2008-08-28

ジム・ロジャーズ氏インタビュー

ジム・ロジャーズ氏インタビュー(8/28実施)
■コモディティ市況について
原油
Q1:原油、ガソリンともに、グローバル経済の停滞による需要の減少と中東産油国からの供給増加による需給緩和、米国での先物規制強化の動き、米ドル高等を背景に大幅に下落しています。ロジャーズさんは今年6月のインタビューにおいて、巨大な油田が発見されない限り、1バレル=200ドルも有り得るとおっしゃっていますが、このお考えにお変わりはありませんでしょうか?

原油の見通しについて変わりはない。今年の6月以降、新たに大規模な油田は発見されてもいない。強気相場の中で原油の価格が一体いくらまで上がるのか、私には具体的水準の目処はないが、強気相場が継続し価格が上昇することは分かっている。また、この局面の中で原油価格が75ドルまで下落することもあるかもしれないが、その後また上昇に転じると考えている。
原油価格に限らず他の多くのコモディティ価格が大幅に上昇した。価格が上昇すれば通常調整があるものだ。原油の強気相場は1999年に始まり、それ以降40%から50%価格が下落したことが3回あった。マーケットとはそういうものだ。40%から50%下がった時、いずれの場合にも人々は強気相場は終ったと考えた。しかし強気相場の終わりでなかったことは、言わずもがなであろう。今回も同じことが起きるに違いない。誰かが巨大な油田を発見するか、あるいは世界的な経済の崩壊が起きるまでは、原油の強気相場は続くだろう。もしも世界的な経済崩壊が起きたとしても、株式よりコモディティを保有していた方が良いだろう。


Q2:金は、ドル高の進行や原油価格の急落等を受けて、1オンス=800ドル付近での調整が続いています。ロジャーズさんは、750ドル~800ドルまでの下落を予想されていましたが、これ以上の大幅な下落の可能性は低いとお考えでしょうか?
金はもっと値下がりするかもしれないが、話は原油と同じだ。1970年代には、金は600%値上がりしたことがある。その後2年間もの間、殆ど毎月値下がりし、50%近く下がった。そして市場参加者が皆退散した後に、相場は反転し、今度は850%値上がりした。繰り返すが、市場とはそういうものだ。市場は我々全員を金持ちにするようにはできていない。我々全員が大ばか者であるかのように見えるようにできているものだ。金がどれくらいの期間調整するかは分からない。750ドルまで下落するかもしれない。どうなるか成り行きを見守ろうではないか。

農産物
Q3:ロジャーズさんが昨年9月のブルームバーグのインタビューにおいて、小麦が高値圏にあるという予想されていた通り、小麦を含めた農産物は、年初および6月の強気相場の後、生育地における天候の改善や需給予測の緩和、代替燃料需要の後退等により大幅に調整しています。ロジャーズさんは、この調整がどの程度続くとお考えですか。また、中長期的な強気相場見通しに変更は無いとお考えでしょうか?加えて、現時点で投資魅力が高いコモディティをお教え下さい。

農産物価格下落の理由は、これも石油や金と同じだ。つまり市場には調整はつきものだということだ。市場が毎日、毎月、毎年上昇すると考える人は、このことを理解するまで投資すべきではない。短期間に急上昇した市場は、他の市場に比べて調整幅も大きいだろう。
多くの農産物の価格が大幅に上昇した。小麦の価格は一本調子で上昇した。その結果の一つとして、多くの農家が小麦を作付けするようになった。これが経済の法則だ。小麦の作付面積が増えた結果、他の農産物の作付面積は減少した。そのような農産物がより魅力的だろう。砂糖市場は未だに歴史的な低水準に落ち込んでおり、コーヒー、綿も非常に安い。歴史的に見れば、これらが有望な投資先ではないだろうか。

■世界経済について
ブラジル
Q4:ブラジルは豊富な人口、豊かなコモディティ資源(大豆・さとうきび、鉄鉱石など)、製造業の競争力向上等から今後も経済発展が期待されています。ロジャーズ氏はブラジルの株式・債券・為替の投資魅力についてどのようにお考えですか?また、ブラジル以外のラテン諸国で魅力的と思われる国があればお教え下さい。
私は現在ブラジルには全く投資していない。しかし、ブラジルはコモディティが豊富であり、コモディティが強気相場にあるので、今後数年は株式も通貨も何もかもがより魅力的になるだろう。ブラジルに投資するには色々な方法があるだろうが、私は怠け者で、よく勉強していないので、具体的に何に投資すべきか具体的に言うことはできない。ただ、ブラジルが多くの他国に比べて、今後の優れた投資先であることは間違いないだろう。
エマージング市場に多くの人が殺到し、買われすぎてしまったので、私は中国を除いて、エマージング市場への投資を全て引き上げた。その結果、現在は中国を除いてエマージング市場には投資していない。ペルーは資源が豊富な国であるため、以前私は多額をペルーに投資していた。ベネズエラやコロンビアも大変魅力的な投資先である。エマージング市場に大きな調整があり、その際、私が上手く再投資できることを願っている。

中国
Q5:オリンピックによる建設ラッシュ等の経済効果も落ち着き、また世界経済の減速、人民元高による輸出の減少などにより、中国の景気減速が懸念されています。中長期においては、中国経済が力強い成長を遂げる見通しに変化はないとしても、今回の一時的な減速はどの程度続くと思われますか?また、その減速がコモディティ価格にどの程度の影響を及ぼすとお考えでしょうか?

中国の株式市場には大きな調整があった。皆が株式を投売りするようなセリング・クライマックスが来ることを心待ちにしている。私は中国株を4月と6月に少しずつ買い増したが、セリング・クライマックスになればもっと中国株を買うつもりだ。
もしも、景気後退となれば、中国の企業の何割かが影響を受ける。例えば、ウォルマートと取引のある中国企業は影響を受ける。しかし、全く影響を受けることなく順調な経営をつづける企業も何割かはあるだろう。そういう企業を見つけられればと願っている。何故なら、もし中国に強気相場が来ればこのような銘柄が最も良いパフォーマンスをあげるからだ。いくつかの農業関連企業は、経済にどんなことが起きたとしても、素晴らしい業績をあげるだろう。そういう株式こそ購入すべきものだ。
世界経済がスローダウンすれば、中国経済全体も影響を受ける。中国政府は、ここ2年間経済を沈静化しようと努力している。政府は金利を6,7回、支払準備率を15回引き上げた。このような要因と先進国の景気後退が相俟って、中国の景気減速となる可能性はある。しかしそんなに悲観することはない。そうやって数千年に亘り、世界の経済は続いてきたのだ。当たり前のことだ。どれくらい景気減速が続くか私には分からない。中国が本当に景気後退に入るかもしれないが、定かではない。中国の多くの内部要因はポジティブだ。私はそれほど賢明ではないので、中国の経済が景気後退あるいは不況になるかどうかは判断できない。米国は19世紀には15回の不況を経験し、非常に困難な状況が繰り返された。しかしその後、米国が素晴らしい成長を遂げたことは、改めて話す必要はないだろう。

ロシア
Q6:グルジアにおける衝突が、世界経済に多大な影響を及ぼすとお考えでしょうか?また、今回の衝突は、米国とロシアの新たな冷戦の始まりなのでしょうか?

グルジアにおける衝突を通じて、ロシアは、より自己主張をするようになった。今回戦略的な成功を収めたロシアは、今後もっと積極的に主張するだろう。これは残念なことだが、ロシアが反応した理由は、米国がロシアを挑発しロシアの反感を買い続けてきたからである。米国はチェコにミサイルを配置し、ポーランドにもミサイルを配備しつつある。喧嘩を売るのでなければ、そんなところにミサイルを配置すべきではなかった。米国は、ロシアに盾突く行動を取ってきたので、ロシアがそれに反応しているのだ。コソボは今や独立国だ。ロシアの同盟国であるセルビアが米国に付け込まれたのを見て、ロシアは我々も同じことをやるのだと言った。今回、米国はひどい間違いを犯した。国務長官は、今回の事件が起きる2週間前にグルジアにいた。彼女はグルジアの人々に対して、「心配は要らない。もしグルジアが自治区に対して何か行動を取るならば、米国が支援しよう。ロシアは何も手出しできない。」といったのだ。しかし、実際には米国はグルジアを支援できないまま、グルジアは自治区に侵入した。そしてロシアは国務長官の発言に反して反撃した。
米国は、グルジアに対して何事も起きないだろうと言った。米国は再び過ちを犯し、そしてロシアに付け込まれている。ロシアは、殆どの国が本気でロシアに対抗できないことを分かっている。そして、これがロシアの復活に拍車をかけている。冷戦か否か。私にはわからない。しかしロシアは、今や資本主義国なので、かつてのような冷戦にはならないだろう。米国はロシアを挑発している。米国はNATO(北大西洋条約機構)を拡大している。何故いまだにNATOが存在するのか私には理解できない。唯一理由があるとすれば、それはNATOがロシアに対抗することである。これがロシアの感情を非常に悪くしている。残念ながら世界は再び平和にはならないようだ。世界は数千年にわたり戦争を繰り返してきた。私も戦争がないことを望むが、常に戦争は起きるのだ。

欧州
Q7:中国と並んで、欧州も景気減速の兆候が強くなってきています。今後の欧州経済の見通しをお教え下さい。もし欧州経済が本格的に減速した場合、コモディティ需要の減少が懸念されます。需要減少がコモディティ価格に与える影響をお教え下さい。

米国で発生した諸問題が欧州に波及している。米国の経済規模は世界で最も大きいので、米国と取引関係のあるものは誰でも米国から影響を受ける。欧州も例外ではない。私は欧州にも多少投資しているので、私の投資にはあまり大きな影響がないよう願っている。繰り返すが、投資における成功の秘訣は、市場が悪い時に上手くやっている業種や企業を見つけることだ。それらは市場が強気相場に転じた時は、最も高い投資成果をもたらす。私は株式を売るのは好きではないし、通常は余程特別な理由があるか、又は景気循環サイクルに大きな変化がなければ売ることはない。私は欧州の通貨も保有している。もし株価がもっと下がれば欧州や他の地域の株式を買い増すつもりだが、世界中の経済や株式市場が問題を抱えているので、今はその時期ではない。
欧州の景気減速がコモディティに与える影響はもちろんある。世界の2大経済、米国と欧州の景気が減速すれば、需要に影響が出る。1970年代世界中の経済は、非常に困難な状況にあった。しかし、コモディティは非常に強気な相場であった。コモディティが需要と供給に左右されるので、今回も同じことが起きるかもしれない。もし、供給の減少スピードが需要の減少スピードを上回れば、あるいは、需要が横ばいで供給が減少すれば、70年代に起きたようにコモディティの強気相場となるだろう。コモディティは需給のバランスが崩れているので、株式を保有するよりもコモディティを保有した方がよいだろう。株式は世界中にあふれているが、コモディティは供給が切迫している。ここ25年あるいは30年以上、コモディティの生産を高めるための投資はほとんど行われていない。

2008-08-25

先週までのまとめ:為替

さて日記の書き方を少し考え直したいと思います。このままだと後から検索して読み直すのが難しいので。

先週までのまとめ:その他の市場

東から順番に。これまで下がっていたインドは戻りも強いです。逆に、これまで高く、3月もあまり下がらなかったブラジルは今度は大きく下がっています。
ということはリバランス戦略が有効?

先週までのまとめ:中国

ハンセン指数は3月安値を割りましたが、H株指数はまだです。

台湾は、総統就任+四川大地震援助の頃がピークでしたね。

先週までのまとめ:日本

下がっているといえば下がっているのですが、3月安値よりかなり上にある、数少ない市場です。

新興不動産の多いヘラクレスが、一番ダメージが大きいです。

リートは下落の一途

留守中に上場廃止されてしまった銘柄も多いです。噂されていたアーバンもとうとうお亡くなりに。

先週までのまとめ:アメリカ

市場全体は、7月15日を底に戻して、あまり大きくは動いていません。その中でナスダックは上がっているようです。

オイルは下落

GSEはどうしようもないですね。公的資金導入で原資も織り込んでいるのでしょう。法的にどうやるかは分かりませんが。

バークシャーと言えど、市場が弱気になれば下がります。

ここらへんの会社はどうなるのでしょうね。

2008-08-22

徒然 その1

徒然 その1
最近感ずる余談をば。
 以前にも書きましたが、私は見通しを8割外します。それでフロントから異動させられました。外した後の始末の良さと運にも恵まれて、通算では目標以上の利回りを確保していますし、年度でも勝っている年度の方が多いのですが、数回大きく勝って、何十回も細かく負けるのは、上司の心臓に負担をかけるので異動は仕方がないです(笑)。あと上げ相場で稼ぐよりも下げ相場の回避が上手かったのは、会社の期待にそぐわないのを管理職になってから分かりました。

 この構造はファンドマネージャー(FM)の評価にも当てはまります。
人間、棺おけの蓋を閉めた後でないと本当の評価はできないのですが、一生付き合うわけにはいかないので3年から5年の期間を区切り、評価せざるをえません。10年以上、運用をお願いしているFMはおらず、運用会社でも2社しかありません。5年後はいなくなるんだろうなと思いつつも、年1回、入れ替えの検討をするわけなのです。

 この下げ相場で、雑誌掲載のストラテジストやFM、ブロガーの見通しが外れたのを非難したり、見捨てる?人(その多くは意見を参考にして投資判断した方々で、分かっちゃいるけど愚痴を言わせてという方々。)がいますが、運用の世界では数回外したぐらいは、当たり前の世界なのを理解してもらいたいです。

 私の所属する組織では、FMの予測の的中度を集計しますが、3ヵ月後の上げ下げを当てるだけの場合では、当たる確率は1回5割(上下なので)。それを3ヶ月ごとに3年から5年集計しますが、上げ下げを当てられるのはトレンドが発生した時期を除くと的中率は平均6割です。つまり12回あたり7回程度しかあたりません。
さらに騰落率で計測すると予測と実際の相関係数は0.3を上回れば立派。逆相関というFMも結構います。
 一人当たりのサンプル数が少ないので、統計上は問題がありますし、何のことやらとお感じになる方もおられると思いますが、所謂プロと呼ばれる方々が努力しても、あまり当たらないのを理解してもらえればと思います。
 
 投資は自己判断でというのは、広く知れ渡りましたが、的中率がどれぐらいあれば評価すればいいのかというのは、まだ知られていないので、身近な例をご紹介しました。

 広範な研究論文があれば、ご紹介ください。なお今回のコメントのデータは会社に帰属しますので、研究目的でもご提供出来ませんので、信頼度合いは週刊誌程度に信じてください。週刊誌は週刊新潮か週刊実話かはお任せします(笑)。

地上デジタル

Friioが何やら大変な事に・・・
B-CASの仕組みが少し書かれています。

「地デジ」で太る総務官僚OBたち (ゲンダイネット)
天下り団体はゴロゴロある

 国が旗を振る2011年7月の地上波放送の完全デジタル化まで3年を切った。テレビでは北京五輪と絡めて地デジ移行を繰り返すCMを連日放送。総務省も2000億円以上ともいわれる必要経費の検討に入った。

 しかし、世帯普及率はいまだ43.3%(6月)にとどまり、1兆円超とされる民放負担も重い。それなのになぜ「地デジ、地デジ」と煽るのかと思ったら、コッソリと甘い汁を吸おうともくろむ連中がいた。天下り官僚たちだ。

「郵政」などの著書がある元特定郵便局長の世川行介氏の調査によると、地デジ化推進の背景には、総務官僚OBらが天下り理事として名を連ねる複数の財団の存在がある。

 例えば、地デジ計画と並行して設立された「電波産業会」は国から2年間で約400億円もの補助金が交付されている。しかも、官僚OBの専務理事の年収は1700万円にも上るのだ。

 地デジに関する技術、規格などを一手に握る「デジタル放送推進協会」の官僚OBも月収140万円と破格。ほかにも、出張規定で「鉄道はグリーン車」としていたり、年収2000万円前後の官僚OBがいたりする地デジ関連法人がゴロゴロあるのだ。

 世川氏は、こんな地デジ利権に群がる連中を「デジタル・マフィア」と呼んでいるが、彼らは地デジ移行がスムーズにいかないと、計算通りフトコロが潤わないのだ。

 総務省は生活保護世帯への地デジ専用チューナーの無償配布などで500億円程度かかるとみているが、こうした天下り団体をなくせば、費用なんてすぐに捻出できる。

チャイナ・フロンティアオープン

中国だけのインデックスファンドとしてはこれでしょうけれど、さて02801.HKとどちらが良いのでしょう?
三井住友アセットマネジメント【ファンド情報】
モーニングスター [ ファンド詳細 チャイナ・フロンティアオープン ]

クレジットカードネタ

会員3000万人で今や若者の必携品!CCCのTカードに群がる異業種企業
大トラ伊良部!ガールズバーで大暴れ!
> 午前5時すぎに飲食代3万8400円の支払いをカードでしようとして、アメリカンエキスプレスの最上級となるブラックカードを提示したが、これが店の提携外カードで「扱えない」と言われ激高した。

あと関係ないけれど
「株式会社WEB2.0」解散へ 「収益化困難」
元々バズワードを社名にして話題を作りたかっただけでしょう。

Google の中の人への手紙 [日本のストリートビューが気持ち悪いと思うワケ]
> それにしても、ストリートビューとプライバシーの問題について、意外なほど日本の新聞が何も言わないのはなぜでしょうね。梅田本だか、アンチマイクロソフトのドグマか何かのせいで、彼らの中では「Google=なんかわからんけど絶対善」ということになっているのかもしれません。右も左も、あの人たち思考停止しているのかな。

2008-08-21

探偵ファイル

探偵ファイル~スパイ日記~/豪邸に捨てられた子~2歳児ネグレクト事件~/特捜班
なんか色々記事あります。まぁ読みきれませんが一応記録しておきます。

有罪判決率

【10秒で読む日経】2008/8/21
> 2006年の日本の一審判決は7.5万件だが、そのうち無罪は92件無罪率は0.12%と、無罪判決が出ることが難しいから。
> 裁判官が無罪判決を出して、上告審で有罪に覆されれば、その裁判官の昇進は望めなくなるため、無罪判決は裁判官にとって高リスク。
> しかも、裁判官は人員が少なく数多くの未決裁判を持っていて、早期結審が有能として評価される。
> すると、交流の深い検事の調書どうりに事実認定すれば、調書をコピーして判決文が書けるので手間が省けて評価が高くなる。
> 現行刑事訴訟法では証拠認定は裁判官が自由に決めれるし、証拠採用の根拠も判決文に書かなくても良い決まりだし、第一、検察の調書は無条件で証拠能力が認められる。
> 逆に無罪判決を書くには、上告審の裁判官にひっくり返されないための論拠のしっかりした判決文を1から考えて書かなければいけない。
> 大方の裁判官にとっては苦痛であり、ハイリスクローリターンなのだ。

2008-08-16

見習わねば

データの値段

土屋賢三氏のブログ(2008年08月15日)

 

==================== 引用開始 ====================

こんばんは、土屋賢三です。

林輝太郎先生がどこか(脱アマ相場師列伝?)で書いておられたが、中源線のバックテストを大勢で手分けして手作業でおこなう話がある。

当時はまだPCもなかったし、中源線のような簡単な検証ですらこうして手作業による膨大な作業が必要だったのである。

私自身も検証こそPCを使ったが、昔は磁気媒体でデータが入手できることはほとんどなかったために、データは手入力するのが当たり前であった。

株式の4本値や出来高のデータすら全部手入力だったのである。

具体的には過去のデータが必要なときは、東京の茅場町の証券会館に行って、まず「株価便覧」のバックナンバーを大量にコピーしてくるのだ。

次にそれを自宅でスプレッドシートに手入力していくのである。何週間もかかる作業だ。

右手だけで作業していて強烈な肩こりになったために、左手でもデータを入力できるように練習したものだ。

これは他のデータでも同じであった。競馬や競艇の過去データの場合、まず競馬場や競艇場に行って月報のバックナンバーを大量にもらってくる。

これはタダでくれる。あとは同じように何週間もかけて手入力である。

それができて初めてPCによる検証作業に入れたのだ。当時のPCの性能はおもちゃみたいなものだったが、それでも手作業でやることに比べたら天国であった。

林先生が中源線の検証を手作業でやった苦労に比べるとなんでもないことだ。

さて、ブログのコメント欄にいただいた質問で、ヒストリカルな「予想PER」をどこで手にいれたらよいかという問い合わせがあった。

これはブルームバーグやアムサスがあれば簡単に落とせるが、証券会社や投資顧問会社にいる知り合いにでも頼まなければいけないから、誰にでもできると言うわけではないだろう。

しかし、四季報や日経会社情報にはこの手の情報が掲載されている。

だから話は簡単なのだ。

四季報や日経会社情報のバックナンバーを買ってきて、全部手入力すればよいのだ。

いや、冗談ではなくてホントにそうなのだ。実際、私は10年以上前にそれをやった。

東洋経済に行って、四季報のバックナンバーを10年分買ってきて、それをスプレッドシートに手入力したのだ。私は自分ができもしないことを他人にやってみたらと勧めたりなどしない

生まれたときからPCが自宅にある、欲しい磁気データが簡単に手に入るという世代の方からみたら、なんと非効率なことだろうと思われるかもしれないが、私ぐらいの世代は皆こういった努力をしてきたのである。

その程度の時間や労力を厭わず割くことぐらい、あたりまえだったのである。

簡単には手に入らないが、頑張れば手にはいるならば、話は簡単ではないか?

努力してやり遂げればいいだけのことである。自分の思いどうりになどならないトレードと違って、やれば必ず成果が出るのだからこんな楽な話はない。

まず、やってみることだ。

(土屋)

==================== 引用終了 ====================

 

私、やりました。

それも10年以上前じゃなくて去年。

「騰落レシオ」を使った検証したいと思ったので、いろいろ探したのですが、無料データどころか有料のものでさえ見つかりませんでした。

ちゃんとした大手のデータベンダーに問い合わせても、しがない個人では、まともに取り合ってもらえないのは経験からよく知っています。

それで、図書館にある日本経済新聞の縮刷版から手入力することにしました。

それも、1988年08月31日(水)から約 19 年分です。

項目数も少ないので、コピーより早いだろうと、紙に手書きで書き写して家で入力することにしました。

週末の土曜日か日曜日に通い始めて 2 回、計 6時間30分もつぎ込んだ後のことです。

東証1部・東証2部のみの「売買高(千株)、売買代金(百万円)、上場・公開銘柄、値上り、値下り、商い成立」の12項目のみを書き写していた時に、悪魔がささやきました。

「他の項目も後で必要になるかも・・・」

 

 

それで結局、青色の 12 項目だけじゃなくて、黄色も含めた 74 項目のデータを集めることにしました。

以前、コピー機を長時間占有して、列で待っていたおじさんに殴られそうになったことがあります。

そのことを図書館に説明し、デジカメで撮影する許可をもらいました。

大枚 6万2500円をはたいて 1220万素画素デジカメを買い、グループ閲覧室の予約を取り、撮影を開始しました。

最初は試しに 2 時間です。

家で事前に実験した時は大丈夫だったのに、家に帰って見てみると、何枚かに 1 枚は手ぶれで一部の数字が読めない・・・

やり直し。

真下をとる 3 脚は見つからなかったので、昔、ある業界誌のランキングで私が所属していた部門が 1 位になった時にもらった中に紙が入った透明なプラスチックの記念の盾(よくインベストメント・バンカーのオフィスに置いてあるトゥーム・ストーンを入れてあるやつ)を 3 脚代わりの台にしてデジカメを固定することにしました。

慣れてくると、ページを 1 ページずつめくらなくても、勘で 1 発で次の日のページまでめくれたりします。

3 時間で約 18ヶ月分。

ただ、3-4冊ずつグループ閲覧室まで運ぶんですが、それがまた重い。

結局、図書館に合計 15 回通い、かかった時間は 44 時間 17 分。

撮った画像は 4,870 枚(単調なのでどこまで撮ったかわからなくなって念のため撮って消去した多数の重複画像を除く)で約 27GB。

これで終わりではありません。

家に帰ってからの、入力作業はもっと大変です。

> 右手だけで作業していて強烈な肩こりになったために、左手でもデータを入力できるように練習したものだ。

これはやった人にしかわからない。

1 時間もやると、コチコチです。

手首、肘にもものすごい負担がかかります。

実際、肘を痛めて 1 週間ほど箸を口に運ぶのが困難だったほどです。

それに、超単純作業なのでモチベーションを維持してエラーなしに入力するのは想像以上に大変です。

この難行苦行も仕事ではないので、いつまでにやらなければいけない、という締め切りがないことだけが唯一の救いです。

1 日分入力するのに、平均すると 2 分以上かかります。

それが、4,749 日分。

合計 120 時間 30 分。

図書館までの往復もいれて、なんやかんやで、かかった時間はなんと計 191 時間 26 分。

フルタイムで働いた約 24 日分です。

この努力の結果は、騰落レシオ だけ・・・

その他のデータはまだ使う機会がありません。

もともと、騰落レシオの情報価値はたぶんないだろうと思っていたので、「そんな苦労の価値があったのか?」「おまえはそんなに暇なのか?」と聞かれても、「ただ興味があったから・・・」としか答えられません。

 

でも、データの価値って何なんでしょうね?

昔、顧客だった大手証券会社のクオンツ部門に、業務ではないものの業務上の立場を利用して個人的に収集していた「ある非常に特殊な時系列データ」をあげたことがあります。

そのお返しの取引は、私が勤務していた金融機関に通常のマージンに加えて 1 億円以上もの利益をもたらしました。

その取引だけで私のボーナスがいくらか増えたはずなので、個人的にも価値があったことは確かです。

 

よく、「データを売ってください」というメールをいただきます。

以前、約 11 年分の気配値を含んだ株価指数先物とオプションのパッケージ価格が、トヨタのヴィッツや日産のマーチのクラスの小型車なら 3 台ぐらい買える値段だった話をしたのですが、この苦労して集めたデータの価格はいくらでしょう?

フルタイムで働いた約 24 日分だから、1 か月分の給料?

東京都の最低賃金で計算しても、約 14 万円。

そんな価値はないですよね・・・

あなたの 1 か月分の給料でよろしければ、喜んでお売りします。

 

2008-08-13

利食いと損切り

利食いと損切り II

ある経済系の新聞の夕刊のコラム

プロに聞く ○から○○○の投資塾

(以下、著者が特定されないように一部省略)

・・・

 利益確定や損切りの具体的な基準は、「何を期待して株を買うか」という投資の動機によって異なりますが、
いずれの場合でも、値上がりしたときに確定する利益よりも、値下がりしたときに確定する損失が小さくなるように設定することがポイントになります。
 たとえば、買値よりも 10% 値上がりしたら売るという利益確定の基準を決めたとします。これに対して、損切りの基準が「20% 以上値下がりしたら売る」というものだとしたら、
期待する利益よりも損失が大きくなってしまいます。仮に利益確定と損切りの回数が同じになるとすれば、資産は減る一方です。
 利益確定と損切りの最適な基準を特定することは困難ですが、例えば損切りの基準を利益確定の基準の半分にすれば、「五勝十敗で損益はトントン」というイメージになります。
 「この株は必ず値上がりするはずなどとかたくなにならず、値下がりしたときの損を小さく抑えて値上がりした時の利益を大きくする工夫することが大事です。
 相場状況によっては、利益確定の基準まで値上がりせず、かといって損切りの基準までも値下がりしない、という動きが続くこともあります。 
その場合は値上がり・値下がり」の水準のほかに、タイムリミットを設けることも考えてください。一カ月以内にどちらの基準にも当たらなければ、その時点で売却する、といった具合です。

土屋賢三 氏のブログ

(引用開始)

だが、世の中は広いもので、どう考えても珍妙にしか見えない理論(?)を自信たっぷりに開陳する人もいるものだ。 私が時々目にするもので笑えるのは例えば次のようなものだ。

<良く見かける解説>
----------------------------------------
○○とセットアップが満たされ、××というトリガーが引かれた。
従って△△を、\14,500の逆指値で買う。
ストップロスは、直近の安値の\14,400に置く。
目先の利益目標は前回の高値の\14,800である。
このトレードではリスクが\100、リワードが\300であるので、リスク・リワード・レシオは1:3である。
このように確率統計的な観点から、エッジのあるトレードを行なうことが重要なのである...
----------------------------------------

...(^^;) なわきゃねーだろ!
これなどはあまりにバカバカしい話で、一見科学的な(?)衣を被っているのだが、誰でもすぐにインチキとわかるからエセ科学とすら呼べない。というか、リスク・リワード比が1:3などという大きな比率になるトレードがそう簡単にあるわけないだろ。

だが、こんなまるでカルト教団の教義のようなワケがワカラン支離滅裂なことを書く御仁は、ネタを提供するためにわざと冗談を書いているのでなけれ ば、悪質な確信犯か、もしくは単なるアホのどちらかだと思うが、驚くことに、この類のことをシステムトレード本や投資雑誌、ネット上に書いているのが、一 人ではなく複数いるのである。

一般的に言って、\100上昇する確率と、\100下落する確率ですら等しくはない(対数正規分布の非対称性ゆえ)。 いわんや、\300上昇する 確率と、\100下落する確率が同じであるはずがない。 なのに、上記の解説では、それらの確率が等しいという前提で話を進めている。 悪貨は良貨に駆逐 されるとすれば、こんな子供じみた話が流布するはずがないと思うのだが、この手のシステムトレード本が売れているところを見ると、こういうものを有り難 がって読む人が結構いるらしい。

もういいかげんに、この手の迷信は消え去ってもいいのではないか? 個人のHPや商材屋の宣伝サイトはともかく、少なくとも編集者の目を通る投資雑誌や書籍は、こういったインチキを載せない責任があると思うし、これだけ金融に関するリテラシーが高まっているのだから、個人投資家は「バカにするな!」と声を上げるべきではないか? このままでは、投資の世界は、原野商法とか海老の養殖やロコ・ロンドンの詐欺話(笑)とたいして変わらなくなってしまう (ToT)。

(引用終了)

 

誤解が無いように言っておきますが、土屋氏が指摘している<良く見かける解説>がこの夕刊のコラムのようなものだ、ということではありません。

念のため・・・

当「相場の考古学」では、「他人を批判してはいけない」「他人の売買戦略を悪く言ってはいけない」ときびしく言われているので、数字やチャートだけで読者ご自身に自ら判断していただくことにしています。

さて、この新聞の夕刊のコラム著者氏の売買戦略をみてみると、

 

売買戦略

買い
条件   : 25日の終値ベースの単純移動平均線 < 終値
取引価格 : 翌日の始値

売り(買い手仕舞い)
条件   : 安値 <= 買値 x ( 1 - 損切り幅(%))、または、高値 > 買値 x (
1 + 利益確定幅(%))、または、買い日から 23日(約1ヶ月)後
取引価格 : 
翌日の始値

検証期間

1983年01月04日(火)~ 2008年08月12日(火)

検証対象

2008年08月12日(火)現在の日経平均採用225銘柄

投資単位

¥1,000,000-/取引

 

 

 

「損切りは早く」のウソ利食いと損切り丁半博打に損切りをつける利食い千人力 でもそうだったように、利益確定も損切りもないほうが・・・

2008-08-04

春山さんの「世界経済を観察するための銘柄パック」

追記しました: 海外景気頼みValue株の総崩れ
8月4日
> 株価動向を通して世界経済を読む。
> これは実践的に見て、非常に有効です。
> いわゆる「専門家」と言われるエライ人のご神託より、よっぽど正確です。
> というわけで、私も世界経済を観察するための銘柄パックというグループを日々観察しています。
> さきぼど、昼食後に前場の引けの状況を見て驚きました。
> これらのグループの株はプッツンしたのだろうと感じました。

8月6日
> 海外景気頼みvalue株は、暴騰しています。
> 特に、鉄鋼はすごいですね。
> アメリカではなく、新興国で上がっているのだ、アメリカは無関係だ、、という感じです。
> この傾向が今週いっぱい継続して、他のセクターへの広がりがないとしたら、日本株を少しダウングレードしようと考えています。
> こんな手垢にまみれた片肺飛行の相場だと、将来性が心配ですから。。。。

> 8月7日朝6時の決断
> 日本 ▼10%

2002年以降のチャート・チェック : 日本
> 海運>鉄鋼>商社>>銀行
> 左側:崩れていない
> 右側:崩れている