1998-01-01

林輝太郎・ダイワフューチャーズ講演

1.最初のステップは1億円

 私が林でございます。 
 相場の世界では「場帖が無ければ全ては始まらない」とよく言います。普通、株の場合は<3ヵ月場帖>を使いますが、商品の場合は<1カ月場帖>を使います。お配りしてある資料の中に、場帖のコピーがあると思います。これは東京小豆の平成9年12月22目から平成10年1月27日までの期間のものです。この間に急落して底をつけていますが、そのときの場帖です。
 資料②として『売買練習の基本形』について書かれてあるもの、資料③で『実際の売買における注意点』の大事なところが書かれています。そして資料④に『林輝太郎の主張要旨の基礎』と書かれたものが1枚入っています。
 皆さんは、こういうものを他の講演会では貰ったことが無いと思います。何故これを配ったかと言いますと、普段皆さんには討論する機会がほとんど無いからです。例えば、今後「先物情報クラブ」で、定期的に集会とか討論会を開く機会かおるでしょうが、そういう一見ケンカをしているように見えるほどの白熱した討論をしたりするチャンスは、ほとんど無いと思います。
 我々プロ同士の間では、討論を年中やります。そして、本音の話をします。ところが、その中に一人でもアマチュアの方がいると、その討論会はブチ壊しになってしまう。程度が違うというか、次元が違うというか、全く話が通じない。
 それはこの資料③に、お料理のことを例にとって書いてありますので、また後でお話したいと思いますが、もし投資家同士で話をする時に、例えば『場帖について』とか『資金管理について』とか、そういう主題を決めて討論なり議論をなさるために、これは重要なヒントになると思います。
 資料についてはこれくらいにしておいて、今日の演題は『売買技法の基礎固めと資産折損途上の注意点』ですので、この二つを中心に話をしていきます。
 まず初めに、4つのお話をしたいと思います。
 その一番目。私は、今72歳です。皆さんが私の年になる頃には、できれば10億円、少なくとも5億円の資産を築いていなければ相場をやった意味が無いのではないかと思うのです。5億円とか、10億円とか言うと驚くかもしれませんが、初めのステップは1億円で良い。
 私は昭和23年からずっと相場をやり続けております。今から30年以上前の1000万円、今だったら大体1億円くらいに相当すると思います。その近くまでは儲かるのですが、その後損してしまう。また、近くまで儲かるのですが、また損してしまう。「どこが悪いんだ?」と思ったものです。
 元々、私は生まれて初めて株をやった直後からプロの人から色々教わって、お金に代えられない貴重なことをたくさん教わったのですが、それが身に付いたのは20年後です。 しかし、とにかく1000万円近くまで儲かると、また損する。
「どこが悪いんだろう」もちろん人一倍勉強しました。本も読みました。努力もしました。商品会社の社長も十数年やりました。
 私は統計なんかが好きですから、絶対損するお客というのはどういう種類なのか分析したことがあって、本にそのことを書いたことがあります。私たちは「おままごと」と言っていますが、資金も小さく、売買も小さく、人間までも小さくなってしまっている一般の投資家がいます。そんな人は、死ぬまで儲からない。
 しかし実際には、そういう風に小さく固まってしまう人が大部分なんです。それを乗り越えるのにはどうすればいいか。
 あとでまた詳しくお話しますが、例えば、相場をやっていますと、二年に1度や2度は「ここは絶対だ」と思う時があります。「ここは絶対だから、資金を有効に活用しよう」と思うわけです。つまり、沢山の枚数をやりたいわけですが、その気持ちを押さえなきやならない。その苦しさを乗り越えなきやならない。そうすればお金は残る。
 この商品業界で大相場師と言われた人で山崎種二という人がいました。山種ですね。それから個人であまり有名ではありませんが、鈴木隆という人がいます。戦前、今の参議院が貴族院と言われていた時代、全ての議員は天皇陛下に指名された勅選議員でした。当時、高額納税者であった鈴木隆という人は貴族院議員でした。その人にも直接色々と教わりました。それから、戦後のこの商品業界で、個人で一番儲けた晴披留作という方がいましたが、この方からも直接教わりました。
 私が「ここは絶対だ!」と思った時に、沢山の枚数をやるわけですが、そうしたら、晴披さんに「お前さんは自分じゃ絶対だと思っているけれども、第三者から冷たく見たら絶対じゃないんだよ」「自分一人で絶対だって張り切っているだけで、第三者から見たら確率は二分の一なんだよ」
 と言われたことかあります。後で『ギャンブラーの誤謬』という数学的な錯覚についても触れますれど、今の「ここは絶対!」というのは錯覚ではないんですよね。完全なな思い違い。
とにかく最初のステップとして1億円達成しなきやいかん。
「どうしたらいいか?」この話がまず一番目です。

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