2008-10-20

金融危機下でジム・ロジャーズが語った(2) ~中国株はそろそろ買っていい時期に来ている~

「金融危機下でジム・ロジャーズが語った(1) ~米国政府の政策は間違っているし、うまくいかない~」からつづく)

――では、ジムさん自身、今は何に投資していますか?

 最近私が買ったのは、日本円、スイスフラン。それから航空会社の株、農業関連の株、中国株

■ジム・ロジャーズは日本航空を買っていた!

――航空株をジムさんが買ったというのは興味深い感じがしますが…。

 世界的に航空会社の淘汰が続いていて、ここ最近までに40~50社ぐらいはつぶれた。しかし、世界経済の規模は長期的には拡大していくだろうし、今の不況を抜けたら航空業界は予想以上に良くなると思う。商品と同じで、需給関係を考えると将来的に有望だと考えている。

 そういう理由で、国際的な航空会社を買っていて、中国とかヨーロッパの航空会社を買っているし、日本の日本航空(9205)も買っている。

■商品の長期的な上昇トレンドは終わっていない

――原油をはじめ、商品価格が随分と最近値下がりしましたが、今後はどうなると思われますか?

 商品は18~20年くらいのサイクルで動いていて、長期的な上昇トレンドはまだまだ続くと思う。原油価格もあと10年くらいは上昇すると思っている。有力な油田は過去40年間開発されていないし、その一方で需要が伸びることは明らかだからだ。

 投資家は、今後商品への投資も覚えるべきだと思う。

――具体的には、どんな商品が有望だと思いますか?

 農産物とレアメタルに注目している。レアメタルはここ1年調整したので特に注目している。

 
――中国株についてはどう見ていますか?

 08年の中国の株式市場は世界でもっとも酷い状況になってしまったと思う。世界経済悪化の影響はすでに中国にも出ていて、一部の中国のセクターはかなり酷い状況になっている。

■21世紀は中国の時代。長期的に見て中国株は相変わらず有望だ

 ただし、長期的に見て中国株が有望であることには変わりがないと思っている。中国人はよく働き、よく貯蓄し、ビジネスのセンスもあり、世界の中でもっとも優れた資本主義者としての資質を持っている。

 その中国に資本主義的な政策が導入されて軌道に乗ってきた。すでに歴史的な大きな転換点を進んでおり、21世紀が中国の時代になることは間違いない。私やみなさんが生きている間は、中国が世界でもっとも重要な国であり続けると思う。

――具体的には、中国のどんな銘柄が有望ですか?

 世界経済の影響をあまり受けないところがいいと思う。たとえば、観光、電力、水処理、農業関連の銘柄などだ。その中でもっとも注目されるセクターは水処理。今後中国が成長していく上での最大の課題のひとつは水資源の確保であり、おそらく水処理の分野がもっとも活発化すると思う。

――中国株はもう買ってよい水準ですか?

 私自身は(9月末のインタビュー時点から見て)先週、久々に少し中国株を買った。セクターは水処理など先ほど話したものと航空会社、それにインフラ関連企業の株だ。

 まだ2~3年くらい待つ必要はあるかもしれないが、その間に中国政府も規制緩和などさまざまな施策を打ってくる可能性がある。さらに下落した時に買い増しできるように想定しながらであれば、そろそろ買う時期に来ていると思う。

――最後に、投資が上達するには何をしたらいいか教えてください。

 「投資の神様」を頼ってはダメ。とにかく、たくさん読んで、たくさん考えること。また、誰でも何かについての専門家なので、そうした知識を生かすことだ。



 ジム・ロジャーズへのインタビューは以上だが、ジムが述べているのは短期的な見通しではなく、あくまでも長期的な大きな流れについての見通しであることには注意したい。ジム自身も「短期的な見通し、短期的な売買は苦手」ということを強調している。

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