2006-01-22

My Trading Life (27)

この記事は実は先週の日曜日に書いたものだ。

ブログの記事は、たいてい、書き終えたら即アップするのだが、『My Trading Life』はちょっと気合いが入っているので、一晩寝かせて、翌日、もう一度読み返してからアップすることにしている。ところが先週は月曜日にライブドア家宅捜査があり、その後、相場が大波乱を演じてしまったので、この記事の中で、「予想」として書いていることが、少し異なった形で「事実」となってしまったために、書き直さなければならなくなっていた。

週末にでも全面的に書き直そうかと考えていたのだが、いまあらためて読み返してみると、まるでこの記事全体が「先週末の僕」から「現在の僕」に向けたメッセージのようにも読めることにちょっと驚いている。

ちょっとタイミングのずれた部分もあるのだが、あえてこのままアップしてしまおうと思う。

先週末の段階で、僕は「もうすぐ」「何か」が起こることは予想していた。占い師ではないのだから、「もうすぐ」が「翌日」で、「何か」が「ライブドアの家宅捜査」だろうとは全く予想もしてはいなかったが、しかし、IPOバブルの終焉を告げるような何らかの事件が起きるであろうこと、それをきっかけに相場が軟調になるであろうことは、煮詰まったチャートを読めば予測できた。

いつも書いていることだが、「材料が相場を動かすのではなく、相場が動きたい時に材料が生じる」のである。あるいは、別の言い方をすれば、マーケットの動きたい方向というのがあって、何らかの事件が生じた時に、マーケットはその動きたい方向へと材料を吸収していくのだ。

ライブドアの家宅捜査がなかったとしても、早晩、新興株が先陣を切る形で、トレンドは変わっただろうと思う。その数日のずれによって、破滅する投資家、破滅を逃れる投資家がいるわけで、投資家にとって数日のずれは決定的に重要ではある。しかし、大局的な流れは、個々の出来事や事件などが作るわけではないのだ。そして、大きな流れにあらがうことはできない。トレーダーはトレンドを味方につけるようにと、ポジションを築いていくべきなのだ。

さて、話は2001年、前年春のITバブルの崩壊から1年近くが経過し、相場が徐々に立ち直りつつあるかに見えた頃である。




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今の相場だと、資産規模1千万円程度では、完全に鼻くそ扱い、度胸のあるデイトレーダーなら一日で稼ぎ出してしまう金額だが、2001年当時、200万円を1年ちょっとで1千万円にしたというのは、それなりにりっぱな数字だったんじゃあないかと思う。

相場環境は完全に逆風だった。1年前、ITバブルのど真ん中で、羽振りをきかせていたネットトレーダーたちは、ほとんど全て姿を消していた。高値では24万円した光通信の株価は、1,000円台にまで売り叩かれていた。

狂乱相場の後の宿酔は無惨である。

現在のIPOバブルも最後は悲惨だろうと思う。ストップ安売り気配が何日も続き、売りたくても売れないような事態が、おそらくもうすぐ訪れるはずである。東証一部をいじっているトレーダーはしばらくは対岸の火事を高みの見物していられるだろうが、やがて火の粉はこちらにも回ってくるだろう。対岸で悲鳴が上がったら、すぐに逃げ出すことだ。

それでも、2001年の春、ようやくマーケットは底が見えたように感じられた。日経平均は2月末に12,000円を割った後、急速に戻しつつあった。どうやら1年近くにも及んだ下げ相場はトレンドを転換し、再度、上昇へと向かいつつあるらしかった。

僕はそれまで何とか空売りを中心に凌いできたが、空売りのポジションを徐々にクローズし、買いへとスタンスを移動していった。

さて、この時期の印象に残っている思い出をいくつか書いておきたい。ひとつは『マーケットの魔術師』の「株式編」を発売直後に航空便で取り寄せて、2日間、ほとんど徹夜状態で一気に読み上げてしまったことである。トレードを学ぶことに対して、この頃は本当に真剣だったと今あらためて思う。

そして、『マーケットの魔術師』の「株式編」は実に面白かった。「正続編」は、トレードの道を究めた聖者列伝といった趣の本だったが、株式編は、なんというか「変な奴大集合」みたいな、こんな方法でどうして儲かるんだろうというトレーダーが次から次と紹介されていた。

結局、トレードに誰もが従うべき普遍的な正しい方法なんてないのである。自分にあったトレード法、自分が十分に資金と心理をコントロールできるトレード法を見つけること、それが大切なのである。そうしたことが、この本を読んだあとで確信に変わった。

『マーケットの魔術師:株式編』の読後感は、読み終えた直後に「売り専」の掲示板に書き込んでいる。とても懐かしい発言なので、再録してみようと思う。株式トレードビギナーの頃のワクワク感が十分に伝わる書き込みなので。(^_^;)

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【 タイトル 】Stock Market Wizard
【 日付 】01/03/04 16:29

皆さん こんにちは!!

1ヶ月ほど前に紹介させていただいたジャック・シュワッガーの新作「Stock
Market Wizards」ですが、昨日と今日で一気に読了してしまいました。

これは面白い!!

僕はアマゾンドットコムで2割引で買いましたけど、丸善信者の人は、丸善で
買うといいでしょう。アマゾンの倍の値段で売ってますので、丸善の売り上げ
に大きく寄与し、株価の上昇にきっときっと多大な貢献することでしょう。
(笑)

これまでの「マーケットの魔術師」2冊に登場していたのは、神のごとき高み
にいるトレーダー達という印象だったのですが、今回の本は、彼らよりは少し
だけ身近に感じられるトレーダーの記録です。
(といってもまだまだ雲の上だよ。)

トレーディングスタイルはこれまでの2冊以上に、多様で、個性的で、むちゃ
くちゃで、ホント面白い。

オプションの「買い」で堅実に稼ぎをだしていく牧場主の話しとか、どこの会
社に行っても上司とぶつかり合ってた女性が、空売りオンリーのトレーダーと
して大成功する話しとか、ホントに、こんなやり方で儲かるのかなぁと、若干、
半信半疑でもあるのですが、でもやっぱり自分の性格に合ったトレーディング
スタイルでやれば、うまくいくんだろうなぁと納得させられるのです。

あと、目からウロコというか、正直、笑ってしまったのが、狙いを付けた会社
のCEOだの関係者に電話しまくるというトレーダーですね。彼は売買すると
きにチャートを見もしないのだそうです。(ホントだろうか...。)

どなたか日本版のこんな本、出してくれないかなぁ。草笛さん、奇術師さん、
XXさんなどなど、「魔術師」の候補選手はこの掲示板に何人もいらっしゃい
ますね。

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そして、この時期に、もう一つ、とても印象的な書き込みを掲示板で読んだ。奇術師さんの「Gold」というタイトルの書き込みである。この発言もその後何度も読み返したし、そして大きく影響を受けた。「そう、プロにとって、金市場は売るためにあるのです。」という奇術師さんの口調も実に懐かしい。

奇術師さんの発言はどれもそうなのだが、読み返すごとに新しい発見があり、印象が変わってくる。この発言も、金相場のその後を予言したというよりも、どんな相場であれ、大局的な流れにつくことが大切なのだと教えてくれているのだと思う。

長期的なトレンドが上向きの時にこそ株を買うべきだし、FXに挑戦するならば、スワップ金利というハンディが与えられる外貨の「買い」で狙うべきだし、無限に増え続ける不思議な商品である金より、実需要のあるプラチナを買うべきなのだ。つまり、常に少しでも有利な側について、トレードをすることが大切なのだと思う。

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【 タイトル 】Gold
【 投稿者 】マーケットの奇術師
【 日付 】01/02/04 21:46:51

ヴォルテールさま、ハント姉妹さま:
個人的には、貴金属の長期定額購入をなさるなら、金よりもプラチナを
お勧めしたいです。休日モードということで、少し詳しく述べてみます。

金というのは、不思議な商品です。いや、商品とは言えないのかもしれません。
なぜなら、金には、本当の意味での需要、つまり実需というものがあまり
存在しないからです。

この世に存在する「商品」とは、すべて消費されるために生産されています。
採掘された原油は精製され、燃料や石油化学製品原料として消費されます。
生産された穀物は、飼料や食料として消費されます。
非鉄金属も、繊維も、鉄鋼も、セメントも、紙も木も、すべて同じことです。
そして、消費という需要と、生産という供給のバランスするところで最終的な
価格が決まります。『需給に勝る材料無し』というのは商品界のことわざですが、
一時的に思惑で相場が動いても、結局のところは需給関係が価格を妥当なところへ
収斂させて行きます。

金以外の貴金属には、宝飾品としての需要以外に、それぞれ工業物資としての
重要な用途があります。
銀は写真感光剤や抗菌剤としての、プラチナやパラジウムは触媒や電極材料としての
需要が、総需要の半分以上を占めています。
ところが金には、そういった実需がほとんどありません。せいぜいメッキや歯科材料
程度のもので、「需要」の大部分は宝飾品・投資・退蔵需要です。
しかも金は化学的に安定な物質で、錆びたり腐ったりしません。
ソロモン王やミダス王の昔から、永久にそこに存在するのです。
これを言い替えますと、世界中の金鉱山から採掘される年間約4000トンの新産金の
かなりの部分が、地上在庫として毎年繰り越されて行くということです。

要するに、穀物は食べたら消滅します。石油は燃やせば消滅します。
しかし、金はあまり消滅せず、地下から掘り出された金が毎年どんどん地上に
あふれかえってくるのです。「不思議な商品」とは、そういう意味です。
ですから、はっきり言えば金価格は毎年下がるのが当然なのです。

そう、プロにとって、金市場は売るためにあるのです。永遠の戻り売り銘柄と言っても
過言ではありません。

ニクソンショック以後の現代は、もはや金本位制の時代ではなく、実物通貨としての
価値は幻想になっています。つまり、昔は、金の本質的価値に「通貨的側面」という
プレミアムが乗っていたわけですが、それが徐々に剥げ落ちてきているのです。
一挙に急落しないのは、それがいまなお消費者の「共同幻想」に支えられている
からに過ぎません。

産金会社や商社、貴金属商、宝飾品業者などは、こういうことは口が裂けても言いま
せんけど、彼ら自身は常に市場で売り方に立ち、大規模なヘッジ売りをしています。
南アや豪州の鉱山会社がCOMEXでどれだけの売り玉を持っているか、あるいは
純金積立を派手に広告している商社がTOCOMでどれだけの売り玉を持っているか、
調べてご覧になれば、おそらく驚かれることと思います。
彼らが必要としているのは、富の象徴というイメージに幻惑され、自分たちの売りに
喜んで買い向かってくれる消費者なのです。

金地金は、持っているだけでは利息を生みません。各国の中央銀行は、準備資産として
莫大な地金在庫を持っていますが、それを貸し出してリース料を取り、利息の代わりに
しています。
しかし、その貸し出された地金がフォワード売りを生み、ますます金価格の低迷を招く
結果になっています。近年、欧州の中央銀行が相次いで保有金の売却をしているのは、
通貨的側面というプレミアムが消滅した金を大量保有する意味が薄れているからです。

株に例えて言いますと、万年無配のくせに毎年定期的に公募増資をする会社の
ようなものです。大株主たちは、株を貸し出して貸株料を受け取っていますが、
需給悪に加え、その貸し株がまた慢性的な売り圧力となる悪循環で、株価は
いっこうに上がりません。
それでもおおかたの大株主たちは、昔からのしがらみもあるので、なかなか持ち株を
売りに出すまでには至っていません。しかし、それも限界に近づき、思い切りの良い
一部の大株主は、少しずつ持ち合い解消売りを出し始めています・・・
と、こんなイメージでしょうか。
この会社の株、みなさまなら買う気になりますか?

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