2009-04-12

アルファブロガーの情報力

おかねのこねた : 豊かで、健康で、活動的な、人生のために: 春夏秋冬の順調な推移と、日中米の格差の顕在化
春山昇華氏による「おかねのこねた」(http://haruyama-shoka.blogspot.com/)は、現在の投資環境などをわかりやすく解説しているブログだ。トップページにある「中期投資(3~9カ月)で、月1%の絶対リターンを獲得しよう!」というメッセージが目を引く。個別株の短期売買をあおるようなブログが多い中で、じっくりと投資の勉強に役立てられる内容であることが人気の理由だろう。
 投資分野のアルファブロガーとなった春山氏は、書籍でも「サブプライム問題とは何か アメリカ帝国の終焉」(宝島社新書)をヒットさせ、情報発信能力の高さは折り紙つきだ。投資顧問会社などで運用を担当してきた経歴を持ち、現在も金融機関の資産運用部門に勤務する。プロの投資感覚や経験がブログのいたるところに生かされている。
 毎週更新するのは、重要な市場の動きについておさらいする「週末の定点観測」のコーナー。世界各国の主要株価指数、商品(コモディティー)や社債の金利などの指標をチェックする。
 定点観測は異常がないのが普通で、「異常があるときだけ詳しく調べればいい」(春山氏)。相場の「平熱」が肌感覚として身についていれば、熱が出たときに自然と対応できるようになるという。投資で失敗しないためには「常に自然と体が動くようにしておくことが大事」と強調する。
 世界全体を見渡した後は、個別の国々に視点を移し、日本や中国、米国などの経済指標や業種別の株価を観測する。ただし「日本は世界に振り回される尻尾のような存在で、経済の中心の動きを見ることが重要」と話す。
 運用の現場を経験してきた人だけが知る臨場感のある描写も魅力だ。週末の4月4日のブログでは、日米株式相場の上昇を受けて、「月曜(6日)の午前中に世界中の運用会社は会議を開くだろう」と書き出す。相場に乗り遅れることを恐れて、会議の結論は「一応少しは相場に対応しておこう…」。案の定、6日に日経平均株価は9000円目前まで上昇した。
 読者の質問やコメントに丁寧に対応する姿勢もいい。例えば、最近では自動車株について意見を求められ、「今年は(相場の)ボラティリティー(変動率)が高いので、ド天井の買い、大底の売りでないかぎり損をせずに逃げられるチャンスはある」と独自の見解を書き込んだ。
 春山氏は、プロしか知り得ないデータを常に駆使して解説を書いているわけではない。情報源は日本経済新聞と英フィナンシャル・タイムズ(FT)が中心。日経では毎週月曜日の朝刊に掲載される「景気指標」のページを特に重視する。国内外の主要統計を網羅しているページで、必ず切り取って持ち歩く。FTはネットでも読めると薦める。
 ネットでは、「グーグル」のニュース検索もよく使う。「中国」といったその時々に気になったキーワードを打ち込み、どんなニュースが引っかかるかに注目する。
 読んだ記事やデータが重要だと思えばメモしておく。後で見返した時に断片的な情報がつながって全体像がすんなりと理解できることがある。これらに基づいて「週末の定点観測」などを発信するのだ。
 もともとは自身の情報整理のために始めたブログだが、読者が増えるにつれて真剣に取り組もうと考えるようになった。また、自身の相場観についてもはっきりと書くよう心がけており、目先は「5月の大型連休に向けていったん調整が入る」との立場だ。

> 運用にマル秘、特効薬などは存在せず、コツコツ努力をすること、感性をみがくことの二つの大切さを話しました。

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