1999-01-08

リンダ・ブラドフォード・ラシユキ、テクニカルを語る

 こんな感じで終わりにしたかったのですが、、、。(男性の質問:聞き取れず)2~3のことが挙げられますね。とても重要なことですね。前のトレードの結果を過去のものとして、次のトレードに移る能力、常に前進することを考えなければなりません。毎朝「また新たな一日が始まる、全く新しい一日が!」と思うようになれなければいけません。これはこのビジネスのすばらしいところですよ。毎朝起床した時、新たな緊張感に包まれ「昨日よりも上手くトレードしてやろう!」という気持ちになれるのです。すべての月が「新たなひと月」であり、すべて年が「新たな一年」なのです。
 トレーディングの奥深さに対する姿勢、要するにどのようにして自分の気持ちを燃え上がらせるかが問題なのです。どのように物事を捉えるかという問題なのです。「今週は先週より良い機会が訪れるはずだ!」「去年よりも上手くやってやるぞ!」という気持ちを持てるかどうかの違いなのです。この原則を年初に考え直すこと、ゼロから再スタートする気持ちに帰るのです。「よし、すばらしいパフォーマンスをあげる機会が訪れるぞ!」と考えるのです。繰り返しになりますが、トレード管理を一歩一歩着実に進めていくことが大切です。これは一日一日の繰り返しです。一つ一つのトレードの積み重ねが重要なのです。これが将来的に皆さんのレバレッジの大きさを決めることになるのです。
 (質問:聞き取れず)。テクニカル分析の元祖4人の話に戻ってみましよう。彼らが言っていることは、「理論と現実は全く異なること」だということです。理論は皆さんがモデルを構築する際に非常に重要になります。しかし、そのモデルは完璧なものであるわけではありません。皆さんの中にもエンジニアの方がいるかもしれませんし、彼らについてあまり否定的なコメントをしたいわけでもありませんが、私の経験からすると、エンジニアとしてのバックグラウンドを持つ方達は、マーケットの動きをブラックボックスに収めたがる傾向があります。あちらにいらっしやる方が笑っていますね。エンジニアの方達はマーケットのすべてをブラックボックスに押し込めたいと考えるようです。不完全さや欠陥というものを認めることは難しいことです。
 長期に渡り利益を上げ続けているシステムというものはすべて、マーケットに現われる常軌を逸した動きを捉えるようにできています。長期のトレンド・フォローイング・システムなどはまさにこの典型ですね。市販されているシステムの中でベストのパフォーマンスを上げているものに、「アバレーション」というシステムがあります。このシステムは標準偏差がかなり大きくなったときにマーケットの動きを捉えるものです。異常事態がマ一ケットに常軌を逸した動きが現れることを知らせてくれるのです。
 ですから、皆さんはご自身のトレードの基となるモデルや、マーケットの構造上現れるパターンを知らなければならないのですが、一方でストリート・スマートのセンスを身につけることが大切になります。ワイコフが指摘しているように、「マーケットは我々を振り落とすような動きをするぞ!」「マーケットは通常の動きを再開する前に我々を陥れるような動きを見せるはずだぞ!」というものです。
 ですから、理論と現実は似て否なるものです。ですから、このゲームを我々自身に合うように変えていく必要があるからです。自分が満足できるようにトレードすることはいいんですよ。例えば「コーンのトレードで1セントの利幅をとってやる!」というのでもいいんですよ。大きなトレンドを逃してしまったからといって、誰もあなたをとがめるようなことはしないでしょう?
 私も時々建玉し、「5分間の日よけセール」のようなもの、いわゆる「叩き売り」のようなトレードを探すことがあります。「ちょっと上昇しただけで50ドル儲けたわよ!」といったトレードです。別に構わないですよね。我々の間ではこのようなトレードを冗談めかして「ピザ・パーティー!」と呼んでいます。
 自分が気分よくトレードできる方法であれば、どんな方法であれ、、、。ビジネス・プランをしっかり構築し、それに沿ってトレードするというように、より真剣に感じられる方法をとる人達もいますが、、、。 この違いは結局「自分自身を知る」ということに尽きるのです。何か我々一人一人にとって最も良い方法かということです。私自身について言えば、これまでの経験からトレード1回につき5回のトレードを逃してしまっていると理解しているつもりです。 トレードする機会が現れておいることはわかるのですが、「もう精魂尽き果てたわ」「もうバテバテ!」「紅茶を入れにキッチンに行かなきや」といった理由で、それらのトレードを逃してしまうことが少なからずあります。しかし、それでいいのです。次のトレードに備えれば、それでいいのです。これがこのトレーディングのすばらしいところです。この先毎日でもトレード機会は現れます。自分が過去に逃したことなど振り返っている暇はありません。
 ですからどんな方法にせよ、自分自身に合ってさえいれば、いったんスタートしたのであれば、もう後悔するようなことはやめてください。5分間マーケットに入ってさえいれば、もう気が楽になるはずです。たったそれだけのことです。「トレンドに乗って建玉し、そのトレンドが続く限りポジションを維持し、トレイリング・ストップを設定しろ」というような壮大なトレード・プランが必要なのではありません。何か常に落ち着けないようであれば、それは自分自身にプレッシャーをかけすぎていると考えられます。そんな状態で上手くトレードすることなどできません。毎回トレードするたびに、毎日マーケットの動きを観察し続けてさえいれば、成長することができるということを理解できるでしょう。また、プレッシャーに対して自分が耐えられるレベルも上がっていきます。そして心理、マーケットに対するときの自分自身の心理についてもよく理解できるようになります。レバレッジの大きさ、トレード・サイズ、そしてポジションを維持する忍耐力も同様に成長していくのです。こういうことは年齢を重ね、経験を積むとともに成長していくものなのです。
 最後に一つある言葉を引用して、私の話を締めくくりたいと思います。実はこれが今日話したことの基になっているのですが、、、。紹介するのを忘れてました。これはトレーディングについて私が初めて読んだ本です。現在でも出版されているか定かではありませんが。もちろんこの本は私の父のものです。だいたいこのビジネスは家族の影響で入ってくるケースが多いようですね。初めてこの本を手にしたのは、まだ私が10歳くらいの頃で、何のことかさっぱりわかりませんでした。父は私にチャートを見せ、そこにあるパターンを見つるようにというようなことを話していました。たぶん父は卵を月の周期か何かを使ってトレードしていたと思います。結局父は破産してしまいましたけどね。私は言いたいのは、卵をメイン・サイクルでトレードするということではありません。
 これは「Treasury of Wa11 Street Wisdom」という本で、偉大なテクニカル分析の創始者と呼ばれる人たちの中の4人、センチメントの研究で有名なドリューや、ダウ、レア、ネルソンなどの短い言葉を一人に対して5つ位ずつ引用している「格言集」のようなものです。ですから彼らが残してくれた黄金律とでも言えるでしょう。ここで一つ引用しますが、これをすぐに忘れてしまい、実際のトレードに生かすべき原則を利用することができないと、トレーディングというものをより難しい方法で学ばなければならなくなるでしょう。
 これはサミュエル・ネルソンの言葉です。彼はダウの弟子の一人です。いわく「トレーディングを始めた当初の成功をというものは、大抵人を誤った道へと導いてしまうものであり、人を欺くようなものです。1年目に成功を収めてしまうような人達のほとんどは、2年目、3年目に失敗してしまう結果となるものです。このトレーディングというビジネスにおける奇妙なことは、かなりゆっくりと徐々に利益を出せるようになるということ、また最後まで持ちこたえられるようになるために毎月毎月努力し続けることが必要だということです。そしてある日突然、最もミステリアスな形で、目の前の霧が晴れていくかのようになるのです。最も難しいと思われていたことが、かなりシンプルなことに思えてくるのです。消し去るプロセスを経ながら、このことを学んでいくのです。」
 このビジネスで1年、3年、6年と長い間悪戦苦闘している方途がいます。また、「マーケットの魔術師」「新マーケットの魔術師」を読めば、「利益を上げられるようになるまで6年の歳月を要した」というトレーダーがいることもわかっていただけるでしょう。トレーダーは皆もがき苦しんでいるのです。しかし、ある日突然、苦労し努力し骨の折れる仕事を経験した末、何かが明らかになってくるのです。突然すべて、とても簡単に感じられるようになるのです。信念を貫き、自信を失うことがなければ、いつかそのようなときが訪れるのです。いいですか、いつか必ずその時が来ますよ。ただ、最初の3年間に関して言えば、毎年毎年首尾一貫して利益を上げ続けられるような人はほとんどいません。
 もちろん大変な仕事であり、長い長い道のりであり、捨て去るプロセスを経て学んでいくような大変なことです。自分のミスや、何か自分に合っていて何か合わないのかという、トライアル&エラーのプロセスの中で、この「捨てる」という作業は何度も起こるのです。
 私自身について言えば、長年の経験を通じブル・フラッグ”がトレードのキーであり、答えだったのです。ですから皆さんも自分自身の道を歩み、粘り強く努力し続け、自分を信じ続けることができれば、いつか道は拓けるはずです。同時にトレーディングというのは、この世界で最もすばらしい趣味でもありますので、そのプロセスを楽しんでいただきたいと思います。学ぶことを楽しみ、またこのようなコンファレンスに参加することもできます。このコンファレンスのように、材料はこれだけ揃っています。ソフトや指標や本が揃っているだけではなく、こうして集まった人達がお互いに話し合える場なのです。トレーディングは孤独なビジネスです。ですから「あなたもですか!」「自分だけの問題かと思っていましたよ!」などと、会話を通していろいろなことを知ることができるすばらしい機会です。
 「えっ、あなたもですか!」と聞かれ、「ええ、もちろん私もそういうミスを犯しますよ。しかも数え切れないくらいね」と私が答えると、皆さん驚かれるようですね。苦しみを分かち合うことで、仲間意識を育むこともできます。他のトレーダーと話すたびに、決まって自分の被った大きな損失について話をしますし、馬鹿げたミスもさらけ出してくれます。それで「あ~、私だけが馬鹿げているわけではではないのね」と救われた気持ちになれるのです。
 ですからこの機会を講演者の話を聞き、出展しているブースを見て回るだけでなく、他のトレーダーの方途と話してみてください。他のトレーダーの方達と共通する経験について話してみてください。そうすれば、我々は皆同じ目的地に向かって前進していることがわかると思います。ただ、その道のりが若干異なるだけなのです。そして願わくは、皆同じゴール、要するに自分自身に合ったプログラムを見つけることができれば最高です。自分自身にあったプログラム、マーケットでしっかり機能するプログラムを見つけることができればですね。
 それでは今週末の残りを楽しんでください。そして今夜はご静聴ありがとうございました。
 最後に一つだけ。皆さんの机の上にあるものですが、もし皆さんがインターネットで私のホームページにアクセスしたい方がいらっしやれば、来週一週間無料でアクセスできるようになっています。そこで先程紹介しだブル・フラッグ”など、実際私がどのようにトレードしているか、“アズテック”と呼ばれるルールも見ることができるようになっています。エントリー・ルールをご覧いただけます。私が感じたこと、私が被ったスリッページのひどさなとについても解説しています。もしよろしければ、来週チェックしてみて下さい。それではありがとうございました。

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