2006-01-25

テレビ朝日「ワイドスクランブル」

▼番組内容紹介

2006年1月16日、東京地検特捜部が証券取引法違反容疑でライブドア本社に強制捜査を行い、これを受け翌1月17日、株式市場が暴落しました。いわゆるライブドアショックです。

この番組では、B・N・F氏がライブドアショックでどんな影響を受けたか取材しています。以下、取材記者とB・N・F氏のやりとりです。

B・N・F氏:これ(ジェイコム株誤発注事件の当日)9時28分に最初買って、44分にはもう売ってるんですよ。

記者:利益は?

B・N・F氏:20億円くらいですかね。

記者:ライブドアショックの影響はありました?

B・N・F氏:新興のIT関連とか不動産関連とか持ってたんですけど、3億円以上は損しました。これ以上の悪材料はもう出ないっていう風に思えば、それで株価が上がっていけば、まあ、心配がなくなるというか・・・。まあ、先を行くんですよ株式市場は。

記者:投資家にとってその会社の中身は関係ないですかね?

B・N・F氏:短期の人は意外と気にしない人もけっこう多いですよ。良い会社は株価も常に高いし、悪い会社は悪い会社で安いんですよ。まあ、だから短期の場合はそっから上がるかどうかなんで関係ないんですよね。

この2時間でこれだけ買ったんですよ。含み益ですけど儲けが5000万くらいですかね、今日は。自分がいくら儲けたいからといって相場が都合よく動くわけじゃないんで、一日一日がんばるしかないかな、ぐらいしかないですね。

なお、番組キャスターの発言によると、B・N・F氏は、

  1. ライブドアショックで損した3億円も翌日には取り戻した。
  2. 必ず午前9時前に起きて相場をみるために、枕元には目覚まし用の電波時計を3つ置いてある。

とのことです。

「虎年の獅子座」さんのサイトによると2006年1月24日の東京株式市場は、日経平均株価が前日比+288円(+1.88%)となったリバンウド相場でした。B・N・F氏はこの日5000万円儲けています。

B・N・F氏はリバウンド相場に非常に強いという印象です。映像を見るに、この日は新興市場のIT銘柄を中心に売買を重ね利益を生み出した模様。この頃はまだ新興市場も売買が活発でした。

2006-01-24

FLASH

  • 誘拐が怖いから顔は出しません。
  • インテリアとか関心がないんですよ。
    ゲーム?
    昔はやりましたけど今は興味がないですね。
    暇もないし。
    だって、午後 3 時に市場が終わると、どっと疲れるんですよ。
    それくらい精神の消耗が激しいんですよ。
  • あの日はほかの株を見ていたら、新規上場のジェイコム株が目にとまったんですよ。
    目に飛び込んできた株価は 53 万 2 千円。
    ええっと思いました。
    150 万円ぐらいを想像してましたから。
    とりあえず 50 株買ってみたんです。
    さらに 50 株買って。
    するとまだ買える。
    変だなぁと最後に思ったところでその日の相場が終わったんですね。
    夜、ニュースを見るまで騒動は知りませんでした。
    ああ、みずほがミスったんだなぁと。
    22 億円といっても通知があって口座に金が振り込まれただけなんで、実感が湧くのはこうやってマスコミが押し寄せてくることぐらいですね。
    でもそれどころじゃないんで(マスコミには)対応しないんですけど。
    毎日株ばかりで精神的に苦しいし、常識もよくわからないので対応できないんです。
  • (大学時代に株取引を始め)意外と利益が出てこれだけで生活できるじゃないかと。
    就職もパスしました。
  • 株なんて知らなければよかったなんて思うこともあります。
    寝ボケた頭でモニターの前に座ったら、いきなり 1 億円損してたなんてふつうですからね。
    1 億円損したら、ほんとヘコむんですって。
    何をやっても気分が晴れない。
    三菱自動車をダイムラーが売却したときは、あおりで 1 億 3 千万円赤になって眠れなくて……。
    けっきょく儲けるしかないんですよ。
    本当に辛い……。
  • 必勝法を知りたい?
    僕の言うことを聞いて損したらどうしようもないでしょう。
    実践あるのみ。
    それで自己流を身につけるしかないんです。
    僕は世の中の動きはニュースを見ないので知りません。
    よけいな情報はいらないから。
    見るのは、株価のモニターだけです。
    具体的には先物相場の株価。
    すべては数字に出る。
    チャートを観察していれば本当によく分かりますよ。
    それについていくだけなんです。
    六本木ヒルズですか?
    興味ないですね。
    贅沢品といえば、この家くらいですかね。
    趣味は株かなぁ。
    旅行も行きません。
    酒を飲んでいても株価が気になるんで。
    昔は 2 ちゃんねるにも書き込んでたんですが、しなくなりましたねぇ。
    将来は本屋さんがいいな。
    好きな本を読みながら一日過ごせそうで。
    親からも早く株をやめろと言われてるんですが、なかなかやめられないんですよ。

2006-01-22

My Trading Life (27)

この記事は実は先週の日曜日に書いたものだ。

ブログの記事は、たいてい、書き終えたら即アップするのだが、『My Trading Life』はちょっと気合いが入っているので、一晩寝かせて、翌日、もう一度読み返してからアップすることにしている。ところが先週は月曜日にライブドア家宅捜査があり、その後、相場が大波乱を演じてしまったので、この記事の中で、「予想」として書いていることが、少し異なった形で「事実」となってしまったために、書き直さなければならなくなっていた。

週末にでも全面的に書き直そうかと考えていたのだが、いまあらためて読み返してみると、まるでこの記事全体が「先週末の僕」から「現在の僕」に向けたメッセージのようにも読めることにちょっと驚いている。

ちょっとタイミングのずれた部分もあるのだが、あえてこのままアップしてしまおうと思う。

先週末の段階で、僕は「もうすぐ」「何か」が起こることは予想していた。占い師ではないのだから、「もうすぐ」が「翌日」で、「何か」が「ライブドアの家宅捜査」だろうとは全く予想もしてはいなかったが、しかし、IPOバブルの終焉を告げるような何らかの事件が起きるであろうこと、それをきっかけに相場が軟調になるであろうことは、煮詰まったチャートを読めば予測できた。

いつも書いていることだが、「材料が相場を動かすのではなく、相場が動きたい時に材料が生じる」のである。あるいは、別の言い方をすれば、マーケットの動きたい方向というのがあって、何らかの事件が生じた時に、マーケットはその動きたい方向へと材料を吸収していくのだ。

ライブドアの家宅捜査がなかったとしても、早晩、新興株が先陣を切る形で、トレンドは変わっただろうと思う。その数日のずれによって、破滅する投資家、破滅を逃れる投資家がいるわけで、投資家にとって数日のずれは決定的に重要ではある。しかし、大局的な流れは、個々の出来事や事件などが作るわけではないのだ。そして、大きな流れにあらがうことはできない。トレーダーはトレンドを味方につけるようにと、ポジションを築いていくべきなのだ。

さて、話は2001年、前年春のITバブルの崩壊から1年近くが経過し、相場が徐々に立ち直りつつあるかに見えた頃である。




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今の相場だと、資産規模1千万円程度では、完全に鼻くそ扱い、度胸のあるデイトレーダーなら一日で稼ぎ出してしまう金額だが、2001年当時、200万円を1年ちょっとで1千万円にしたというのは、それなりにりっぱな数字だったんじゃあないかと思う。

相場環境は完全に逆風だった。1年前、ITバブルのど真ん中で、羽振りをきかせていたネットトレーダーたちは、ほとんど全て姿を消していた。高値では24万円した光通信の株価は、1,000円台にまで売り叩かれていた。

狂乱相場の後の宿酔は無惨である。

現在のIPOバブルも最後は悲惨だろうと思う。ストップ安売り気配が何日も続き、売りたくても売れないような事態が、おそらくもうすぐ訪れるはずである。東証一部をいじっているトレーダーはしばらくは対岸の火事を高みの見物していられるだろうが、やがて火の粉はこちらにも回ってくるだろう。対岸で悲鳴が上がったら、すぐに逃げ出すことだ。

それでも、2001年の春、ようやくマーケットは底が見えたように感じられた。日経平均は2月末に12,000円を割った後、急速に戻しつつあった。どうやら1年近くにも及んだ下げ相場はトレンドを転換し、再度、上昇へと向かいつつあるらしかった。

僕はそれまで何とか空売りを中心に凌いできたが、空売りのポジションを徐々にクローズし、買いへとスタンスを移動していった。

さて、この時期の印象に残っている思い出をいくつか書いておきたい。ひとつは『マーケットの魔術師』の「株式編」を発売直後に航空便で取り寄せて、2日間、ほとんど徹夜状態で一気に読み上げてしまったことである。トレードを学ぶことに対して、この頃は本当に真剣だったと今あらためて思う。

そして、『マーケットの魔術師』の「株式編」は実に面白かった。「正続編」は、トレードの道を究めた聖者列伝といった趣の本だったが、株式編は、なんというか「変な奴大集合」みたいな、こんな方法でどうして儲かるんだろうというトレーダーが次から次と紹介されていた。

結局、トレードに誰もが従うべき普遍的な正しい方法なんてないのである。自分にあったトレード法、自分が十分に資金と心理をコントロールできるトレード法を見つけること、それが大切なのである。そうしたことが、この本を読んだあとで確信に変わった。

『マーケットの魔術師:株式編』の読後感は、読み終えた直後に「売り専」の掲示板に書き込んでいる。とても懐かしい発言なので、再録してみようと思う。株式トレードビギナーの頃のワクワク感が十分に伝わる書き込みなので。(^_^;)

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【 タイトル 】Stock Market Wizard
【 日付 】01/03/04 16:29

皆さん こんにちは!!

1ヶ月ほど前に紹介させていただいたジャック・シュワッガーの新作「Stock
Market Wizards」ですが、昨日と今日で一気に読了してしまいました。

これは面白い!!

僕はアマゾンドットコムで2割引で買いましたけど、丸善信者の人は、丸善で
買うといいでしょう。アマゾンの倍の値段で売ってますので、丸善の売り上げ
に大きく寄与し、株価の上昇にきっときっと多大な貢献することでしょう。
(笑)

これまでの「マーケットの魔術師」2冊に登場していたのは、神のごとき高み
にいるトレーダー達という印象だったのですが、今回の本は、彼らよりは少し
だけ身近に感じられるトレーダーの記録です。
(といってもまだまだ雲の上だよ。)

トレーディングスタイルはこれまでの2冊以上に、多様で、個性的で、むちゃ
くちゃで、ホント面白い。

オプションの「買い」で堅実に稼ぎをだしていく牧場主の話しとか、どこの会
社に行っても上司とぶつかり合ってた女性が、空売りオンリーのトレーダーと
して大成功する話しとか、ホントに、こんなやり方で儲かるのかなぁと、若干、
半信半疑でもあるのですが、でもやっぱり自分の性格に合ったトレーディング
スタイルでやれば、うまくいくんだろうなぁと納得させられるのです。

あと、目からウロコというか、正直、笑ってしまったのが、狙いを付けた会社
のCEOだの関係者に電話しまくるというトレーダーですね。彼は売買すると
きにチャートを見もしないのだそうです。(ホントだろうか...。)

どなたか日本版のこんな本、出してくれないかなぁ。草笛さん、奇術師さん、
XXさんなどなど、「魔術師」の候補選手はこの掲示板に何人もいらっしゃい
ますね。

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そして、この時期に、もう一つ、とても印象的な書き込みを掲示板で読んだ。奇術師さんの「Gold」というタイトルの書き込みである。この発言もその後何度も読み返したし、そして大きく影響を受けた。「そう、プロにとって、金市場は売るためにあるのです。」という奇術師さんの口調も実に懐かしい。

奇術師さんの発言はどれもそうなのだが、読み返すごとに新しい発見があり、印象が変わってくる。この発言も、金相場のその後を予言したというよりも、どんな相場であれ、大局的な流れにつくことが大切なのだと教えてくれているのだと思う。

長期的なトレンドが上向きの時にこそ株を買うべきだし、FXに挑戦するならば、スワップ金利というハンディが与えられる外貨の「買い」で狙うべきだし、無限に増え続ける不思議な商品である金より、実需要のあるプラチナを買うべきなのだ。つまり、常に少しでも有利な側について、トレードをすることが大切なのだと思う。

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【 タイトル 】Gold
【 投稿者 】マーケットの奇術師
【 日付 】01/02/04 21:46:51

ヴォルテールさま、ハント姉妹さま:
個人的には、貴金属の長期定額購入をなさるなら、金よりもプラチナを
お勧めしたいです。休日モードということで、少し詳しく述べてみます。

金というのは、不思議な商品です。いや、商品とは言えないのかもしれません。
なぜなら、金には、本当の意味での需要、つまり実需というものがあまり
存在しないからです。

この世に存在する「商品」とは、すべて消費されるために生産されています。
採掘された原油は精製され、燃料や石油化学製品原料として消費されます。
生産された穀物は、飼料や食料として消費されます。
非鉄金属も、繊維も、鉄鋼も、セメントも、紙も木も、すべて同じことです。
そして、消費という需要と、生産という供給のバランスするところで最終的な
価格が決まります。『需給に勝る材料無し』というのは商品界のことわざですが、
一時的に思惑で相場が動いても、結局のところは需給関係が価格を妥当なところへ
収斂させて行きます。

金以外の貴金属には、宝飾品としての需要以外に、それぞれ工業物資としての
重要な用途があります。
銀は写真感光剤や抗菌剤としての、プラチナやパラジウムは触媒や電極材料としての
需要が、総需要の半分以上を占めています。
ところが金には、そういった実需がほとんどありません。せいぜいメッキや歯科材料
程度のもので、「需要」の大部分は宝飾品・投資・退蔵需要です。
しかも金は化学的に安定な物質で、錆びたり腐ったりしません。
ソロモン王やミダス王の昔から、永久にそこに存在するのです。
これを言い替えますと、世界中の金鉱山から採掘される年間約4000トンの新産金の
かなりの部分が、地上在庫として毎年繰り越されて行くということです。

要するに、穀物は食べたら消滅します。石油は燃やせば消滅します。
しかし、金はあまり消滅せず、地下から掘り出された金が毎年どんどん地上に
あふれかえってくるのです。「不思議な商品」とは、そういう意味です。
ですから、はっきり言えば金価格は毎年下がるのが当然なのです。

そう、プロにとって、金市場は売るためにあるのです。永遠の戻り売り銘柄と言っても
過言ではありません。

ニクソンショック以後の現代は、もはや金本位制の時代ではなく、実物通貨としての
価値は幻想になっています。つまり、昔は、金の本質的価値に「通貨的側面」という
プレミアムが乗っていたわけですが、それが徐々に剥げ落ちてきているのです。
一挙に急落しないのは、それがいまなお消費者の「共同幻想」に支えられている
からに過ぎません。

産金会社や商社、貴金属商、宝飾品業者などは、こういうことは口が裂けても言いま
せんけど、彼ら自身は常に市場で売り方に立ち、大規模なヘッジ売りをしています。
南アや豪州の鉱山会社がCOMEXでどれだけの売り玉を持っているか、あるいは
純金積立を派手に広告している商社がTOCOMでどれだけの売り玉を持っているか、
調べてご覧になれば、おそらく驚かれることと思います。
彼らが必要としているのは、富の象徴というイメージに幻惑され、自分たちの売りに
喜んで買い向かってくれる消費者なのです。

金地金は、持っているだけでは利息を生みません。各国の中央銀行は、準備資産として
莫大な地金在庫を持っていますが、それを貸し出してリース料を取り、利息の代わりに
しています。
しかし、その貸し出された地金がフォワード売りを生み、ますます金価格の低迷を招く
結果になっています。近年、欧州の中央銀行が相次いで保有金の売却をしているのは、
通貨的側面というプレミアムが消滅した金を大量保有する意味が薄れているからです。

株に例えて言いますと、万年無配のくせに毎年定期的に公募増資をする会社の
ようなものです。大株主たちは、株を貸し出して貸株料を受け取っていますが、
需給悪に加え、その貸し株がまた慢性的な売り圧力となる悪循環で、株価は
いっこうに上がりません。
それでもおおかたの大株主たちは、昔からのしがらみもあるので、なかなか持ち株を
売りに出すまでには至っていません。しかし、それも限界に近づき、思い切りの良い
一部の大株主は、少しずつ持ち合い解消売りを出し始めています・・・
と、こんなイメージでしょうか。
この会社の株、みなさまなら買う気になりますか?

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2006-01-21

週刊現代

  • 株式投資をやめようと思ったことは何度もあります。
    資産が 80 億円になった今でさえ、「朝のたった 10 分間で 1 億円を損するかもしれない」リスクとプレッシャーで押しつぶされそうになる。
    正直、精神的にきついです。
    やめればいいんですが、そうすると儲けるチャンスを自ら放棄して 1 億円損をした気分になるので、それもきつい。
    どっちもきついなら、株をやり続けるしかないなぁって感じです。
  • ジェイコムの一件もあって、昨年は年初の約 10 億円の資産を 12 月末にはだいたい 80 億円に増やすことができました 。
    ジェイコムだけじゃないんですよ。
    他の銘柄で儲けた額のほうが多いです。
    資産が約 80 億円といっても、僕の場合は実業で稼いだワケではありませんから、「資産」といえるかどうか。
    この先ゼロになるリスクもあるし、先のことなんてわかりませんね。
  • ジェイコム株を買ったのは、安かったから。
    それだけの理由です。
    みずほ証券による誤発注があったなんて、そのときは知りませんでした。
    (12 月 8 日に)新規上場したジェイコムの公募価格は 61 万円で、初値は 100 万~ 120 万円くらいにはなると思っていました。
    それが公募価格を下回っていたので、安いなぁと。
    「おかしい」というより「安い」という判断です。
    安くなければ絶対に買いません。
    楽天証券で 2950 株、他の 2 社で 4150 株、3 社合計で 7100 株購入しました。
    「ひとつの銘柄に 34 億円を投資するのは怖くなかったか」とよく聞かれますが、ぜんぜん怖くありませんでした。
  • 今回の件では、そもそも証券会社の誤発注が通るシステムに問題があると思っています。
    警告が出るだけじゃなくて、(売買自体を)執行停止にするべきでしょう。
    証券会社があんな(61 万株と多い)注文を出せることがおかしいんです。
    もし個人が発注を間違えても「間違えました」では通らないし、無茶な注文も受け付けてもらえない。
    証券会社には無制限にカラ売りが許されていることも不公平に感じます。
    個人投資家はカラ売り規制があって、61 万株もの莫大な売り注文は出せませんからね。
    欠陥のあるシステムのせいで間違いを起こしてしまった証券マンもかわいそうですよ。
  • 株式投資を始めたのは 5 ~ 6 年前の大学在学中でした。
    当初 140 万円から始めたんです。
    バイトして貯めたおカネとか、子供の頃から貯めていたお年玉とかが元手ですね。
    最初は株関係の本を何冊か読みましたが、そのころはネット取引自体まだ歴史が浅く、参考になりそうな本はほとんどありませんでした。
    今でもアナリストの銘柄レポートも、マネー誌や経済誌も読みません。
    他人の意見に影響を受けるのがイヤなんです。
    ですから、ボクのスタイルは、あくまで実践を繰り返すなかで覚えていったものです。
  • 世間ではネット投資家というと、みなひと括りに「デイトレーダー」と呼ぶ傾向があるけど、僕の投資スタイルは 1 日~ 1 週間程度で売買する「スイングトレード」です。
    株をホールドする期間は長くても、せいぜい 10 日間。
    たいがいは 2 ~ 3 日のサイクルで売買します。
    「下がったら買って、上がったら売る」の単純作業の積み重ねです。
    ムダな売買をやっていることも結構多いし、買った銘柄が予想以上に上下して、結果的に一日で手仕舞いする”デイトレード”になることはありますけどね。
  • 02 年末には、最初の 140 万円が 1 億円ほどになっていました。
    その時点で、就職せずにこのまま株取引をやっていこうと思ったんです。
    とりあえず 25 歳まで、これを続けようと。
    ダメだったら、就職しようという考えだったんです。
  • 大学では特に経済や金融を学んだわけではありません。
    両親からは「株なんかやめて、早く就職しろ」と言われてましたね。
    資産が 3 億円くらいになったときも、父親から「どうせいつかは損をするんだから、早くやめたら」と言われていました。
  • 僕が株を始めたのは、IT バブル崩壊後の下げ相場からです。
    もっとも下げ相場といっても、決して一直線に下がるわけじゃありません。
    一定の下値に達したら、リバウンドで上昇するのが普通です。
    当初は下げ相場のなかで、下値に達したと思われる銘柄を買って値上がりを取っていくスタイルでした。
    01 年前半はこのやり方を繰り返してある程度儲けましたが、後半は損することが多くて精神的にもきつかったですね。
    このときに起こったのが、9・11の米国同時多発テロです。
    あのときは KDDI とか日本テレコムとか通信株をたくさん持っていましたけど、これらが軒並みストップ安になってしまって本当に参りました。
  • 引き続き 02 年も相当苦しかった。
    この年は前半こそ儲けたものの、後半の半年で儲けた分を帳消しにしてしまいました。
    結局、資産は横ばいのままでしたね。
    このころは米国株と日本株の連動性が強くて、乱高下する米国株価にずいぶん振り回されました。
    米国市場の動きが気になって、朝の 5 時、6 時まで相場をにらんで、2 時間寝たら日本株にかじりつく――そんな時期もありました。
    きつくて、もうやめようと思ったのも、そのころです。
    このような下げ相場のときをくぐり抜けているので、株がいかに厳しい世界であるかは自分なりに理解しているつもりです。
  • 03 年の 5 月からは相場も上げ基調に変わり、機関投資家が大型株に投資する流れに乗っていっただけです。
    それ以降はだいたい儲かっています。
  • 僕の投資スタイルは短期売買が大前提で、長期の株価予想はしません。
    一日の予想が当たればいいんです。
    つまり、一日の相場予想を着実に当てて、それをコツコツと積み重ねていく。
    30 日続けば、結果的に 1 ヵ月の予想が当たったことになる。
    長くてもせいぜい 1 週間単位の予想ですね。
    昨年のように中期的に見ても大幅に株価が上昇した相場では、短期売買を繰り返すよりも中長期でじっくり持ってから売ったほうが結果的に儲かったでしょう。
    でも、これが僕のスタイルですから変えるつもりはありません。
  • 上げ相場と下げ相場では、投資法が若干変わってきます。
    上げ相場では個別銘柄の出来高推移、場中の板情報、日足チャートを中心に見ますね。
    基本的にはチャート重視です。
    利益確定売りや損切りのタイミングについては自分なりのルールが何パターンかありますが、詳しいことは言えません。
    ライバルも多いですからね(笑)。
  • 取引は日本株のみです。
    投資信託は手数料が高いし、短期でやるものじゃありませんから興味はありません。
    外国株もやらないですね。
    米国株なら多少はわかりますけど、中国株やインド株なんてさっぱりわからない。
    基本的には、わからないものには手を出さないことにしています。
  • 昨年の前半は、IPO 銘柄だった通信会社の日本通信とオンライン・ゲーム会社のガンホー・オンライン・エンターテイメントで大きく儲けることができました。
    二つの初値はそれぞれ 7 万円と 420 万円でそれほど高くなかったんですが、その後、連日の高値更新で急騰したんです。
    この二つで数億円の資産を作ったのが大きかった。
    その後の相場で大量の資金を投入することができましたから。
  • 8 月からは大型株で儲けました。
    銀行、造船、鉄鋼、商社などの大型株はチャートを見れば一目瞭然で、直角的に値上がりしました。
    住友金属工業なんか、8 月から 10 月までの 2 ヵ月間で 200 円台から 400 円台に急騰しています。
    昨年の 8 月以降は相場の流れに乗り、大型株の売買を繰り返して儲けた形です。
  • 場中はずっとパソコンに張りついているので後場が終わったら、もう株のことは忘れたいんです。
    とはいっても、これといった趣味もない。
    たぶん株の刺激が強すぎて、ほかのことにはあまり興味が向かないんですかね。
    気分転換といっても、ふだんは近所を散歩するくらいです。
    学生時代に陸上競技をやっていたので、テレビで陸上競技やサッカーなどスポーツの試合を見るのは好きです。
    お酒は自分から飲もうとは思いません。
    彼女?
    ノーコメントです(笑)。
  • 儲けたおカネを何に使うかと聞かれても、よくわかんないんですよ。
    大きい買い物と言っても、家とクルマくらい。
    トヨタのマジェスタを買ってはみましたが、ペーパードライバーなので乗っていませんし(笑)。
  • 株で儲けた僕が言うのもなんですが、やはり他人には株は勧められないですね。
    特にサラリーマンのみなさんはやらないほうがいい、そう思います。
    一度でも株をネットで始めると株価が気になって仕事に手がつかないんじゃないですか。
    しかも、厳しい世界ですから、一時的には儲かっても結局、大損するまでやめられない人が多い。
  • 僕自身もいずれ株から身を引くときは、きっぱりやめるしかないと思います。
    でも、本当にやめるとなると、さっき言ったようにみすみす儲けるチャンスを捨ててしまったという後悔の念にとらわれると思うんです。
    続けるのもつらいし、やめるのもつらい。
    どっちをとってもつらいのが株なんですね。
    始めちゃったものは仕方がないんですが。
  • 昨年はかなり儲けましたけど、資産が大きくなればなったで、一日で 1 億円儲けるチャンスもあれば、一日で 1 億円損するリスクもある。
    決してラクではないんです。
    昨年 8 月以降、相場は急激によくなりましたが、こんな状態がいつまで続くかはわかりません。
    この先もうしばらくはいい相場が続くでしょうが、これだけ水準が上がってくると下がるリスクもこれまで以上に高まってくるでしょう。
  • 相場は生きものなので、今のやり方がこれからも通用するとは限りません。
    1 年後には今の方法が通用しなくなることも十分に考えられます。
    とはいっても、何度も言ったように僕はしばらく株をやめられないでしょう。
    ただ、今年は投資に振り向ける資産を少し減らそうとは思っています。
    これだけの資金をフルで投資に向けるのは、正直しんどいです。
  • 将来どうするかって?
    3 年後のことさえ何も考えていませんよ。
    ただ、ファンドマネージャーにはなりたくないですね。
    自己資金を運用するだけで精一杯でこんなにつらいのに、他人のおカネを運用する気にはとてもなれませんから。

2006-01-13

週刊ポスト

  • 株投資で特別なことは何もしていません。
    日経新聞はパラパラと目を通す程度で、とらなくてもいいと思っているほどだし、投資関係の雑誌もまったく読みません。
    「会社四季報」の情報やニュースをインターネットで見るくらいですね。
  • (ジェイコム株を)誤発注と知って買ったわけじゃありませんでした。
    ジェイコムの初値予想は 100 万円くらいだったのが、ストップ安の 57 万 2000 円をつけたので、安いと思ったのです。
    でも、05 年は 1 年で 60 億円以上の利益が出ているから、ジェイコム株での儲けは、自分では”すごい”という感想はありませんね。
  • 00 年 ~ 02 年当時は、全体的に株価が下落トレンドにあった時期でしたが、それでもスイングトレードなら利益が出せました。
    株価が下降する時でも、一本調子で下げるのではなく、下げてはある程度値段を戻すというのを繰り返して、波を作っていく。
    その下がった後のリバウンドを狙って買っていったのです。
    具体的には、ランキング情報を見て、25 日移動平均線より株価が大きく下回っている銘柄を選ぶのです。
    当時は、兼松、日商岩井(現・双日)、住友重機械工業、井関農機など、25 日移動平均線との乖離率が 60 ~ 70 % もある株が多くありました。
    それらのような下がりすぎた株を買って、一時的に反発したところで利益確定していったのです。
  • 今の上昇相場では、超大型株を中心に取引しています。
    売買高ランキングを参考にして銘柄を選んでいますね。
    例えば、三菱 UFJ や住友金属工業などです。
    この相場では超大型株を選べば、普通は儲けられると思います。
    あと、大事なのは損切りを早くすることでしょうか。
    僕自身は、想定より下がった場合には、上がるまで待つことはせず、早めに損失を確定させています。
  • 朝は 8 時 15 分に起きて、先物相場の動向や、米国株の状況を確認したりします。
    もちろん、マーケットスピードで、扱っている銘柄の株価情報も見ます。
    新聞やテレビは見ませんね。
    あとは、9 時になったら、注目している銘柄の売り時や買い時を見つけて、取引するだけです。
    午前の取引が終了する 11 時過ぎに遅い朝食をとって、午後も同じように取引をします。
    15 時を過ぎたら、その日のニュースをネットで確認。
    1 時間ほどその日の反省をしますが、16 時以降は株のことは考えないようにしています。
    テレビゲームもやりませんし、近所に散歩に行くくらいですね。
  • 車は家族が運転するもので、僕はペーパードライバーなので運転しません。
    食事も普通です。
    家にあるものを食べることがほとんどですね。
    服も地元のダイエーで買います。
  • 僕自身は、クレジットカードも持っていないですし、お金はほとんど持ち歩いていない。
    現金は普段見ないようにしているんです。
    時には数千万円単位で損失を出すこともあるので、いつも現金を見ていると”あんなに損をしたのか”と精神的なダメージが大きくなるからです。
  • 僕が株で稼いでいることは、ほとんど誰にも伝えていませんから(女性がいい寄ってくるなど)ありませんね。
    こういう生活をしていると友人とも疎遠になりますから。
    合コンなんかも特に行かないし。
    (彼女はいる?)そのへんはプライベートなので……。
  • もう 3 年前から株取引自体は、面白いとは思わなくなっています。
    ただ、これが僕の仕事だと思っていますので、やり続けているのです。
    もちろん、やめることもできるでしょうが、じゃあ、やめて何をするのかと考えてみても、思いつきません。
    僕のような若者のことを「ネオニート」などと呼ぶらしいのは知っていますが、別に、その呼ばれ方については特に感想はありませんね……。

2006-01-08

フジテレビ系列「週刊人物ライブ スタ☆メン」

この頃のBNF氏は顔にボカしをいれ、「B・N・F」というハンドルネームも明かしていません。番組の中では「ジェイコム株男、株ニートのカリスマ、20億円をもうけたAさん(27)」と紹介されています。

私の把握する限りでは、BNF氏が株のトレードをしている映像が世の中に流れたのはこの番組が初めてです。BNF氏は今も昔も楽天証券マーケットスピードを使っていますね。

▼番組内容紹介

2005年12月8日に起こったみずほ証券によるジェイコム株誤発注の際に、B・N・F氏は6000株のジェイコム株を取得し約20億円の利益を上げました。大量保有報告書によってその事実に気づいたフジテレビが、ジェイコム株で儲けた感想をB・N・F氏に取材。B・N・F氏は匿名でインタビューに答えています。以下、取材記者とB・N・F氏のやりとりです。

記者:20億円儲けたときは?

B・N・F氏:その段階(ジェイコム株誤発注事件の時点)で去年70億儲かってたんですよ。だからそんなに驚かなかったっていうか。う~ん。

記者:お金の使い道は?

B・N・F氏:ほとんど使ってないですよ。家買ったくらいで。

~~中略~~

B・N・F氏:(株は)やらない方がいいと思うんですけど。常に資産が減るリスクを抱えながら人生を歩んでいくことになるんで。「1億損したらどうしよう」って毎日思いながらやってるんで、ほんときついんですよ。

この番組が放送された2006年1月8日はライブドア事件が起こる約10日前でした。ライブドアショックの前は、日経平均株価も新興市場も絶好調。日本全体が空前の株ブームでした。

番組中に中学生で株式投資をやっている少年が出演していますが、彼は記者に「尊敬する人物は?」と尋ねられて、村上ファンドの村上世彰氏と答えています。この回答が株ブームで浮ついた時代の雰囲気を象徴しており、今見返してもおもしろい映像となっています。

2006-01-05

週刊文春

  • ほかにも前日から取引を持ち越していた銘柄がいくつもあり、ジェイコム株は新規公開株なので『見てた』ってだけです。
    百万円ぐらいかと思ったら六十七万二千円で値がついたので、安いと思って最初は五十株ずつ何回か買った。
  • 九八年に NHK スペシャル『マネー革命』を観て、海外の投資家が個人で凄い金額を稼いでいるのに衝撃を受けました。
    その後、”これから株が上がる”という景気のいい見出しの本を立ち読みして株をやってみようと思った。
    最初は郵便のバイトやお年玉などで貰った百数十万円が元手でした。
  • 常時保有しているのは十~三十銘柄で流動性のある大型株が中心です。
    日経平均先物で全体の流れを見ながら色んな銘柄を物色する。
    相場が悪いときはリバウンド狙いです。
  • (株は)楽しくないですね。
    辛いだけなんです。
    お金を持ったっていっても、結局こうやって(画面を指して)数字が増えただけじゃないですか。
    ケチですし、損することも考えているので無駄に金を使いたくない。
    翌日の取引に平気で六、七十億円持ち越すので、朝から一億円損したりする。
    何十億円儲けてても凄く辛いんですよ。
    でも、相場が動いているのに無視すると”仕事放棄”みたいじゃないですか。
    それはそれで辛い。
  • (「証券会社に勤めれば?」と聞かれて)人のお金はもっと辛いですよ。
    仕事するにしても株関係は絶対やりたくない。
    本とかも絶対書きたくないし。
    頭の中『株、株、株』でとにかく株から離れたいので経済番組も絶対観ません。
    大体、株で何十億円も動かすので他のことが小さなことに思えてピンとこない。
    最初から株を知らない方が良かったかもしれない。

My Trading Life (26)

損切りで一番難しい点はなにか。まず例外なき厳しいルールを確立するということと、同時に、ストレスなくロスカットを実行するために、ルールを柔軟に応用すること。この2つを両立させることがもっとも難しいのではないかと僕は思う。ロスカットは自己処罰なので、どうしてもストレスになりやすいのだ。そして、心理的に追いつめられてしまうと、失敗トレードを繰り返しやすくなる。

もちろん、「それ以前」の問題として「損切りするなんて悔しくて私には出来ないんですぅ」とかいう問題もあるのだが、まあ、そういうレベルで悩んでいる人はさ、株なんてやってちゃいけないよ。八百屋で蕪でも買ってなさい。もう論外の存在だね。

さて、仮に含み損が6%で損切りをするというルールを決めたとしよう。相場が上げトレンドの時は、損切りする銘柄もあり、利益を膨らませていく銘柄もありで、おそらくある程度はうまく回転していくだろう。

しかし、下げトレンドの時は、どの銘柄も同じように下がるわけで、毎日毎日、損切りに次ぐ損切りを強いられることになるだろう。自分のポジションを毎日毎日切っていくという自己処罰の作業を、一つの銘柄も例外なく冷静に実行できる鉄のような意志を持っている人はそれほど多くはないだろう。

いや、下げトレンドでなくても、かなり強い上昇トレンドのさなかでも、相場の波に翻弄されて6%程度の含み損なら簡単に発生してしまう。それを避けたかったら、特に強い上昇トレンドの時は、例外的に含み損を例えば10%までは許容するというルールを加えなければいけなくなる。

しかし、そうなると、今度は、「普通の上昇トレンド」と「特に強い上昇トレンド」をきちんと定義する新たなルールが必要となってくるだろう。そうしないと、含み損が6%に近づいてくると、これは「特に強い上昇トレンド」なのだと自分に言い聞かせて、損切りをしない口実にしてしまうだろう。

また「特に強い上昇トレンド」の時に、あまりに緩いロスカットのルールを決めてしまうと、今度は相場の最終局面での急落場面で、それまでの利益を全部吐き出してしまいかねないような大きなロスを発生させてしまう恐れがある。

さらには、例外がいくつもあるルールを、確実に実行し続けることは、普通の人間の意志を持ってしては不可能だろう。「例外の多いルール」では予想外の事態に出くわしたとき、そうした事態を「ルールのさらなる例外」にしてしまい、つまり損切りの対象外にしてしまう恐れがあるのだ。

実際、その時までに丸善とソフトバンクという2つの銘柄を「ルールの例外」にしてしまったために、大きな損失を発生させてしまっていた。ロスカットに例外の銘柄を作ってはならない。

要するに、ロスカットのルールを厳格に磨き上げていこうとすればするほど、そのルールは無力化していくのだ。

「強い相場では少々の下落でも振り落とされない。しかし、大きなトレンドの転換に対しては出来るだけ速く逃げられる。」

そんな魔法のような手法があればいいのだが、もちろんあるはずもない。「過敏な指標」は、いわゆる「だまし」にも簡単に引っかかってしまうし、「鈍感な指標」が相場の転換を合図してくれるのは、取り返しがつかないくらいの損失がすでに発生してしまった後かもしれない。


それではどうすればいいのか。東洋エンジの相場のさなかで、ロスカットのアートは、自然に確立していった。

基本的な考え方は、ロスカットの厳格な枠はきちんと決めておいた上で、それを実際に実行する際には、ある程度の融通が利くように、ルーズな部分を多く残しておくということである。

仮に、「含み損が20万円を越えたら損切り」というルールを厳密守ることとする。この時、ロスカットを行う上で、確定損は考慮に入れない。

株価がうねりながらの上げトレンドの時は、緩んだら買い、吹いたら売りを繰り返す。利食いは、建玉値が低いものから順番に切っていく。そうすることによって、ロスカットのポイントは常に株価のすぐ近くに置いておくように心がける。

逆に一時的な押し目をだと思われるときは、今度は、建玉値が高い方から切っていく。つまり含み損が20万円に達しそうになる前に、含み益の発生しかけているポジションから先にカットすることで、ロスカットのポイントをあえて遠くに置くようにする。

どちらからカットするかはその時の相場環境を睨みながら、感覚的に判断する。

ルールは厳格に守らなければいけないし、また一方で柔軟にそれを応用しなければいけない。システマティックな基準を作りつつ、感覚的に判断をする部分も残す。規律と自由。厳格な規律を作らなくては相場では勝てないし、かといって自由の要素も残しておかないと、トレードはストレスしかもたらさなくなる。そうした相反する課題をどうやって満たしていけばいいのかが、だんだん分かってきた。


もう一つ大事なことは、そうやって、ある程度感覚的な判断を許容しながら、自分の中にある心の弱さや迷いを、客観的に眺めて、面白がって楽しむことですね。

「ほ〜ら、調子のってたっかいところ買っちゃったから、投げなきゃならなくなっちゃったじゃないの。上から順に切っていくしかないね」とか「ほほぅ、あえて、安いところからポジション外す気ですか。今回は意外と強気なんだね〜。大丈夫なのかい、そんな調子ぶっこいてて」とか、自分で自分にボケとツッコミを入れながら、心の動きを楽しむということです。

これが出来るようになると、トレーディングは気分的にはかなり楽になるね。


そうしたトレーディングの練習を東洋エンジのこの時の相場では思う存分やらせてもらった。
今思えば、この時の東洋エンジはそうしたトレーディングの練習の為の格好の練習台のような銘柄だった。

清春氏が買い煽りをした銘柄の中で、東洋エンジは唯一犠牲者のでなかった銘柄である。

清春氏は当初から目標株価を400円と置いていた。そして、株価が300円を越えると、掲示板の誰もいつのまにか買い煽りをしなくなった。高値圏での狂ったような買い煽りに乗せられて天井をつかんだ人はいなかったのである。

400円を手前にして、株価は円形の天井を付け、やがて下落を始めた。掲示板では、誰も東洋エンジについては語らなくなっていったが、僕は、当初の予定通り、最後に残った買いのポジションを損切りし、そして空売りに転じていった。

資産総額が1千万円を越えたのは、東洋エンジの空売りを行っていた最中だったと思う。

2006-01-02

My Trading Life (25)

数ヶ月後、奇術師さんがネットから姿を消したあとで、清春氏は「奇術師さんは東洋エンジの空売りで破滅したのだ」というデマをしつこく流すことになるのだが、それは全くの嘘である。

彼は自己正当化のためならば「平気で嘘がつける人」なんだね。彼自身は嘘をついているという自覚すらおそらくはないだろう。

奇術師さんは、東洋エンジの空売りはやっていないと思う。急騰する仕手株に空売りで向かうなど、彼が絶対にやりそうにないトレードである。

彼は最終的には400円近くまで上がった銘柄を、100円台の前半で利食ったのです。いや、正確には、利食ったと掲示板に書き込んだのです。それが全てです。


それはさておき、僕は東洋エンジの相場で多くのことを学んだ。

相場のうねりに乗りながら、緩んだところを買い、吹いたところを売りで、小さくポジションを動かしていくのが僕のやり方だということはこれまでも書いてきた。しかし、実際には、想定通りにうまく行くことばかりではない。

急騰した場面で利食い、ポジションを小さくしたところで、さらなる急騰が続くこともあるし、押し目のつもりで買ったところが、地獄の入り口での買いになってしまうこともある。

仮に、170円で、全て利食った銘柄が、緩むどころか175円、180円と上がっていったらどうすればいいのか。以前は、悔しくて買い増しすることも出来ず、かといって見捨てることも出来ず、急騰していく株価を眺めながら悶々としていたものである。

しかし、単純なことなのだ。再度、もう一度、小さなポジションから、買いを積み上げていけばいいのだ。手放したポジションよりさらに上に株価が向かうとしたら、それは相場が強い証拠でもあるので、ためらわうことはない。

株価は、こちらのポジションを知っているわけではない。手仕舞いしたポイントなど、手仕舞いした瞬間に忘れてしまえばいいのだ。


それでは、逆に、株価が予想以上に緩んだときはどうすればいいのか。もちろん、大きく緩んだ場合は損切りしかない。そうではなくて、やや緩んだまま、株価が硬直状態に陥ったり、あるいは、ラーメンのお椀のような丸い底を作りながら、徐々に上を伺いはじめた時はどうすればいいのか。

例えば、仮に、180円で5枚、190円で5枚買っていた銘柄の株価が、160円あたりまで下がった後、そこで下げ止まりになり、やがてじりじりと再度上がり始めたとしよう。どのタイミングで買い増しを始めればいいのか。

じっと追いかけていたのだから、株価の動きはよく分かっている。下げ止まり上昇に転じたタイミングで即乗りたいところである。誰もが、どうしても、ややフライング気味に仕掛けたくなるパターンだと思う。

仮にロスカットを30万円に設定していたとする。例えば160円で5枚買い増ししたとすると、株価が158円になったら全て損切りをしなければいけなくなる。これはあまりにもタイトな設定である。

損切りのポイントを睨みながら、買い増しをするならば、チャートの感触から160円が目先の底だと確信できても、160円で買い増しをすることは出来ない。株価が165円、170円と徐々に反騰していき、ロスカットのポイントとの距離が開いてきてから、買い増しをすることになる。

つまり、手仕舞い後にさらに株価が上昇した場合の再度のエントリーは、相場の勢いを見て、自分の手仕舞いした株価は完全に忘れて挑むべきだし、逆に、緩んだタイミングでの買いは自分のポジションを睨みながら、損切りラインとの距離を測りつつ、少しずつ買い増しをしていけばいいのだ。

東洋エンジの相場より以前は、これが逆になっていた。高くなってしまった株価は勇気がなくて買えなかったし、緩んだタイミングでは、大きな含み損になっているにも拘わらず、買い増ししたくなった。

たいていのトレーダーは、そうした間違ったトレードをしていると思う。何故なら、それは心理的にとても楽なトレードだからだ。

そして、そうした「心理的に楽なトレード」をするように背中を後押ししてくれる材料が欲しくて、ネットで情報を集めたり、チャートをバイアスをかけながら眺めたりするんだろうね。


そして、東洋エンジの相場では、もう一つ大切なことを学んだ。「ルールとしての損切り」ではなく、もう少し柔軟な「アートとしての損切り」である。

AERA

  • ジェイコム株は安かったから買っただけです。
    これまでにも 1 日で 2 億 5 千万円もうけたこともあったし、逆に 1 億 6 千万円損した日もあった。
  • (投資術を)言葉で説明するのは難しい。
    株取引を始めた 5 年前の下げ相場と 2005 年のような上げ相場では扱っている銘柄も数もやり方も違うし、市場に参加して独自で学んでいったので、お手本というのもないです。
  • 05 年のような株式市場全体の上げ相場では大型株の循環物色。
    今日は造船とか銀行とか、その日に盛り上がっている業界の売買をしている。
  • (判断の基準は)感覚というか慣れ。
    トータルの値動きへの洞察力が一番大事。
    日経平均や先物市場の動きを見ています。
  • (株価収益率 (PER) や株価純資産倍率 (PBR) については)まったく見ないです。
    長期保有だったら意味があるかも知れないが、短期の売買では下がるときは下がるし、上がるときは上がる。
    業績のいい企業の株でも下がったら負け。
    気にしてもしょうがない。
    株価に織り込まれている。
  • もうかっても、損しても精神的にかなりきつい。
    やっててつらいんです。
    1 回この世界に入ったら、何をしていても株で頭がいっぱいになる。
    やめたいのに、やめられない。
  • 家族からも「やめたら」と言われる。
    でも、いつでも値動きがある。
    もうけのチャンスがそこにあるのに、失うこともつらい。
    出来たはずのことをしなかったことで仕事放棄のような気がしてしまうんです。
  • (もうけたお金は)数字が増えていっただけで、あまり実感がありません。
    この家を買ったくらいで、ほかには使っていないですね。
  • (休日のストレス解消法は)散歩くらい。
    株のことを忘れたいんです。
  • (成功の秘訣は)自分では分からない。
    時代が良かっただけ。
    ネットトレーディングが始まったばかりで、始めた時期が良かったんだと思います。
  • 他人の資金を動かすようなファンドは絶対にやらない。
    株のことは忘れたい。
    でももうかっているうちはやめられない。
    大損するまでやめられないのでしょうね。

My Trading Life (24)

酒に酔ったときに人格が変わってしまう人がいる。一度ならば、この人は酒を飲むと人間が変わるんだなと、不快に思いつつも理解しようとするかもしれない。しかし、そうしたことが何度も続くと、やはりこいつはこんな人間だったんだ、酒を飲んだ時の姿が、こいつの本当の姿なんだ、そう誰もが思い始める。

激怒したときも、やはり、その人の人間性が露わになってしまう。「人間」の仮面の背後にいる「ケダモノ」の部分があからさまに露呈してしまうのだ。

ネットというのは、恐ろしいメディアだと思う。口から吐いた言葉ならば、音は一瞬で消えてしまうし、耳にした人の記憶からもやがてはその生々しさは奪われていくだろう。

ところが、感情的な言葉をキーボードで叩き、Enterキーを押した瞬間に、その言葉は世界中に発信され、誰かのハードディスクの中に永久に保存されてしまうかもしれないのだ。「その瞬間」の一時的な感情の言葉が、その生々しさのまま、保存されてしまうのである。


どんなタイミングで銘柄を売買するかは、完全に一人一人の投資家が決めるべき問題である。「自分の推奨した銘柄を売るなんてけしからん」という清春氏の怒りの書き込みには、心底、呆れかえった。

丸善の相場の時のXXさんのザラ場での「売り、売り、売り」発言に、怒りの感情をぶつけるというのは、まあ、わからないわけではない。株価のピークで自分が全力で買っている銘柄にネガティブな書き込みをされたら誰だって怒りを感じるだろう。

もっとも怒りを感じることと、実際に怒りをぶちまけた感情的な書き込みを掲示板にすることとの間には、人を殺したくなることと、実際に人殺しをすることと同じくらいの大きな違いがあると思うけどね。

いずれにせよ、奇術師さんの「東洋エンジ、利益確定させてもらいました。よい銘柄を教えてくださって、清春さん、ありがとうございます」という意味の発言に対して、感情的な怒りをぶつけた書き込みをするというのは、まったく理解できない。常軌を逸した病的なものを感じてしまう。


ただ、僕は、奇術師さんの東洋エンジを利食いしたという書き込みを読んだ時、実は、少し違うことを感じていた。

もしかすると奇術師さんは本当ははじめから東洋エンジを買っていなかったのではないかという気がしたのだ。清春氏に話を合わせて買ったことにしていたが、いよいよ怪しい動き方をすると見えたので、掲示板で騒ぎが大きくなる前に、利食ったことにしておいたのではないかと、ふと思ったのだ。

ちょっと不思議なタイミングでの売りだったという記憶がある。奇術師さんがいつも書いていることから考えると、あまりにも早すぎる利確だと思う。

あるいは、逆に「売った」という発言が嘘だったのかもしれない。『売り専』の掲示板は、清春氏、奇術師さんの二枚看板で、あの時期、ネットの株式関係の掲示板の中では、おそらくもっとも影響力が大きかったのではないかと思う。

実際、この後、清春氏が、名前を聞いたこともないような大証2部あたりのマイナーな銘柄をひょいと推奨しただけで、推奨直後に株価が暴騰するということが何度も起きた。

清春氏の書き込みを読んで買いのオーダーを入れるトレーダーが本当にいたのか。それとも、書き込みと同時に買いを入れて、相場を起きつつあるかのように見せるというシナリオが、清春氏を中心とするグループの間であらかじめ作られていて株価操縦が行われていたのか。確かなことは分からない。いずれにせよ、ネットを使っての株価操作はある程度は可能だったと思う。

株価神聖論者の奇術師さんとしては、自分の書き込みが株価の上げ下げに影響を与えてしまうという事態が不本意だったのではないか。

「東洋エンジを利確で売った」という書き込みは、ネットを使った株価操縦に利用されたくないというメッセージだったのかもしれない。

もはや1年前とは違い、誰もがイノセントでいるわけにはいかなかった。