1998-01-02

林輝太郎・ダイワフューチャーズ講演

2.商品よこんにちは    

 今、デフレの不況ですね。インフレではありません。デフレです。戦後、日木ではインフレの不況は何度もありました。敗戦直後もそうです。一斤5銭の砂糖が3円50銭まで上昇して、70倍になった。あるいは石油ショックの時、あの時は一見デフレみたいでしたけど、石油価格が上がってましたからインフレです。                おそらくデフレの不況を記憶している人は、今90歳以上の人でしょう。私もデフレの本を色々読んでおりますけれども、全然ピンときません。
 これからデフレの不況が、ますます強くなっていくと思います。非常に極端な話に思われるかもしれませんが、これからの株の業界はダメです。大昔に、大昔と言っても20年くらい前のことですが、証券業界が
 『銀行よさようなら、証券よこんにちは』    
というキヤッチフレーズを出して世間の非難を浴びた。それを捩(もじ)って言えば、
 『証券よさようなら、商品よこんにちは』と言いたい。
 もちろん、デフレで株は低迷が続くでしょう。逆に、低位株で出世するものが増えるかもしれない。だから、銘柄選別が大切になる。
 インフレの不況というのは期間が短い。しかし、デフレは長い。本当に長い。「これでもか、これでもか」といった具合に長い。山一証券が潰れた。北海道拓殖銀行が潰れた。もう、これで最悪の事態は脱したと思っている。 しかし、これからゼネコンが何社も潰れるかもしれない。流通業で言えば、ダイエーが潰れるかもしれない。または、セゾンが潰れるかもしれない。ダイエーとセブンを比べると、ダイエーの方が潰れそうですが、もしダイエーが潰れたら心理的に大変なことになる。山一の名前を知らない人でも、ダイエーの名前は知っているでしょう。
 また、現在の国民負担率、給与の中に占める税金など(税金・固定資産税・年金・健康保険などの公的支出)の割合が史上初めて50%を超えました。江戸時代、いくら酷い殿様でも百姓から年貢(税金)を取るのに「米の獲れ高の半分をよこせ」というのは無かった。現在50%超えています。(ダイワフューチャーズ発行の月刊誌FORE98年3月号には「搾取は35%」と出ている)
 可処分所得が50%以下だから、消費はますます落ちていく。落ちていくことは仕方がないことです。だから、デフレの不況は長引く。どれぐらい長引くかそれは分からない。
 今、政府のとっている経済政策のほとんどは間違っている。一つ一つを見ると良さそうなんですが、全体を合わすと逆効果になっている。これを経済学では『合成の誤謬』と言いますが、それがますます深まっていく。だからこれから景気はますます悪くなるだろう。
 そして、今、世界的に問題になっているのは大気汚染と異常気象です。先日、アメリカの東部で50年ぶりに風速120メートルという竜巻がおきて、何百人か亡くなりました。西部のカリフォルニアでは、長雨による大洪水がありました。日本でもこれから異常気象による天災が、続発するのではないかと思われます。
 それから、ダイオキシンによる大気汚染が進んでいることを皆さんご存知だと思いますが、日本が世界一なんです。奇形児が生まれるとか、あるいは、その他の色々な動植物に悪い作用が起きる。
 日本の商品相場には19銘柄位ありますが、金属を除いて農産物です。農産物にも一次製品と二次製品とかありまして、一次製品とは畑で揺れた形がそのまま在るもので、小豆・大豆・トウモロコシといったものですね。二次製品というのは畑で揺れた形とは違う形で流通しているもので、例えば砂糖とか、ゴムとかですね。しかし、農産物であることに変わりありません。
 異常気象は農産物に影響します。だから、今年は商品相場に何年ぶりかの、株で言えばバブルようなチャンスが訪れるだろうと思われます。これが2番目の話です。

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