1999-01-03

リンダ・ブラドフォード・ラシユキ、テクニカルを語る

 ダウは、まずこの研究について書きました。その次に彼が発表したのは、「マーケットは常にアクション(作用、動き)、リアクション(反作用、反動)という流れを継続する」ということでした。当然のことに聞こえるでしょうね。しかし、特にマーケットが自分のポジションとは逆に動いてしまったような時には、このアクション→リアクションのコンセプトが上手く働いてくれると願ってしまうものなのです。ただ、実際にリアクションが現れないこともあるのですが。しかし、一般的な原則としてマーケットは、波動や反復運動のようにアップ・ダウンを繰り返すのです。
 次にダウが指摘したことは、「マーケットにはトレンドが現れる傾向がある」ということでした。ここで皆さんに紹介したい興味深いコメントがあります。私は長い間フロアー・トレーダーとして働き、その後フロアーを離れてトレードを始めてからすでに約10年が経ちます。私は「マーケット・テクニシャンズ・アソシエイション」のメンバーなのですが、そこのメンバーに「ちょっと、テストを受けてみなよ!」と促されて、テクニカル分析についての知識を証明するためのCMEというテストを受けることになりました。「長年実際にトレードしてるから、テクニカルのことはわかっているわよ」という感じでした。しかし、我々は書籍をあさり始めたり、勉強を始め、どれだけ自分の知識が薄っぺらいものであったかということに気付き始めると、ある疑問にぶつかります。「クラシックなテクニカル分析において、トレンドの定義とは?」という疑問です。
 以前ある人が「確かにマーケットは上昇しているね。でも、どうやっでマーケットが上昇している”ということを定義できるの?」と質問してきたことがあります。移動平均線を使うのですか、それともチャンネルからのブレークアウトを利用するのですか? ダウはクラシックなテクニカル分析の意味において、「上昇トレンドとは高値・安値ともに切り上げている状態」と定義したのです。この両方の条件が満たされなければ、「上昇トレンド」とは見なさないのです。逆に下降トレンドは「高値・安値ともに切り下げている状態」と定義しました。このようにトレンドを定義すると、確率を自分の側に引き寄せることができます。確率的にトレンドは継続する可能性が高いからです。 90%の確率とはいかないかもしれませんが、トレンドが継続する確率というのはかなり高いのです。このトレーディングというゲームでは、可能性を数値化して表すことがすべてであると言えます。 先程紹介した通り、ダウはトレンドの定義付けを行いました。ダウの研究であと二つの重要な発見とは、出来高とプライスの関係についてです。ほとんどの方が一般的に、「トレンドが発展していくときには出来高増を伴い、トレンドが反転するときに出来高は減少する傾向がある」ということをご存知でしょう。ダウの重要な発見のうち残り一つは、「マーケットは、それまでのプロセスを修正する時にラインを形成、すなわち横ばいの動きを見せる」ということです。それはライン(チャンネル?)の動きで定義されます。そして、その動きがその後の基本的なトレード・プランについて教えてくれるのです。マーケットが横ばいに推移する局面は常に訪れます。動きが密な箇所、動きがほとんど見られないような箇所とでも言いましょうか。これが、その後、ポイント&フィギュア・チャートが開発されるきっかけとなったのです。その結果、この「横ばい」の動きを具体的に数値化することが可能になったのです。
 ダウの次に現れたのが、、、。彼ら4人はほぼ同じ時期の人で、トレードしたのも本を書いたのも同じ時期なのですが、、、。ほとんどの方が早くに亡くなりました、、、。これが結論ですかね。あまりいい職業とは言えませんね。
 次に現れたのがショーバッカーという人です。彼には3冊の著作があります。彼も30代前半の若さで亡くなっています。もったいないことです。彼はとても賢明な作家でありましたし、3冊の著作のうち1冊しか再出版されていないのです。ショーバッカーはテクニカル分析において、純粋にその科学的側面のみを集中的に研究したという意味での第一人者でした。要するに、彼はチャート・パターンを客観的に分類する上で類まれな能力を備えていたといえます。ヘッド&ショルダー、トライアングル、フラッグ、また異なる10種類のトライアングルすべての名前を考えた、いわば名付け親です。さらに彼は「ギャップ理論」を明文化することにも尽力しました。
 例えば、ギャップをあけて上昇し、そのギャップを埋めることがなかった場合、そのこと自体がそれ以後の動きを予測する上でとても重要なヒントになるということです。また、トレンドラインを使って支持帯、抵抗帯を定義したのも彼です。これはとても基本的な原則です。この単純な「支持・抵抗」のコンセプトをしっかり理解できれば、それだけでトレーダーとして生計を立てていくことも可能でしょう。スイング・ローやスイング・ハイを把握し、そのレベルでの値動きをしっかり見極めることができれば、それで生計を立てていくだけのことは可能です。ショーバッカーはこの分野において多大な貢献をしました。私がショーバッカーの研究を学んだ結果として得た、チャート・パターンの分類上最も重要な二つの要素について話したいと思います。ただ、これもコンセプト的なものであり、単純過ぎると思われるかもしれません。しかし実際トレードする時に、これらの要素をつなぎ合わせ、ゲームプランを作り上げていく方法を最後に話す予定ですので、そのためにも紹介しておきたいと思います。
 彼が研究の結果至った最もシンプルな結論とは、「チャート・パターンはリバーサル・パターン(天底のパターン)、またはコンティヌエーション・パターン(中段もちあいのパターン)に分類される」ということです。言うまでもなく、コンティヌエーション・パターンとはスモール・フラッグ、ペナント、トライアングルなどであり、リバーサル・パターンはヘッド&ショルダー、ブロードニング・トップなどです。そして、おおざっぱに言うと、コンティヌエーション・パターンは、リバーサル・パターンに比べかなり短期間に現れます。横ばいに推移している時間が長ければ長いほど、次に現れるパターンはリバーサル・パターンである可能性が高いのです。
 マーケットが大幅に上昇した後、調整局面が現れ、横ぱいに推移するとしますね。そうすると、ブル・フラッグ、いわゆる再び上昇する兆しだと考えがちですよね。しかし、そこで横ばいに推移する期間が長引けば長引くほど、それまでのトレンドが反転し、下降局面を迎える可能性が高まるのです。

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