2008-08-13

利食いと損切り

利食いと損切り II

ある経済系の新聞の夕刊のコラム

プロに聞く ○から○○○の投資塾

(以下、著者が特定されないように一部省略)

・・・

 利益確定や損切りの具体的な基準は、「何を期待して株を買うか」という投資の動機によって異なりますが、
いずれの場合でも、値上がりしたときに確定する利益よりも、値下がりしたときに確定する損失が小さくなるように設定することがポイントになります。
 たとえば、買値よりも 10% 値上がりしたら売るという利益確定の基準を決めたとします。これに対して、損切りの基準が「20% 以上値下がりしたら売る」というものだとしたら、
期待する利益よりも損失が大きくなってしまいます。仮に利益確定と損切りの回数が同じになるとすれば、資産は減る一方です。
 利益確定と損切りの最適な基準を特定することは困難ですが、例えば損切りの基準を利益確定の基準の半分にすれば、「五勝十敗で損益はトントン」というイメージになります。
 「この株は必ず値上がりするはずなどとかたくなにならず、値下がりしたときの損を小さく抑えて値上がりした時の利益を大きくする工夫することが大事です。
 相場状況によっては、利益確定の基準まで値上がりせず、かといって損切りの基準までも値下がりしない、という動きが続くこともあります。 
その場合は値上がり・値下がり」の水準のほかに、タイムリミットを設けることも考えてください。一カ月以内にどちらの基準にも当たらなければ、その時点で売却する、といった具合です。

土屋賢三 氏のブログ

(引用開始)

だが、世の中は広いもので、どう考えても珍妙にしか見えない理論(?)を自信たっぷりに開陳する人もいるものだ。 私が時々目にするもので笑えるのは例えば次のようなものだ。

<良く見かける解説>
----------------------------------------
○○とセットアップが満たされ、××というトリガーが引かれた。
従って△△を、\14,500の逆指値で買う。
ストップロスは、直近の安値の\14,400に置く。
目先の利益目標は前回の高値の\14,800である。
このトレードではリスクが\100、リワードが\300であるので、リスク・リワード・レシオは1:3である。
このように確率統計的な観点から、エッジのあるトレードを行なうことが重要なのである...
----------------------------------------

...(^^;) なわきゃねーだろ!
これなどはあまりにバカバカしい話で、一見科学的な(?)衣を被っているのだが、誰でもすぐにインチキとわかるからエセ科学とすら呼べない。というか、リスク・リワード比が1:3などという大きな比率になるトレードがそう簡単にあるわけないだろ。

だが、こんなまるでカルト教団の教義のようなワケがワカラン支離滅裂なことを書く御仁は、ネタを提供するためにわざと冗談を書いているのでなけれ ば、悪質な確信犯か、もしくは単なるアホのどちらかだと思うが、驚くことに、この類のことをシステムトレード本や投資雑誌、ネット上に書いているのが、一 人ではなく複数いるのである。

一般的に言って、\100上昇する確率と、\100下落する確率ですら等しくはない(対数正規分布の非対称性ゆえ)。 いわんや、\300上昇する 確率と、\100下落する確率が同じであるはずがない。 なのに、上記の解説では、それらの確率が等しいという前提で話を進めている。 悪貨は良貨に駆逐 されるとすれば、こんな子供じみた話が流布するはずがないと思うのだが、この手のシステムトレード本が売れているところを見ると、こういうものを有り難 がって読む人が結構いるらしい。

もういいかげんに、この手の迷信は消え去ってもいいのではないか? 個人のHPや商材屋の宣伝サイトはともかく、少なくとも編集者の目を通る投資雑誌や書籍は、こういったインチキを載せない責任があると思うし、これだけ金融に関するリテラシーが高まっているのだから、個人投資家は「バカにするな!」と声を上げるべきではないか? このままでは、投資の世界は、原野商法とか海老の養殖やロコ・ロンドンの詐欺話(笑)とたいして変わらなくなってしまう (ToT)。

(引用終了)

 

誤解が無いように言っておきますが、土屋氏が指摘している<良く見かける解説>がこの夕刊のコラムのようなものだ、ということではありません。

念のため・・・

当「相場の考古学」では、「他人を批判してはいけない」「他人の売買戦略を悪く言ってはいけない」ときびしく言われているので、数字やチャートだけで読者ご自身に自ら判断していただくことにしています。

さて、この新聞の夕刊のコラム著者氏の売買戦略をみてみると、

 

売買戦略

買い
条件   : 25日の終値ベースの単純移動平均線 < 終値
取引価格 : 翌日の始値

売り(買い手仕舞い)
条件   : 安値 <= 買値 x ( 1 - 損切り幅(%))、または、高値 > 買値 x (
1 + 利益確定幅(%))、または、買い日から 23日(約1ヶ月)後
取引価格 : 
翌日の始値

検証期間

1983年01月04日(火)~ 2008年08月12日(火)

検証対象

2008年08月12日(火)現在の日経平均採用225銘柄

投資単位

¥1,000,000-/取引

 

 

 

「損切りは早く」のウソ利食いと損切り丁半博打に損切りをつける利食い千人力 でもそうだったように、利益確定も損切りもないほうが・・・

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