2008-09-02

JREITの洞察

JREITの洞察
備忘録なので、相変わらず徒然と余計なことを書いています。あと分野別は現在の情勢分析なので、状況が変われば評価も変わりますので、ご注意を。
 
最初に
 JREITは不動産ファンドです。個別銘柄投資をする際は、不動産の分析能力がある程度要ります。訓練すれば1週間程度で基本は身につきます。あとは慣れです。
面白いのは、債券分析の手法を応用したものです。nobinobiさんが以前やっていました。株でもクオンツ分析といって、景気回復期にはレバレッジが掛かった銘柄群が高くなりやすい傾向があるというような数理分析をする手法があります。しかし、高度な解析技能やデータベースが必要なので、一般投資家は、知っておくだけでいいでしょう。
投資に正解はないので、自分にあった尺度を見つけるのが重要です。尺度を見つけたら、過去の値動きなどで検証してみてください。そして少額投資して、実践の中で理論検証することを進めます。

 JREITを配当狙いで保有する場合は、長期投資が前提となりますので、株式投資と同様に個別銘柄の分析が重要です。賃貸主力の不動産会社を評価する手法が使えます。投信やETFを通じた投資は、個別分析よりも経済動向分析が適しています。

個別分析では、不動産転売で収益を出している会社がバブル崩壊で軒並み倒産したのは記憶に新しいし、今もそのような不動産会社は破綻頻発ですので、REITも数期の収益分析は重要です。
転売益が恒常的に発生しているREITは配当ダウンリスクを織り込んだ価格を算出します。その価格までは売買目的でなければ、見送りが懸命です。

あとREITは、ファンド(投資信託)です。株式投信以上にどこの会社(ファンドマネージャー)が、どのような方針で運営しているか重要です。このビルを持っているから・・・というのは、安易すぎます。確かに物件は大きな要因なので、母体の“筋”がよくても物件が悪いREITは見送りという判断は正しいです。

 低金利時代にJREITの利回りは魅力的ですが、不動産投資に見合った利回りというものはあります(リスクとリターン)。私は物件ごとにCAPレートを書面審査で設定しますが、何%に設定するかはノウハウですし、環境によって違います。ただ、あまり環境に流されると痛い目を見ます。
2年前、CAP○%欲しいと言ったら、結構、ヒンシュク買いました。その後の大きな上昇を取れなかったので、周りから怒られましたが、今は、それ以上のCAP欲しいと言っても従ってくれます(でもなんか、怒られ損のような気分!)

 インフレ対応能力
 JREITは不動産関連商品なので、インフレに強いと思われがちですが、投資期間によっては、最も不利な資産の一つです。
海外(特に米国)と異なり、日本の借地借家法は借り手保護が基本になっています。賃料水準が明らかに相場より低いと認められなければ、裁判所も値上げを容認しませんし、追い出すにしても借り手優位の法律があり、時間が掛かります。オーナー側としてもテナントとの長期的関係を維持する為に値上げは、地価や物価上昇と比べて遅れる傾向にあります。

一方、資金源である借入金利は市場連動ですので、調達金利(費用)が先行して上昇し、賃料(収益)の上昇が遅れる局面では、純収益(配当原資)が低迷するので、パフォーマンスが冴えない時期がどうしても発生します。

また金利上昇のピーク付近では景気後退が始まり、稼働率がさがるため、高金利での収益還元評価+稼働率低下で不動産評価も低くなりがちです。

 超長期(20年から30年以上)では、インフレ対応能力が期待できますが、10年程度では投資時期によっては、バブル崩壊ではなくても債券投資より不利になりがちです。

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