2008-01-24

株安なんの! ジェイコム男“190億円”儲けの極意

損切り恐れず現金を持て…大型銘柄、指し値オンリー

 年明けから続く大幅株安に、世界の個人投資家が青息吐息のなか、億単位で資産を増やし続ける若者がいる。2005年末のジェイコム株誤発注騒動で、わずか10分の間に22億円の利益をたたき出した「ジェイコム男」こと、B・N・F氏(29)だ。世界的株安にもビクともしない、“デイトレの神様”が、儲けの極意を明かした。

 「今回ほどの下げ相場の場合、一日中チャートを見る時間がない限り、『損切り』を恐れずに現金で持った方がよいでしょうね。僕の売買の判断はすべて、これまでの経験に基づいた感覚。アメリカやヨーロッパ、アジア株の動きに加え、為替や先物、雇用統計などの重要指標を常にチェックしながら、総合的に判断しています。手本にしていただく手法なんて、本当にないんです」

 B・N・F氏は、自室に備える6台のモニターを前に淡々と語る。

 それもそのはずか。先行き不透明だった昨年の相場でも約30億円の利益をたたき出し、現在の総資産額は190億円を超えている。未曾有の世界同時株安にも「今が底かどうかは分からないし、知る必要もないですね。分析しようとも思わない」と意に介さない。

 23日の日経平均は3営業日ぶりに上昇。一時は1万3000円台を回復する場面もみられたが、昨年末の終値に比べ2478円安と昨年ほどの回復基調にはほど遠い。

 それでも、B・N・F氏は同日中の取引だけで、約5億5000万円の利益をあげた。

 「21日の時点で保有する全株を売り注文して、翌朝までに現金化しました。いったんノーポジションにしたうえで、寄付と同時に東証1部の大型株50ー60銘柄を約100億円分買い進めた結果、終値では約1億5000万円の含み損になりました。ですから、今日の利益を差し引きすれば、プラス4億円ですか」

 2000年、都内の有名私大法学部3年生だったB・N・F氏は、ネットトレードに着目し、160万円を元手に株取引を開始。大学中退後の05年12月、みずほ証券による「ジェイコム株大量誤発注事件」で、22億6000万円を手に入れた。

 生活は極めて質素だが、千葉県内に2億円の豪邸を購入し、両親には高級車をプレゼント。07年には、4億円の高級マンション最上階の1室を購入し、ここで毎日取引している。ちなみに「B・N・F」はネット掲示板のハンドルネームで、米国の投資家の頭文字からとった。

 投資顧問の依頼は後を絶たず、かつてソフトバンクの孫正義社長から、個人資産の運用を直に依頼されたこともあったが、「自分は株取引がうまいと思ってないし、他人の金の運用はしたくない」と断り続けている。

 そんなB・N・F氏は、これまで後場が終わると疲れ果てて、株の情報は極力遮断していたが、最近は大阪証券取引所で営業日の午後4時30分から7時まで、日経225などの先物取引を行う「夕場(イブニング・セッション)」の値動きをチェックしている。  「日経先物相場は利用価値の高い指標です。ただし、(夕場は)時間的にアメリカ市場が開く前の指標で、あくまでも参考ということです」

 以前の同氏は、下げ相場では「逆張り」が定石だった。常に1泊2日程度の“スイングトレード”を行ってきたが、「その時の地合の見極めが重要で、今回のキツイ下げに直面したからといって、25日移動平均線との乖離(かいり)率だけで逆張りしてもダメ。もともと高難度ですし、上げ相場の順張り同様、多くの値動きを1日中見て、体得するしかないんです」と話す。

 選定銘柄は相場の上げ下げにかかわらず、大型銘柄のみ。発注は指し値オンリーで、多い日には100銘柄近く取引するが、1日の収支目標を定めたことはない。

 B・N・F氏は「相場に自分の思いは一切通用しません。『ここまで儲けたいから、これだけ買う』という考え方は必ず失敗します。厳しい相場では、一番難しいけど、一番大切なのが『売り時』。これが分からないから、傷口を広げてしまう」と話している。

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