2006-01-02

My Trading Life (24)

酒に酔ったときに人格が変わってしまう人がいる。一度ならば、この人は酒を飲むと人間が変わるんだなと、不快に思いつつも理解しようとするかもしれない。しかし、そうしたことが何度も続くと、やはりこいつはこんな人間だったんだ、酒を飲んだ時の姿が、こいつの本当の姿なんだ、そう誰もが思い始める。

激怒したときも、やはり、その人の人間性が露わになってしまう。「人間」の仮面の背後にいる「ケダモノ」の部分があからさまに露呈してしまうのだ。

ネットというのは、恐ろしいメディアだと思う。口から吐いた言葉ならば、音は一瞬で消えてしまうし、耳にした人の記憶からもやがてはその生々しさは奪われていくだろう。

ところが、感情的な言葉をキーボードで叩き、Enterキーを押した瞬間に、その言葉は世界中に発信され、誰かのハードディスクの中に永久に保存されてしまうかもしれないのだ。「その瞬間」の一時的な感情の言葉が、その生々しさのまま、保存されてしまうのである。


どんなタイミングで銘柄を売買するかは、完全に一人一人の投資家が決めるべき問題である。「自分の推奨した銘柄を売るなんてけしからん」という清春氏の怒りの書き込みには、心底、呆れかえった。

丸善の相場の時のXXさんのザラ場での「売り、売り、売り」発言に、怒りの感情をぶつけるというのは、まあ、わからないわけではない。株価のピークで自分が全力で買っている銘柄にネガティブな書き込みをされたら誰だって怒りを感じるだろう。

もっとも怒りを感じることと、実際に怒りをぶちまけた感情的な書き込みを掲示板にすることとの間には、人を殺したくなることと、実際に人殺しをすることと同じくらいの大きな違いがあると思うけどね。

いずれにせよ、奇術師さんの「東洋エンジ、利益確定させてもらいました。よい銘柄を教えてくださって、清春さん、ありがとうございます」という意味の発言に対して、感情的な怒りをぶつけた書き込みをするというのは、まったく理解できない。常軌を逸した病的なものを感じてしまう。


ただ、僕は、奇術師さんの東洋エンジを利食いしたという書き込みを読んだ時、実は、少し違うことを感じていた。

もしかすると奇術師さんは本当ははじめから東洋エンジを買っていなかったのではないかという気がしたのだ。清春氏に話を合わせて買ったことにしていたが、いよいよ怪しい動き方をすると見えたので、掲示板で騒ぎが大きくなる前に、利食ったことにしておいたのではないかと、ふと思ったのだ。

ちょっと不思議なタイミングでの売りだったという記憶がある。奇術師さんがいつも書いていることから考えると、あまりにも早すぎる利確だと思う。

あるいは、逆に「売った」という発言が嘘だったのかもしれない。『売り専』の掲示板は、清春氏、奇術師さんの二枚看板で、あの時期、ネットの株式関係の掲示板の中では、おそらくもっとも影響力が大きかったのではないかと思う。

実際、この後、清春氏が、名前を聞いたこともないような大証2部あたりのマイナーな銘柄をひょいと推奨しただけで、推奨直後に株価が暴騰するということが何度も起きた。

清春氏の書き込みを読んで買いのオーダーを入れるトレーダーが本当にいたのか。それとも、書き込みと同時に買いを入れて、相場を起きつつあるかのように見せるというシナリオが、清春氏を中心とするグループの間であらかじめ作られていて株価操縦が行われていたのか。確かなことは分からない。いずれにせよ、ネットを使っての株価操作はある程度は可能だったと思う。

株価神聖論者の奇術師さんとしては、自分の書き込みが株価の上げ下げに影響を与えてしまうという事態が不本意だったのではないか。

「東洋エンジを利確で売った」という書き込みは、ネットを使った株価操縦に利用されたくないというメッセージだったのかもしれない。

もはや1年前とは違い、誰もがイノセントでいるわけにはいかなかった。

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