1998-01-07

林輝太郎・ダイワフューチャーズ講演

7.期節と先見性

 それともう-一つは、相場というものは先見性がありますから、早目・早目に動きます。今、小豆の先物は8月限です。8月限と言えば、夏ですから暑い盛りです。それを今から先見して早目・早目に動いて行くんですから、豊作の時は早目に下がってしまう。これを青田ボメって言いますけど、まず間違いなく下がる。そうすると9月26目よりも3ケ月くらい早目に底を打つ。すると、6月26目。あるいは、何かの関係で1ケ月ズレると7月26目になる。
  それから、遅れた秋の底。つまり作柄が悪くて早目に相場が上がった時は、秋の安値が遅くズレ込んで12月になる。だから、ああいうグラフ(10年分描げる程の大きなもの)を描いてみるとよく分かる。12月26目に買っていれば、儲かったという罫線が頻繁に出てくる。
 全体として言えることは、1年とか半年、またはその半分の3ケ月といった波が見られる。これは、春夏秋冬、いわゆる四季によって描かれる波です。それから24節気というのがありますね。大寒とか、立春とか、そういうのを24節気と言いますね。
 それからもう一つは年度というのがある。日本は4月が年度変わりで、アメリカは10月です。金の相場などは、アメリカのFRBの金融政策で変わるから、グラフを描いてみるとよく分かる。4月か10月で底になったり、天井になったりしている。
 株の場合は、今、政府が株価維持政策PKOで無理してやっているけれども、12月と1月、または5月から月、それが天井になったり、底になったりしている。バブルの大天井は12月28目です。それから一昨年の年間高値は、5月の連休直後です。去年もそうでした。今年もそうなるでしょう。          
 ところが今年は、先程申し上げたデフレが非常に深刻化してきているため、政府は遮二無二公的資金で買い支えて3月決算を乗り切るうとしだけど、この相場の予想ってのはアテにならないから、あまり信用しないようにして下さい。
 ところが、商品相場というのは株とは違います。先程申し上げた農産物の一次製品の場合は、保存が効きません。例えば砂糖、ゴム、あるいえは綿糸といった二次製品の場合には、工場で生産調整ができますが、小豆だとか、大豆だとか、とうもろこしは、生産調整ができません。先程申し上げた大相場師の晴披の言った言葉で「お天道様には勝てない」という言葉かある。ある文庫本で人生訓集というのがありますが、その中にある言葉です。「豊作凶作は、人為的に左右できない」ということですね。
 ついでに申し上げますと、商品相場の銘柄には十数種類ありますが、やりにくいのは為替に左右されるもの。それから、流通段階で商社が強い支配力を持っている商品。これは本当にやりにくい。在庫だとか、生産だとか、そういう統計もあまり信用できない。その上、そういう統計は遅いから相場は先に行ってしまう。在庫・生産・輸入、そういうのは皆遅れて発表される。発表された時はもう織り込み済みで、あまり役には立たない。相場は先見性が命で、先へ先へと見て行くものです。私も小豆のいろいろな統計を沢山持っておりますが、それよりもやっぱり値動きそのものを重視したい。その値動きは、先程申し上げたように、成功者が口を揃えて言っている「春夏秋冬」「波」に気をつける。3ケ月ですね。だから、よく見ると3ケ月毎の上げ下げ、そういう波がある。あとは、先程申し上げたようにゴルフで言えば「確実に球を打つ」といったような、基本的で一番単純なやり方である価格変動の波に乗る”乗り方”を身に付けることだ。それはお配りした資料②にあるように、1枚買って、次にもう1枚買う。それで2枚ですね。それを2枚一括して手 仕舞いをする。あるいは、1枚売る、そしてもう1枚売る。その両方のやり方を辛抱強く続けなさいと書いてある。更に上手になろうとか思ってはいけない。上手になりっこないんだ。なりっこないと言うより、目に見えて上手にはなりっこない。ある目、「俺は上手になってた」と気づく。結果的にそうなる。
 上手になろう、上手になろうと思っているうちは、ちっとも上手にならない。辛抱強く同じことを続ける。先程申し上げたが、5番アイアン1本で1目300発打つ。それを3ケ月間続ける。続けているうちに芯に当たるようになるし、あるいは打ち分けられるようになる。打ち分けるというのは、例えば、右カーブを打とう、左カーブを打とう、または、グリーンに落ちてから右転がりの球、左転がりの球、そういう打ち分けが出来るようになるには、辛抱強く同じことを繰返した結果でなければ出来ないんだということです。
 相場でも全く同じです。「1枚買い、1枚買い、2枚売り」そういう基礎の基礎を馬鹿にしないでやってごらんなさい。そして、その時に1枚買いと1枚買いで合計2枚だから、資金は50万円で十分だろうというのではなく、最低でも300万円から500万円を預けなさい。つまり、資金を余らせる。そういう癖をつけなさい。それも馬鹿馬鹿しいくらい余らせる。
 私が、今、証券会社に預けてあるお金は全部で2億円程あります。それで、今、たくさんカラ売りしてますが、カラ売りしている銘柄を丸代金で計算しても6000万円くらいにしかなりません。つまり、預けてあるお金の2割くらいしか使っていないということです。余っている一部は中国ファンドなんかにしてありますけれども、8割は遊んでいるということです。中国ファンドなどは証券会社だから出来ますけど、商品会社だったら利息つかないお金ですが遊ばせておく。
 講演の前半に申し上げたように、私自身も以前は、1000万円近くまで儲かっては大きくヤラレていた。それから、また1000万円近くになって「今度こそは!」と思っても、同じようにヤラレていた。それを繰返していた時に「お前さん自分じゃ絶対だと言ってるけど、他人から見たら絶対じゃないんだから、そういう時には建玉を控え目にしなさい」と言われたことがあって、それからは建玉を控え目にするようになった。それも馬鹿馬鹿しい程お金を余らせた。
「そんな、商品会社に利息のつかないお金を預けマおくなんて勿体ないだろ」「定期預金にしておけ」と、よく言われたが、私はそのまま預けておいた。資金を余らせておいた。それで、ようやく預けていたお金が1000万円を超えた。まあ、それからは順調で来ました。

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