1999-01-02

リンダ・ブラドフォード・ラシユキ、テクニカルを語る

 それでは「テクニカル分析は3つの大原則の上に成り立っている」というところから始めていきたいと思います。テクニカル分析を行うためには、この前提を受け入れなければなりません。一つ目は、「マーケットは情報を織り込む」というメカニズム働いているということです。皆さんがテクニカル分析を学びたいと考えているのであれば、「すべての情報は、それがどのような形にせよ、すでにマーケットに織り込まれており、それがパターンを形成している」という前提を信じる必要があります。なぜなら、常にマーケットには我々よりも大きな利害関係によって動いている力が存在しており、彼らの資金量は我々のそれとは比較にならないほど大きいからです。現物業者の動き、最新の統計、物流情報を得るだけのリサーチを行う十分な能力を備えている人達が存在するのです。彼らはそのような情報をすべて握っています。ですから、我々は第一の原則である「すべての情報はマーケットに織り込まれている」という前提を信じることが必要なのです。これが「織り込み済み機能」と呼ばれるものです。
 二つ目は、「テクニカル分析は大衆心理の研究、群集行動の研究に他ならない」という信念を持つ必要があるということです。パターンは常に繰り返し現れます。この原則を信じることができれば、、、。群集行動にパターンが現れるのと同じ理由で、マーケットにも、常に繰り返し現れるパターンというものが存在します。個人の行動には現れないかもしれませんが、群集の行動には必ずパターンが現れます。ですから、「パターンを発見することは可能だ」と楽観的に考えることができるのです。そのようなパターンは繰り返し現れるからです。必然的に我々はそのパターンを利用し、利益機会につなげることができるのです。
 我々が理解すべき三つ目の原則は、「マーケットは常に横ばい、トレンドのどちらかの状態にある」ということです。とてもシンプルなコンセプトですね。いったんマーケットがトレンドを形成し始めると、そのトレンドはそのまま続く可能性の方が相対的に高いのです。
 これら三つの基本前提の基にテクニカル分析という科学は発展してきました。そして、テクニカル分析は単に「科学」とか「芸術」と割り切れる類のものではありません。
 それでは、もちろん皆さんもご存知でしょうが、テクニカル分析における「元祖4人」ともいえる、チャールズ・ダウ、、、。ダウは作家、ジャーナリストであり、1880年代に自分の研究結果ついて書き始めました。 1901~1903年にかけて社説や論説を書いていましたが、その中に彼の研究の基礎を見つけることができます。「元祖4人」のうち、残り3人はダウの研究を理論や法則として確立していくことに貢献したという見方ができます。その3人とは、ハミルトン、レア、ネルソンの3人です。彼らは皆本を書いています。皆真剣にテクニカル分析について研究した方達です。サミュエル・ネルソンは「ABC’s of Stock Speculation」というすばらしい本を書いています。レア、ハミルトンもすばらしい本を残しています。これらの本はテクニカル分析を学ぶ上で非常にすばらしい教材といえるでしょう。
 繰り返しになりますが、彼らはマーケットのテクニカル分析においてのみ、その名が知られていたわけではありません。実際にトレードしていたのです。チャールズ・ダウはトレーダーでしたし、ショーバッカー、ワイコフ、エリオットらも皆トレーダーでした。ですから、彼らはトレードにおける心理的側面もその研究テーマの中にしっかり取り入れていました。皆さんが彼らの本の行間に書かれていることを読みとろうと努力すれば、私の言っていることが理解していただけると思います。
 ダウは自身の研究について社説に書き始めました。そして、それが後により完成した形の「ダウ理論」として知られるようになるのです。ダウが研究した基本的原則は、現在でも様々な点で不変であると言えます。三つの、、、。彼の研究の基本テーマは「マーケットにはどんな時でも三つの異なる動きが現れる」ということです。三つの動きとは、主要トレンド、二次的トレンド、そしてマイナー・トレンドを表します。要するに、デイリーの動き、ウィークリーの動き、そして年間を通したサイクル的な動きの三つということになります。今日においても、私の知る限り、優秀なトレーダーは皆二つ以上のタイム・フレームを基に分析を行う傾向があります。デイリーのタイム・フレームとともにアワリー(1時間)のタイム・フレームを用いて分析する、ということが大切なのです。または、日足チャートを週足チャートとともに利用することが大切なのです。マーケットの本質的な構造を三次元的に捉えようとするのです。そうすると、長期的視野で見る限り、皆さんのトレーディングに違いが現れてくるのです。異なったタイム・フレームを使って分析することで。

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