1998-01-09

林輝太郎・ダイワフューチャーズ講演

9.専門と区切り

 極端に言うと、描いたグラフを見て、ヒラメキでもいいから上がりそうだったら買えばいいんです。下がりそうだったら売ればいいんです。但し、3ケ月周期、3ケ月区切り、春・夏・秋・冬でも、大寒とか立春とかそういう区切りでもいいから3ケ月単位で見ていくのが前提です。それから、暇だったら先程の『大正12年以来、平年作の時は9月26日が底になる』と申し上げたことを確認してみて下さい。269日日が9月26日になりますが、これが底になる。その他いろいろな値動きの統計をとってみて下さい。
 この日本では、春・夏・秋・冬の変化が極めてはっきりしています。洋服生地や毛布の値段が高いのは、いつ頃だか知っていますか?秋ですよね。これから使う時に高くなる。安いのはお盆の8月頃です。スイカはどうですか?お盆の頃が安いですね。今、千疋屋(銀座にある店)にスイカを買いに行くと、2000円位すると思います。ひょっとすると、2000円では買えないかもしれませんね。黒豆、かすのこなどは、12月25日が一番高くて、26日になると安くなる。「それなら、26日になってから仕入れたらどうか」と考えてみると、それだと正月に間に合わない。机はどうですか?勉強の机は3月が高い。毎年決まっている。春・夏・秋・冬の季節的な変化というのがはっきりしている日本では、春・夏・秋・冬の変化が物の値段にすごく反映されます。小豆相揚も同じです。
 商品の話に戻りますけど、農産物の一次製品、或いは二次製品、または金属(貴金属と普通の金属)かおりますが、いずれも為替に左右される商品の場合には、とにかく為替の勉強をやってからおやり下さい。また、製造段階を川上、流通段階を川中、小売りを川下と言いますが、川中の段階で商社が強い支配力を持っている商品の場合には流通のことを勉強してからおやり下さい。そうじゃないと統計などに脳されちゃう。
 そして、自分の専門の商品(銘柄)をお持ち下さい。例えば、小豆専門。私のところの会員に、”銀”専門という人がいまして、銀の売買だけで生活している。銀の事についてちょっと触れますと、ウオーレン・バフェットっていう有名なアメリカ人がいる。この人は株ですごい富豪になった人で、この人の本が日本語訳で出ていますよね。あの人が今、世界の銀の、流通の20%を買い占めている。だから「銀に何かあるんじゃないか」と思われている。これは「通貨不安が出て来るだろう」という思惑がその一つだろうと思います。金は、通貨統合を控えてヨーロッパの中央銀行が保有余を売却するだろうとの見方から、オーストラリアの中央銀行や各国の中央銀行が保有余を売却しています。ところが、1オンス=300ドルから280ドル位まで下がった程度で、今、また30Oドル位まで戻ってしまった。
「中央銀行があれだけ金を売ったのに誰が買ったのか?
 「もしかしたら、ソロスじゃないのか」 
 大体、ソロスはあまり金をやりませんから、ソロスではないでしょうが、買った人が不明なんですね。それは、天候不安ではなくて、通貨不安を見込んで買っているんだと思っています。
 今年は、とにかく天候不安になると申し上げてきました。また、インドネシアや韓国などは、とにかく国が潰れそうなくらい借金が有るから財政事情が悪い。それから目本の場合、国民負担がとうとう市場最高の負担率になっている。島民に苛斂洙求(かれんちゆうきゆう)した江戸時代では、農民一揆が起きたんですが、その頃よりも高い負担率なのに何故暴動が起きないのか?みんな仕方が無いと思って諦めているんですね。そういう不安の中では、どうしたって株式市場は活況を取戻せないだろうと思います。だから、商品の時代だろうと思うわけです。
 非常に極端に言えば、あの株のバブルの時のように「今年は、商品で―財産出来る年ではないか」とそんなふ引こ思うんです。皆さんが基礎をバカにしないで、基礎をまず身につけてからやって行けば後々伸びる。
 私のところのグループで後藤という者が居りまして、その人が『絶対のパソコン投資術』という本を書いた。その中に「基礎が確りしていないと、いろいろな技法を取り入れても、または、どんなに作戦を立てたってダメだ」ということが書いてある。基礎というのが一番大事なんです。これは家を建てる時も同じで、基礎が駄目だとその上にいくら良い家を建てても駄目です。とにかく、この基礎固めが大事です。これは、いくら強調しようが強調し過ぎる事はない。
 ところが、一般の人は本を読むと「何だ!こんなに優しいの」とバカにして実行しない。皆さんが私の年くらいになるまでに、上手くいけば10億円、少なくとも5億円なりの財産を築いていたいならば、とにかく『資金に余裕を持つこと』『基礎固めをすること』『専門を持つこと』です。                             十
 それから『専門の持ち技』というのがあるんですが、それは基礎を繰返しているうちに自然に身についてきます。また、それが基礎固めにつながります。そして「ここぞ!」という時は無いんですから、淡々と相場の上げ下げを見ながら価格変動の波に乗る。つまり、相場には『秘訣』というか秘密はないことを皆さんに解かってもらいたい。私は、このことを強調します。
  とにかく、今年は天候不安で商品相場の年になると思います。成功をしたら、お祝いをしなさい。例えば、今持っている500万円が二倍の1000万円になったらお祝いをする。一番良いのは、奥さんを連れて高級フランス料理を食べに行くとか、私の所に菓子折りを一箱持って来るとか……(笑)。フランス料理を食べに行っても、変な女を連れて行っちやっ駄目ですよ! 必ず奥さんを連れて行く。ブスでも何でもいいから奥さん連れて行くのが良い……(笑)。それで、今度1000万円が2000万円になったら、やっぱり同じことをする。そして、それと同時に売買を最低で1ケ月休む。つまり、売買に区切りをつけるわけです。心理的にも区切りをつけることが大事です。これらのことを繰り返していって下さい。
  皆さんの成功を祈ります。
 以上で私の話を終わります。有り難うございました。

2 件のコメント:

  1. はじめまして。

    林輝太郎氏の話のエントリー、大変興味深く読みました。私は、この方について全く知りませんでした。この様な貴重な話に出会える機会をくださったことを、お礼申し上げます。ありがとうございました。

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  2. alphaさま

    コメントありがとうございます。
    私自身もまだ完全に消化し切れておらず、なくさないように、いつでも見ることが出来るようにと思い載せています。
    私だけでなく、alphaさまのお役にも立てて嬉しいです。
    今後ともよろしくお願いします。

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