2006-01-21

週刊現代

  • 株式投資をやめようと思ったことは何度もあります。
    資産が 80 億円になった今でさえ、「朝のたった 10 分間で 1 億円を損するかもしれない」リスクとプレッシャーで押しつぶされそうになる。
    正直、精神的にきついです。
    やめればいいんですが、そうすると儲けるチャンスを自ら放棄して 1 億円損をした気分になるので、それもきつい。
    どっちもきついなら、株をやり続けるしかないなぁって感じです。
  • ジェイコムの一件もあって、昨年は年初の約 10 億円の資産を 12 月末にはだいたい 80 億円に増やすことができました 。
    ジェイコムだけじゃないんですよ。
    他の銘柄で儲けた額のほうが多いです。
    資産が約 80 億円といっても、僕の場合は実業で稼いだワケではありませんから、「資産」といえるかどうか。
    この先ゼロになるリスクもあるし、先のことなんてわかりませんね。
  • ジェイコム株を買ったのは、安かったから。
    それだけの理由です。
    みずほ証券による誤発注があったなんて、そのときは知りませんでした。
    (12 月 8 日に)新規上場したジェイコムの公募価格は 61 万円で、初値は 100 万~ 120 万円くらいにはなると思っていました。
    それが公募価格を下回っていたので、安いなぁと。
    「おかしい」というより「安い」という判断です。
    安くなければ絶対に買いません。
    楽天証券で 2950 株、他の 2 社で 4150 株、3 社合計で 7100 株購入しました。
    「ひとつの銘柄に 34 億円を投資するのは怖くなかったか」とよく聞かれますが、ぜんぜん怖くありませんでした。
  • 今回の件では、そもそも証券会社の誤発注が通るシステムに問題があると思っています。
    警告が出るだけじゃなくて、(売買自体を)執行停止にするべきでしょう。
    証券会社があんな(61 万株と多い)注文を出せることがおかしいんです。
    もし個人が発注を間違えても「間違えました」では通らないし、無茶な注文も受け付けてもらえない。
    証券会社には無制限にカラ売りが許されていることも不公平に感じます。
    個人投資家はカラ売り規制があって、61 万株もの莫大な売り注文は出せませんからね。
    欠陥のあるシステムのせいで間違いを起こしてしまった証券マンもかわいそうですよ。
  • 株式投資を始めたのは 5 ~ 6 年前の大学在学中でした。
    当初 140 万円から始めたんです。
    バイトして貯めたおカネとか、子供の頃から貯めていたお年玉とかが元手ですね。
    最初は株関係の本を何冊か読みましたが、そのころはネット取引自体まだ歴史が浅く、参考になりそうな本はほとんどありませんでした。
    今でもアナリストの銘柄レポートも、マネー誌や経済誌も読みません。
    他人の意見に影響を受けるのがイヤなんです。
    ですから、ボクのスタイルは、あくまで実践を繰り返すなかで覚えていったものです。
  • 世間ではネット投資家というと、みなひと括りに「デイトレーダー」と呼ぶ傾向があるけど、僕の投資スタイルは 1 日~ 1 週間程度で売買する「スイングトレード」です。
    株をホールドする期間は長くても、せいぜい 10 日間。
    たいがいは 2 ~ 3 日のサイクルで売買します。
    「下がったら買って、上がったら売る」の単純作業の積み重ねです。
    ムダな売買をやっていることも結構多いし、買った銘柄が予想以上に上下して、結果的に一日で手仕舞いする”デイトレード”になることはありますけどね。
  • 02 年末には、最初の 140 万円が 1 億円ほどになっていました。
    その時点で、就職せずにこのまま株取引をやっていこうと思ったんです。
    とりあえず 25 歳まで、これを続けようと。
    ダメだったら、就職しようという考えだったんです。
  • 大学では特に経済や金融を学んだわけではありません。
    両親からは「株なんかやめて、早く就職しろ」と言われてましたね。
    資産が 3 億円くらいになったときも、父親から「どうせいつかは損をするんだから、早くやめたら」と言われていました。
  • 僕が株を始めたのは、IT バブル崩壊後の下げ相場からです。
    もっとも下げ相場といっても、決して一直線に下がるわけじゃありません。
    一定の下値に達したら、リバウンドで上昇するのが普通です。
    当初は下げ相場のなかで、下値に達したと思われる銘柄を買って値上がりを取っていくスタイルでした。
    01 年前半はこのやり方を繰り返してある程度儲けましたが、後半は損することが多くて精神的にもきつかったですね。
    このときに起こったのが、9・11の米国同時多発テロです。
    あのときは KDDI とか日本テレコムとか通信株をたくさん持っていましたけど、これらが軒並みストップ安になってしまって本当に参りました。
  • 引き続き 02 年も相当苦しかった。
    この年は前半こそ儲けたものの、後半の半年で儲けた分を帳消しにしてしまいました。
    結局、資産は横ばいのままでしたね。
    このころは米国株と日本株の連動性が強くて、乱高下する米国株価にずいぶん振り回されました。
    米国市場の動きが気になって、朝の 5 時、6 時まで相場をにらんで、2 時間寝たら日本株にかじりつく――そんな時期もありました。
    きつくて、もうやめようと思ったのも、そのころです。
    このような下げ相場のときをくぐり抜けているので、株がいかに厳しい世界であるかは自分なりに理解しているつもりです。
  • 03 年の 5 月からは相場も上げ基調に変わり、機関投資家が大型株に投資する流れに乗っていっただけです。
    それ以降はだいたい儲かっています。
  • 僕の投資スタイルは短期売買が大前提で、長期の株価予想はしません。
    一日の予想が当たればいいんです。
    つまり、一日の相場予想を着実に当てて、それをコツコツと積み重ねていく。
    30 日続けば、結果的に 1 ヵ月の予想が当たったことになる。
    長くてもせいぜい 1 週間単位の予想ですね。
    昨年のように中期的に見ても大幅に株価が上昇した相場では、短期売買を繰り返すよりも中長期でじっくり持ってから売ったほうが結果的に儲かったでしょう。
    でも、これが僕のスタイルですから変えるつもりはありません。
  • 上げ相場と下げ相場では、投資法が若干変わってきます。
    上げ相場では個別銘柄の出来高推移、場中の板情報、日足チャートを中心に見ますね。
    基本的にはチャート重視です。
    利益確定売りや損切りのタイミングについては自分なりのルールが何パターンかありますが、詳しいことは言えません。
    ライバルも多いですからね(笑)。
  • 取引は日本株のみです。
    投資信託は手数料が高いし、短期でやるものじゃありませんから興味はありません。
    外国株もやらないですね。
    米国株なら多少はわかりますけど、中国株やインド株なんてさっぱりわからない。
    基本的には、わからないものには手を出さないことにしています。
  • 昨年の前半は、IPO 銘柄だった通信会社の日本通信とオンライン・ゲーム会社のガンホー・オンライン・エンターテイメントで大きく儲けることができました。
    二つの初値はそれぞれ 7 万円と 420 万円でそれほど高くなかったんですが、その後、連日の高値更新で急騰したんです。
    この二つで数億円の資産を作ったのが大きかった。
    その後の相場で大量の資金を投入することができましたから。
  • 8 月からは大型株で儲けました。
    銀行、造船、鉄鋼、商社などの大型株はチャートを見れば一目瞭然で、直角的に値上がりしました。
    住友金属工業なんか、8 月から 10 月までの 2 ヵ月間で 200 円台から 400 円台に急騰しています。
    昨年の 8 月以降は相場の流れに乗り、大型株の売買を繰り返して儲けた形です。
  • 場中はずっとパソコンに張りついているので後場が終わったら、もう株のことは忘れたいんです。
    とはいっても、これといった趣味もない。
    たぶん株の刺激が強すぎて、ほかのことにはあまり興味が向かないんですかね。
    気分転換といっても、ふだんは近所を散歩するくらいです。
    学生時代に陸上競技をやっていたので、テレビで陸上競技やサッカーなどスポーツの試合を見るのは好きです。
    お酒は自分から飲もうとは思いません。
    彼女?
    ノーコメントです(笑)。
  • 儲けたおカネを何に使うかと聞かれても、よくわかんないんですよ。
    大きい買い物と言っても、家とクルマくらい。
    トヨタのマジェスタを買ってはみましたが、ペーパードライバーなので乗っていませんし(笑)。
  • 株で儲けた僕が言うのもなんですが、やはり他人には株は勧められないですね。
    特にサラリーマンのみなさんはやらないほうがいい、そう思います。
    一度でも株をネットで始めると株価が気になって仕事に手がつかないんじゃないですか。
    しかも、厳しい世界ですから、一時的には儲かっても結局、大損するまでやめられない人が多い。
  • 僕自身もいずれ株から身を引くときは、きっぱりやめるしかないと思います。
    でも、本当にやめるとなると、さっき言ったようにみすみす儲けるチャンスを捨ててしまったという後悔の念にとらわれると思うんです。
    続けるのもつらいし、やめるのもつらい。
    どっちをとってもつらいのが株なんですね。
    始めちゃったものは仕方がないんですが。
  • 昨年はかなり儲けましたけど、資産が大きくなればなったで、一日で 1 億円儲けるチャンスもあれば、一日で 1 億円損するリスクもある。
    決してラクではないんです。
    昨年 8 月以降、相場は急激によくなりましたが、こんな状態がいつまで続くかはわかりません。
    この先もうしばらくはいい相場が続くでしょうが、これだけ水準が上がってくると下がるリスクもこれまで以上に高まってくるでしょう。
  • 相場は生きものなので、今のやり方がこれからも通用するとは限りません。
    1 年後には今の方法が通用しなくなることも十分に考えられます。
    とはいっても、何度も言ったように僕はしばらく株をやめられないでしょう。
    ただ、今年は投資に振り向ける資産を少し減らそうとは思っています。
    これだけの資金をフルで投資に向けるのは、正直しんどいです。
  • 将来どうするかって?
    3 年後のことさえ何も考えていませんよ。
    ただ、ファンドマネージャーにはなりたくないですね。
    自己資金を運用するだけで精一杯でこんなにつらいのに、他人のおカネを運用する気にはとてもなれませんから。

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