2008-10-21

アンナ・シュワルツ

大恐慌の証人

大恐慌は、FRBが銀行の流動性不足を放置したために取り付け騒ぎを起したのが原因だったけど、今度は違うわ。流動性は十分あるし、決済機能は傷んでいない。問題は、CDOとかCDSとか訳のわからない証券がいっぱい流通して、それが売れなくなったものだから、価格が決まらなくなったのが原因よ。

「有毒」な証券を売るのは簡単よ。額面の5%でもいいから、オークションで売ればいい。でも、そんなことしたら銀行がバタバタつぶれるから、売るに売れない。だからポールソンは、資産買収から資本注入に切り替えたわけよ。でも両者は全然ちがう。債務超過の銀行に資本注入したら、日本みたいに問題が長引くだけよ。

ベア=スターンズも助けるべきじゃなかった。大事なのは、行政の一貫性よ。助けたり助けなかったりするのが最悪。おかげで市場が30年代みたいに混乱して、それが全世界に広がったのよ。こういうとき何よりも大事なのは、行政や銀行への信頼なのよ。どんな方針でもいいから、ぶれないことが絶対条件。それを崩したから、こういうことになったのよ。

グリーンスパンは、わざわざ本にあとがきまで付け加えて言い訳してるけど、見苦しいわね。彼のやったジャブジャブの金融緩和が、今回のバブルの原因だということは明白よ。金融緩和というのは企業も政治家も喜ぶから、やめにくいのよ。

ミルトンの90歳の誕生日のとき、バーナンキは「ミルトンとアンナの本は正しい。われわれは過ちを繰り返しません」といったけど、今の状況は当時と違うんだから、ミルトンと私の本は参考にならない。チャーチルもいったように、彼らは前の戦争を戦ってるのよ。

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