1999-01-07

リンダ・ブラドフォード・ラシユキ、テクニカルを語る

 もう一つ興味深いことがあります。テクニカル分析の元祖4人は、チャート・パターン、ウェーブ、値動きパターンのシークエンスについて書いているんですが、彼らは皆“テープ”を観察することの重要性を強調しています。自分自身のトレーディングに生かすために。
 私の知る限り、大口トレーダーの95%はスクリーンの前に座り、常に値動きに注意を払い続けています。これは別にCNBCの画面の下に流れている膨大な数のティッカー・シグナルを観察し続けるといったことではありません。通常とは異なる動き、通常とは異なる“スパイク”、または大量の出来高などがマーケットに現れるか観察し続けるといったことです。
 また値段が「ぱっぱっぱっぱ」と一気に上昇していくような場合、注意を引かれますよね。このように値動きを観察し続けることは、何も悪いことではありません。むしろ、この方法がマーケットのインパルスを測る最も基本的な方法だと言えます。インパルスはトレンドの方向を教えてくれます。インパルスは普通さらなるインパルスにつながることが多いです。いいですか、もしある方向に大きな動きが現れたら、さらに同じ方向に大きく動く可能性が高いのです。確率、高い確率でという意味ですよ。スパイクではなく、インパルスが現れる確率という意味です。そして、このインパルスを真っ先に捉えられるのは、我々人間の目だということです。
 なぜこんなことを言うかというと、特にS&P500のスカルパーやディスクレッショナリー・トレーダーにとって、上手く手仕舞いする方法を学ぶことはとても大切なことだからです。損切りするときにはそれ程大きな問題は起きないと思いますが、利益が乗っているトレードに関してはどうでしょう? その利益をさらに伸ばしたい場合はどうでしょう?ある方向にインパルスが現れ続けた後、小規模の中段もちあいパターンが現れたり、横ばいの動きが続くような場合にはそのトレードを維持しようとするのが普通ですよね? 通常、理想ではありますが、“三段階の上昇”や“三段階のインパルズが現れます。しかし、マーケットがわずかでも横ばいの動きに転じ、その後下落し始めるとしたら、仮にま
だそのポジションに利益が乗っているとしても、横ぱいの動きが現れた時点で手仕舞うべきです。このように、かなりシンプルな方法でトレードすることができるのです。
 それではS&P500をスカルプする最も基本的なモデルに話を戻しましょう。これは実際に我々が使っているモデルですが、5分もあれば説明することができるシンプルなものです。皆さん、自分自身で分析し、実際にトレードすることでこのモデルを信頼できるようになるでしょうが、マーケットでどのようなことが起きているのか、そのコンセプトを理解していただきたいと思います。
 一つ目に、、、。私はS&P500が先物市場に上場されたその日から、フロアートレーダーとして、株式オプションのフロアーやCTAとしても、このマーケットでトレードしてきましたが、トレードを始めた当初、私はトレンド・トレーダー”と見なされていました。当時はそれ程“トレンドが現れませんでしたけど。まだ1995~97年のブル・マーケットもまだ経験していませんでしたしね。タイミングが悪かったみたいですね。
 当時私はティックを使ってトレードすることが多々ありました。ティックが“買われすぎ””売られすぎ”を示したら、逆張りのポジションを取るという方法でトレードしていました。そういう方法で、ある程度トレードしていたのです。また、1時間チャートに現れるサイクルやプレミアム・レベルなどに注目していました。
 テクニカル分析に対する私の研究に戻ります。私よりかなり長くマーケットに携わっている方たちは数多くいるでしょうが、彼らもこれから私が話すことに賛同してくれると思います。私が19年の経験を通して見聞きしたテクニカル指標の中で、最もわかりやすく、明確で、すばやくトレードできるパターンは、小規模でシンプルな“ブル・フラッグ”と“ベア・フラッグ”です。このパターンは皆さんがマーケットで確認できる最もシンプルなパターンであり、同時に最も手間をかけずに最大の利益を期待できるパターンと言えます。これは中段もちあいパターンの一種です。要するに、このパターンはすでにマーケットが以前のレンジから抜け出し、トレンドの方向性を示唆してくれている状態にあり、、、。私はマーケットの天底を見極められるほど天才ではありませんからね、、、。最初に上昇し始めると、その後に現れる調整局面で建玉したいと考えがちですよね? 小さな調整、これが“ブル・フラッグ”となり、その後さらに二度目の上昇局面が現れるのです
 “ブル・フラッグ”や“ベア・フラッグ”、時にはトライアングルや横ばいの動きであれ、1分間チャート、5分間チャート、日足チャート、週足チャートなど、どんな時間枠のチャートにも現れます。皆さんはこのパターンだけに集中することを憶えれば良いのです。オシレーターも出来高も気にする必要はありません。ただ、マーケットが活発に動いてさえすれば、十分な出来高があることだけ確認できればいいのです。なぜなら、もう一つテクニカル分析の元祖4人が言及していることに、「マーケットに動きが見られないとき、出来高の薄い時にトレードしてはいけない」というものがあるからです。
 1~2週間前、S&P500のマーケットでは横ぱいの動きが続いており、ビッド・アスクのスプレッドはかなり開いていました。出来高も限られていました。上昇しては下落、という感じの状態で、スリッページと建玉・仕切りの悪さで損失が膨らみ続けるような状態でした。このような場合、マーケットが活発に動き始めるまで待ち続け、、、。最近の、、、。いつだか忘れてしまいましたが、、、。終値も憶えていませんし、、、。今朝はトレードすることもできませんし、、、。1~2日程前、いったんマーケットが動き始めましたが、そのよう場合その後小規模な“ブル・フラッグ”や“ベア・フラッグ”などの中段もちあいパターンが現れる傾向があります。そこで考えてみてください。中段もちあいパターンが現れたことにより、我々にとっていくつかのことが可能になります。リスクを限定することもできますし、トレンドの方向に沿って建玉することも可能です。マーケットはすでに動き始めているのです。ただ一つ我々に必要なことは、この時点で「次に現れる動きに即反応できる状態」でいることです。マーケットは「これから20分程この水準で横ばいに推移しますよ!」などと教えてはくれません。ですから、ブローカーに電話し、プライスについてあれこれ話していることなどできません。私自身、トレードするときは大抵成り行き注文を使います。成り行きで買い、成り行きで売るということです。マーケットが動いているような時に、すばらしいトレード機会を逃してしまうようなことはできないからです。
 S&P500をトレードしている時、5ポイントほどの小さな動きを見逃してしまったとします。このような場合発生するスリッページの費用や、思い通りに注文が入らなかったりすることを考えてみてください。営業マンであれば、何も困ることはないですよね。ピットでの取引が薄い場合、そのくらいの費用を払うことを覚悟すればいいのです。これまで話してきたことについて少し考えてみたいと思います。
 では、中段もちあいパターンが現れた時点で建玉するというコンセプトは、、、。我々には何がありますかね? ベーシックなチャート・パターン、小規模なパターンですね。規模の大きなチャート・パターンではありませんよ。「おい、S&P500が過去2~3ケ月の高値を更新したぞ! これから上昇し続けるか下落するのか、どっちだ?」などというような類のことではありません。
 10回も失敗し続けて、どうして正気でいられるのでしょう? いられませんよね? いられる訳ないですよ。ですから「今日ここで利益を確保しておく」ということが大切なのです。この「今日ここで利益を確保する」ということに関して、小規模の中段もちあいパターンはとても有効です。
 ここで中段もちあいパターンが上手く機能する確率を高める方法について考えてみましょう。これを実現するために我々がすべきことは、より長い時間枠でマーケットを分析するということだけです。一つ上の時間枠です。なぜだかその理由を考えてみましょう。
 皆さんが一つの時間枠だけでチャート・パターンを観察しているのであれば、、、。S&P500を5分間チャートのみで観察していると仮定しましょう。恐らく皆さんの中のほとんどの方がS&P500を見ていることでしょう。または、いつかはトレードしたいと考えているでしょうから、S&P500を例に考えてみたいと思います。
 S&P500を5分間の時間枠で見ていると、過去に起こったことについて確認することができません。理論的には、1時間チャートを見ていて大幅な上昇が現れた、言いかえると過去2~3日間に数百ポイント上昇したような場合です。より短い時間枠で見る限り、その後に軽い調整局面を迎えたとします。このような場合、その後はマーケットはどんな動きを見せるのでしょうか? 底堅く推移し、モメンタムは強く、より長い時間枠で見てインパルスがとても強いのであれば、恐らく再び高値更新を試す場面が訪れるはずです。要するに、若干下落するだけであり、大幅に下落し続けるような可能性は薄いということです。これは何も「日足チャートで見るとトレンドは上昇しているから、1時間チャートで見て調整局面が訪れたときに買い建てよう」という意味ではありません。この考え方にも欠点がありますから。
 何か言いたいかといいますと、1時間チャートを基に買い建てると仮定した場合、2日間大幅に下落した後のような時は、その後ワイコフ・シークエンスのような「試し→反動→試し」という展開になるでしょうから、大幅な利益は期待しにくいということです。砂糖でもココアで何でもいいですから、皆さんが観察しているマーケットで考えてみてください。2~3日間大帽に下落した後、どんな動きを見せるでしょうか? マーケットは狭いレンジの中で横ばいの動きを続けることでしょう。また、より短い時間枠のチャートに現れた上昇にだまされたくはないですよね。そういうことなのです。フィルターという意味なのです。より長い時間枠をフィルターとして利用するということです。
 これで小規模の中段もちあいパターンについて理解していただけたと思います。より長い時間枠をフィルターとして利用することも説明しましたね。そこで、まず注意するべきことは「試し」です。若干調整が入り、ブル・フラッグが現れ、その後高値を更新し、、、。
S&P500では3~4ポイントの調整ですね、、、。こういう場面では、単純にマーケヅトが高値更新を試すかどうかに注意を傾けるのです。そのトレードがすばらしいものであれば、上昇幅は大きく、スリッページもトレードと同じ方向に広がるはずです。
 そして重要なポイントの締めくくりとして、、、。私が発見した重要なこととは、S&P500のマーケットで、それが5分間の時間枠であれ1時間の時間枠であれ、どのような形をとるにせよ、すべての転換点には逆行(不一致)現象が現れるということです。これは私が日中最も注意していることです。ナスダック株価指数やダウ工業平均株価指数もティックに注意しています。そこで常に起こることは、これらの指数のある一つの指標が高値を更新しているにも関わらず、他の指標がそれとは逆行するという現象です。例えば、ティックがそれまでの高値を更新したと仮定します。その後S&P500が高値を更新したにも関わらず、今度はティックが上昇しないというような場合です。特に異なるグループ、セクターを見比べるような場合や、モメンタムグループとダウエ業株価指数を見比べているような場合は有効です。
 このように逆行現象に注意することで常に転換点を捉えられるわけではありませんが、、、。実際こういった状況は現在進行形で確認できることは少なく、それが起こった後に確認できる方が普通です。それでも新たに発生したトレンドの方向にマーケットが動き続けるとの自信を深めることはできます。
 恐らく2~3日前にS&P500は直近の安値を割り込んでいると思いますが、もし皆さんが10分間や15分間チャートを見ているのであれば、S&P500は安値を更新しているにもかかわらず、ナスダック株価指数は安値を更新していなかったことにお気付きでしょう。かなりややこしいですね。ナスダック株価指数はここ数年マーケットの牽引役でしたしね。ですから転換点を突き止めることだけが大切なのではなく、自分のトレードに対して自信が持てるということが重要なのです。例えばS&P500が1時間チャート上で高値を更新する中、ダウ工業株価指数もナスダック株価指数も同様に高値を更新することを確認できれば、そのトレードに自信が持てます。そうすれば後は電話をとり、注文を出しさえすればいい、と考えることができるのです。
 もっと洗練された方法でトレードする方が魅力的かもしれませんが、、、。トレンドの方向が定まり、それまでレンジ下限に近いところで推移していたにも関わらず、すべてのマーケットで高値更新が確認されれば、次はさらに上昇しレンジ上限を上回ってくるだろうとの期待が持てます。こういう考え方ができるのです。
 このように、逆行vs一致、小規模の中段もちあいパターンに注意すること、インパルスを確認しマーケット自身にトレンドの流れを伝えさせることなど、シンプルなコンセプトが皆さんを成功へと導いてくれるのです。皆さんに必要なのは建玉するための引き金(シグナル)を持つこと、、、。例えば逆指値をマーケットの上に置き、損失を制限するために直近の安値近辺にストップ・ロス・オーダーを設定し、そこで建玉し、そのポジションを上手くコントロールすれば良いのです。このようなシンプルなコンセプトを実践に移すだけで皆さんは常に成功する確率を自分の側に引き寄せることができるのです。トレンドの流れに乗っているという意味で優位に立つことができるのです。ですから、トレード管理は精神的安定をもたらし、我々に自信を持たせてくれ、機械的にトレードできるようにするなど、トレーディングに関するすべての要素を結びつける効果があるのです。

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