2006-01-02

My Trading Life (25)

数ヶ月後、奇術師さんがネットから姿を消したあとで、清春氏は「奇術師さんは東洋エンジの空売りで破滅したのだ」というデマをしつこく流すことになるのだが、それは全くの嘘である。

彼は自己正当化のためならば「平気で嘘がつける人」なんだね。彼自身は嘘をついているという自覚すらおそらくはないだろう。

奇術師さんは、東洋エンジの空売りはやっていないと思う。急騰する仕手株に空売りで向かうなど、彼が絶対にやりそうにないトレードである。

彼は最終的には400円近くまで上がった銘柄を、100円台の前半で利食ったのです。いや、正確には、利食ったと掲示板に書き込んだのです。それが全てです。


それはさておき、僕は東洋エンジの相場で多くのことを学んだ。

相場のうねりに乗りながら、緩んだところを買い、吹いたところを売りで、小さくポジションを動かしていくのが僕のやり方だということはこれまでも書いてきた。しかし、実際には、想定通りにうまく行くことばかりではない。

急騰した場面で利食い、ポジションを小さくしたところで、さらなる急騰が続くこともあるし、押し目のつもりで買ったところが、地獄の入り口での買いになってしまうこともある。

仮に、170円で、全て利食った銘柄が、緩むどころか175円、180円と上がっていったらどうすればいいのか。以前は、悔しくて買い増しすることも出来ず、かといって見捨てることも出来ず、急騰していく株価を眺めながら悶々としていたものである。

しかし、単純なことなのだ。再度、もう一度、小さなポジションから、買いを積み上げていけばいいのだ。手放したポジションよりさらに上に株価が向かうとしたら、それは相場が強い証拠でもあるので、ためらわうことはない。

株価は、こちらのポジションを知っているわけではない。手仕舞いしたポイントなど、手仕舞いした瞬間に忘れてしまえばいいのだ。


それでは、逆に、株価が予想以上に緩んだときはどうすればいいのか。もちろん、大きく緩んだ場合は損切りしかない。そうではなくて、やや緩んだまま、株価が硬直状態に陥ったり、あるいは、ラーメンのお椀のような丸い底を作りながら、徐々に上を伺いはじめた時はどうすればいいのか。

例えば、仮に、180円で5枚、190円で5枚買っていた銘柄の株価が、160円あたりまで下がった後、そこで下げ止まりになり、やがてじりじりと再度上がり始めたとしよう。どのタイミングで買い増しを始めればいいのか。

じっと追いかけていたのだから、株価の動きはよく分かっている。下げ止まり上昇に転じたタイミングで即乗りたいところである。誰もが、どうしても、ややフライング気味に仕掛けたくなるパターンだと思う。

仮にロスカットを30万円に設定していたとする。例えば160円で5枚買い増ししたとすると、株価が158円になったら全て損切りをしなければいけなくなる。これはあまりにもタイトな設定である。

損切りのポイントを睨みながら、買い増しをするならば、チャートの感触から160円が目先の底だと確信できても、160円で買い増しをすることは出来ない。株価が165円、170円と徐々に反騰していき、ロスカットのポイントとの距離が開いてきてから、買い増しをすることになる。

つまり、手仕舞い後にさらに株価が上昇した場合の再度のエントリーは、相場の勢いを見て、自分の手仕舞いした株価は完全に忘れて挑むべきだし、逆に、緩んだタイミングでの買いは自分のポジションを睨みながら、損切りラインとの距離を測りつつ、少しずつ買い増しをしていけばいいのだ。

東洋エンジの相場より以前は、これが逆になっていた。高くなってしまった株価は勇気がなくて買えなかったし、緩んだタイミングでは、大きな含み損になっているにも拘わらず、買い増ししたくなった。

たいていのトレーダーは、そうした間違ったトレードをしていると思う。何故なら、それは心理的にとても楽なトレードだからだ。

そして、そうした「心理的に楽なトレード」をするように背中を後押ししてくれる材料が欲しくて、ネットで情報を集めたり、チャートをバイアスをかけながら眺めたりするんだろうね。


そして、東洋エンジの相場では、もう一つ大切なことを学んだ。「ルールとしての損切り」ではなく、もう少し柔軟な「アートとしての損切り」である。

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