2007-12-18

通称「BNF」くん、29歳。資産170億円、でも……

今回の企画で「お金持ちの悩み」を担当した自分。色々なお金持ちに会った。なかでも最もリッチな彼はまだ29歳。そしてその資産額は、なんと170億円……。
 「その男」は東京タワーがきらめく夜景を間近に眺める超高層マンションのペントハウスにいた。通称「BNF」。み ずほ証券がジェイコム株を誤発注した2005年12月の1日で20億円の利益をあげて一躍注目を浴びたネット投資家だ。
 株式投資を始めたのは大学在学中。「軽い気持ちで」バイトなどでためた160万円で開始した。それがわずか6年で1万倍に……。「人生が変わった」。170億円もある人生なんて、そ りゃ変わるでしょ、と思いながら話を聞く。
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 ところがその人生は「バラ色」でも「黄金色」でもなかった。生活はストイックそのもの。旅行にも行かず、車や服などに大金をはたくこともない。高いものを食べるのは「苦痛」。
 市場が開いている限りパソコンの前から離れず、夜は取引に失敗する夢にうなされ、起きるとまず米国市場の動向をチェック。サブプライムローンの影響で「最近は朝、米国市場を見るのが怖い。朝から、う わーこれで1億の損、と思うとホントにキツい」。
 「1億円か。でも170億分の1億だし。別にいいのでは……」と、だんだんこちらのお金感覚がマヒしてくる。だが彼は真剣そのもの「キツイ」、「つらい」を連発する。「精神的余裕がない。自 分でもお金の奴隷なんだと思う」。例えて言えば賞金より記録を追い求める、アスリートのようなモノか……。
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 凡人には全く理解不能な彼の悩み。それでも巨額のお金がもたらす「つらさ」はヒシヒシと伝わってきた。結局、お金というものは、ためるのも大変だが、使うのはもっともっと難しい。「BNFくん、君 はまだ若い。今後はお金の使い方が君の生き方、そして人生の軌跡になるのだよ」。そう心の中でつぶやいて記者は彼のペントハウスを後にした。

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