2008-11-16

投資と投機

PERという指標の危うさ
株式投資のいろはの本に必ず書いてあることに、株価収益率で割安・割高を判定する方法があります。つまりPER何倍まで買われているから割高、何倍まで売られているから割安という例のやつです。

数ヶ月前までは東証1部銘柄の平均PERがなにがしなので割安という声が多かったように記憶していますが、ご存知の通りその後株価は大暴落。そして企業は我先にと予想業績の下方修正のオンパレードです。
今8000円台の平均株価ですが、予想値での平均PERは15倍程度になっているようです。
つまり割安だったはずが、実は割安ではなくてちゃんと割高だったから下がったのだということになってしまっています(笑)

同じような指標に配当利回りもありますが、直近の配当実績からは割安でもその後減配やら無配転落やらがあいついで、結局はその時の水準が妥当なものとなってしまうことが多いようです。
これらは市場が効率的であることの証になるのかもしれませんが、こういうこともあるのでPERとか配当利回りはほとんど気にしないことにしています。

ただPBRだけはある程度は参考にしているのですが、それでもトットと解散したほうがはるかに儲かるという企業が破綻してしまうと、原資産価値の大幅な減少やら負債やらで何にもありませ~んってことばかっりなので、こちらも同じようにあまりあてには出来ないように思います。

結局のところこういう指標で判断する方法というのは、株価全体が上げ基調の場合は確かに有効なのかもしれませんが、全体が下げ基調ではまったく無力に近いように思います。もっとも上げ基調であることが確実にわかるのであれば、よっぽど変なものを買わない限りはまずまずうまく行くはずなので、全体の判断がもっとも大切ということになるのかもしれません。

株でいつも勝つ秘訣(アホ話)
上昇相場つまり経済の回復場面では"投資家"になること。ファンダメンタル分析をしっかりやればやるほど成績も良くなるはず。ここは勉強したもの勝ち。つまり博打よりは理論が強い。まあこれが普通の姿なんでしょう。

一方今のような下降相場、つまり経済の減速場面では"投機家"あるいは"ギャンブラー"になること。どこで反転するのかとかいつ回復に転じるのかなどはまったく考えずに値動きがすべてと思うこと。ここは度胸とギャンブルの腕があるもの勝ち。下手な知識はかえって足を引っ張る恐れあり。

じゃあ上昇と下降をどう見極めれば良いかですが、ピンポイントで当てようとさえしなければいっぱい方法はあると思います。以前書いた日経平均株価の月足での移動平均位置判定でも十分だと思います。

(続)株でいつも勝つ方法
先日ファンダメンタル分析による割安・割高の判断をして"投資"するやり方が、上昇相場では有効だけど下落相場ではあまり有効ではない、むしろかえってうまくいかないほうに働くと思っていることを書きました。これについてもうちょっと。

そもそもファンダメンタルによろうと、テクニカルによろうと下落相場では"投資"というのはあまり効率が良いとは思いません。そんなことはない、投資で財を成した人の多くはどん底で勇気を持って買ったからだって反論がありそうですが、買ったものがあまり時間をかけずに値上がりしたほうが効率が良いという意味でです。すぐ値上がりする株を知りたがるのはト~シロの証拠だと、多くの自称プロの方は言いそうですが、すぐに値上がりするほうがいいに決まっています。

また下落相場というのは、たとえ値上がりしたとしても線香花火程度で、やっぱりまた下げてしまうものが多いから下落相場となります。こういう場合はじっくり価値があがるのを待つ"投資"よりは、"投機"のようなヒットアンドアウェイのほうがその時点では儲かる確率が高いという意味です。

また割高・割安という判断は株価と企業の真の価値との乖離を見つけ出し、この乖離が大きいものに投資するということになるのでしょうけど、問題は真の価値の部分です。
今年の春に私はトヨタを買い下がりました。その時同じようなことをやっているお仲間の方と今の株価は超割安だと話したものです。ところが例の超絶下方修正があり、結局は割安ではなくむしろ適正に近いものだったということになっています。
そもそも株式の真の価値の判断基準はその時点で企業が公表しているものということになります(そうじゃないならインサイダーか自分の予想でならギャンブルと同じことになるはず)
つまりその時点での真の価値に対する乖離を狙う"投資"というのは、全体が下方修正するような時にはその乖離そのものが本当に存在したのだろうか?と思うのです。

逆に全体が上昇の時なら、これとは逆のことが起きるように思います。つまり真の価値との乖離が大きいものほど、よく言われる真の価値と株価の収束現象が生じて、こういう投資法が大きな成果を享受できるということになります。

世のこういう株式の王道に関する本などでひとつだけ書いていないことがあるように思います。そしてこのことが出来るならば株で資産が大きく減少することなどないはずです。

それは
「全体が少なくとも下降場面に入った時はいっさい株式投資をしないこと」
です。

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