2008-11-16

インデックス・ファンドと効率的市場仮説

僕は「強いインデックス投資家」ってわけじゃありません - 投資信託のブログ|ファンドの海

「強いインデックス投資家」がなぜインデックス型投資信託を選ぶか、というと、彼らの主なロジックとしては「アクティブ型投資信託よりインデックス型投資信託のほうがリターンの期待値が高い」ことがあります。細かい議論はここでは省略しますが、統計的にいえば、アクティブ型のリターンの期待値は信託報酬が高額な分下がってしまい、信託報酬が安いインデックス型投資信託のほうがわずかながら期待値が高い。すなわち高いリターンが期待できるのです。

でもこれには前提条件が2つ。1つは、インデックス型投資信託の信託報酬がアクティブ型より安いこと、そして市場が十分に効率的であること。

だから、僕は「市場が十分に効率的である」という前提条件には部分的な疑義を持っていて、だから「信託報酬が安い」という要素のほうを投資信託選びでは重要視しているのです。そして結果的に選ぶのが「インデックス型投資信託」であるだけです。もしもインデックス型投資信託と同等もしくは安いアクティブ型投資信託があるのなら、僕にとってはそれは十分検討に値する商品になるはずです。

インデックス・ファンドと効率的市場仮説 - ベムのメモ帳
インデックス・ファンドに投資する人の中には、効率的市場仮説を信じている人がいます。市場が効率的であるが故にアクティブ運用は無効だというもの。しかし、私は現実の市場は効率的市場からほど遠いと思っています。人はそんなに賢くないし、市場が効率的ならバブル暴落も起こらないはず。

そういうと「ならばアクティブ運用が有効ではないか」と思われるかも知れません。「市場が効率的ならアクティブ運用は有効でないが、非効率な市場ならアクティブ運用が有効だ」という論法をしばしば見かけるからです。でも、この論法は論理的に誤っています。「AであればBでない」からといって「AでなければBである」ということにはなりません。

市場が効率的であればアクティブ運用がインデックスに勝てるチャンスはありませんが、だからといってそのことが「非効率な市場ではアクティブ運用が有効である」という根拠にはなりません。非効率な市場においても、アクティブ運用が有効とは限らないのです。実際どうなのか、この辺りは山崎元氏の考え方が私にはしっくり来ます。プロも含めて誰もその株(企業)の真の価値など分からない、そして運用は運に大きく左右されるというもの。

山崎元 ホンネの投資教室 第五十四回 「市場の効率性」に対する考え方

現実は、個々の投資家が持っている情報も、判断力も、共に、正しい価格を短期間に発見するに十分なレベルからは、ほど遠い。この点に関しては、理論が求めるようなレベルと比べると、プロも、アマも、お話にならないくらい低レベルで、しかも相対的なレベルは五十歩百歩でかつ不安定だ、というのが、洋の東西を問わず、今も昔も現実だろう。

 「ドングリの背比べ」と喩えると、ドングリどうしの長さは、厳密に測ると差が付くし、その差は固定的だから、より正確な比喩として、「株式市場は『ドングリの影の長さ比べ』のようなものだ」と言ってみたい。ドングリは投資家の能力レベル、ドングリの影は投資家の運用パフォーマンスだ。投資家の能力レベルに多少の差があるとしても、所詮ドングリ程度であって、しかも、ドングリの影は、光の当たり具合や、そもそも不安定なドングリ自体の向きの変動によって、伸びたり縮んだりしていて、どのドングリの影が、全ドングリの影の平均を上回るかについては安定しない。

山崎元 ホンネの投資教室 第五十九回 投資に役立つ? 10大理論(2)

株価は必ずしも正しくないが、投資家の側で、これを発見する能力が弱く、かつ投資家の間で、その能力に大差がないという状況を考えると、何が起こるだろうか。この場合、投資家及び投資戦略同士の勝ち負けは、主に運に左右されることになり、不安定になるし、誰かないしは何れかの戦略が、市場平均を上回ることを事前に予測することはできない。

 (中略)

  それでは、現実の市場はどうなのか、と言うと、ズバリ言って、投資家が持っている情報や解釈力のレベルは低い。個々の上場企業の株価を正しく推定するという意味においては、プロの投資家が持っている能力や情報も、素人投資家が持っているそれらも、「効率的市場仮説」が要求するようなレベルからすると、残念ながら、遙かに下であって、有効性についてはお互いに大差がない、というのが、残念ながら、現実だ

このような市場観に基づくと、低いコストで常に平均点を狙えるインデックス・ファンドが相対的に優れていると言えると思います。

なお、これまで見てきたとおりアクティブ運用の平均パフォーマンスがインデックスに劣るからといって、市場が効率的である証拠にはなりません。優秀とされている学者にもこのような論理的な誤りがみられるようです。逆にアクティブ運用が有効であるとすれば、それは市場が非効率的であるという証拠になります。アノマリーの存在も同様です。

監視の責任放棄、、売りの能力の欠如へのコメント
ありふれたアクティブ投信をお考えならパッシブ投信の購入を薦めます。中には例外的に優秀なファンドマネージャーがいますが、全体の八割以上は我が社をはじめとするパッシブファンドに負けています。優秀なマネージャーは一般個人向けの投信担当から去ってヘッジファンドに行ってしまいましたので、最近はますますパッシブの優位が高まっていると思います。 まあパッシブファンドなら似たような成績ですが、サイズが大きいほうが経費率は小さくなるので有利だと思います。

wha_man3さんの記事へのコメント
あと、個人投資家には有力HFのようなアルファ獲得能力の高いマネージャーにアクセスできず、個人がアクセス可能なプロの能力は平均するとさほど高くない、結局、個人の選択肢としてはパッシブ(ETF)か自分で銘柄選択するしかない、ということですかね。

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