2005-12-11

My Trading Life (23)

2001年1月、いきなりソフトバンクの空売りで壮絶に担がれた。正月そうそう嫌な展開である。酷い一年になりそうな予感がした。


ソフトバンクの空売りで、なんとしても損をしたいのだという、変態的欲望を持つトレーダーが仮にいるとしても、あの頃のあの銘柄の空売りで、損をするのはほとんど不可能だっただろう。どのタイミングで売ったとしても、数ヶ月ポジションをキープすれば、確実に利益になったはずである。損をするチャンスは一度しかなかった。1月の始めに空売りをかけて、その月の半ばに買い戻す。そうしたほとんど奇跡のような、完膚なまでのタイミングでの敗北トレードを、いきなり正月からやってしまった。

もっとも、この敗北トレードは奇跡でもなんでもない。ソフトバンク倒産の噂まで流れ出した真っ暗闇の状態で、自信を持って空売りをかけ、反騰し始めてからも、こんなことあり得ないだろうと自分に言い聞かせつつ売りの玉をキープし続け、最後の最後にもうダメだと思って投げたら、それがとんでもないすっ高値で、大損したというわけである。相場の雰囲気に飲み込まれてトレードしてしまえば、こうした奇跡のような敗北トレードを行ってしまうことになる。

まったく魔が差したとしか思えないようなとんでもない失敗トレードである。1年間のネットでの学習で、そうしたへまはやらなくなったはずだった。しかし、失敗トレードというものは、その頻度を減らすことは出来ても、決してゼロにすることは出来ない。聖人のようなトレーダーには決してなれない。欲望の罠から自由になることはできない。

後でチャートを見返してみて、何故こんな天井で買ったんだと呆れてしまうようなトレード、いや、よくこんなワンチャンスを逃さず最悪のタイミングで建玉したよなあと、逆に感心してしまうようなトレードは、その後も決してなくなりはしなかった。ただ、その後の対処だけは徐々にうまくなっていった。

果実は腐りかけのとろりと蜜がたれてきた頃が実は一番美味しい。トレードのベストタイミングと最悪のタイミングは紙一重である。最悪のタイミングを恐れていては、ベストの瞬間を逃してしまうことになる。果敢に挑戦すればよいのだ。ただ、ロスカットだけは徹底しなければならない。それだけだ。



「ネットで二度と買い煽りをしない」

丸善での大敗北の後、清春氏は殊勝にもそう宣言していた。ところが喉元過ぎたので熱さを忘れたのだろう、この頃には、また盛大に買い煽りを再開していた。

清春氏が買い煽る銘柄には手は出さない、買い煽りに乗せられて買うことはしないし、悋気売りもしない。僕もそう誓ったはずだったが、6330東洋エンジニアリングは、マーケットの奇術師さんも乗っていた。それならば、これは奇術師さん銘柄だろうということで、僕もこわごわながら買っていた。

6330東洋エンジは、ネットワーカー達の冷ややかな視線の中、年末の株価2桁状態から、徐々に上へとブレイクを始めた。一気に数十円跳ね上がると思うと、翌日は何事もなかったかのように株価は動かなくなり、さてはここまでかと思うと、翌日、またぴくりと上へと跳ねた。

そんな風にじりじりと株価水準を上げ、そして、いよいよ大相場に向かいつつあるのが誰の目にも明らかになっていった。懐疑から熱狂へ、相場は徐々に育ちつつあった。

マーケットの奇術師さんが、どの程度この銘柄を買っていたのかは分からないが、大きく吹いたある日、ご自分のポジションを全て売り払ってしまった。掲示板でそう報告し、そして、よい銘柄を教えてくれた清春氏への感謝の言葉を書き込まれていた。

「仕手株には手を出さない。自分の持ち銘柄に仕手が入ったと分かったら手放す」とまで書いていた奇術師さんである。株価2桁で底堅いうねりを見せていた水準では買えるとしても、100円台の半ばで大きくうねり、そして怪しい気配を見せ始めた東洋エンジを手放すのは、ある意味で彼らしいと思うのだが、奇術師さんの利食い発言に、何故か清春氏がぶちぎれた。

0 件のコメント:

コメントを投稿