2008-10-13

サブプライム後の新資産運用

中原圭介氏の著書「サブプライム後の新資産運用」についてからの引用

中原氏の相場を先読みする力は傑出しています。サブプライムローンショックが起こる前からアメリカの住宅バブルがはじけることを予測していましたし、サブプライムローンショック後は、一貫して株式を保有することを避けるよう、読者に警告を発していました。

2008年6月に日経平均株価が14000円を回復し、一部の証券アナリストは楽観的な見通しを出していましたが、そのときでも中原氏は「FRBが金利を下げたことにより発生した金融相場に過ぎず、根本的な問題解決には至っていない」と主張。中原氏の予測どおり、その後、市場環境は不調となりました。

▼サブプライム後の新資産運用の問題提起

  • 経済学から生まれた金融工学は役に立たない。相場の先を見通すには、歴史学・哲学・心理学を学ぶことが有用
  • 投資信託を買い、「国際分散投資による長期資産運用」を行えば、将来的に儲かるというセオリーは、もはや通用しない。
     分散投資は世界同時株安の前では無力であり、長期投資で儲けるには世界経済が順調な成長を続けることが前提となる。だが、サブプライムショックでその前提は崩れた。
  • 日本は少子高齢化社会である。そのため、持続的な経済成長は期待できない。
  • ▼ならばどうするか?

  • 外貨預金と株式を組み合わせた資産運用を行う
  • 日本は持続的な経済成長は期待できないため、長期的な視点でみると円の価値が低下すると予想される。そのため、外貨投資の知識を身につけることが重要。
  • 毎月積立を行っていくような長期投資はやらない
  • 株式投資を行うときは相場の先を見通さなければならない。世界経済はアメリカの経済状況によってほぼ決まるので、アメリカの雇用統計とISM製造業景況指数はチェックしておくこと。また、日本経済については日銀短観と業況判断指数(DI)をチェックしておくこと。
  • 景気拡大期(インフレの前半)は株式投資の比重を高め、景気が悪くなっていくとき(中央銀行が金利を上げてインフレを抑えようとするとき)は株式の比重を減らす。
  • 景気拡大期では株式の比重を高め、外貨預金や現預金(円の預金)の比重を減らす。
  • 景気後退期では株式の保有をゼロにして、外貨預金と現預金の比率を5:5にする。
  • 読者からの質問

    【質問】
    貴著書ではFXをすすめていませんが、「くりっく365」でレバレッジを1倍にして、スワップ金利と為替差益を期待する方法はどうでしょうか。
    (同様の質問12件)

    ~~~中略~~~

    自制心がある投資家には、「くりっく365でレバレッジ1倍」という条件であれば、FXもおすすめできます。一番のメリットは、突然の解約でも金利が下がることがないことです。

    引用終わり

    言うは易し、なのですが、この通りにやろうとすると上昇相場で株を売るのが早過ぎ、回復時に株を買うのが遅すぎて、今回のような100年に一回とも言われる大幅下落以外では単なる持ち続けと大差ないような…
    バイアンドホールドが唯一絶対真理、という風潮に異論を唱える、という点では同感ですが、それ以外がバイアンドホールドに負け続けたのが今の風潮の理由なのですから、バイアンドホールドに誰も勝てない、とは言いませんが、人に勧めてよいかは疑問です。

    11月13日追記
    やはりこの手の本は遅行指標なのでしょう。
    ホンネの資産運用セミナー | 中原圭介著「サブプライム後の新資産運用」の問題点
    本書は、主張に一貫性がなく、根拠も弱い。はっきり言ってオススメできない。
    つっこめるポイントは山ほどあるが、本書の主な問題点は以下の通り:

    (1)国際分散投資に捉われるなと書いているが、実際に推奨ポートフォリオは国際分散投資になっており矛盾している。
    (2)長期投資に捉われるなと書いているが、実際に推奨ポートフォリオのうち、30%~50%は外貨預金(外貨MFF)の長期投資となっており矛盾している。
    (3)株式のタイミング投資を推奨しているが、長期投資よりもリターンが高いとする根拠が示されていない。
    (4)金融工学を否定しているが、推奨ポートフォリオの根拠は金融工学を用いている。
    (5)短期債よりも長期債の方がリターンが高いが、債券は単に分かりにくいからという理由で外貨預金(外貨MFF)を推奨している。
    (6)国家破綻を懸念して一定の外貨預金を持つべきと書いているが、なぜか推奨しているのは邦銀の外貨預金口座。

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