから姿を消した。

2006-02-26

My Trading Life (28)

この世の中で生きていく上で、金は何よりも大切なものであるはずなのに、人は、金のことになると、愚かで浅ましい選択をすることがある。大きなリスクをかけて、ギャンブルすることを躊躇わない。そして僕自身もその例外ではないのかもしれない。

丸善相場が一段落した2001年のはじめ、清春氏は「草笛」とハンドル名を変えた。もっとも彼のやっていることは、その前後で何一つ変わったわけではないのだから、これからもこの回顧録では彼のことは、清春氏、あるいは草笛こと清春氏と呼ぼうと思う。

東洋エンジ以降の数ヶ月間、草笛こと清春氏が掲示板で推奨する銘柄はどれもこれも、気味が悪いくらい上昇した。

前場の中ごろに、突然、清春氏によって、名前も聞いたことのない銘柄が、推奨銘柄と称して『売り専』の掲示板に書き込まれる。軍国主義風のアナクロな口調での買い煽りの発言が矢継ぎ早に並び、清春氏の取り巻きたちが、清春氏の口調を真似た書き込みでそれに応える。株価はそれを合図にするかのように、もの凄い勢いで上昇を初め、大引けでは数十円高で引ける。

その日の夜の掲示板は祭りのようだ。清春氏とその取り巻きたちとの勝ち誇った有頂天の書き込みで『売り専』は埋め尽くされる。

翌日、ザラ場を見ることが出来ないで夜に「推奨銘柄」を知ったサラリーマン投資家や、半信半疑の目で掲示板を眺めていた者たちや、さらには、チャートを見て急騰を知った投資家たちの買いが入り、さらに株価は上昇していく。『売り専』では、途方もない高値の目標株価が囁かれはじめ、そして、それまで掲示板で書き込んだことのない者たちが「はじめまして」「買いました」などのタイトルで掲示板で書き込みを始める。

途中で大きく調整の場面があると、今度は、清春氏たちを揶揄する人たちの書き込みが掲示板に雨後の竹の子のごとく並び、それに対して清春氏の取り巻きたちが反論を加え、やがて掲示板は戦場のようになっていく。そして、株式投資とは「売り方と買い方」「零細個人投資家と悪徳機関投資家」との戦いであるかのような情報操作がなされていく。

戦場となってしまった掲示板で、清春氏擁護の発言をしてしまったものは、「買い方」としての仲間意識を持ってしまう。そして、高値で売り抜けることに「心理的な疚しさ」を感じてしまう。高値で冷静に売り抜けるのは、本尊だけであり、彼はまた、次の銘柄の買い煽りを始める。最後に飛び込んできた者たちは、高値で掴まされ逃げることも出来ずに、やがて姿を消していく、掲示板から、そしておそらくは株式市場からも。

掲示板の書き込みから伺われるのはそうしたことである。

ただ、背後にあったのはそれだけではなかったようだ。

清春氏を中心に投資グループのような組織が作られつつあり、幹部と呼ばれる清春氏の側近たちがいた。そしてのちに明らかになるのだが、会費を払って情報を先にもらっている「会員」もいた。掲示板での書き込みだけではなく、電話やメールでのやりとりも活発になっていたようだった。

買い煽りのさなかに、突然、浜崎あゆみや倉木麻衣のヒット曲の歌詞が、フルコーラス掲載されたりすることがあった。あらかじめテキストファイルで作ってあったものをコピー&ペーストで貼り付けているのだろうが、あれは、会員たちに向けた「売れ」の合図だったんじゃないのかと僕は疑っている。

チャートを見ると、さらに別のことが分かる。株価は推奨の日に突然吹き上げるのだが、推奨の数日前からぼちぼち買いが入り始め、じりじりと上昇を続けていることが分かる。まず、本尊は少しずつ仕込みを初め、そして、幹部や会員に買わせ、そうした買いが、だんだん大きくなって、そろそろ吹き上げるぞというタイミングに合わせて、掲示板で買い煽りを始め、相場を作っていったのだ。



そして、うまく利用すれば、清春氏の推奨銘柄は面白いほどよく儲かった。

その前年、ストイックに投資技術を磨いていったことが、まるでばかばかしく思えるくらいに簡単に資産が増えていった。ロスカットもいらないし、チャート分析も必要ない。清春氏の買い煽りが始まった翌日くらいに買いを入れ、煽りが激しくなり、ザラ場中に突然、倉木麻衣の歌詞が掲載される頃に、ばっさり売り切ってしまう。それだけで数日で2割3割の儲けは軽かった。

いい加減なタイミングで提灯を付けていた僕でも、この時期、清春氏の推奨銘柄で数百万儲けたのだから、清春氏本人、そして、清春氏の取り巻きの幹部たちは、数倍に資金を膨らませたことだろう。

そして、その潤沢な資金は、ある大きな相場でぶつけられることになる。



草笛こと清春氏が石井鉄工所の買い煽りを始めた瞬間は、他の銘柄の時とまったく違っていた。前場の途中で突然始まる狂ったような買い煽りではなく、深夜の長い書き込みの中で、突然、前後の文脈と関係なく、その名前が出てきたのである。

掲示板巡回ソフトで当時の過去ログはある程度保存してあるのだが、草笛こと清春氏が最初に石井鉄工所の名前を掲示板に書き込んだのは05月18日、0:13と深夜のタイムスタンプの付いた「信じる者だけが救われる」という長文の書き込みの中だということが分かる。

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【タイトル】信じる者だけが救われる
【 日時 】01/05/18 0:13
【 発言者 】草笛

(前略)

僕は今後も銘柄の推奨中心に投稿いたします。当たっても何の得もなく、外れれば雨あら
れの非難を浴びる精神苦行の道でございますが、自分の心を磨き、世の中の縮小貧乏に泣
く人々に一縷の希望の光をお届けできれば、それにすぐる幸せはございません。何も求め
ない、ただひたすらに与えつづけることこそ究極の愛、真心、悟りの世界でございます。

6362石井鉄工所193円。この株は有望です。絶好の釣り場になるでしょう。
釣り糸を垂らすのは、あなたです。釣り竿は安物でも、十分釣れることで
しょう。あなたのクーラーボックスが大漁ではちきれんばかりになるシーンが目に浮かび
ます。心に曇りのない者、信じる美しい心を持つ者だけが救われるのでございます。
千手観音様のように千の手で幸せを思いのまま、掴み取りしてくださいませ。

草笛はたとえ荒野の雑草の中に憤死して、自らの生を人知れず終わるとも
心はいつも縮小貧乏に泣く人とともにあります
あなたは決して一人ぼっちではない。売り専1万人の仲間があなたを見守っています
僕がもしもこの世界から消え果てても、聖戦を戦い続ける勇者がきっと再来する信じています

(後略)

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まあ、何とも調子の良い、いかにも詐欺師然とした、あまりにも怪しい口調の書き込みだが、こんな書き込みに乗せられる奴らが居るというのは、当時もまったく理解できなかったが、今読み返しても理解できない。騙されるのが好きな人がいるとしか思えない。半年後、投資家達の大虐殺のようなフィナーレがおとずれる。「信じる者だけが救われる」のではなく、信じた者たちは皆破滅したのだ。そのことを知っているだけに、このあまりに軽い言葉は今読み返すとちょっと寒気がするほどだ。

もっとも、この発言を初めて読んだ時は、「えっ、石井鉄工所って、それ何?」と非常に不思議な感じがした。当時、清春氏は石川製作所という銘柄の買い煽りをやっていたので、銘柄を間違えて書いたんだろうかというのが第一印象だった。清春氏の推奨銘柄は、いつもはとりあえず1,000株買ってみたのだが、このときはすぐには買わなかったと思う。

翌日から、石井鉄工所は、上昇を始めた。ただ、当初は出来高が少なく、「草笛が一人で買っているんじゃないのか」という揶揄する発言も巡回ソフトの中に残っている。


そして、突然、掲示板の空気が変わった。

それまでは、草笛こと清春信者というのは、ネットで自然発生的に集った投資家たちの集団だった。ネットの外の仕手集団や解体屋とのつながりが噂されたことはあったが、少なくともネットでの書き込みに彼らの気配は感じられなかった。ところが、石井鉄工所の相場の時は、明らかに質の違った人たちが突然大量に入り込んできた。まったく見覚えのないハンドルで、口調も清春氏に瓜二つの軍国主義調の書き込みが、これまでの数倍の量で書き込まれ、掲示板の過去ログはもの凄い勢いで消費されていった。もはや、掲示板は議論や話し合いの場ではなくなっていった。

確かなことは分からないが、だいたいは想像がつく。おそらく、清春氏とつながりのある何らかの投資グループが、個人投資家の財布を狙ってネットに飛び込んできたのだ。そうした仕手たちは、煽るだけ煽り、100円、200円の利益を掴んで去っていった。

そして、正気をなくした個人投資家たちが取り残された。

株価は大きく乱高下を始めた。清春氏の取り巻き達とそれを揶揄する者たちの、言葉のやりとりはだんだんエスカレートしていった。

当時の、掲示板の雰囲気を示す書き込みを2つほど載せてみよう。

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【タイトル】俺はとことん行くぜ
【 日時 】01/06/05 13:45

まさかの下げだが、こんなとこでびびっていたら敵の思う壺だ。
俺はどんどん買ってるぜ。 汚い売り屋には絶対に負けないよ。こんなに期待できる株は無い
こんなところで売るくらいなら、この株は最初から買わない。
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【タイトル】同志達よ
【 日時 】01/05/29 19:28

俺は、金儲けのために石井鐵工に関わったのではない。約25年程前に株式市場に関わって以来、常に零細個人投資家は冷や飯を食わされてきた。行政すらも産業界の保護はするが零細個人投資家は相手にしなかった。こんなことで民主主義国家といえるのか、と何度叫んだことか。
石井鐵工は、個人投資家の存在証明と受け止めている。金が儲かったとしてもそれは結果に過ぎない。目的は、個人投資家の解放にある。幸いネットによって、従来一部の権力者しかもてなかった情報をやつらと対等に、しかも時間的誤差もなく入手することが出来るようになった。ネットが、第3の波の革命ツールであるとすれば、石井鐵工はこれまでいいように踏みにじられてきた個人投資家による、既成の体制化でぬくぬくと利権に浸っている豚どもへの挑戦状であり、怒れる庶民の市民革命である。

同志達に告ぐ、俺には勝つ確信がある。共に立ち上がろうじゃないか!!
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まるで、革命前夜である。(^_^;)

あえて、投稿者の名前は外したが、これらの書き込みをしたのは、石井鉄工所の相場で、いわゆる「石井戦士」として戦い、数百万、もしかしたら数千万単位の大損をして、その後やがて清春氏批判に転じた者たちである。

「敵」とはいったい誰のことなんだろう。「汚い売り屋」とはいったい誰のことなんだろう。冷静に考えたら、そんなものはどこにもいないのだ。確かに「汚い売り屋」は敵かもしれないが、「同士達」も実は敵なのである。いや、「汚い売り屋」は株価急騰で踏みあげの買いを入れてくれる心強い味方なのかもしれない。同士達こそ実は、相手を出し抜いて売り逃げることで利益を得ようとしている敵なのだ。

清春氏の最大の問題は、買い煽りということよりも、「戦争の比喩で相場について語ること」にあると思う。株式相場は、買い方と売り方の戦いではないし、個人投資家と機関投資家の戦いでもない。買い方は同士ではない。売り方は敵ではない。個人投資家は、皆、たった一人で、株式市場という大きな戦場で戦い続ける孤独な兵士だ。不十分な知識と貧弱な武器を抱えて、暗闇の中、戦い続ける孤独な少年兵である。

ここまで書いてきて、ふと思ったのだが、株式投資の経験がまだ1年2年の投資家は、もしかしたら上の2つの発言の投稿者の心理状態をまったく理解できないかもしれない。わずか5年前のことである。この5年間で、投資家のメンタリティーは大きく変わったと思う。

あの頃、1年前のITバブルの崩壊はまだ生々しい記憶として残っていたし、当時、株をいじっている者は、1990年のバブル崩壊の生き残りが多かった。かろうじて生き残って来たものの、皆、深い傷を負っていた。「株式市場で自分たちは長い間騙され続けてきた」という被害者意識は、当時の多くの個人投資家が共有していた。自分たちは株式市場や国の証券行政や外国人投資家に騙され、翻弄されたという怨念の気持ちを、多くの投資家が持っていたのだ。

清春氏の書き込みは、そうした人たちにとても心地よく、そして勇ましいものに響いたのである。ネットの力はまだ未知数だった。ネットで個人投資家が結集して、大相場を作る。そんな妄想が多くの投資家には魅力的に響いた。「石井鉄工所の相場で個人投資家のリベンジだ」という主張が受け入れられる土壌はあったのだ。

しかし、ネットにそんな大きな力はなかった。「売り専1万人の仲間」と清春氏の書き込みにあるが、当時、株式関係の掲示板で最もアクティブな掲示板であった『売り専』ですら、一日のアクセス数は1万ほどでしかなかった。しょせんコップの中の嵐でしかなかったことはのちに明らかになる。

さて、最後に、この頃の僕自身の書き込みをひとつ貼ってみましょうか。

このタイムスタンプの05月30日には、僕のHDDには100あまりの発言が残っているが、その中でまともに対話が成立しているのは、僕と奇術師さんのレスのやりとりだけである。それ以外は、血なまぐさい戦争の比喩で、石井鉄工所という相場での戦いについて、上に引用したような狂った妄想の言葉が並んでいる。

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【タイトル】こんばんは
【 日時 】01/05/30 0:23

奇術師さんへ

>ノイズが多いのはしょうがないですね、ははは (^^;

市街戦が繰り広げられる内戦の街のカフェで、時々飛んでくる弾丸やら、聞こえてくる爆
音やらに首をすくめながら、悠然と紅茶をすすって議論しているような気分。まあ、これ
はこれで、面白いですけどね。こうなりゃ、閉店の時間まで粘ってやるぞと、僕は覚悟を
決めました。(笑)

しっかし、相場って、売り方と買い方のバトルじゃないと思うんだけどなぁ...。

結局、大事なのは...

1.リスク管理を慎重に行うこと
2.自分の心理状態をコントロールして、衝動的なトレードを極力控えること
3.自分に相性のいい銘柄を見つけること

ということに尽きると僕は思いますけどね。まあ、いろんな投資のやり方があるのだとは
思いますけど。
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今読み返してみると、なんというか、そろそろ投資スタンスが固まりつつあるなあというのが、自分でも分かって、とても嬉しいし懐かしい。奇術師さんに心酔しつつ、一方で清春氏とは微妙に距離を置きながらも学べるところは学び、1年あまり『売り専』の掲示板を読み、考え、そして時々書き込みをしながら、僕は徐々に投資スキルを身につけていったのだと思う。

しっかしなあ。。。

1日100発言のうち、ほとんど全てが上で引用した「同志達よ」や「俺はとことん行くぜ」のような、何かに取り憑かれたような、熱でうなされたような、戦争や革命のレトリックを使った狂気の言葉たちで、そのなかにぽつんとひとつ、僕のこんな発言が取り残され、もちろんレスもまったく付かない状態で放置されているわけです。そんな掲示板って、想像できますか。(^_^;)

2006-02-21

週刊 SPA!

  • やめられないんです。
    中毒なんですよ。
    いくら儲かっても損することのほうがショックで、すぐに取り返したくなる。
    だから一日が長いんです。
    長くて、本当に辛いんです。
    大損するまでやめられないでしょうね。
    もしやめたとしても、日経平均が上がるのを見て、その分「損した」と、また自分が辛くなるのがわかってますから。
  • 大きな買い物はこの家と、新車のマジェスタ、パソコン 3 台ぐらい。
    お金を使うの好きじゃないし、使い方もよくわからない。
    今は株のことで土日も頭がいっぱい。
    人といても落ち着かないから、外出も近所を散歩する程度。
    今一番の望みは、株をやっていなかった学生時代のような、普通の暮らしがしたい。
  • 就職しないまま実家でパラサイト生活ですし、「株ニート」と批判されても、製造業で伸びてきた国ですから仕方ないでしょう。

2006-02-11

週刊ダイヤモンド

  • プロだったら慎重になり過ぎて失敗する局面でも、自分は素人同然だから強気を押し通せる。
  • 無理に背伸びをせずに、自分にしっくりくる投資法で、腰を据えて取り組むのが王道。

sabra

  • ジェイコム株は誤発注とは気づかなかったんです。
    前評判よりかなり安くなったから買っただけで。
  • (「資産があっても、一度にジェイコム株 34 億円の注文は普通の人は出せない」と聞かれて)そうかもしれません。
    なぜ多額の注文を躊躇なく出せるのか聞かれますが、心理が関係してると思います。
    僕は、大学生から株を始めて、卒業前にはすでに 1 億円以上持ってました。
    そこまで増やせた理由は、学生だったから、としか言えません。
    いつも、株でお金がなくなっても就職すればいいや、という気持ちでしたから。
    今もそうですが(笑)。
    もし、僕に扶養家族がいたら大きな取引はできなかったでしょう。
  • (「お金の感覚が麻痺しているのでは?」と聞かれて)それも違います。
    なくなってもいいと思っていれば、大きなリスクが引き受けられるんです。
    株取引では本当に気持ちが重要です。
    そこを理解せずに、単に、株で儲けた人の本を読んでマネても役に立たない。
    たとえば、損切りでも、取引している資金量や、その金額がおよぼす個人の感情の変化によって判断基準が変わってきます。
    その感情の変化は、儲け本を書いている人とは全然違う。
    結局、自分に合った方法でしか儲けられないんです。
    僕も、IT バブルのときには大損したし、試行錯誤しています。
    努力しないで儲けることはできません。

2006-02-02

週刊文春

  • 日経平均は年初から横ばいでしたが、新興市場がすごく良かった。
    だからこの辺の銘柄(パソコン画面上の新興企業銘柄群を指して)を買っていた。
    まあ、ここ一年、相場が良かったので、悪かったときのことを忘れていたんです。
    前日(一月十七日)朝も大きい損失を出したけど、引けには九千万円ぐらいまで戻していたので、持ち続けずにそこで収めておけばよかった……。
  • 堀江さんは相場に関係ないんじゃないですか?
    相場は自己責任ですから。
    例えば資金のうち八十億円を昨朝(明朝?)に持ち越し、一パーセント下がれば八千万円の損失の世界ですから。

2006-01-25

テレビ朝日「ワイドスクランブル」

▼番組内容紹介

2006年1月16日、東京地検特捜部が証券取引法違反容疑でライブドア本社に強制捜査を行い、これを受け翌1月17日、株式市場が暴落しました。いわゆるライブドアショックです。

この番組では、B・N・F氏がライブドアショックでどんな影響を受けたか取材しています。以下、取材記者とB・N・F氏のやりとりです。

B・N・F氏:これ(ジェイコム株誤発注事件の当日)9時28分に最初買って、44分にはもう売ってるんですよ。

記者:利益は?

B・N・F氏:20億円くらいですかね。

記者:ライブドアショックの影響はありました?

B・N・F氏:新興のIT関連とか不動産関連とか持ってたんですけど、3億円以上は損しました。これ以上の悪材料はもう出ないっていう風に思えば、それで株価が上がっていけば、まあ、心配がなくなるというか・・・。まあ、先を行くんですよ株式市場は。

記者:投資家にとってその会社の中身は関係ないですかね?

B・N・F氏:短期の人は意外と気にしない人もけっこう多いですよ。良い会社は株価も常に高いし、悪い会社は悪い会社で安いんですよ。まあ、だから短期の場合はそっから上がるかどうかなんで関係ないんですよね。

この2時間でこれだけ買ったんですよ。含み益ですけど儲けが5000万くらいですかね、今日は。自分がいくら儲けたいからといって相場が都合よく動くわけじゃないんで、一日一日がんばるしかないかな、ぐらいしかないですね。

なお、番組キャスターの発言によると、B・N・F氏は、

  1. ライブドアショックで損した3億円も翌日には取り戻した。
  2. 必ず午前9時前に起きて相場をみるために、枕元には目覚まし用の電波時計を3つ置いてある。

とのことです。

「虎年の獅子座」さんのサイトによると2006年1月24日の東京株式市場は、日経平均株価が前日比+288円(+1.88%)となったリバンウド相場でした。B・N・F氏はこの日5000万円儲けています。

B・N・F氏はリバウンド相場に非常に強いという印象です。映像を見るに、この日は新興市場のIT銘柄を中心に売買を重ね利益を生み出した模様。この頃はまだ新興市場も売買が活発でした。

2006-01-24

FLASH

  • 誘拐が怖いから顔は出しません。
  • インテリアとか関心がないんですよ。
    ゲーム?
    昔はやりましたけど今は興味がないですね。
    暇もないし。
    だって、午後 3 時に市場が終わると、どっと疲れるんですよ。
    それくらい精神の消耗が激しいんですよ。
  • あの日はほかの株を見ていたら、新規上場のジェイコム株が目にとまったんですよ。
    目に飛び込んできた株価は 53 万 2 千円。
    ええっと思いました。
    150 万円ぐらいを想像してましたから。
    とりあえず 50 株買ってみたんです。
    さらに 50 株買って。
    するとまだ買える。
    変だなぁと最後に思ったところでその日の相場が終わったんですね。
    夜、ニュースを見るまで騒動は知りませんでした。
    ああ、みずほがミスったんだなぁと。
    22 億円といっても通知があって口座に金が振り込まれただけなんで、実感が湧くのはこうやってマスコミが押し寄せてくることぐらいですね。
    でもそれどころじゃないんで(マスコミには)対応しないんですけど。
    毎日株ばかりで精神的に苦しいし、常識もよくわからないので対応できないんです。
  • (大学時代に株取引を始め)意外と利益が出てこれだけで生活できるじゃないかと。
    就職もパスしました。
  • 株なんて知らなければよかったなんて思うこともあります。
    寝ボケた頭でモニターの前に座ったら、いきなり 1 億円損してたなんてふつうですからね。
    1 億円損したら、ほんとヘコむんですって。
    何をやっても気分が晴れない。
    三菱自動車をダイムラーが売却したときは、あおりで 1 億 3 千万円赤になって眠れなくて……。
    けっきょく儲けるしかないんですよ。
    本当に辛い……。
  • 必勝法を知りたい?
    僕の言うことを聞いて損したらどうしようもないでしょう。
    実践あるのみ。
    それで自己流を身につけるしかないんです。
    僕は世の中の動きはニュースを見ないので知りません。
    よけいな情報はいらないから。
    見るのは、株価のモニターだけです。
    具体的には先物相場の株価。
    すべては数字に出る。
    チャートを観察していれば本当によく分かりますよ。
    それについていくだけなんです。
    六本木ヒルズですか?
    興味ないですね。
    贅沢品といえば、この家くらいですかね。
    趣味は株かなぁ。
    旅行も行きません。
    酒を飲んでいても株価が気になるんで。
    昔は 2 ちゃんねるにも書き込んでたんですが、しなくなりましたねぇ。
    将来は本屋さんがいいな。
    好きな本を読みながら一日過ごせそうで。
    親からも早く株をやめろと言われてるんですが、なかなかやめられないんですよ。

2006-01-22

My Trading Life (27)

この記事は実は先週の日曜日に書いたものだ。

ブログの記事は、たいてい、書き終えたら即アップするのだが、『My Trading Life』はちょっと気合いが入っているので、一晩寝かせて、翌日、もう一度読み返してからアップすることにしている。ところが先週は月曜日にライブドア家宅捜査があり、その後、相場が大波乱を演じてしまったので、この記事の中で、「予想」として書いていることが、少し異なった形で「事実」となってしまったために、書き直さなければならなくなっていた。

週末にでも全面的に書き直そうかと考えていたのだが、いまあらためて読み返してみると、まるでこの記事全体が「先週末の僕」から「現在の僕」に向けたメッセージのようにも読めることにちょっと驚いている。

ちょっとタイミングのずれた部分もあるのだが、あえてこのままアップしてしまおうと思う。

先週末の段階で、僕は「もうすぐ」「何か」が起こることは予想していた。占い師ではないのだから、「もうすぐ」が「翌日」で、「何か」が「ライブドアの家宅捜査」だろうとは全く予想もしてはいなかったが、しかし、IPOバブルの終焉を告げるような何らかの事件が起きるであろうこと、それをきっかけに相場が軟調になるであろうことは、煮詰まったチャートを読めば予測できた。

いつも書いていることだが、「材料が相場を動かすのではなく、相場が動きたい時に材料が生じる」のである。あるいは、別の言い方をすれば、マーケットの動きたい方向というのがあって、何らかの事件が生じた時に、マーケットはその動きたい方向へと材料を吸収していくのだ。

ライブドアの家宅捜査がなかったとしても、早晩、新興株が先陣を切る形で、トレンドは変わっただろうと思う。その数日のずれによって、破滅する投資家、破滅を逃れる投資家がいるわけで、投資家にとって数日のずれは決定的に重要ではある。しかし、大局的な流れは、個々の出来事や事件などが作るわけではないのだ。そして、大きな流れにあらがうことはできない。トレーダーはトレンドを味方につけるようにと、ポジションを築いていくべきなのだ。

さて、話は2001年、前年春のITバブルの崩壊から1年近くが経過し、相場が徐々に立ち直りつつあるかに見えた頃である。




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今の相場だと、資産規模1千万円程度では、完全に鼻くそ扱い、度胸のあるデイトレーダーなら一日で稼ぎ出してしまう金額だが、2001年当時、200万円を1年ちょっとで1千万円にしたというのは、それなりにりっぱな数字だったんじゃあないかと思う。

相場環境は完全に逆風だった。1年前、ITバブルのど真ん中で、羽振りをきかせていたネットトレーダーたちは、ほとんど全て姿を消していた。高値では24万円した光通信の株価は、1,000円台にまで売り叩かれていた。

狂乱相場の後の宿酔は無惨である。

現在のIPOバブルも最後は悲惨だろうと思う。ストップ安売り気配が何日も続き、売りたくても売れないような事態が、おそらくもうすぐ訪れるはずである。東証一部をいじっているトレーダーはしばらくは対岸の火事を高みの見物していられるだろうが、やがて火の粉はこちらにも回ってくるだろう。対岸で悲鳴が上がったら、すぐに逃げ出すことだ。

それでも、2001年の春、ようやくマーケットは底が見えたように感じられた。日経平均は2月末に12,000円を割った後、急速に戻しつつあった。どうやら1年近くにも及んだ下げ相場はトレンドを転換し、再度、上昇へと向かいつつあるらしかった。

僕はそれまで何とか空売りを中心に凌いできたが、空売りのポジションを徐々にクローズし、買いへとスタンスを移動していった。

さて、この時期の印象に残っている思い出をいくつか書いておきたい。ひとつは『マーケットの魔術師』の「株式編」を発売直後に航空便で取り寄せて、2日間、ほとんど徹夜状態で一気に読み上げてしまったことである。トレードを学ぶことに対して、この頃は本当に真剣だったと今あらためて思う。

そして、『マーケットの魔術師』の「株式編」は実に面白かった。「正続編」は、トレードの道を究めた聖者列伝といった趣の本だったが、株式編は、なんというか「変な奴大集合」みたいな、こんな方法でどうして儲かるんだろうというトレーダーが次から次と紹介されていた。

結局、トレードに誰もが従うべき普遍的な正しい方法なんてないのである。自分にあったトレード法、自分が十分に資金と心理をコントロールできるトレード法を見つけること、それが大切なのである。そうしたことが、この本を読んだあとで確信に変わった。

『マーケットの魔術師:株式編』の読後感は、読み終えた直後に「売り専」の掲示板に書き込んでいる。とても懐かしい発言なので、再録してみようと思う。株式トレードビギナーの頃のワクワク感が十分に伝わる書き込みなので。(^_^;)

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【 タイトル 】Stock Market Wizard
【 日付 】01/03/04 16:29

皆さん こんにちは!!

1ヶ月ほど前に紹介させていただいたジャック・シュワッガーの新作「Stock
Market Wizards」ですが、昨日と今日で一気に読了してしまいました。

これは面白い!!

僕はアマゾンドットコムで2割引で買いましたけど、丸善信者の人は、丸善で
買うといいでしょう。アマゾンの倍の値段で売ってますので、丸善の売り上げ
に大きく寄与し、株価の上昇にきっときっと多大な貢献することでしょう。
(笑)

これまでの「マーケットの魔術師」2冊に登場していたのは、神のごとき高み
にいるトレーダー達という印象だったのですが、今回の本は、彼らよりは少し
だけ身近に感じられるトレーダーの記録です。
(といってもまだまだ雲の上だよ。)

トレーディングスタイルはこれまでの2冊以上に、多様で、個性的で、むちゃ
くちゃで、ホント面白い。

オプションの「買い」で堅実に稼ぎをだしていく牧場主の話しとか、どこの会
社に行っても上司とぶつかり合ってた女性が、空売りオンリーのトレーダーと
して大成功する話しとか、ホントに、こんなやり方で儲かるのかなぁと、若干、
半信半疑でもあるのですが、でもやっぱり自分の性格に合ったトレーディング
スタイルでやれば、うまくいくんだろうなぁと納得させられるのです。

あと、目からウロコというか、正直、笑ってしまったのが、狙いを付けた会社
のCEOだの関係者に電話しまくるというトレーダーですね。彼は売買すると
きにチャートを見もしないのだそうです。(ホントだろうか...。)

どなたか日本版のこんな本、出してくれないかなぁ。草笛さん、奇術師さん、
XXさんなどなど、「魔術師」の候補選手はこの掲示板に何人もいらっしゃい
ますね。

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そして、この時期に、もう一つ、とても印象的な書き込みを掲示板で読んだ。奇術師さんの「Gold」というタイトルの書き込みである。この発言もその後何度も読み返したし、そして大きく影響を受けた。「そう、プロにとって、金市場は売るためにあるのです。」という奇術師さんの口調も実に懐かしい。

奇術師さんの発言はどれもそうなのだが、読み返すごとに新しい発見があり、印象が変わってくる。この発言も、金相場のその後を予言したというよりも、どんな相場であれ、大局的な流れにつくことが大切なのだと教えてくれているのだと思う。

長期的なトレンドが上向きの時にこそ株を買うべきだし、FXに挑戦するならば、スワップ金利というハンディが与えられる外貨の「買い」で狙うべきだし、無限に増え続ける不思議な商品である金より、実需要のあるプラチナを買うべきなのだ。つまり、常に少しでも有利な側について、トレードをすることが大切なのだと思う。

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【 タイトル 】Gold
【 投稿者 】マーケットの奇術師
【 日付 】01/02/04 21:46:51

ヴォルテールさま、ハント姉妹さま:
個人的には、貴金属の長期定額購入をなさるなら、金よりもプラチナを
お勧めしたいです。休日モードということで、少し詳しく述べてみます。

金というのは、不思議な商品です。いや、商品とは言えないのかもしれません。
なぜなら、金には、本当の意味での需要、つまり実需というものがあまり
存在しないからです。

この世に存在する「商品」とは、すべて消費されるために生産されています。
採掘された原油は精製され、燃料や石油化学製品原料として消費されます。
生産された穀物は、飼料や食料として消費されます。
非鉄金属も、繊維も、鉄鋼も、セメントも、紙も木も、すべて同じことです。
そして、消費という需要と、生産という供給のバランスするところで最終的な
価格が決まります。『需給に勝る材料無し』というのは商品界のことわざですが、
一時的に思惑で相場が動いても、結局のところは需給関係が価格を妥当なところへ
収斂させて行きます。

金以外の貴金属には、宝飾品としての需要以外に、それぞれ工業物資としての
重要な用途があります。
銀は写真感光剤や抗菌剤としての、プラチナやパラジウムは触媒や電極材料としての
需要が、総需要の半分以上を占めています。
ところが金には、そういった実需がほとんどありません。せいぜいメッキや歯科材料
程度のもので、「需要」の大部分は宝飾品・投資・退蔵需要です。
しかも金は化学的に安定な物質で、錆びたり腐ったりしません。
ソロモン王やミダス王の昔から、永久にそこに存在するのです。
これを言い替えますと、世界中の金鉱山から採掘される年間約4000トンの新産金の
かなりの部分が、地上在庫として毎年繰り越されて行くということです。

要するに、穀物は食べたら消滅します。石油は燃やせば消滅します。
しかし、金はあまり消滅せず、地下から掘り出された金が毎年どんどん地上に
あふれかえってくるのです。「不思議な商品」とは、そういう意味です。
ですから、はっきり言えば金価格は毎年下がるのが当然なのです。

そう、プロにとって、金市場は売るためにあるのです。永遠の戻り売り銘柄と言っても
過言ではありません。

ニクソンショック以後の現代は、もはや金本位制の時代ではなく、実物通貨としての
価値は幻想になっています。つまり、昔は、金の本質的価値に「通貨的側面」という
プレミアムが乗っていたわけですが、それが徐々に剥げ落ちてきているのです。
一挙に急落しないのは、それがいまなお消費者の「共同幻想」に支えられている
からに過ぎません。

産金会社や商社、貴金属商、宝飾品業者などは、こういうことは口が裂けても言いま
せんけど、彼ら自身は常に市場で売り方に立ち、大規模なヘッジ売りをしています。
南アや豪州の鉱山会社がCOMEXでどれだけの売り玉を持っているか、あるいは
純金積立を派手に広告している商社がTOCOMでどれだけの売り玉を持っているか、
調べてご覧になれば、おそらく驚かれることと思います。
彼らが必要としているのは、富の象徴というイメージに幻惑され、自分たちの売りに
喜んで買い向かってくれる消費者なのです。

金地金は、持っているだけでは利息を生みません。各国の中央銀行は、準備資産として
莫大な地金在庫を持っていますが、それを貸し出してリース料を取り、利息の代わりに
しています。
しかし、その貸し出された地金がフォワード売りを生み、ますます金価格の低迷を招く
結果になっています。近年、欧州の中央銀行が相次いで保有金の売却をしているのは、
通貨的側面というプレミアムが消滅した金を大量保有する意味が薄れているからです。

株に例えて言いますと、万年無配のくせに毎年定期的に公募増資をする会社の
ようなものです。大株主たちは、株を貸し出して貸株料を受け取っていますが、
需給悪に加え、その貸し株がまた慢性的な売り圧力となる悪循環で、株価は
いっこうに上がりません。
それでもおおかたの大株主たちは、昔からのしがらみもあるので、なかなか持ち株を
売りに出すまでには至っていません。しかし、それも限界に近づき、思い切りの良い
一部の大株主は、少しずつ持ち合い解消売りを出し始めています・・・
と、こんなイメージでしょうか。
この会社の株、みなさまなら買う気になりますか?

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2006-01-21

週刊現代

  • 株式投資をやめようと思ったことは何度もあります。
    資産が 80 億円になった今でさえ、「朝のたった 10 分間で 1 億円を損するかもしれない」リスクとプレッシャーで押しつぶされそうになる。
    正直、精神的にきついです。
    やめればいいんですが、そうすると儲けるチャンスを自ら放棄して 1 億円損をした気分になるので、それもきつい。
    どっちもきついなら、株をやり続けるしかないなぁって感じです。
  • ジェイコムの一件もあって、昨年は年初の約 10 億円の資産を 12 月末にはだいたい 80 億円に増やすことができました 。
    ジェイコムだけじゃないんですよ。
    他の銘柄で儲けた額のほうが多いです。
    資産が約 80 億円といっても、僕の場合は実業で稼いだワケではありませんから、「資産」といえるかどうか。
    この先ゼロになるリスクもあるし、先のことなんてわかりませんね。
  • ジェイコム株を買ったのは、安かったから。
    それだけの理由です。
    みずほ証券による誤発注があったなんて、そのときは知りませんでした。
    (12 月 8 日に)新規上場したジェイコムの公募価格は 61 万円で、初値は 100 万~ 120 万円くらいにはなると思っていました。
    それが公募価格を下回っていたので、安いなぁと。
    「おかしい」というより「安い」という判断です。
    安くなければ絶対に買いません。
    楽天証券で 2950 株、他の 2 社で 4150 株、3 社合計で 7100 株購入しました。
    「ひとつの銘柄に 34 億円を投資するのは怖くなかったか」とよく聞かれますが、ぜんぜん怖くありませんでした。
  • 今回の件では、そもそも証券会社の誤発注が通るシステムに問題があると思っています。
    警告が出るだけじゃなくて、(売買自体を)執行停止にするべきでしょう。
    証券会社があんな(61 万株と多い)注文を出せることがおかしいんです。
    もし個人が発注を間違えても「間違えました」では通らないし、無茶な注文も受け付けてもらえない。
    証券会社には無制限にカラ売りが許されていることも不公平に感じます。
    個人投資家はカラ売り規制があって、61 万株もの莫大な売り注文は出せませんからね。
    欠陥のあるシステムのせいで間違いを起こしてしまった証券マンもかわいそうですよ。
  • 株式投資を始めたのは 5 ~ 6 年前の大学在学中でした。
    当初 140 万円から始めたんです。
    バイトして貯めたおカネとか、子供の頃から貯めていたお年玉とかが元手ですね。
    最初は株関係の本を何冊か読みましたが、そのころはネット取引自体まだ歴史が浅く、参考になりそうな本はほとんどありませんでした。
    今でもアナリストの銘柄レポートも、マネー誌や経済誌も読みません。
    他人の意見に影響を受けるのがイヤなんです。
    ですから、ボクのスタイルは、あくまで実践を繰り返すなかで覚えていったものです。
  • 世間ではネット投資家というと、みなひと括りに「デイトレーダー」と呼ぶ傾向があるけど、僕の投資スタイルは 1 日~ 1 週間程度で売買する「スイングトレード」です。
    株をホールドする期間は長くても、せいぜい 10 日間。
    たいがいは 2 ~ 3 日のサイクルで売買します。
    「下がったら買って、上がったら売る」の単純作業の積み重ねです。
    ムダな売買をやっていることも結構多いし、買った銘柄が予想以上に上下して、結果的に一日で手仕舞いする”デイトレード”になることはありますけどね。
  • 02 年末には、最初の 140 万円が 1 億円ほどになっていました。
    その時点で、就職せずにこのまま株取引をやっていこうと思ったんです。
    とりあえず 25 歳まで、これを続けようと。
    ダメだったら、就職しようという考えだったんです。
  • 大学では特に経済や金融を学んだわけではありません。
    両親からは「株なんかやめて、早く就職しろ」と言われてましたね。
    資産が 3 億円くらいになったときも、父親から「どうせいつかは損をするんだから、早くやめたら」と言われていました。
  • 僕が株を始めたのは、IT バブル崩壊後の下げ相場からです。
    もっとも下げ相場といっても、決して一直線に下がるわけじゃありません。
    一定の下値に達したら、リバウンドで上昇するのが普通です。
    当初は下げ相場のなかで、下値に達したと思われる銘柄を買って値上がりを取っていくスタイルでした。
    01 年前半はこのやり方を繰り返してある程度儲けましたが、後半は損することが多くて精神的にもきつかったですね。
    このときに起こったのが、9・11の米国同時多発テロです。
    あのときは KDDI とか日本テレコムとか通信株をたくさん持っていましたけど、これらが軒並みストップ安になってしまって本当に参りました。
  • 引き続き 02 年も相当苦しかった。
    この年は前半こそ儲けたものの、後半の半年で儲けた分を帳消しにしてしまいました。
    結局、資産は横ばいのままでしたね。
    このころは米国株と日本株の連動性が強くて、乱高下する米国株価にずいぶん振り回されました。
    米国市場の動きが気になって、朝の 5 時、6 時まで相場をにらんで、2 時間寝たら日本株にかじりつく――そんな時期もありました。
    きつくて、もうやめようと思ったのも、そのころです。
    このような下げ相場のときをくぐり抜けているので、株がいかに厳しい世界であるかは自分なりに理解しているつもりです。
  • 03 年の 5 月からは相場も上げ基調に変わり、機関投資家が大型株に投資する流れに乗っていっただけです。
    それ以降はだいたい儲かっています。
  • 僕の投資スタイルは短期売買が大前提で、長期の株価予想はしません。
    一日の予想が当たればいいんです。
    つまり、一日の相場予想を着実に当てて、それをコツコツと積み重ねていく。
    30 日続けば、結果的に 1 ヵ月の予想が当たったことになる。
    長くてもせいぜい 1 週間単位の予想ですね。
    昨年のように中期的に見ても大幅に株価が上昇した相場では、短期売買を繰り返すよりも中長期でじっくり持ってから売ったほうが結果的に儲かったでしょう。
    でも、これが僕のスタイルですから変えるつもりはありません。
  • 上げ相場と下げ相場では、投資法が若干変わってきます。
    上げ相場では個別銘柄の出来高推移、場中の板情報、日足チャートを中心に見ますね。
    基本的にはチャート重視です。
    利益確定売りや損切りのタイミングについては自分なりのルールが何パターンかありますが、詳しいことは言えません。
    ライバルも多いですからね(笑)。
  • 取引は日本株のみです。
    投資信託は手数料が高いし、短期でやるものじゃありませんから興味はありません。
    外国株もやらないですね。
    米国株なら多少はわかりますけど、中国株やインド株なんてさっぱりわからない。
    基本的には、わからないものには手を出さないことにしています。
  • 昨年の前半は、IPO 銘柄だった通信会社の日本通信とオンライン・ゲーム会社のガンホー・オンライン・エンターテイメントで大きく儲けることができました。
    二つの初値はそれぞれ 7 万円と 420 万円でそれほど高くなかったんですが、その後、連日の高値更新で急騰したんです。
    この二つで数億円の資産を作ったのが大きかった。
    その後の相場で大量の資金を投入することができましたから。
  • 8 月からは大型株で儲けました。
    銀行、造船、鉄鋼、商社などの大型株はチャートを見れば一目瞭然で、直角的に値上がりしました。
    住友金属工業なんか、8 月から 10 月までの 2 ヵ月間で 200 円台から 400 円台に急騰しています。
    昨年の 8 月以降は相場の流れに乗り、大型株の売買を繰り返して儲けた形です。
  • 場中はずっとパソコンに張りついているので後場が終わったら、もう株のことは忘れたいんです。
    とはいっても、これといった趣味もない。
    たぶん株の刺激が強すぎて、ほかのことにはあまり興味が向かないんですかね。
    気分転換といっても、ふだんは近所を散歩するくらいです。
    学生時代に陸上競技をやっていたので、テレビで陸上競技やサッカーなどスポーツの試合を見るのは好きです。
    お酒は自分から飲もうとは思いません。
    彼女?
    ノーコメントです(笑)。
  • 儲けたおカネを何に使うかと聞かれても、よくわかんないんですよ。
    大きい買い物と言っても、家とクルマくらい。
    トヨタのマジェスタを買ってはみましたが、ペーパードライバーなので乗っていませんし(笑)。
  • 株で儲けた僕が言うのもなんですが、やはり他人には株は勧められないですね。
    特にサラリーマンのみなさんはやらないほうがいい、そう思います。
    一度でも株をネットで始めると株価が気になって仕事に手がつかないんじゃないですか。
    しかも、厳しい世界ですから、一時的には儲かっても結局、大損するまでやめられない人が多い。
  • 僕自身もいずれ株から身を引くときは、きっぱりやめるしかないと思います。
    でも、本当にやめるとなると、さっき言ったようにみすみす儲けるチャンスを捨ててしまったという後悔の念にとらわれると思うんです。
    続けるのもつらいし、やめるのもつらい。
    どっちをとってもつらいのが株なんですね。
    始めちゃったものは仕方がないんですが。
  • 昨年はかなり儲けましたけど、資産が大きくなればなったで、一日で 1 億円儲けるチャンスもあれば、一日で 1 億円損するリスクもある。
    決してラクではないんです。
    昨年 8 月以降、相場は急激によくなりましたが、こんな状態がいつまで続くかはわかりません。
    この先もうしばらくはいい相場が続くでしょうが、これだけ水準が上がってくると下がるリスクもこれまで以上に高まってくるでしょう。
  • 相場は生きものなので、今のやり方がこれからも通用するとは限りません。
    1 年後には今の方法が通用しなくなることも十分に考えられます。
    とはいっても、何度も言ったように僕はしばらく株をやめられないでしょう。
    ただ、今年は投資に振り向ける資産を少し減らそうとは思っています。
    これだけの資金をフルで投資に向けるのは、正直しんどいです。
  • 将来どうするかって?
    3 年後のことさえ何も考えていませんよ。
    ただ、ファンドマネージャーにはなりたくないですね。
    自己資金を運用するだけで精一杯でこんなにつらいのに、他人のおカネを運用する気にはとてもなれませんから。

2006-01-13

週刊ポスト

  • 株投資で特別なことは何もしていません。
    日経新聞はパラパラと目を通す程度で、とらなくてもいいと思っているほどだし、投資関係の雑誌もまったく読みません。
    「会社四季報」の情報やニュースをインターネットで見るくらいですね。
  • (ジェイコム株を)誤発注と知って買ったわけじゃありませんでした。
    ジェイコムの初値予想は 100 万円くらいだったのが、ストップ安の 57 万 2000 円をつけたので、安いと思ったのです。
    でも、05 年は 1 年で 60 億円以上の利益が出ているから、ジェイコム株での儲けは、自分では”すごい”という感想はありませんね。
  • 00 年 ~ 02 年当時は、全体的に株価が下落トレンドにあった時期でしたが、それでもスイングトレードなら利益が出せました。
    株価が下降する時でも、一本調子で下げるのではなく、下げてはある程度値段を戻すというのを繰り返して、波を作っていく。
    その下がった後のリバウンドを狙って買っていったのです。
    具体的には、ランキング情報を見て、25 日移動平均線より株価が大きく下回っている銘柄を選ぶのです。
    当時は、兼松、日商岩井(現・双日)、住友重機械工業、井関農機など、25 日移動平均線との乖離率が 60 ~ 70 % もある株が多くありました。
    それらのような下がりすぎた株を買って、一時的に反発したところで利益確定していったのです。
  • 今の上昇相場では、超大型株を中心に取引しています。
    売買高ランキングを参考にして銘柄を選んでいますね。
    例えば、三菱 UFJ や住友金属工業などです。
    この相場では超大型株を選べば、普通は儲けられると思います。
    あと、大事なのは損切りを早くすることでしょうか。
    僕自身は、想定より下がった場合には、上がるまで待つことはせず、早めに損失を確定させています。
  • 朝は 8 時 15 分に起きて、先物相場の動向や、米国株の状況を確認したりします。
    もちろん、マーケットスピードで、扱っている銘柄の株価情報も見ます。
    新聞やテレビは見ませんね。
    あとは、9 時になったら、注目している銘柄の売り時や買い時を見つけて、取引するだけです。
    午前の取引が終了する 11 時過ぎに遅い朝食をとって、午後も同じように取引をします。
    15 時を過ぎたら、その日のニュースをネットで確認。
    1 時間ほどその日の反省をしますが、16 時以降は株のことは考えないようにしています。
    テレビゲームもやりませんし、近所に散歩に行くくらいですね。
  • 車は家族が運転するもので、僕はペーパードライバーなので運転しません。
    食事も普通です。
    家にあるものを食べることがほとんどですね。
    服も地元のダイエーで買います。
  • 僕自身は、クレジットカードも持っていないですし、お金はほとんど持ち歩いていない。
    現金は普段見ないようにしているんです。
    時には数千万円単位で損失を出すこともあるので、いつも現金を見ていると”あんなに損をしたのか”と精神的なダメージが大きくなるからです。
  • 僕が株で稼いでいることは、ほとんど誰にも伝えていませんから(女性がいい寄ってくるなど)ありませんね。
    こういう生活をしていると友人とも疎遠になりますから。
    合コンなんかも特に行かないし。
    (彼女はいる?)そのへんはプライベートなので……。
  • もう 3 年前から株取引自体は、面白いとは思わなくなっています。
    ただ、これが僕の仕事だと思っていますので、やり続けているのです。
    もちろん、やめることもできるでしょうが、じゃあ、やめて何をするのかと考えてみても、思いつきません。
    僕のような若者のことを「ネオニート」などと呼ぶらしいのは知っていますが、別に、その呼ばれ方については特に感想はありませんね……。

2006-01-08

フジテレビ系列「週刊人物ライブ スタ☆メン」

この頃のBNF氏は顔にボカしをいれ、「B・N・F」というハンドルネームも明かしていません。番組の中では「ジェイコム株男、株ニートのカリスマ、20億円をもうけたAさん(27)」と紹介されています。

私の把握する限りでは、BNF氏が株のトレードをしている映像が世の中に流れたのはこの番組が初めてです。BNF氏は今も昔も楽天証券マーケットスピードを使っていますね。

▼番組内容紹介

2005年12月8日に起こったみずほ証券によるジェイコム株誤発注の際に、B・N・F氏は6000株のジェイコム株を取得し約20億円の利益を上げました。大量保有報告書によってその事実に気づいたフジテレビが、ジェイコム株で儲けた感想をB・N・F氏に取材。B・N・F氏は匿名でインタビューに答えています。以下、取材記者とB・N・F氏のやりとりです。

記者:20億円儲けたときは?

B・N・F氏:その段階(ジェイコム株誤発注事件の時点)で去年70億儲かってたんですよ。だからそんなに驚かなかったっていうか。う~ん。

記者:お金の使い道は?

B・N・F氏:ほとんど使ってないですよ。家買ったくらいで。

~~中略~~

B・N・F氏:(株は)やらない方がいいと思うんですけど。常に資産が減るリスクを抱えながら人生を歩んでいくことになるんで。「1億損したらどうしよう」って毎日思いながらやってるんで、ほんときついんですよ。

この番組が放送された2006年1月8日はライブドア事件が起こる約10日前でした。ライブドアショックの前は、日経平均株価も新興市場も絶好調。日本全体が空前の株ブームでした。

番組中に中学生で株式投資をやっている少年が出演していますが、彼は記者に「尊敬する人物は?」と尋ねられて、村上ファンドの村上世彰氏と答えています。この回答が株ブームで浮ついた時代の雰囲気を象徴しており、今見返してもおもしろい映像となっています。

2006-01-05

週刊文春

  • ほかにも前日から取引を持ち越していた銘柄がいくつもあり、ジェイコム株は新規公開株なので『見てた』ってだけです。
    百万円ぐらいかと思ったら六十七万二千円で値がついたので、安いと思って最初は五十株ずつ何回か買った。
  • 九八年に NHK スペシャル『マネー革命』を観て、海外の投資家が個人で凄い金額を稼いでいるのに衝撃を受けました。
    その後、”これから株が上がる”という景気のいい見出しの本を立ち読みして株をやってみようと思った。
    最初は郵便のバイトやお年玉などで貰った百数十万円が元手でした。
  • 常時保有しているのは十~三十銘柄で流動性のある大型株が中心です。
    日経平均先物で全体の流れを見ながら色んな銘柄を物色する。
    相場が悪いときはリバウンド狙いです。
  • (株は)楽しくないですね。
    辛いだけなんです。
    お金を持ったっていっても、結局こうやって(画面を指して)数字が増えただけじゃないですか。
    ケチですし、損することも考えているので無駄に金を使いたくない。
    翌日の取引に平気で六、七十億円持ち越すので、朝から一億円損したりする。
    何十億円儲けてても凄く辛いんですよ。
    でも、相場が動いているのに無視すると”仕事放棄”みたいじゃないですか。
    それはそれで辛い。
  • (「証券会社に勤めれば?」と聞かれて)人のお金はもっと辛いですよ。
    仕事するにしても株関係は絶対やりたくない。
    本とかも絶対書きたくないし。
    頭の中『株、株、株』でとにかく株から離れたいので経済番組も絶対観ません。
    大体、株で何十億円も動かすので他のことが小さなことに思えてピンとこない。
    最初から株を知らない方が良かったかもしれない。

My Trading Life (26)

損切りで一番難しい点はなにか。まず例外なき厳しいルールを確立するということと、同時に、ストレスなくロスカットを実行するために、ルールを柔軟に応用すること。この2つを両立させることがもっとも難しいのではないかと僕は思う。ロスカットは自己処罰なので、どうしてもストレスになりやすいのだ。そして、心理的に追いつめられてしまうと、失敗トレードを繰り返しやすくなる。

もちろん、「それ以前」の問題として「損切りするなんて悔しくて私には出来ないんですぅ」とかいう問題もあるのだが、まあ、そういうレベルで悩んでいる人はさ、株なんてやってちゃいけないよ。八百屋で蕪でも買ってなさい。もう論外の存在だね。

さて、仮に含み損が6%で損切りをするというルールを決めたとしよう。相場が上げトレンドの時は、損切りする銘柄もあり、利益を膨らませていく銘柄もありで、おそらくある程度はうまく回転していくだろう。

しかし、下げトレンドの時は、どの銘柄も同じように下がるわけで、毎日毎日、損切りに次ぐ損切りを強いられることになるだろう。自分のポジションを毎日毎日切っていくという自己処罰の作業を、一つの銘柄も例外なく冷静に実行できる鉄のような意志を持っている人はそれほど多くはないだろう。

いや、下げトレンドでなくても、かなり強い上昇トレンドのさなかでも、相場の波に翻弄されて6%程度の含み損なら簡単に発生してしまう。それを避けたかったら、特に強い上昇トレンドの時は、例外的に含み損を例えば10%までは許容するというルールを加えなければいけなくなる。

しかし、そうなると、今度は、「普通の上昇トレンド」と「特に強い上昇トレンド」をきちんと定義する新たなルールが必要となってくるだろう。そうしないと、含み損が6%に近づいてくると、これは「特に強い上昇トレンド」なのだと自分に言い聞かせて、損切りをしない口実にしてしまうだろう。

また「特に強い上昇トレンド」の時に、あまりに緩いロスカットのルールを決めてしまうと、今度は相場の最終局面での急落場面で、それまでの利益を全部吐き出してしまいかねないような大きなロスを発生させてしまう恐れがある。

さらには、例外がいくつもあるルールを、確実に実行し続けることは、普通の人間の意志を持ってしては不可能だろう。「例外の多いルール」では予想外の事態に出くわしたとき、そうした事態を「ルールのさらなる例外」にしてしまい、つまり損切りの対象外にしてしまう恐れがあるのだ。

実際、その時までに丸善とソフトバンクという2つの銘柄を「ルールの例外」にしてしまったために、大きな損失を発生させてしまっていた。ロスカットに例外の銘柄を作ってはならない。

要するに、ロスカットのルールを厳格に磨き上げていこうとすればするほど、そのルールは無力化していくのだ。

「強い相場では少々の下落でも振り落とされない。しかし、大きなトレンドの転換に対しては出来るだけ速く逃げられる。」

そんな魔法のような手法があればいいのだが、もちろんあるはずもない。「過敏な指標」は、いわゆる「だまし」にも簡単に引っかかってしまうし、「鈍感な指標」が相場の転換を合図してくれるのは、取り返しがつかないくらいの損失がすでに発生してしまった後かもしれない。


それではどうすればいいのか。東洋エンジの相場のさなかで、ロスカットのアートは、自然に確立していった。

基本的な考え方は、ロスカットの厳格な枠はきちんと決めておいた上で、それを実際に実行する際には、ある程度の融通が利くように、ルーズな部分を多く残しておくということである。

仮に、「含み損が20万円を越えたら損切り」というルールを厳密守ることとする。この時、ロスカットを行う上で、確定損は考慮に入れない。

株価がうねりながらの上げトレンドの時は、緩んだら買い、吹いたら売りを繰り返す。利食いは、建玉値が低いものから順番に切っていく。そうすることによって、ロスカットのポイントは常に株価のすぐ近くに置いておくように心がける。

逆に一時的な押し目をだと思われるときは、今度は、建玉値が高い方から切っていく。つまり含み損が20万円に達しそうになる前に、含み益の発生しかけているポジションから先にカットすることで、ロスカットのポイントをあえて遠くに置くようにする。

どちらからカットするかはその時の相場環境を睨みながら、感覚的に判断する。

ルールは厳格に守らなければいけないし、また一方で柔軟にそれを応用しなければいけない。システマティックな基準を作りつつ、感覚的に判断をする部分も残す。規律と自由。厳格な規律を作らなくては相場では勝てないし、かといって自由の要素も残しておかないと、トレードはストレスしかもたらさなくなる。そうした相反する課題をどうやって満たしていけばいいのかが、だんだん分かってきた。


もう一つ大事なことは、そうやって、ある程度感覚的な判断を許容しながら、自分の中にある心の弱さや迷いを、客観的に眺めて、面白がって楽しむことですね。

「ほ〜ら、調子のってたっかいところ買っちゃったから、投げなきゃならなくなっちゃったじゃないの。上から順に切っていくしかないね」とか「ほほぅ、あえて、安いところからポジション外す気ですか。今回は意外と強気なんだね〜。大丈夫なのかい、そんな調子ぶっこいてて」とか、自分で自分にボケとツッコミを入れながら、心の動きを楽しむということです。

これが出来るようになると、トレーディングは気分的にはかなり楽になるね。


そうしたトレーディングの練習を東洋エンジのこの時の相場では思う存分やらせてもらった。
今思えば、この時の東洋エンジはそうしたトレーディングの練習の為の格好の練習台のような銘柄だった。

清春氏が買い煽りをした銘柄の中で、東洋エンジは唯一犠牲者のでなかった銘柄である。

清春氏は当初から目標株価を400円と置いていた。そして、株価が300円を越えると、掲示板の誰もいつのまにか買い煽りをしなくなった。高値圏での狂ったような買い煽りに乗せられて天井をつかんだ人はいなかったのである。

400円を手前にして、株価は円形の天井を付け、やがて下落を始めた。掲示板では、誰も東洋エンジについては語らなくなっていったが、僕は、当初の予定通り、最後に残った買いのポジションを損切りし、そして空売りに転じていった。

資産総額が1千万円を越えたのは、東洋エンジの空売りを行っていた最中だったと思う。

2006-01-02

My Trading Life (25)

数ヶ月後、奇術師さんがネットから姿を消したあとで、清春氏は「奇術師さんは東洋エンジの空売りで破滅したのだ」というデマをしつこく流すことになるのだが、それは全くの嘘である。

彼は自己正当化のためならば「平気で嘘がつける人」なんだね。彼自身は嘘をついているという自覚すらおそらくはないだろう。

奇術師さんは、東洋エンジの空売りはやっていないと思う。急騰する仕手株に空売りで向かうなど、彼が絶対にやりそうにないトレードである。

彼は最終的には400円近くまで上がった銘柄を、100円台の前半で利食ったのです。いや、正確には、利食ったと掲示板に書き込んだのです。それが全てです。


それはさておき、僕は東洋エンジの相場で多くのことを学んだ。

相場のうねりに乗りながら、緩んだところを買い、吹いたところを売りで、小さくポジションを動かしていくのが僕のやり方だということはこれまでも書いてきた。しかし、実際には、想定通りにうまく行くことばかりではない。

急騰した場面で利食い、ポジションを小さくしたところで、さらなる急騰が続くこともあるし、押し目のつもりで買ったところが、地獄の入り口での買いになってしまうこともある。

仮に、170円で、全て利食った銘柄が、緩むどころか175円、180円と上がっていったらどうすればいいのか。以前は、悔しくて買い増しすることも出来ず、かといって見捨てることも出来ず、急騰していく株価を眺めながら悶々としていたものである。

しかし、単純なことなのだ。再度、もう一度、小さなポジションから、買いを積み上げていけばいいのだ。手放したポジションよりさらに上に株価が向かうとしたら、それは相場が強い証拠でもあるので、ためらわうことはない。

株価は、こちらのポジションを知っているわけではない。手仕舞いしたポイントなど、手仕舞いした瞬間に忘れてしまえばいいのだ。


それでは、逆に、株価が予想以上に緩んだときはどうすればいいのか。もちろん、大きく緩んだ場合は損切りしかない。そうではなくて、やや緩んだまま、株価が硬直状態に陥ったり、あるいは、ラーメンのお椀のような丸い底を作りながら、徐々に上を伺いはじめた時はどうすればいいのか。

例えば、仮に、180円で5枚、190円で5枚買っていた銘柄の株価が、160円あたりまで下がった後、そこで下げ止まりになり、やがてじりじりと再度上がり始めたとしよう。どのタイミングで買い増しを始めればいいのか。

じっと追いかけていたのだから、株価の動きはよく分かっている。下げ止まり上昇に転じたタイミングで即乗りたいところである。誰もが、どうしても、ややフライング気味に仕掛けたくなるパターンだと思う。

仮にロスカットを30万円に設定していたとする。例えば160円で5枚買い増ししたとすると、株価が158円になったら全て損切りをしなければいけなくなる。これはあまりにもタイトな設定である。

損切りのポイントを睨みながら、買い増しをするならば、チャートの感触から160円が目先の底だと確信できても、160円で買い増しをすることは出来ない。株価が165円、170円と徐々に反騰していき、ロスカットのポイントとの距離が開いてきてから、買い増しをすることになる。

つまり、手仕舞い後にさらに株価が上昇した場合の再度のエントリーは、相場の勢いを見て、自分の手仕舞いした株価は完全に忘れて挑むべきだし、逆に、緩んだタイミングでの買いは自分のポジションを睨みながら、損切りラインとの距離を測りつつ、少しずつ買い増しをしていけばいいのだ。

東洋エンジの相場より以前は、これが逆になっていた。高くなってしまった株価は勇気がなくて買えなかったし、緩んだタイミングでは、大きな含み損になっているにも拘わらず、買い増ししたくなった。

たいていのトレーダーは、そうした間違ったトレードをしていると思う。何故なら、それは心理的にとても楽なトレードだからだ。

そして、そうした「心理的に楽なトレード」をするように背中を後押ししてくれる材料が欲しくて、ネットで情報を集めたり、チャートをバイアスをかけながら眺めたりするんだろうね。


そして、東洋エンジの相場では、もう一つ大切なことを学んだ。「ルールとしての損切り」ではなく、もう少し柔軟な「アートとしての損切り」である。

AERA

  • ジェイコム株は安かったから買っただけです。
    これまでにも 1 日で 2 億 5 千万円もうけたこともあったし、逆に 1 億 6 千万円損した日もあった。
  • (投資術を)言葉で説明するのは難しい。
    株取引を始めた 5 年前の下げ相場と 2005 年のような上げ相場では扱っている銘柄も数もやり方も違うし、市場に参加して独自で学んでいったので、お手本というのもないです。
  • 05 年のような株式市場全体の上げ相場では大型株の循環物色。
    今日は造船とか銀行とか、その日に盛り上がっている業界の売買をしている。
  • (判断の基準は)感覚というか慣れ。
    トータルの値動きへの洞察力が一番大事。
    日経平均や先物市場の動きを見ています。
  • (株価収益率 (PER) や株価純資産倍率 (PBR) については)まったく見ないです。
    長期保有だったら意味があるかも知れないが、短期の売買では下がるときは下がるし、上がるときは上がる。
    業績のいい企業の株でも下がったら負け。
    気にしてもしょうがない。
    株価に織り込まれている。
  • もうかっても、損しても精神的にかなりきつい。
    やっててつらいんです。
    1 回この世界に入ったら、何をしていても株で頭がいっぱいになる。
    やめたいのに、やめられない。
  • 家族からも「やめたら」と言われる。
    でも、いつでも値動きがある。
    もうけのチャンスがそこにあるのに、失うこともつらい。
    出来たはずのことをしなかったことで仕事放棄のような気がしてしまうんです。
  • (もうけたお金は)数字が増えていっただけで、あまり実感がありません。
    この家を買ったくらいで、ほかには使っていないですね。
  • (休日のストレス解消法は)散歩くらい。
    株のことを忘れたいんです。
  • (成功の秘訣は)自分では分からない。
    時代が良かっただけ。
    ネットトレーディングが始まったばかりで、始めた時期が良かったんだと思います。
  • 他人の資金を動かすようなファンドは絶対にやらない。
    株のことは忘れたい。
    でももうかっているうちはやめられない。
    大損するまでやめられないのでしょうね。

My Trading Life (24)

酒に酔ったときに人格が変わってしまう人がいる。一度ならば、この人は酒を飲むと人間が変わるんだなと、不快に思いつつも理解しようとするかもしれない。しかし、そうしたことが何度も続くと、やはりこいつはこんな人間だったんだ、酒を飲んだ時の姿が、こいつの本当の姿なんだ、そう誰もが思い始める。

激怒したときも、やはり、その人の人間性が露わになってしまう。「人間」の仮面の背後にいる「ケダモノ」の部分があからさまに露呈してしまうのだ。

ネットというのは、恐ろしいメディアだと思う。口から吐いた言葉ならば、音は一瞬で消えてしまうし、耳にした人の記憶からもやがてはその生々しさは奪われていくだろう。

ところが、感情的な言葉をキーボードで叩き、Enterキーを押した瞬間に、その言葉は世界中に発信され、誰かのハードディスクの中に永久に保存されてしまうかもしれないのだ。「その瞬間」の一時的な感情の言葉が、その生々しさのまま、保存されてしまうのである。


どんなタイミングで銘柄を売買するかは、完全に一人一人の投資家が決めるべき問題である。「自分の推奨した銘柄を売るなんてけしからん」という清春氏の怒りの書き込みには、心底、呆れかえった。

丸善の相場の時のXXさんのザラ場での「売り、売り、売り」発言に、怒りの感情をぶつけるというのは、まあ、わからないわけではない。株価のピークで自分が全力で買っている銘柄にネガティブな書き込みをされたら誰だって怒りを感じるだろう。

もっとも怒りを感じることと、実際に怒りをぶちまけた感情的な書き込みを掲示板にすることとの間には、人を殺したくなることと、実際に人殺しをすることと同じくらいの大きな違いがあると思うけどね。

いずれにせよ、奇術師さんの「東洋エンジ、利益確定させてもらいました。よい銘柄を教えてくださって、清春さん、ありがとうございます」という意味の発言に対して、感情的な怒りをぶつけた書き込みをするというのは、まったく理解できない。常軌を逸した病的なものを感じてしまう。


ただ、僕は、奇術師さんの東洋エンジを利食いしたという書き込みを読んだ時、実は、少し違うことを感じていた。

もしかすると奇術師さんは本当ははじめから東洋エンジを買っていなかったのではないかという気がしたのだ。清春氏に話を合わせて買ったことにしていたが、いよいよ怪しい動き方をすると見えたので、掲示板で騒ぎが大きくなる前に、利食ったことにしておいたのではないかと、ふと思ったのだ。

ちょっと不思議なタイミングでの売りだったという記憶がある。奇術師さんがいつも書いていることから考えると、あまりにも早すぎる利確だと思う。

あるいは、逆に「売った」という発言が嘘だったのかもしれない。『売り専』の掲示板は、清春氏、奇術師さんの二枚看板で、あの時期、ネットの株式関係の掲示板の中では、おそらくもっとも影響力が大きかったのではないかと思う。

実際、この後、清春氏が、名前を聞いたこともないような大証2部あたりのマイナーな銘柄をひょいと推奨しただけで、推奨直後に株価が暴騰するということが何度も起きた。

清春氏の書き込みを読んで買いのオーダーを入れるトレーダーが本当にいたのか。それとも、書き込みと同時に買いを入れて、相場を起きつつあるかのように見せるというシナリオが、清春氏を中心とするグループの間であらかじめ作られていて株価操縦が行われていたのか。確かなことは分からない。いずれにせよ、ネットを使っての株価操作はある程度は可能だったと思う。

株価神聖論者の奇術師さんとしては、自分の書き込みが株価の上げ下げに影響を与えてしまうという事態が不本意だったのではないか。

「東洋エンジを利確で売った」という書き込みは、ネットを使った株価操縦に利用されたくないというメッセージだったのかもしれない。

もはや1年前とは違い、誰もがイノセントでいるわけにはいかなかった。